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1株当たり当期利益に関する会計基準目次

(注)本内容は、企業会計基準委員会が平成18年1月31日に公表した「1株当り当期純利益に関する会計基準」から「目的」 及び「会計基準」の部分を抜粋したものです。「結論の背景」の部分は別に記載してあります。

なお、オリジナルとは異なる表現をしている部分があります。実務に適用するにあたっては念のために最新の当該基準等を確認してください。

企業会計基準第2号

1株当たり当期純利益に関する会計基準

(目的・会計基準)

平成14年9月25日

改正平成18年1月31日

企業会計基準委員会

目次

目的

会計基準

範囲

用語の定義

1株当たり当期純利益

1株当たり当期純利益の算定

普通株式に係る当期純利益

普通株式の期中平均株式数

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

希薄化効果

潜在株式調整後1株当たり当期純利益の算定

ワラントが存在する場合

転換証券が存在する場合

開示

適用時期

結論の背景の部分は別に記載してあります。


目的

 1. 本会計基準は、1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益の算定方法を定めることを目的とする。

 2. 従来から、1株当たり当期純利益は商法及び証券取引法に基づいて、また、潜在株式調整後1株当たり当期純利益は証券取引法に基づいて開示が要求されてきた。平成13年6月及び11月の商法改正において、自己株式の取得及び保有規制の見直し、種類株式制度の見直し、新株予約権及び新株予約権付社債の導入などが行われたことを契機として、当委員会は、国際的な会計基準の動向も踏まえて、1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益の算定方法を会計基準として定め、平成14年925日に公表した。

本会計基準は、会社法(平成17年法律第86号)が平成17年7月26日に公布されたこと及び平成17年11月29日に企業会計基準第4号「役員賞与に関する会計基準」が公表されたことなどに伴い、平成14年9月25日に公表した会計基準(以下「改正前基準」という。)に所要の改正を行ったものである。

また、本会計基準を適用する際の指針を定めた企業会計基準適用指針第4号「1株当たり当期純利益に関する会計基準の適用指針」(最終改正平成18年1月31日)が公表されているため、本会計基準の適用にあたっては、当該適用指針も参照する必要がある。

なお、本会計基準は、開示項目としての1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益の算定方法を定めたものであり、損益計算書における当期純利益の算定等、会計処理に影響を与えるものではない。このため分子となる当期純利益の調整は、分母となる株式数の調整等に伴って必要とされるものに限定されることに留意する必要がある。

 3. 1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益の算定及び開示の目的は、普通株主に関する一会計期間における企業の成果を示し、投資家の的確な投資判断に資する情報を提供することにある(第37項及び第38項参照)。

会計基準

範囲

 4. 本会計基準は、財務諸表において、1株当たり当期純利益又は潜在株式調整後1株当たり当期純利益を開示するすべての場合に適用する。

なお、財務諸表以外の箇所において、1株当たり当期純利益又は潜在株式調整後1株当たり当期純利益を開示する場合にも、その算定方法については、本会計基準を適用することが望ましい。

用語の定義

 5. 「普通株式」とは、株主としての権利内容に制限のない、標準となる株式をいう。

 6. 「普通株主」とは、普通株式を有する者をいう。

 7. 「配当優先株式」とは、普通株式よりも配当請求権(剰余金の配当を受ける権利)が優先的に認められる株式をいう。

 8. 「優先配当」とは、配当優先株式における優先的な剰余金の配当であって、本会計基準では留保利益から行われるものをいう。

 9. 「潜在株式」とは、その保有者が普通株式を取得することができる権利若しくは普通株式への転換請求権又はこれらに準じる権利が付された証券又は契約をいい、例えば、ワラントや転換証券が含まれる。

10. 「ワラント」とは、その保有者が普通株式を取得することのできる権利又はこれに準じる権利をいい、例えば、新株予約権が含まれる。

11. 「転換証券」とは、普通株式への転換請求権若しくはこれに準ずる権利が付された金融負債(以下「転換負債」という。)又は普通株式以外の株式(以下「転換株式」という。)をいい、例えば、一括法で処理されている新株予約権付社債や一定の取得請求権付株式が含まれる(第43項参照)。

1株当たり当期純利益

1株当たり当期純利益の算定

12. 1株当たり当期純利益は、普通株式に係る当期純利益(第14項参照)を普通株式の期中平均株式数(第17項参照)で除して算定する。

1株当たり当期純利益 = 普通株式に係る当期純利益 ÷ 普通株式の期中平均株式数 =(損益計算書上の当期純利益−普通株主に帰属しない金額(第15項参照))÷(普通株式の期中平均発行済株式数−普通株式の期中平均自己株式数)

また、損益計算書上、当期純損失の場合にも、当期純利益の場合と同様に、1株当たり当期純損失を算定する(本会計基準においては、1株当たり当期純利益に1株当たり当期純損失を含むものとする。)。

13. 普通株式と同等の株式が存在する場合には、これらの株式数を含めて1株当たり当期純利益を算定する。

普通株式に係る当期純利益

14. 第12項にいう普通株式に係る当期純利益は、損益計算書上の当期純利益から、剰余金の配当に関連する項目で普通株主に帰属しない金額(以下「普通株主に帰属しない金額」という。)を控除して算定する。

15. 第14項にいう普通株主に帰属しない金額には、優先配当額(第16項参照)などが含まれる。

16. 第15項にいう普通株主に帰属しない金額に含まれる優先配当額は以下による。

(1) 累積型配当優先株式(第46項参照)の場合

1株当たり当期純利益の算定対象となる会計期間に係る要支払額

(2) 非累積型配当優先株式(第46項参照)の場合

1株当たり当期純利益の算定対象となる会計期間に基準日が属する剰余金の配当を基礎として算定した額

普通株式の期中平均株式数

17. 第12項にいう普通株式の期中平均株式数は、普通株式の期中平均発行済株式数から期中平均自己株式数を控除して算定する。なお、連結財務諸表において1株当たり当期純利益を算定する際には、本会計基準にいう自己株式数は、子会社及び関連会社が保有する親会社等(子会社においては親会社、関連会社においては当該会社に対して持分法を適用する投資会社)の発行する普通株式数のうち、親会社等の持分に相当する株式数を含めるものとする。

18. 潜在株式は、実際に権利が行使されたときに、普通株式数に含める。

19. 当期に株式併合又は株式分割(同一種類の株式が交付される株式無償割当て等、株式分割と同様の効果を有する事象の他、時価より低い払込金額にて株主への割当てが行われた場合に含まれる株式分割相当部分を含む。以下同じ。)が行われた場合、普通株式の期中平均株式数は、当期首に当該株式併合又は株式分割が行われたと仮定して算定する。

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

希薄化効果

20. 潜在株式に係る権利の行使を仮定することにより算定した1株当たり当期純利益(以下「潜在株式調整後1株当たり当期純利益」という。)が、1株当たり当期純利益を下回る場合に、当該潜在株式は希薄化効果を有するものとする。

潜在株式調整後1株当たり当期純利益の算定

21. 潜在株式が希薄化効果を有する場合、潜在株式調整後1株当たり当期純利益は、普通株式に係る当期純利益(第14項参照)に希薄化効果を有する各々の潜在株式に係る当期純利益調整額(以下「当期純利益調整額」という。)を加えた合計金額を、普通株式の期中平均株式数(第17項参照)に希薄化効果を有する各々の潜在株式に係る権利の行使を仮定したことによる普通株式の増加数(以下「普通株式増加数」という。)を加えた合計株式数で除して算定する。

潜在株式調整後1株当たり当期純利益 =(普通株式に係る当期純利益+当期純利益調整額 )÷( 普通株式の期中平均株式数+普通株式増加数)

本会計基準では、潜在株式の代表的な例としてワラント(第24項から第26項参照)と転換証券(第27項から第30項参照)が存在する場合の当期純利益調整額及び普通株式増加数の算定について定めている。

22. 潜在株式が複数存在する場合は、最大希薄化効果を反映した潜在株式調整後1株当たり当期純利益を算定する。

23. 以下の場合は、その旨を開示し、潜在株式調整後1株当たり当期純利益の開示は行わない。

(1) 潜在株式が存在しない場合

(2) 潜在株式が存在しても希薄化効果を有しない場合

(3) 1株当たり当期純損失の場合

ワラントが存在する場合

24. 普通株式の期中平均株価がワラントの行使価格を上回る場合に、当該ワラントがすべて行使されたと仮定することにより算定した潜在株式調整後1株当たり当期純利益は1株当たり当期純利益を下回るため、当該ワラントは希薄化効果を有することとなる。

25. 各々のワラントが希薄化効果を有する場合、潜在株式調整後1株当たり当期純利益の算定(第21項参照)にあたっては、普通株式の期中平均株式数(第17項参照)に普通株式増加数(第26項参照)を加える。

26. 第25項にいう普通株式増加数は、下記の(1)により算定された普通株式数から、(2)により算定された普通株式数を差し引いて算定する。なお、ワラントが期中に消滅、消却又は行使された部分については、期首又は発行時から当該消滅時、消却時又は行使時までの期間に応じた普通株式数を算定する。

(1) 希薄化効果を有するワラントが期首又は発行時においてすべて行使されたと仮定した場合に発行される普通株式数

(2) 期中平均株価にて普通株式を買い受けたと仮定した普通株式数

ワラントの行使により払い込まれると仮定された場合の入金額を用いて、当期にワラントが存在する期間の平均株価にて普通株式を買い受けたと仮定した普通株式数を算定する。

転換証券が存在する場合

27. 1株当たり当期純利益が、転換証券に関する当期純利益調整額(第29項参照)を普通株式増加数(第30項参照)で除して算定した増加普通株式1株当たりの当期純利益調整額を上回る場合に、当該転換証券がすべて転換されたと仮定することにより算定した潜在株式調整後1株当たり当期純利益は1株当たり当期純利益を下回るため、当該転換証券は希薄化効果を有することとなる。

28. 各々の転換証券が希薄化効果を有する場合、潜在株式調整後1株当たり当期純利益の算定(第21項参照)にあたっては、普通株式に係る当期純利益(第14項参照)に当期純利益調整額(第29項参照)を加え、普通株式の期中平均株式数(第17項参照)に普通株式増加数(第30項参照)を加える。

29. 第28項にいう当期純利益調整額は、以下の金額とする。

(1) 転換負債に係る当期の支払利息の金額、社債金額よりも低い価額又は高い価額で発行した場合における当該差額に係る当期償却額及び利払いに係る事務手数料等の費用の合計額から、当該金額に課税されたと仮定した場合の税額相当額を控除した金額

(2) 転換株式について、1株当たり当期純利益を算定する際に当期純利益から控除された当該株式に関連する普通株主に帰属しない金額(第14項参照)

30. 第28項にいう普通株式増加数は、下記の(1)及び(2)によって算定された普通株式数の合計とする。なお、当期に株式併合又は株式分割が行われた場合、普通株式増加数は、当期首に当該株式併合又は株式分割が行われたと仮定して算定する。

(1) 希薄化効果を有する転換証券が期首に存在する場合、期首においてすべて転換されたと仮定した場合に発行される普通株式数(なお、転換証券のうち転換請求期間が期中に満了した部分又は期中に償還した部分については、期首から当該満了時又は償還時までの期間に応じた普通株式数を算定する。また、期中に転換された部分については、期首から当該転換時までの期間に応じた普通株式数を算定する。)

(2) 希薄化効果を有する転換証券が期中に発行された場合は、発行時においてすべて転換されたと仮定し算定した当該発行時から期末までの期間に応じた普通株式数(なお、上記(1)の括弧書きは、転換証券が期中に発行された場合にも準用する。)

開示

31. 当期において株式併合又は株式分割が行われた場合には、その旨及び前期首に当該株式併合又は株式分割が行われたと仮定した場合における前期の1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益を注記する。ただし、前期の1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益が、当期の財務諸表との比較形式で開示されていない場合には、この限りではない。

32. 当期の貸借対照表日後、株式併合又は株式分割が行われた場合には重要な後発事象として取り扱う。このため、以下のように、当該株式併合又は株式分割の影響を反映した前期及び当期の1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益を、当該株式併合又は株式分割が行われた旨とともに注記する。

(1) 第31項に準じて算定された前期の1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益(ただし、前期の1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益が、当期の財務諸表との比較形式で開示されていない場合には、この限りではない。)

(2) 第19項に準じて算定された当期の1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益

33. 財務諸表において、1株当たり当期純利益又は潜在株式調整後1株当たり当期純利益を開示する場合には、当該金額の算定上の基礎も注記する。

適用時期

34. 平成18年1月31日改正の本会計基準(以下「改正基準」という。)は、会社法施行日以後終了する中間連結会計期間及び中間会計期間に係る中間連結財務諸表及び中間財務諸表並びに連結会計年度及び事業年度に係る連結財務諸表及び財務諸表から適用する。

なお、改正基準の適用前の1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、改正前基準による。

決議の部分は省略


INDEX

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