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中間監査基準目次

 

(注)本内容は、企業会計審議会が平成21年6月30日に公表した「中間監査基準の改訂に関する意見書」から「中間監査基準の改訂について」の部分を除抜粋したものです。なお、実務への適用にあたっては念のためにオリジナルの当該会計基準等を確認してください。

中間監査基準の改訂について

平成21年6月30日

企業会計審議会

一 審議の経緯

当審議会は、中間連結財務諸表の導入に伴い、平成10年6月に「中間監査基準の設定に関する意見書」を公表し、中間連結財務諸表及び中間財務諸表の監査(以下「中間監査」という。)に係る基準を設定した。

企業が将来にわたって事業活動を継続するとの前提(以下「継続企業の前提」という。)に関しては、平成14年12月に公表された「中間監査基準の改訂に関する意見書」において、年度監査に準じて中間監査においても対処を求めることとされた。すなわち、前事業年度の決算日において継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象又は状況が存在していた場合には、当中間会計期間末までの状況の変化を検討することを求めるとともに、当中間会計期間に発生したものについては、基本的に年度監査における対処と同様の対応を求めることとされた。

近時の企業業績の急激な悪化に伴い、財務諸表に継続企業の前提に関する注記や監査報告書に追記情報が付される企業が増加しているが、その背景として、継続企業の前提に関する注記の開示について規定している財務諸表等規則等やその監査を規定している監査基準において、一定の事象や状況が存在すれば直ちに継続企業の前提に関する注記及び追記情報の記載を要するとの規定となっているとの理解がなされ、一定の事実の存在により画一的に当該注記を行う実務となっているとの指摘がある。また、それらの規定や実務は国際的な基準とも必ずしも整合的でないとも指摘されている。

こうしたことから、当審議会は、平成21年3月、監査基準について、投資者により有用な情報を提供する等との観点から検討を行い、一定の事象や状況が存在すれば直ちに継続企業の前提に関する注記を要するとともに追記情報の対象と理解される規定を改め、これらの事象や状況に対する経営者の対応策等を勘案してもなお、継続企業の前提に関する重要な不確実性がある場合に、適切な注記がなされているかどうかを監査人が判断することとし、平成21年4月9日、これを「監査基準の改訂に関する意見書」として公表した。

継続企業の前提に関わる同様の基準は、中間監査基準にも規定されていることから、平成21年5月、監査部会において、中間監査基準の改訂等の所要の検討を行い、公開草案を公表し広く意見を求め、寄せられた意見を参考にしつつ、公開草案の内容を一部修正して、これを「中間監査基準の改訂に関する意見書」として公表することとした。

なお、国際的には継続的に監査基準の改訂が行われていることから、当審議会では、監査基準と同様に、今後も、継続的な中間監査基準の改訂作業を進めていく考えである。

二 主な改訂点とその考え方

1  継続企業の前提に関する中間監査の実施手続

中間財務諸表においても、経営者が継続企業の前提について評価すること、その結果について注記することについては、明確な会計基準が存在していない。このため、中間財務諸表の表示のルールを定めた内閣府令である中間財務諸表等規則等にしたがって継続企業の前提に関する開示の実務が行われていると考えられる。

今般、中間財務諸表等規則等についても、財務諸表等規則等の改正内容に合わせ、「継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在する場合であつて、当該事象又は状況を解消し、又は改善するための対応をしてもなお継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるとき」は、経営者は、その評価の手順にしたがって、@当該事象又は状況が存在する旨及びその内容、A当該事象又は状況を解消し、又は改善するための対応策、B当該重要な不確実性が認められる旨及びその理由などを注記するよう改正することが検討されている。

このような中間財務諸表等規則等との検討と合わせ、中間監査基準においても、継続企業の前提に関する中間監査について、年度監査に準じ、改訂監査基準(平成21年4月)の実施基準と同様の考え方を明確化することとした。すなわち、監査人は、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在すると判断した場合には、当該事象又は状況に関して合理的な期間について経営者が行った評価及び対応策について検討した上で、なお継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるか否かを検討しなければならないこととし、経営者が行った継続企業の前提に関する評価の手順を監査人においても検討するものとした。

前事業年度の決算日において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在し、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められた場合には、当該事象又は状況の変化並びにこれらに係る経営者の評価及び対応策の変更を検討するものとした。一方、前事業年度の決算日において、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められなかったが、当中間会計期間において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在すると判断した場合(前事業年度の決算日から継続して存在する場合を含む。)には、当該事象又は状況に関して合理的な期間について経営者が行った評価及び対応策について検討した上で、なお重要な不確実性が認められるか否かを検討する。

なお、中間監査において、監査人が経営者の行った評価及び対応策を検討する合理的な期間については、前事業年度の決算日において継続企業の前提に重要な不確実性が認められた場合に、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況並びにこれらに係る経営者の評価及び対応策に特段の変化がなければ、少なくとも当該中間会計期間の属する事業年度末までの期間における評価や対応策の提示を求め検討する。

一方で、前事業年度の決算日において継続企業の前提に重要な不確実性が認められた場合に、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況並びにこれらに係る経営者の評価又は対応策に大きな変化があるとき、あるいは、前事業年度の決算日において継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していなかったが、当該中間会計期間に継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が発生した場合については、少なくとも当事業年度の下半期から翌事業年度の上半期までの期間について経営者の行った評価及び少なくとも当該中間会計期間の属する事業年度末までの期間についての経営者の対応策の提示を求め、この対応策によってもなお継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるか否かを検討することとなる。その際、この経営者の対応策については、例えば、翌事業年度の上半期の末日までの1年間の経営計画のようなものが存在していることが必ずしも求められていないこと、また、例えば、翌事業年度の上半期に返済期限が来る債務の返済に対する資金的な手当が中間監査時において具体的に決定していることが必ずしも求められていないことに留意が必要である。

2  継続企業の前提に関する意見表明

実施基準において、継続企業の前提に関し、監査人は、「継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるか否かを検討しなければならない。」と改訂されたことから、監査報告においても監査人は「継続企業の前提に関する重要な不確実性」が認められるときの中間財務諸表の記載に関して意見を表明することとした。

また、現行の報告基準において、重要な疑義を抱かせる事象又は状況が存在している場合において、経営者がその疑義を解消させるための合理的な経営計画等を示さないときには、中間監査に係る監査手続の範囲に制約があった場合に準じ、意見の表明の適否を判断することとされている。この規定については、年度監査と同様に、疑義を解消できる確実性の高い経営計画等が示されない場合には、監査人は意見を表明できないとの実務が行われているとの指摘がある。したがって、監査基準に準じ、経営者が評価及び一定の対応策も示さない場合には、監査人は継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるか否かを確かめる十分かつ適切な監査証拠を入手できないことがあるため、中間監査に係る監査手続の範囲に制約があった場合に準じて、意見の表明の適否を判断することとした。

なお、従来、「継続企業の前提に関する注記」がなされてきたケースの一部について、経営者の対応策等から継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められないため、「注記」に至らないケースが生じることもある。上場会社等において、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められず当該注記を行わないケースにおいても、半期報告書の「事業等のリスク」等において、一定の事象や経営者の対応策等を開示し、利害関係者に情報提供が行われることが適切である。また、中間監査基準における継続企業の前提に関する「開示」には、半期報告書の「事業等のリスク」等における記載は含まれないことに留意する。

三 実施時期等

1  改訂中間監査基準は、平成21年6月30日以後終了する中間会計期間に係る中間財務諸表の中間監査から実施する。

2  改訂基準を実務に適用するに当たって必要となる実務の指針については、日本公認会計士協会において、関係者とも協議の上、適切な手続の下で、早急に作成されることが要請される。


INDEX

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