ホーム

会社法

会計基準

仕訳処理

実務メモ

財務分析

税額表

会社書式

法令集

 

会計基準|結論の背景|目次

 

(注)本内容は、平成20年12月26日企業会計基準委員会が公表した「持分法に関する会計基準から「結論の背景」部分を抜粋したものです。「目的・会計基準」は別に記載してあります。なお、実務への適用にあたっては、念のためオリジナルの当該会計基準等を確認してください。

企業会計基準第16号

持分法に関する会計基準

(結論の背景)

平成20年3月10日

改正平成20年12月26日

企業会計基準委員会

目 次

目的・会計基準は別に記載してあります。

結論の背景

経 緯

範 囲

用語の定義

会計処理

被投資会社の財務諸表

持分法の会計処理等

開 示

表 示

適用時期等

本会計基準の公表による他の会計基準等についての修正


結論の背景

経 緯

(平成20年3月会計基準の公表)

20. 持分法に関する会計処理については、企業会計審議会が昭和50年6月に公表した「連結財務諸表の制度化に関する意見書」及び「連結財務諸表原則」において、連結子会社の会計処理と併せる形で取扱いが定められた。同審議会は、平成9年6月に、従来の個別情報を中心としたディスクロージャーから連結情報を中心とするディスクロージャーへ転換を図ることとする「連結財務諸表制度の見直しに関する意見書」及び改訂「連結財務諸表原則」(以下「連結原則」という。)を公表し、連結範囲の見直し等の連結子会社に関する取扱いの改正及び関連会社の範囲や連結財務諸表を作成していない会社における持分法損益の注記等といった持分法に関連する取扱いの改正を行った。

21. これまで、連結原則においては、親会社及び子会社の会計処理については原則として統一するとされているものの、投資会社及び持分法を適用する関連会社(以下「持分法適用関連会社」という。)については、統一すべきか否かが明示されていないため、原則として統一することが望ましいと解されてきた。また、持分法の適用対象となる非連結子会社についても、必ずしも統一することを要しないと考えられてきた。

しかしながら、当委員会では、会計基準の国際的なコンバージェンスを進めるにあたり、持分法の適用対象となる非連結子会社や持分法適用関連会社の会計処理の原則及び手続について、従来の取扱いの見直しに関する審議を行った。審議の結果、連結子会社と同様にこれを原則として統一することとし、これに伴って国際的な会計基準と同様に、持分法に関する会計処理等に係る取扱いを連結原則とは別の会計基準として整備することとした公開草案を平成19年11月に公表し、広く意見を求めた。当委員会では、寄せられた意見を参考にしてさらに審議を行い、平成20年3月会計基準を公表することとした。

(平成20年12月改正会計基準の公表)

21-2. 平成20年3月会計基準の公表後、当委員会では国際的な動向に鑑み、平成20年12月に企業結合会計基準を改正し、また連結会計基準を公表したが、これに関連して、本会計基準についても次の項目を中心に改正を行うこととした。平成20年12月改正会計基準は、平成20年6月に公表した公開草案に対して一般から寄せられた意見を参考にしつつ審議を重ね、公開草案の内容を一部修正した上で公表するものである。

(1) 「関連会社」は、平成20年3月会計基準以外に、「連結財務諸表制度における子会社及び関連会社の範囲の見直しに係る具体的な取扱い」において定義が設けられていたが、連結会計基準において「親会社」及び「子会社」の定義を見直すこととしたことに伴い、平成20年12月改正会計基準でもこの定義を見直すこととした(第5項及び第5-2項参照)。

(2) 平成20年3月会計基準において規則的に償却することとされていた負ののれんについて、平成20年12月改正会計基準では、今後、企業結合会計基準に準じて会計処理することとした(第12項参照)。この結果、負ののれんが生じると見込まれる場合には、被投資会社の資産及び負債の把握並びにそれらに対する取得原価の配分が適切に行われているかどうかを見直し、見直しを行っても、なお生じた負ののれんは、当該負ののれんが生じた事業年度の利益として処理されることとなる。

範 囲

22. 連結財務諸表を作成していないが、個別財務諸表において持分法を適用して算定された財務情報に係る注記を行う場合には、本会計基準によることとなる(第3項なお書き参照)。したがって、連結財務諸表を作成していない会社において、関連会社への投資に対して持分法を適用した場合の投資の金額及び投資利益又は投資損失の金額等の注記については、本会計基準の定めが適用されることとなる点に留意が必要である。

用語の定義

23. 関連会社の範囲については、投資会社が直接・間接に議決権の一定以上(例えば100分の20以上)を所有しているかどうかにより判定を行う持株基準と、実質的な影響力の有無に基づいて判定を行う影響力基準の考え方があるが、持株基準によると、財務及び営業又は事業の方針決定に対して重要な影響を与えることができると認められる場合であっても、議決権の所有割合が一定未満であるときは、関連会社に該当せず、持分法が適用されないこととなる。

このため、連結原則は関連会社の判定基準として、会社(当該会社が子会社を有する場合には、当該子会社を含む。)が、子会社以外の他の会社の財務及び営業又は事業の方針決定に対して重要な影響を与えることができるかどうかという観点から判定を行う影響力基準を導入していた。本会計基準でも、このような従来の取扱いを踏襲した取扱いを定めている(第5項参照)。

24. (削 除)

会計処理

被投資会社の財務諸表

(会計処理の原則及び手続の統一)

25. 連結原則では持分法を適用するにあたり、投資会社及び被投資会社の会計処理の原則及び手続については統一すべきか否かが明示されていなかったが、本会計基準では同一環境下で行われた同一の性質の取引等について、投資会社及び被投資会社が採用する会計処理の原則及び手続は、連結子会社の場合と同様に、これを原則として統一することとした。会計処理の原則及び手続の統一が被投資会社の財務諸表上で行われていない場合には、持分法の適用に際して、これを統一するための修正を行うこととなる。

なお、連結会計基準では親会社及び子会社の会計処理の統一にあたり、より合理的な会計処理の原則及び手続を選択すべきであり、親会社の会計処理を子会社の会計処理に合わせる場合も考えられるとされているため、投資会社の会計処理をその連結子会社の会計処理に合わせている場合には、被投資会社の会計処理についても、当該連結子会社に合わせることとなる(第9項参照)。

持分法の会計処理等

(重要性の原則の適用)

26. 持分法の適用に際しては、重要性の原則が適用されることとなる。したがって、持分法のための被投資会社の財務諸表の修正、投資会社及び持分法を適用する被投資会社が採用する会計処理の原則及び手続の統一、のれんの処理、未実現損益の消去等に関して、重要性が乏しいものについては、これらの修正又は処理等を行わないことができる。

(投資と資本の差額の会計処理)

26-2. 持分法の適用に際しては、被投資会社の財務諸表について、原則として、連結子会社の場合と同様の処理を行うものとされている(第8項参照)。ただし、連結会計基準の公表により、時価により評価する子会社の資産及び負債の範囲については、少数株主持分に相当する部分を含めてすべてを時価評価する方法(全面時価評価法)のみにすることとされたが、持分法適用関連会社については、投資会社の持分に相当する部分に限定する方法(部分時価評価法)により、これまでと同様に、原則として投資日ごとに当該日における時価によって評価する。

26-3. 持分法適用関連会社に対する投資が段階的に行われている場合には、これまでと同様に、原則として、投資日ごとの原価とこれに対応する被投資会社の資本との差額は、のれん又は負ののれんとして処理することとなる(第11項参照)。なお、各投資日後に生じた持分法適用関連会社の利益剰余金のうち当該関連会社に対する投資に対応する部分は、投資会社の利益剰余金として処理することとなる。

開 示

表 示

27. 連結原則では、持分法による投資損益については、投資に係る損益であるため、一括して営業外損益の区分に表示し、経常損益に反映させることとしていた。本会計基準でも、このような従来の取扱いを踏襲している(第16項参照)。なお、持分法を適用する被投資会社に係るのれんの当期償却額及び減損処理額並びに負ののれんについても、持分法による投資損益に含めて表示することに留意する。

適用時期等

28. 平成20年3月会計基準は、第21項で述べたとおり、持分法に関する会計処理等に係る取扱いを連結原則とは別の会計基準とするために整備されたものであり、連結原則に定められていた持分法に関する会計処理及び開示の定めを、原則としてそのまま踏襲している。したがって、平成20年3月会計基準の適用により、原則として新たな会計処理又は表示方法の採用が強制されることはないが、第9項の定めにより、被投資会社の会計処理の原則及び手続を投資会社と統一するために変更する場合は、会計基準の変更に伴う会計方針の変更にあたることに留意が必要である。

28-2. 平成20年12月改正会計基準では、企業結合会計基準の改正及び連結会計基準の公表を受けて、関連会社の定義及び負ののれんの会計処理の改正を行っている。これらの改正後の平成20年12月改正会計基準を適用する場合には、前項と同様、会計基準の変更に伴う会計方針の変更にあたることに留意が必要である。ただし、この場合であっても、企業結合会計基準及び連結会計基準と同様に、会計方針の変更による影響額の注記は要しないものとした(第18-2 項参照)。

28-3. 第18-2項における非連結子会社及び関連会社に対する投資に係る会計処理には、負ののれん(追加取得の結果生じたものを含む。)の会計処理(第12項参照)が含まれることに留意が必要である。

28-4. 平成20年12月改正会計基準は、国際的な動向に鑑み、企業結合会計基準の改正及び連結会計基準の公表に合わせて新たな取扱いを定めたものであるため、第18-2項ただし書きの適用は、企業結合会計基準等を平成21年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度において最初に実施される企業結合等から適用した場合に行うものとした。

28-5. 平成20年12月改正会計基準の適用初年度において、連結会計年度の非連結子会社及び関連会社に対する投資に係る会計処理が、当該連結会計年度を構成する中間又は四半期連結会計期間における会計処理と異なることとなる場合であっても、いわゆる中間又は四半期・年度の首尾一貫性が保持されていない場合には該当しない。

ただし、平成20年12月改正会計基準の適用日の前後において、経済的に同一の事象と考えられる非連結子会社及び関連会社に対する投資に係る会計処理が同一連結会計年度(又は同一中間若しくは四半期連結会計期間)内に行われており、かつ、適用される会計処理が異なる場合には、会計処理の相違が重要なものについて、その旨及びその内容を追加情報として連結財務諸表に注記することが適当である。

本会計基準の公表による他の会計基準等についての修正

29. 平成20年3月会計基準の公表に伴い、当委員会が公表した会計基準等については、次の修正を行う(下線は追加部分、取消線は削除部分を示す。)。

(1) (削 除)

(2) 企業会計基準適用指針第6号「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」第94項 第1段落

持分法の適用において、投資会社の投資日における投資と、これに対応する持分法適用会社の資本との間の差額(以下「持分法適用会社に関するのれん」という。)は、関連会社株式などの投資に含められ、連結子会社に関するのれんと同様に処理されている(連結財務諸表原則 注解17 3(1)企業会計基準第16号「持分法に関する会計基準」第11項及び会計制度委員会報告第9号「持分法に関する実務指針」第9項参照)。(以下 略)

(3) 企業会計基準適用指針第8号「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準等の適用指針」

@ 第2項(2)

「連結財務諸表原則」(以下「連結原則」という。)及び企業会計基準第16号「持分法に関する会計基準」(以下「持分法会計基準」という。)の適用指針の一部として、資本連結における子会社の資本及び持分法の適用における被投資会社の資本

A 第14項

(前 略)また、新株予約権や少数株主持分、繰延ヘッジ損益を純資産の部に記載することとしたことから、本適用指針では、連結原則、持分法会計基準や外貨基準の適用指針の一部として、資本連結における子会社の資本及び持分法の適用における被投資会社の資本(第5項及び第6項参照)や在外子会社等の純資産の換算(第7項参照)についても明確にしている。

B 第24項

持分法の適用に際しては、被投資会社の財務諸表について、原則として、連結子会社の場合と同様の処理を行うものとする(連結原則注解(注解17)持分法会計基準第8項)とされている。このため、被投資会社の資本は、第5項に準じ、被投資会社の貸借対照表上の純資産の部における株主資本及び評価・換算差額等を基礎とし、被投資会社の資産及び負債の評価差額を加減した額(ただし、それぞれ税効果会計適用後)となる(第6項参照)。

(4) (削 除)

(5) 企業会計基準適用指針第15号「一定の特別目的会社に係る開示に関する適用指針」第10項

連結財務諸表を作成するにあたっては、企業集団の財政状態及び経営成績に関する利害関係者の判断を誤らせない限り、連結の範囲や持分法の適用範囲の決定等に関して重要性の原則が適用される(連結原則注解(注解1)並びに企業会計基準第16号「持分法に関する会計基準」第6項及び第26項)。このため、開示対象特別目的会社の開示についても、連結の範囲等に係る重要性が乏しいものと同程度のものは、重要性が乏しいものとして注記を省略することができる(第3項参照)。(以下 略)

(6) 実務対応報告第15号「排出量取引の会計処理に関する当面の取扱い」

@ 3(2)また書き

また、出資先が子会社又は関連会社に該当する場合には、連結財務諸表上、連結財務諸表原則及び企業会計基準第16号「持分法に関する会計基準」(以下「持分法会計基準」という。)に従って、連結又は持分法により会計処理する。(以下略)

A 4(2)

専ら第三者に販売する目的で取得する場合(3(2)参照)と同様に、当該出資は、個別財務諸表上、金融商品会計基準に従って会計処理し、また、出資先が子会社又は関連会社に該当する場合には、連結財務諸表上、連結財務諸表原則及び持分法会計基準に従って、連結又は持分法により会計処理する。(以下 略)

(7) 実務対応報告第20号「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」

目的 第1段落

企業会計審議会から平成9年6月に公表された「連結財務諸表制度の見直しに関する意見書」及び「連結財務諸表原則」(以下「連結原則」という。)では、子会社及び関連会社の判定基準として支配力基準及び影響力基準を導入している(関連会社の判定基準については、平成20年3月に企業会計基準第16号「持分法に関する会計基準」(以下「持分法会計基準」という。)が公表されている。)。また、平成10年10月に公表された「連結財務諸表制度における子会社及び関連会社の範囲の見直しに係る具体的な取扱い」(以下「子会社等の範囲の見直しに係る具体的な取扱い」という。また、これと連結原則及び持分法会計基準とを合わせて「連結原則等」という。)一及び二では、その範囲を会社、組合その他これらに準ずる事業体(外国の法令に準拠して設立されたものを含む。)としている。(以下 略)

(8) 実務対応報告第21号「有限責任事業組合及び合同会社に対する出資者の会計処理に関する実務上の取扱い」

@ 目的 第2段落

有限責任事業組合や合同会社への会計処理は、他の事業体への出資と同様に、企業会計審議会から公表された「連結財務諸表原則」(以下「連結原則」という。)(持分法の会計処理については、平成20年3月に企業会計基準第16号「持分法に関する会計基準」(以下「持分法会計基準」という。)が公表されている。)や当委員会が公表した企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」に基づいて行われることとなる。本実務対応報告では、現行の会計基準等に基づくこれらの事業体への出資の取扱いについて明確にすることとした。

A Q2 のA 第1段落

企業会計審議会から平成9年6月に公表された「連結財務諸表制度の見直しに関する意見書」第二部 二1 及び持分法会計基準第5項では、子会社及び関連会社の範囲には、会社のほか、会社に準ずる事業体が含まれるものとされ、また、平成10年10月に公表された「連結財務諸表制度における子会社及び関連会社の範囲の見直しに係る具体的な取扱い」一及び二では、その範囲を、会社、組合その他これらに準ずる事業体(外国の法令に準拠して設立されたものを含む。)としている。

B Q4 のA

合同会社は、他の持分会社と同様に、会社法第2条第1号に定める会社であり、子会社又は関連会社に該当するかどうかについては、支配力基準又は影響力基準によって判定することとなる。この際、合同会社については、原則として株式会社のように出資者が業務執行者を選任するのではなく、意思決定を行う出資者が業務執行の決定も直接行うことから、株式会社における議決権を想定している連結原則又は持分法会計基準を合同会社に適用する場合には、基本的には業務執行の権限を用いることによって、当該合同会社に対する支配力又は影響力を判断することが適当である。

(中 略)

また、連結上の会計処理は、株式会社と同様に、連結原則又は持分法会計基準に従って行われることとなるが、出資比率と異なる損益分配を行うことを定めた場合(会社法第622条)には、有限責任事業組合の場合と同様に、当該損益分配の比率を考慮のうえ、損益の持分相当額を調整することに留意する必要がある。

30. 平成20年12月改正会計基準により、当委員会が公表した実務対応報告第23号「信託の会計処理に関する実務上の取扱い」Q2 のA3(受益者が複数である金銭の信託が子会社及び関連会社と判定される場合)また書きについては、次の修正を行う(下線は追加部分、取消線は削除部分を示す)。

「また、子会社等の範囲の見直しに係る具体的な取扱い二 2 企業会計基準第16号「持分法に関する会計基準」(以下「持分法会計基準」という。)第5-2項で示す「他の会社等企業の議決権」を、「信託における受益者の議決権」と読み替えて、子会社等の範囲の見直しに係る具体的な取扱い二 2 持分法会計基準第5-2項会社企業に該当することとなる受益者は、当該信託を関連会社として取り扱うこととなる。」

なお、次の企業会計基準適用指針及び実務対応報告については、平成20年12月改正会計基準及びその他の会計基準等の公表に伴う改正を別途行うことが予定されているため、平成20年12月改正会計基準による修正の対象とはしていない。

・企業会計基準適用指針第22号「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針」

・実務対応報告第20号「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」

・実務対応報告第21号「有限責任事業組合及び合同会社に対する出資者の会計処理に関する実務上の取扱い」

以 上


INDEX

持分法に関する会計基準目次

ホーム会社法会計基準仕訳処理実務メモ財務分析税額表会社書式法令集

免 責リンクポリシープライバシーポリシー