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目次

 

(注)本内容は、企業会計審議会が平成15年10月31日に公表した「企業結合に係る会計基準の設定に関する意見書」から「企業結合に係る会計基準」部分を抜粋したもので す。

なお、実務への適用にあたっては念のためにオリジナルの当該会計基準等を確認してください。

企業結合に係る会計基準

平成十五年十月三十一日

企業会計審議会

目次

一 対象取引

二 定義

三 企業結合に係る会計基準

四 開示


一 対象取引

企業結合に該当する取引には、共同支配企業の形成及び共通支配下の取引も含め本基準を適用する。ただし、少数株主との取引等、「連結財務諸表原則」に会計処理に関する定めがあるものについては、対象取引から除くこととする。

二 定義

1 企業結合とは、ある企業(会社及び会社に準ずる事業体をいう。以下同じ。)又はある企業を構成する事業と他の企業又は他の企業を構成する事業とが一つの報告単位に統合されることをいう。

2 支配とは、ある企業又は企業を構成する事業の活動から便益を享受するために、その企業又は事業の財務及び経営方針を左右する能力を有していることをいう。

3 共同支配とは、複数の独立した企業が契約等に基づき、ある企業を共同で支配することをいう。

4 取得とは、ある企業が他の企業(被取得企業)又は企業を構成する事業に対する支配を獲得して一つの報告単位となることをいう。

5 持分の結合とは、いずれの企業(又は事業)の株主(又は持分保有者)も他の企業(又は事業)を支配したとは認められず、結合後企業のリスクや便益を引続き相互に共有することを達成するため、それぞれの事業のすべて又は事実上のすべてを統合して一つの報告単位となることをいう。

6 共同支配企業とは、複数の独立した企業により共同で支配される企業をいう。

7 時価とは、公正な評価額をいう。通常、それは観察可能な市場価格をいい、市場価格が観察できない場合には、合理的に算定された価額をいう。

8 のれんとは、被取得企業又は取得した事業の取得原価が、取得した資産及び引受けた負債に配分された純額を超過する額をいい、不足する額は負ののれんという。

9 企業結合日とは、被取得企業の純資産及び事業若しく取得した事業に対する支配が取得企業に移転した日、又は結合当事企業の事業のすべて若しくは事実上すべてが統合された日をいう。

10 企業結合において共通支配下の取引とは、結合当事企業(又は事業)のすべてが、企業結合の前後で同一の企業により最終的に支配され、かつ、その支配が一時的ではない場合の企業結合をいう。親会社と子会社の合併及び子会社同士の合併は、共通支配下の取引に含まれる。

三 企業結合に係る会計基準

1 取得と持分の結合の識別

(1) 共同支配企業の形成及び共通支配下の取引以外の企業結合

共同支配企業の形成及び共通支配下の取引以外の企業結合のうち、次の要件のすべてを充たすものは持分の結合と判定し、持分の結合と判定されなかったものは取得と判定する。(注1)

① 企業結合に際して支払われた対価のすべてが、原則として、議決権のある株式であること(注2)

② 結合後企業に対して各結合当事企業の株主が総体として有することになった議決権比率が等しいこと(注3)

③ 議決権比率以外の支配関係を示す一定の事実が存在しないこと(注4)

(2) 共同支配企業の形成

ある企業結合を共同支配企業の形成と判定するためには、上記(1)の①及び③の要件を充たしていなければならない。共同支配企業の形成は、持分の結合とする。

2 取得の会計処理

取得と判定された企業結合の会計処理は次による(パーチェス法)。

(1) 取得企業の決定方法

対価の種類が議決権のある株式以外である企業結合の場合は、対価を支出した企業を取得企業とする。

対価の種類が議決権のある株式である企業結合が取得と判定された場合には、議決権比率が大きいと判定された結合当事企業を取得企業とする。

議決権比率が等しいと判定された場合には、それ以外の支配関係の存在を示す一定の事実から支配を獲得したと判定された結合当事企業を取得企業とする。(注4)(注5)

(2) 取得原価の算定

① 基本原則

被取得企業又は取得した事業の取得原価は、原則として、取引時点の取得の対価となる財の時価を算定し、それらを合算したものとする。支払対価が現金以外の資産の引渡し、負債の引受け又は株式の交付の場合には、支払対価となる財の時価と取得した純資産の時価のうち、より高い信頼性をもって測定可能な時価で算定する。

② 取得が複数の取引により達成された場合の算定方法

取得が複数の取引により達成された場合、取得原価は、原則として、取得企業が被取得企業又は取得した事業に対する支配を獲得するに至った個々の取引ごとに取得の対価となる財の時価を算定し、それらを合算したものとする。

③ 株式の交換の場合の算定方法

市場価格のある取得企業等の株式が取得の対価として交付される場合には、取得の対価となる財の時価は、原則として、その企業結合の主要条件が合意されて公表された日前の合理的な期間における株価を基礎にして算定しなければならない。ただし、株式交付日の株価が当該主要条件が合意されて公表された日前の合理的な期間における株価と大きく異ならない場合には、当該株式交付日の株価を基礎として算定することができる。(注6)(注7)(注8)

④ 取得に要した支出額の会計処理

取得と判定された企業結合に直接要した支出額のうち、取得の対価性が認められる外部のアドバイザー等に支払った特定の報酬・手数料等は取得原価に含め、それ以外の支出額は発生時の事業年度の費用として処理する。

⑤ 条件付取得対価の会計処理

イ 将来の業績に依存する条件付取得対価

条件付取得対価が企業結合契約合意後の将来の業績に依存する場合には、条件付取得対価の交付又は引渡しが確実となり、その時価が合理的に決定可能となった時点で、支払対価を取得原価として追加的に認識するとともに、のれん又は負ののれんを追加的に認識する。(注9)(注10)(注11)

ロ 特定の株式又は社債の市場価格に依存する条件付取得対価

条件付取得対価が特定の株式又は社債の市場価格に依存する場合には、条件付取得対価の交付又は引渡しが確実となり、その時価が合理的に決定可能となった時点で、次の処理を行う。(注12)

a 追加で交付可能となった条件付取得対価を、その時点の時価に基づき認識する。

b 企業結合日現在で交付している株式又は社債をその時点の時価に修正し、当該修正により生じた社債プレミアムの減少額又はディスカウントの増加額を将来にわたって規則的に償却する。

(3) 取得原価の配分方法

取得原価は、被取得企業から取得した資産及び引受けた負債のうち企業結合日時点において識別可能なもの(識別可能資産及び負債)の企業結合日時点の時価を基礎として、当該資産及び負債に対して企業結合日以後1年以内に配分する。(注13)

取得した資産に法律上の権利又は分離して譲渡可能な無形資産が含まれる場合には、取得原価を当該無形資産等に配分することができる。

取得後短期間で発生することが予測される費用又は損失であって、その発生の可能性が取得の対価の算定に反映されている場合には、負債として認識することができる。当該負債は、認識の対象となった事象が発生した事業年度又は当該事象が発生しないことが明らかになった事業年度に取崩す。なお、当該負債は企業結合日後5年以内に全額を取崩さなければならない。(注14)

取得企業が取得対価の一部を研究開発費等(ソフトウェアを含む。)に配分したときは、当該金額を配分時に費用処理する。

取得原価が、取得した資産及び引受けた負債に配分された純額を上回る場合には、その超過額はのれんとして資産に計上し、下回る場合には、その不足額は負ののれんとして負債に計上する。

(4) のれんの会計処理

のれんは、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法その他の合理的な方法により規則的に償却する。ただし、のれんの金額に重要性が乏しい場合には、当該のれんが生じた事業年度の費用として処理することができる。

(5) 負ののれんの会計処理

負ののれんは、20年以内の取得の実態に基づいた適切な期間で規則的に償却する。ただし、負ののれんの金額に重要性が乏しい場合には、当該負ののれんが生じた事業年度の利益として処理することができる。

(6) 個別財務諸表上の会計処理

① 株式交換

株式交換による企業結合の場合、完全親会社の個別財務諸表では、パーチェス法を適用した場合の取得原価で被取得企業株式(完全子会社株式)を計上する。完全子会社が取得企業となるときには、完全親会社の個別財務諸表上、当該取得企業の企業結合日における適正な帳簿価額による純資産額に基づいて取得企業株式(完全子会社株式)の取得原価を算定する。

② 株式移転

株式移転による共同持株会社の設立の形式をとる企業結合の場合、完全親会社の個別財務諸表では、いずれかの完全子会社を取得企業として取扱い、取得企業の企業結合日における適正な帳簿価額による純資産額に基づいて取得企業株式(完全子会社株式)の取得原価を算定し、また、パーチェス法を適用した場合の取得原価で被取得企業株式(他の完全子会社株式)を計上する。

③ 合併

取得企業が法律上存続する会社(存続会社)と異なる場合、存続会社の個別財務諸表では、持分プーリング法に準じた処理方法を適用する。(注15)

④ 現物出資又は吸収分割

現物出資又は吸収分割による子会社化の形式をとる企業結合の場合、取得企業の個別財務諸表では、移転した事業に係る資産及び負債の移転直前の適正な帳簿価額による純資産額に基づいて被取得企業株式の取得原価を算定する。

3 持分の結合の会計処理

持分の結合と判定された企業結合の会計処理は次による(持分プーリング法)。

(1) 資産、負債及び資本の引継ぎ

会計処理方法の統一及び企業結合前の取引等の消去に伴う修正を行う場合を除き、すべての結合当事企業の資産、負債及び資本の適正な帳簿価額を引継がなければならない。

(2) 企業結合年度の連結財務諸表

企業結合年度(企業結合日の属する事業年度をいう。以下同じ。)においては、期首に企業結合が行われたとみなして連結財務諸表を作成する。

(3) 会計処理方法の統一

結合当事企業の会計処理方法に違いがある場合には、同一の環境下で行われた同一の性質の取引等については会計処理方法の変更に準じて、適切と考えられる方法に統一する。

(4) 企業結合前の取引等の消去

企業結合年度の連結財務諸表の作成に当たり、結合当事企業間の企業結合前の取引及びそれらから生じた損益は消去する。ただし、それらの金額に重要性が乏しい場合には、消去しないことができる。

(5) 企業結合に要した支出額の会計処理

企業結合に要した支出額は、発生時の事業年度の費用として処理する。

(6) 個別財務諸表上の会計処理

① 株式交換及び株式移転

株式交換又は株式移転による企業結合の場合、結合当事企業の企業結合日における適正な帳簿価額による純資産額に基づいて完全子会社株式の取得原価を算定する。

② 合併

合併による企業結合の場合、結合当事企業の資産、負債及び資本の適正な帳簿価額を引継ぐ。結合当事企業の会計処理方法に違いがある場合には、会計処理方法の変更に準じて適正な方法に統一し、当該処理により生じた差額は損益とする。

(7) 共同支配企業の形成

共同支配企業の形成には、持分プーリング法に準じた処理方法を適用する。(注15)

ただし、共同支配企業を共同で支配する企業(投資企業)が、当該共同支配企業の形成に当たり事業を移転した場合には、移転した事業に係る資産及び負債の移転直前の適正な帳簿価額による純資産額に基づいて当該共同支配企業に対する投資の取得原価を算定し、共同支配企業の資本のうち投資企業の持分比率に対応する部分との差額は処理しない。

4 共通支配下の取引等の会計処理

(1) 共通支配下の取引

① 個別財務諸表上の会計処理

イ 共通支配下の取引により企業集団内を移転する資産及び負債は、原則として、移転前に付された適正な帳簿価額により計上する。(注16)

ロ 移転された資産及び負債の差額は、資本として処理する。(注17)

ハ 移転された資産及び負債の対価として取得する株式の取得原価は、当該資産及び負債の適正な帳簿価額による純資産額に基づいて算定する。

② 連結財務諸表上の会計処理

共通支配下の取引は、内部取引としてすべて消去する。

(2) 少数株主との取引

① 個別財務諸表上の会計処理

追加取得する子会社株式の取得原価は、追加取得時における当該株式の時価とその対価となる財の時価のうち、より高い信頼性をもって測定可能な時価で算定する。(注18)

② 連結財務諸表上の会計処理

「連結財務諸表原則第四五子会社株式の追加取得及び一部売却等」に準じて処理する。

四 開示

1 のれん及び負ののれんの表示

のれんは無形固定資産の区分に表示する。

負ののれんは固定負債の区分に表示する。のれんと負ののれんの双方が生ずる場合には、相殺して表示することができる。(注19)

2 注記事項

(1) パーチェス法を適用した場合の注記事項

パーチェス法を適用した場合、企業結合年度において、次の事項を注記する。ただし、重要性が乏しい取引については注記を省略することができる。

① 被取得企業の名称及び事業の内容、企業結合を行った主な理由、事業を取得した場合は相手企業の名称及び取得した事業の内容、企業結合日、企業結合の法的形式、結合後企業の名称及び取得した議決権比率

② 財務諸表に含まれている被取得企業又は取得した事業の業績の期間

③ 被取得企業又は取得した事業の取得原価及びその内訳。株式を交付した場合には、株式の種類別の交換比率及びその算定方法、交付又は交付予定の株式数及び評価額。株式交付日の株価を基礎に取得原価を算定している場合は、その旨

④ 発生したのれん又は負ののれんの金額、発生原因、償却方法及び償却期間

⑤ 企業結合日に受入れた資産及び引受けた負債の額並びにその主な内訳

⑥ 企業結合契約に規定される条件付取得対価の内容及びそれらの今後の会計処理方針

⑦ 取得原価のうち研究開発費等に配分され費用処理された金額及びその科目名

⑧ 取得原価の大部分がのれん以外の無形資産に配分された場合には、のれん以外の無形資産に配分された金額及びその主要な種類別の内訳並びに全体及び主要な種類別の加重平均償却期間

⑨ 取得原価の配分が完了していない場合は、その旨及びその理由。企業結合年度の次年度以降において取得原価の当初配分額に重要な修正がなされた場合は、その修正の内容及び金額

⑩ 連結財務諸表を作成しない場合において、取得企業が存続会社と異なる企業結合に持分プーリング法に準じた処理方法を適用したときは、パーチェス法を適用したとした場合に貸借対照表及び損益計算書に及ぼす影響の概算額。ただし、当該影響額に重要性が乏しい場合は、注記を省略することができる。

⑪ 当該企業結合が当期首に完了したと仮定したときの当期の連結損益計算書への影響の概算額。ただし、当該影響額に重要性が乏しい場合は、注記を省略することができる

(2) 持分プーリング法を適用した場合の注記事項

持分プーリング法を適用した場合、企業結合年度において、次の事項を注記する。

① 結合当事企業の名称及びその事業の内容、企業結合の目的、企業結合日、企業結合の法的形式及び結合後企業の名称

② 議決権のある株式の交換比率及びその算定方法、交付又は交付予定の株式数、企業結合後の議決権比率及び当該企業結合を持分の結合と判定した理由

③ 個別財務諸表に含まれる被結合企業の業績の期間

④ 被結合企業から引継いだ資産、負債及び資本の内訳

⑤ 会計処理方法の統一及び企業結合前の取引等の消去の内容並びに企業結合に要した支出額及びその科目名

⑥ 企業結合の結果、処分することが決定された重要な事業

(3) 共通支配下の取引等に係る注記事項

企業結合年度において重要な取引がある場合には、次の事項を注記する。

① 結合当事企業又は対象となった事業の名称及びその事業の内容、企業結合の法的形式、結合後企業の名称、取引の目的を含む取引の概要

② 実施した会計処理の概要

③ 子会社株式を追加取得した場合には、上記(1)③、④、⑥及び⑦に準ずる事項

共同支配企業を共同で支配する企業は、当該共同支配企業を形成した事業年度において、上記①及び②に準じて注記を行う。

(4) 重要な後発事象の注記

貸借対照表日後に完了した企業結合が、重要な後発事象に該当する場合には、上記(1)から(3)まで((1)②及び⑨から⑪まで、(2)③及び⑤は除く。)に準じて注記を行う。ただし、未確定の事項については注記を要しない。


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