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目次

 

(注)本内容は、企業会計審議会が平成3年12月26日に公表した「監査基準、監査実施準則及び監査報告準則の改訂について」から「監査基準等」部分を除いたものです。

監査基準、監査実施準則及び監査報告準則の改訂について

平成三年十二月二十六日

大蔵省企業会計審議会

 

一 本審議会は、平成元年三月の総会において、「監査基準」、「監査実施準則」及び「監査報告準則」の見直しを行うことを決議し、その第一段階として、平成元年五月十一日、「監査実施準則」の一部を改訂した。この改訂は、相対的に危険性の高い財務諸表項目に係る監査手続を充実強化することを目的としたものである。

次いで、平成二年九月二十日、日本公認会計士協会が中心となってとりまとめた「監査基準・準則の見直しに関する検討結果」を踏まえて、「監査基準」、「監査実施準則」及び「監査報告準則」の全般的な見直しに着手し、その後、数次にわたる改訂試案等の公表と各方面からの意見聴取も含め、慎重に審議を重ねてきた。また、この間、「監査基準」及び「監査報告準則」については、本年五月三十一日に改訂の審議を終了し、中間報告として公表した。

本審議会は、今般、「監査実施準則」の改訂についても審議が終了したので、先に中間報告として公表した「監査基準」及び「監査報告準則」と併せて、別掲(一)のとおり改訂し、公表することとした。

なお、今回の一連の改訂作業と併行して、「中間財務諸表監査基準」についても見直しを行ったが、この基準は、「中間財務諸表作成基準」と密接な関係を有するものであり、したがつて、その全般的な見直しは、「中間財務諸表作成基準」の見直しとともに行うべきものと考えられるので、今回は、「監査実施準則」及び「監査報告準則」の改訂に伴う一部の字句等の修正にとどめて、別掲(二)のとおり改訂し、公表することとした。

二 我が国の監査基準及び準則は、公認会計士が財務諸表の監査を行うに当り遵守すべき規範として、まず「監査基準」及び「監査実施準則」が昭和二十五年七月に設定され、次いで昭和三十一年十二月に、正規の財務諸表監査の実施に備えて、両者の改訂と併せて、新たに「監査報告準則」が設定された。

その後,昭和四十年九月及び四十一年四月には、経済成長に伴う企業規模の拡大、一部の被監査会社におけるいわゆる粉飾決算に対する社会的批判の高まり等を契機としてこれら基準及び準則の全面的な改訂が行われた。更にその後、連結財務諸表制度及び中間財務諸表制度の導入に伴い、これらに係る監査基準及び準則が新たに設けられた。

このような経過を経て、監査基準及び準則は、約四十年にわたって、我が国の監査実務の発展と監査水準の向上並びに監査制度に対する社会的信頼性の確保に重要な役割を果たしてきた。

しかしながら、監査基準及び準則の全面的改訂が行われた昭和四十年代以降の監査環境の変化を省みると、我が国経済の飛躍的発展とともに企業規模は急速に拡大し、また、その経済活動の内容も著しく複雑・多様化し、証券・金融市場も国際化してきている。更に、急速な技術革新に伴う情報化社会の到来により企業の会計システムも著しく高度化してきている。

他方、監査体制の面では、昭和四十九年四月に「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」の制定によって会計監査人監査制度が導入され、更に学校法人監査、労働組合監査、公益法人監査等監査人による監査領域も拡大してきている。また昭和四十一年六月の公認会計士法の改正により、日本公認会計士協会が同法上の法人となり、監査法人制度も創設された。

このような監査環境の変化に対応して、監査人による監査実務及び監査水準も大幅に向上し、公正な監査慣行が広く形成されてきているが、近年、監査基準等の国際的調和、会計上の不正に対する適切な措置等監査規範の面での新たな対応も求められてきている。

今回、監査基準及び準則の全面的な見直しとその改訂を行ったのは、以上のような監査環境の変化に適切に対応し、併せて公正な監査慣行を新たに明文化する等により、我が国監査制度の一層の充実とその有効かつ円滑な運営を図るためである。

三 主な改訂事項を列挙すると、次のとおりである。

1 監査基準のうち、実施基準についてはその体系の変更、新たな内部統制概念の導入等の改訂を行い、報告基準については財務諸表に対する意見の表明の差控と特記事項に関する規定を新設し、従来の補足的説明事項に関する規定を削除した。

監査実施準則については、改訂前の監査実施準則のうち「第二 通常の監査手続」を削除し、通常実施すべき監査手続に係る基本的事項を定め、併せて経営者による確認書の入手を義務付けた。

監査報告準則については、報告基準の改訂を受けて、監査報告書における特記事項の記載を新たに定めたほか、個別記載事項に係る除外事項の記載要件の整備等の改訂を行った。

2 監査実施準則の改訂に関連して特に指摘すべき事項は、次のとおりである。

(1) 監査実施準則では、改訂前の監査実施準則の「第一 総論」における通常の監査手続とその他の監査手続の二分類を廃して、「通常実施すべき監査手続」とし、その基本的な諸要件を定めた。

また、改訂前の監査実施準則の「第二 通常の監査手続」をすべて削除したことに伴い、「連結財務諸表に係る通常の監査手続」も削除された。

(2) 監査人は、重要な虚偽記載(脱漏も含む。)を看過してはならないことを文言をもつて示した。また、最近、内外ともにいわゆる不正問題に関連して公認会計士の監査機能に対する社会の期待の高まりがみられる折から、監査上の危険性に対する十分な考慮を求めるとともに経営環境の適切な把握と評価の必要性について明言し、更に、監査要点として取引記録の信頼性を掲げ、監査手続に分析的手続を加える等の改訂も行った。

(3) 財務諸表監査制度は、財務諸表の作成者とその監査人が協力して、真実かつ公正な財務諸表を利害関係者に提供することを本来の目的としているものである。したがつて、両者は、もともと対立関係にあるのではなく、財務諸表に関する責任を分担しながら、相互に協力し合う関係にあるといわなければならない。かかる協力関係を示し、もって監査制度に対する社会的信頼性を一層高めていくために、経営者による確認書を入手しなければならないことを定めた。この確認書の入手は、国際的にも既に慣行化しているものである。

四 今回、改訂された監査基準及び準則の適切な運用と普及を図るためには、監査人、被監査会社その他の関係者の理解と協力が必要である。特に、今回の改訂では監査実施準則についての純化が大幅に行われたことにかんがみ、今後、日本公認会計士協会が自主規制機関として公正な監査慣行を踏まえ、会員に対し遵守すべき具体的な指針を示す役割を担うことが一層期待されるので、その組織の整備、拡充等適切な諸施策を講じていく必要がある。また、各監査人の業務組織の整備と運営が有効適切に行われ、監査の質的水準の維持向上が常に図られるよう、その方策を今後も検討していく必要があると考えられる。

本審議会は、各関係者が今回の改訂の趣旨を十分に理解の上、これを有効適切に運用して社会一般の信頼にこたえるよう要望する。


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