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中間監査基準目次

 

(注)本内容は、企業会計審議会が平成10年6月16日に公表した「中間監査基準の設定に関する意見書」から「中間監査基準 の設定について」の部分を抜粋したものです。

中間監査基準の設定について

平成十年六月十六日

企業会計審議会

一 経緯

当審議会は昭和五十二年に「半期報告書で開示すべき中間財務諸表に関する意見書」 を公表し、「中間財務諸表作成基準」及び「中間財務諸表監査基準」を設定した。その後、半期報告書で開示される中間財務諸表についても公認会計士等の監証明を要することとされ、今日に至っている。

このように中間財務諸表に対する監査は実施後二十年を経過しているが、近年における我が国企業の多角化・国際化に伴い企業集団に係る情報の重要性が増大しているため、当審議会は平成九年六月に「連結財務諸表制度の見直しに関する意見書」を公表し、その一環として導入される中間連結財務諸表について公認会計士等による監査の対象とすることを提言した。

当審議会は、この提言を踏まえ、平成九年十一月以降、中間連結財務諸表の監査基準の設定及び「中間財務諸表監査基準」の改訂について審議を重ね、平成十年三月、中間連結財務諸表及び中間財務諸表の監査(以下「中間監査」という。)に係る基準を「中間監査基準の設定に関する意見書(公開草案)」として公表し、広く各界の意見を求めた。

当審議会は、寄せられた意見を参考にしつつ更に審議を行い、公開草案の内容を一部修正して、これを「中間監査基準の設定に関する意見書」として公表することとした。

二 「中間監査基準」の要点及び考え方

1 「中間監査基準」の構成

「中間監査基準」は、「監査基準」、「監査実施準則」及び「監査報告準則」を基礎にし、中間監査特有の事項を考慮して設定している。監査人の適格性の条件及び監査人が業務上守るべき規範は、「監査基準」の一般基準において定められており、中間監査においても当然準拠すべき規範であることが明らかであるため、「中間監査基準」は、中間監査実施基準及び中間監査報告基準から構成されることとしている。

2 中間監査の位置付け

大半の会社が一年決算を採用しており、年度単位での財務諸表の作成が定着している中で、証券取引法は、投資者の的確な投資判断を可能ならしめるため、企業内容開示制度において、別途、適時開示の観点から中間財務諸表の作成・開示を証券取引法適用会社に求めている。中間財務諸表の開示により、投資者は年度財務諸表が開示される前に投資情報を入手することができるが、中間財務諸表が投資者の的確な投資判断を可能ならしめるためには、その利用により投資者の投資判断が損なわれることがないよう中間財務諸表の信頼性を担保する必要がある。このため、我が国では中間財務諸表についても監査が実施されているところである。

半期報告書で開示される中間財務諸表は、年度の中間期までの期間を対象とした企業活動に係る中間的な報告であるといえるが、このような性格を有する中間財務諸表について、「中間財務諸表作成基準」では、合理的と認められる範囲で見積数値を取入れ、また簡略な手続を適用して作成することが認められていたので、現行の「中間財務諸表監査基準」は、「監査実施準則」に定める監査手続をそのまま適用することが適当でない点があるとして、簡略な監査手続によることを認めている。

今般新たに設定された「中間連結財務諸表等の作成基準」では、中間決算に特有の会計処理は基本的に認めないこととし、中間連結財務諸表及び中間財務諸表(以下「中間財務諸表」という。)が提供する情報の内容は年度単位の連結財務諸表及び財務諸表(以下「財務諸表」という。)に準ずるものであるとしているため、投資者への情報提供の観点からすれば、中間監査は、年度監査と同様の監査として位置付けるのが望ましいと考えられる。

しかし、中間財務諸表が提供する情報は、年度財務諸表とは異なり、年度の中間期までの期間を対象とした企業活動に係る中間的な報告である。また、年度監査が毎期継続して実施されている中で、半年ごとに年度監査と同様の監査を実施するのは証券取引法適用会社に対し経済的あるいは実務的に過度の負担をかけるおそれがある。

これらの点を考慮し、「中間監査基準」においては、中間監査は、年度監査と同程度の信頼性を保証するものではなく、中間財務諸表に係る投資者の判断を損なわない程度の信頼性を保証する監査として位置付け、合理的な範囲で年度監査における通常実施すべき監査手続の一部を省略できることとしている。

3 中間監査に係る通常実施すべき監査手続

(1) 省略できる監査手続の内容及びその判断基準

現行の「中間財務諸表監査基準」は、年度監査の監査手続を基本としながらも、実査、立会、確認及び親会社、子会社、関連会社等への往査を省略できることとしている。これは、「中間財務諸表監査基準」が設定された当時の監査基準において、実査、立会、確認及び往査は実施可能にして合理的である限り省略してはならないとされていたことによる。

しかし、現行の「監査基準」では、監査人は監査要点(資産及び負債の実在性、網羅性等)に適合した監査手続を選択適用することとしており、実施する監査手続を特定せず、年度監査において実施される監査手続の内容を監査人の判断に委ねている。

したがって、「中間監査基準」においても、省略できる監査手続の内容を特定せず、監査人の合理的な判断に委ねるのが適当であると考えられるため、年度監査における通常実施すべき監査手続の一部を省略できることとしている。

ただし、当該監査手続の省略は、監査対象の重要性、監査上の危険性等を慎重に考慮した上で選択適用した監査手続により、中間財務諸表に係る投資者の判断を損なわない程度の信頼性を保証することができるという職業的専門家としての合理的な判断を基礎にしたものでなければならない。

(2) 子会社等の中間財務諸表に対する監査手続

中間連結財務諸表の導入に伴い、子会社等の中間財務諸表についても中間監査を実施することになるが、中間監査は我が国特有の監査であり、現実には子会社等の中間監査を親会社と同様に行うことは困難と考えられる。

このため、子会社等の中間財務諸表に対する監査手続は、実行可能性の観点から実際には分析的手続、質問及び閲覧等から構成される監査手続を中心としたものになると考えられるが、年度監査が毎期継続して実施される点を考慮すると、多くの場合、分析的手続、質問及び閲覧等から構成される監査手続によっても中間連結財務諸表の信頼性を保証することが可能と考えられる。ただし、このような手続を実施する場合であっても、当該子会社等の重要性及び監査上の危険性等を考慮する必要があるため、中間連結財務諸表に特に重要な影響を与える子会社等については、経営環境、内部統制の状況、前年度の監査の結果等を勘案し、必要と認められる監査手続を追加して実施することが適当である。

なお、年度監査で他の監査人を利用している場合は、会社等の状況を把握している当該他の監査人を中間監査においても利用するのが適当である。

4 中間監査報告書

(1) 範囲区分

中間監査において、中間財務諸表に係る投資者の判断を損なわない程度の信頼性を合理的に保証できる範囲で監査手続が省略された場合には、その旨を中間監査報告書において明示することにより、年度監査と同様の監査が行われているという投資者の誤解を避けるとともに監査人の責任を明確にする必要があると考えられる。

監査手続の省略は、それが合理的な範囲にある限り、@監査人が必要と認めた中間監査に係る通常実施すべき監査手続は実施されたと考えられること、A省略された監査手続を具体的に記載しても投資者が中間財務諸表の信頼性の程度を評価するのは困難であることから、中間監査報告書上、中間財務諸表に係る投資者の判断を損なわない程度の信頼性の基礎を得ることのできる範囲で年度監査における通常実施すべき監査手続の一部を省略した旨を記載することとしている。同様に、子会社等の中間監査が分析的手続、質問及び閲覧等から構成される監査手続により実施されたときは、その旨を記載することとしている。

合理的な範囲を超える監査手続の省略、すなわち監査人が必要と認めた中間監査に係る通常実施すべき監査手続が実施できなかった場合には、当該事項を監査範囲の除外事項として取り扱わなければならないため、その旨及びその理由を記載することとしている。特に、子会社等の中間監査が分析的手続、質問及び閲覧等から構成される監査手続により実施された場合であっても、監査人が子会社等の重要性及び監査上の危険性等を考慮した結果必要と認めた監査手続を追加して実施できなかった場合には、当該事項を監査範囲の除外事項として取り扱わなければならないと考える。

(2) 意見区分

中間財務諸表に対する監査意見は、それが有用な情報を表示しているか否かについて行われることとしている。また、意見表明の要件については年度監査との関係においてこれに準ずることが適当である。

したがって、中間監査報告書の意見区分においては、

@ 企業の採用する会計方針が、一般に公正妥当と認められる中間会計基準に準拠しているかどうか

A 企業が前事業年度と同一の会計方針を適用しているかどうか

B 中間財務諸表の表示方法が、一般に公正妥当と認められる中間財務諸表の表示方法に関する基準に準拠しているかどうかを踏まえて、中間財務諸表が、企業集団又は企業の中間会計期間に係る財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する有用な情報を表示しているかどうかを表明することとしている。

三 今後の運用等

今回設定された「中間監査基準」の適切な運用と普及を図るためには、監査人、被監査会社その他の関係者の理解と協力が必要である。特に、中間監査の実施に当たっては、監査手続の省略、子会社等の中間財務諸表に対する監査手続等、中間監査特有の事項について監査人の合理的な判断が求められることに鑑み、今後、日本公認会計士協会が、自主規制機関として公正な監査慣行を踏まえ、会員に対し遵守すべき具体的な指針を示すよう措置することが必要と考える。

当審議会は、各関係者が今回の設定の趣旨を十分に理解の上、これを有効適切に運用して社会一般の信頼にこたえるよう要望する。


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