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会計基準注記|結論の背景|適用指針第15号適用指針第22号目次

(注)本内容は、平成23年3月25日に企業会計基準委員会が公表した「連結財務諸表に関する会計基準」から「結論の背景」部分を抜粋したものです。なお、実務への適用にあたっては、念のためオリジナルの会計基準等を確認して下さい。

企業会計基準第22号

連結財務諸表に関する会計基準

(結論の背景)

平成20年12月26日

改正平成22年6月30日

最終改正平成23年3月25日

企業会計基準委員会

目次

結論の背景

経緯

本会計基準の考え方について

基本的考え方

平成20年連結会計基準による新たな取扱い

連結の範囲

少数株主持分の表示方法

税効果会計の適用

親子会社間の会計処理の統一

資本連結の手続の明確化

資本連結以外の連結手続の明確化

連結財務諸表における表示区分

連結財務諸表の注記事項

適用時期等

平成20年連結会計基準の公表による他の会計基準等についての修正


結論の背景

経緯

46. 昭和50年6月に企業会計審議会が公表した「連結財務諸表の制度化に関する意見書」に基づき昭和52年4月以後開始する事業年度から導入された連結財務諸表制度は、以後、有価証券報告書の添付書類であった連結財務諸表の有価証券報告書本体への組入れ、セグメント情報の開示の導入及び監査対象化、関連当事者との取引や連結ベースの研究開発活動等の開示項目の充実、連結範囲の拡大等により、随時、充実・見直しが行われてきた。

47. この間、我が国企業の多角化・国際化の進展、我が国証券市場への海外投資家の参入の増加等の環境の著しい変化に伴い、企業の側においては連結経営重視の傾向、投資者の側からは連結情報に対するニーズが高まっていた。このような状況を反映して、我が国の連結情報に係るディスクロージャーの現状については、多くの問題点が指摘されてきた。

48. 企業会計審議会は、これらの状況に鑑み、平成7年10月以降、連結財務諸表を巡る諸問題について審議を行い、平成9年6月に「連結財務諸表制度の見直しに関する意見書」を公表した。当該意見書では、従来の個別情報を中心としたディスクロージャーから連結情報を中心とするディスクロージャーへ転換を図ることとし、連結ベースでのディスクロージャーの充実が求められている。また、議決権の所有割合以外の要素も加味した支配力基準を導入して連結の範囲を拡大するとともに、連結財務諸表の作成手続を整備するなど、連結情報充実の観点から「連結財務諸表原則」の改訂が行われた。この改訂は、内外の広範な投資者の我が国証券市場への投資参加の促進及び投資者の自己責任に基づく適切な投資判断と企業自身の実態に即したより適切な経営判断を可能にし、また、連結財務諸表中心の国際的にも遜色のないディスクロージャー制度の構築を目的としたものであった。

49. その後、当委員会は、純資産会計基準や株主資本等変動計算書会計基準を含む会計基準を公表しており、この結果、平成9年6月に改訂された「連結財務諸表原則」(以下「平成9年連結原則」という。)については多くの読替えが必要となっていた。こうした技術的な要請に加え、国際的な動向に鑑み、当委員会は平成20年に企業結合会計基準を改正することとし、それに伴い、平成9年連結原則についても必要な見直しを行うこととした。

平成20年連結会計基準は、平成20年6月に公表した公開草案に対して一般から寄せられた意見を参考にしつつ審議を重ね、公開草案の内容を一部修正したうえで公表された。

なお、当委員会では、今回の検討の対象に含まれなかった事項についてもさらに国際的なコンバージェンスを図っていくために、引き続き審議を進める予定である。

49-2. 平成22年改正会計基準では、企業会計基準第25号において包括利益の表示が定められたことに伴い、連結損益及び包括利益計算書又は連結包括利益計算書の作成を定めることとした。また、企業会計基準第24号による注記事項の参照(第43項(3)@)もなされている。

(平成23年改正会計基準の公表)

49-3. 平成23年改正会計基準では、「連結財務諸表制度における子会社及び関連会社の範囲の見直しに係る具体的な取扱い」三における一定の要件を満たす特別目的会社についての定めは、資産の譲渡者のみに適用されることとする改正を行っている。

同取扱いは、資産流動化法上の特定目的会社については、事業内容が資産の流動化に係る業務(資産対応証券の発行により得られる金銭により資産を取得し、当該資産の管理、処分から得られる金銭により資産対応証券の元本や金利、配当の支払を行う業務)及びその附帯業務に限定されており、かつ、事業内容の変更が制限されているため、特定目的会社の議決権の過半数を自己の計算において所有している場合等であっても、当該特定目的会社は出資者等から独立しているものと判断することが適当であることから設けられたものと考えられている。

特別目的会社について、このような取扱いが設けられているのは、実質的な支配関係の有無に基づいて子会社の判定を行う支配力基準が広く採用されていることを前提に、通常は支配していないと考えられる形態をあらかじめ整理したものと考えられる。

また、資産の流動化を目的として一定の要件の下で設立された特別目的会社が子会社に該当し連結対象とされた場合には、譲渡者の個別財務諸表では資産の売却とされた取引が、連結財務諸表では資産の売却とされない処理となり、不合理ではないかという指摘にも対応したものといわれている。

49-4. しかしながら、同取扱いについては、その設定当初に比べ、特別目的会社を利用した取引が拡大するとともに複雑化・多様化していることから、企業集団の状況に関する利害関係者の判断を誤らせるおそれがあるのではないかなどの指摘を背景に、平成19年3月に、当面の対応として、同取扱いの定めにより出資者等の子会社に該当しないものと推定された特別目的会社(開示対象特別目的会社)について、その概要や取引金額等の開示を行うことを定めた企業会計基準適用指針第15号「一定の特別目的会社に係る開示に関する適用指針」を公表している。

また、平成19年8月に国際会計基準審議会(IASB)と共同で公表した会計基準のコンバージェンスに関する「東京合意」も踏まえ、平成21年2月に、連結財務諸表における特別目的会社の取扱い及びそれに関する開示についての論点のほか、支配の定義と支配力基準の適用や、連結対象となる企業、支配が一時的な子会社についての検討をまとめた「連結財務諸表における特別目的会社の取扱い等に関する論点の整理」(以下「論点整理」という。)を公表した。これには、IASBから平成20年(2008年)12月に公表された公開草案第10号「連結財務諸表」に関する検討も含められていた。

49-5. その後、この論点整理に寄せられたコメントの検討及びIASBで開発中の連結財務諸表に関する会計基準とのコンバージェンスの検討を進めてきたが、IASBの作業計画が当初の予定よりも延期されたことを契機に、短期的に特別目的会社の取扱いを改善することとし、平成22年9月に、企業会計基準公開草案第44号「連結財務諸表に関する会計基準(案)」等を公表した。平成23年改正会計基準は、公開草案に対して寄せられた意見を参考にさらに審議を行い、公開草案を一部修正した上で公表するに至ったものである。

この検討の過程では、今後、IASBで開発中の会計基準とのコンバージェンスを図る場合、短期間に二度の改正は避けるべきとの意見や企業会計基準適用指針第15号の定めにより一定の特別目的会社に関する概要や取引金額等の開示が行われており短期的に対応を進める必要性に乏しいとする意見、支配力基準の特別目的会社等への具体的な適用が必ずしも明確ではない中で部分的な対応を進めることは、かえって企業間の比較可能性を損なう可能性があるといった意見があった。

一方、過去に当委員会に対してなされた提言(「特別目的会社を利用した取引に係る会計基準等の設定・改正に関する提言」(平成17年9月30日日本公認会計士協会監査・保証実務委員会))の中でも課題とされていたような、いわゆる不動産の開発型の特別目的会社等について、資産の譲渡者以外の企業が「連結財務諸表制度における子会社及び関連会社の範囲の見直しに係る具体的な取扱い」三を適用することについては様々に解釈されている等の理由で、短期的に改善すべきとの意見もあった。また、上記の企業会計基準適用指針第15号を制定した際の問題意識と同様に、特別目的会社を利用した取引の拡大により、設定当時に想定されていなかった取引にまで同取扱いが適用されており、必ずしも連結の範囲から除外する趣旨に合致しているとはいえないものがあるといった意見や、注記による開示は本表を補足するものであって、事業の一環として営む特別目的会社については、連結財務諸表に含めることが経済的実態を反映する会計処理であるとする意見もあった。

検討の結果、平成23年改正会計基準では、同取扱いが資産の譲渡に関連して開発された設定当時の趣旨を踏まえ、資産の譲渡者のみに適用するよう改正することとした(第54-2項参照)。

49-6. なお、同取扱いの改正にあたっては、同取扱いを廃止する案も検討されたが、この場合、資産の消滅の認識の会計処理も同時に見直す必要性があると考えられ、また、指摘されている問題の多くは、同取扱いの定めを資産の譲渡者のみに適用することで対処されると考えられることから、採用されなかった。

また、検討の過程では、特別目的会社等への支配力基準の具体的な適用に加え、現在の会計基準では必ずしも明確ではない、他人のために企業の行動を指示するような代理人の扱いについても同時に見直すべきとの意見があった。当委員会では、それらの検討は、IASBで開発中の連結財務諸表に関する会計基準とのコンバージェンスの中で行うことが適当であると考えており、また、代理人の扱いは、同取扱いの対象に限らず広範に影響が及ぶ可能性があることから、今回の改正では取り扱わないこととされたが、平成23年改正会計基準の公表後、それらの検討も含め、会計基準のコンバージェンスの観点から、引き続き、特別目的会社に関する連結の範囲の取扱いの見直しを検討していく予定である。

本会計基準の考え方について

基本的考え方

50. 平成9年連結原則以前の連結原則については、連結の範囲につき持株基準が採用されていることのほか、税効果会計の適用が任意とされていること、親子会社間の会計処理の統一に関するルールが明確になっていないこと、資本連結の手続が明確になっていないこと等の問題点が指摘されていた。

このため、平成9年連結原則では、連結情報を中心とするディスクロージャー制度へ移行するにあたって、連結財務諸表が企業集団に関するより適切な投資情報を投資者に提供するものとなるよう、それ以前の連結原則の全面的な見直しを行った。

51. 連結財務諸表の作成については、親会社説と経済的単一体説の2つの考え方がある。いずれの考え方においても、単一の指揮下にある企業集団全体の資産・負債と収益・費用を連結財務諸表に表示するという点では変わりはないが、資本に関しては、親会社説は、連結財務諸表を親会社の財務諸表の延長線上に位置づけて、親会社の株主の持分のみを反映させる考え方であるのに対して、経済的単一体説は、連結財務諸表を親会社とは区別される企業集団全体の財務諸表と位置づけて、企業集団を構成するすべての連結会社の株主の持分を反映させる考え方であるという点で異なっている。

平成9年連結原則では、いずれの考え方によるべきかを検討した結果、従来どおり親会社説の考え方によることとしていた。これは、連結財務諸表が提供する情報は主として親会社の投資者を対象とするものであると考えられるとともに、親会社説による処理方法が企業集団の経営を巡る現実感覚をより適切に反映すると考えられることによる。

平成20年連結会計基準においては、親会社説による考え方と整合的な部分時価評価法を削除したものの、基本的には親会社説による考え方を踏襲した取扱いを定めている。

平成20年連結会計基準による新たな取扱い

52. 企業結合会計基準の改正に合わせて公表された平成20年連結会計基準において、新たな取扱いとなる主な事項は次のとおりである。

(1)連結貸借対照表の作成に関する会計処理における企業結合及び事業分離等に関する事項のうち、平成20年連結会計基準に定めのない事項については、企業結合会計基準や事業分離等会計基準の定めに従って会計処理することを明らかにした(第19項及び第60項参照)。また、注記事項についても、企業結合会計基準や事業分離等会計基準で定められた注記事項を開示することとした(注15及び第74項参照)。

(2)平成9年連結原則では、時価により評価する子会社の資産及び負債の範囲を親会社の持分に相当する部分に限定する方法(部分時価評価法)と全面時価評価法による処理が認められていたが、平成20年連結会計基準では、全面時価評価法のみとすることとした(第20項及び第61項参照)。

(3)平成9年連結原則では、親会社の子会社に対する投資の金額は支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額に基づいて算定されてきたが、平成20年連結会計基準では、支配獲得日の時価によることとした(第23項(1)及び第62項参照)。

(4)平成9年連結原則において連結調整勘定とされていたのれん(又は負ののれん)について、平成20年連結会計基準では、今後、企業結合会計基準に従い会計処理することとした(第24項及び第64項参照)。

53. 前項以外に、既に公表されている他の会計基準等との整合性を図るため、平成20年連結会計基準において新たな取扱いとなる主な事項は次のとおりである。

(1)「親会社」及び「子会社」は、平成9年連結原則の公表後、「連結財務諸表制度における子会社及び関連会社の範囲の見直しに係る具体的な取扱い」において定義が設けられていたが、平成20年連結会計基準では、「連結財務諸表制度における子会社及び関連会社の範囲の見直しに係る具体的な取扱い」及び企業会計基準第11号「関連当事者の開示に関する会計基準」を参考に、それらの定義を見直し、「親会社」には会社以外も含むこととした(第6項及び第7項参照)。

(2)資本準備金以外の剰余金は、平成9年連結原則において連結剰余金とされていたが、平成20年連結会計基準における純資産の部は、純資産会計基準に従い、区分して記載することとした(第32項参照)。

(3)投資と資本の相殺消去により生じた消去差額の名称は、平成9年連結原則においては連結調整勘定とされていたが、平成20年連結会計基準では、企業結合会計基準に従い、のれん(又は負ののれん)に改めた(例えば、第24項参照)。

(4)少数株主持分は、平成9年連結原則において負債の部と資本の部の中間に独立の項目として表示することとされていたが、平成20年連結会計基準では、純資産会計基準に従い、純資産の部に区分して記載する旨を定めた(第32項参照)。

(5)連結損益計算書における純損益計算の区分の中に、新たに少数株主損益調整前当期純利益を表示することとした(第39項(3)A参照)。

(6)平成9年連結原則においては、連結剰余金計算書(又は連結損益及び剰余金結合計算書)を作成することとされていたが、平成20年連結会計基準では、株主資本等変動計算書会計基準に従い、連結株主資本等変動計算書を作成する旨を定めた(第41項参照)。

(7)平成10年3月に公表された「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準」に従い、連結キャッシュ・フロー計算書を作成する旨を定めた(第42項参照)。

(8)平成9年連結原則に定めのあった、税効果会計、非連結子会社及び関連会社に対する持分法の適用、自己株式及び子会社が所有する親会社の株式の表示方法については、それぞれ、「税効果会計に係る会計基準」、持分法会計基準、企業会計基準第1号「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準」に同様の定めがあることから、平成20年連結会計基準においては取り扱わないこととした。

連結の範囲

54. 平成9年連結原則以前の連結原則では、子会社の判定基準として、親会社が直接・間接に議決権の過半数を所有しているかどうかにより判定を行う持株基準が採用されていたが、国際的には、実質的な支配関係の有無に基づいて子会社の判定を行う支配力基準が広く採用されていた。それまで我が国で採用されていた持株基準も支配力基準の1つと解されるが、議決権の所有割合が100分の50以下であっても、その会社を事実上支配しているケースもあり、そのような被支配会社を連結の範囲に含まない連結財務諸表は、企業集団に係る情報としての有用性に欠けることになる。このような見地から、平成9年連結原則では、子会社の判定基準として、議決権の所有割合以外の要素を加味した支配力基準を導入し、他の会社(会社に準ずる事業体を含む。)の意思決定機関を支配しているかどうかという観点から、会計基準を設定した。本会計基準でも、このような従来の取扱いを踏襲した取扱いを定めている(第6項及び第7項参照)。

(平成23年改正会計基準)

54-2. これまで「連結財務諸表制度における子会社及び関連会社の範囲の見直しに係る具体的な取扱い」三にて、一定の要件を満たす特別目的会社に対する出資者及び当該特別目的会社に資産を譲渡した企業は、当該特別目的会社を子会社に該当しないものと推定するという取扱いが定められていた。平成23年改正会計基準では、当該出資者に係る定めを削除し、資産を譲渡した企業(当該企業が出資者を兼ねている場合を含む。)に限定することとした(第7-2項参照)。これは、同取扱いの適用状況を踏まえ、設定当時の趣旨に基づき修正することとしたものである(第49-3項及び第49-5項参照)。

少数株主持分の表示方法

55. 平成9年連結原則以前の連結原則では、少数株主持分は負債の部に表示することとされていたが、平成9年連結原則では、少数株主持分は、返済義務のある負債ではなく、連結固有の項目であることを考慮して、負債の部と資本の部の中間に独立の項目として表示することとされた。

その後公表された純資産会計基準では、貸借対照表上、少数株主持分は、純資産の部に区分して記載することとされている(第32項参照)

なお、平成9年連結原則では、少数株主持分を負債の部と資本の部の中間に独立の項目として表示する方法によっても、少数株主損益は、連結損益計算書において損失又は利益として表示し、当期純利益は親会社の株主に帰属する利益の額として計算するものとした。

この考え方は、本会計基準においても同様である。

税効果会計の適用

56. 平成9年連結原則以前の連結原則では税効果会計の適用は任意とされており、税効果会計を適用している企業においても、連結会社間に係る未実現損益の消去等、連結手続上の修正項目のみを対象として部分的に適用しているものと、個別ベースでの税効果会計を含めて全面的に適用しているものとが見られた。しかし、連結手続上の修正項目のみを対象として税効果会計を部分的に適用した場合には、極めて限られた効果しか得られない。このような観点から、平成9年連結原則では、税効果会計を全面的に適用することを原則とした。

なお、税効果会計については、平成10年10月に公表された「税効果会計に係る会計基準」により、個別財務諸表においても適用されている。

親子会社間の会計処理の統一

57. 平成9年連結原則以前の連結原則では、子会社が採用する会計処理の原則及び手続は、「できるだけ」親会社に統一することとされていた。

親会社と各子会社は、それぞれの置かれた環境の下で経営活動を行っているため、連結会計において親会社と各子会社の会計処理を画一的に統一することは、かえって連結財務諸表が企業集団の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を適切に表示しなくなるということも考えられる。他方、同一の環境下にあるにもかかわらず、同一の性質の取引等について連結会社間で会計処理が異なっている場合には、その個別財務諸表を基礎とした連結財務諸表が企業集団の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の適切な表示を損なうことは否定できない。

このような観点から、平成9年連結原則では、同一環境下で行われた同一の性質の取引等については、「原則として」会計処理を統一することが適当であるとした(第17項参照)。

58. 会計処理の統一にあたっては、より合理的な会計処理の原則及び手続を選択すべきであり、子会社の会計処理を親会社の会計処理に合わせる場合のほか、親会社の会計処理を子会社の会計処理に合わせる場合も考えられる。

なお、実務上の事情を考慮して、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の表示に重要な影響がないと考えられるもの(例えば、棚卸資産の評価方法である先入先出法、平均法等)については、敢えて統一を求めるものではない。

資本連結の手続の明確化

59. 資本連結とは、親会社の子会社に対する投資とこれに対応する子会社の資本を相殺消去し、消去差額が生じた場合には当該差額をのれん(又は負ののれん)として計上するとともに、子会社の資本のうち親会社に帰属しない部分を少数株主持分に振り替える一連の処理をいう。

資本連結については、企業集団内で行われる資本関連取引の複雑化に伴い、平成9年連結原則以前の連結原則には明確な定めのない取引が増加し、また、国際的にみても、資本連結の考え方に変化が現われていた。このようなことから、平成9年連結原則では、資本連結に関する基準を大きく見直し、資本連結の手続の明確化を図ることとした。

60. 企業結合及び事業分離等に適用すべき会計基準としては、企業結合会計基準及び事業分離等会計基準と本会計基準がある。平成9年連結原則に加え、平成15年公表の「企業結合に係る会計基準」及び平成17年公表の事業分離等会計基準によって、企業結合及び事業分離等全般に適用される会計基準が整備されたが、その後、会社法の下で合併等対価の柔軟化に関する規定が施行される中で、平成9年連結原則が適用されるのか、あるいは、企業結合会計基準や事業分離等会計基準が適用されるのかを区別する必要が乏しくなってきた。

このため、本会計基準では、連結貸借対照表の作成に関する会計処理における企業結合及び事業分離等に関する事項のうち、本会計基準に定めのない事項については、企業結合会計基準や事業分離等会計基準の定めに従って会計処理することとしている(第19項参照)。

支配獲得時における資本連結の手続

(子会社の資産及び負債の評価)

61. 時価により評価する子会社の資産及び負債の範囲については、部分時価評価法と全面時価評価法とが考えられる。前者は、親会社が投資を行った際の親会社の持分を重視する考え方であり、後者は、親会社が子会社を支配した結果、子会社が企業集団に含まれることになった事実を重視する考え方である。

平成9年連結原則以前の連結原則の下では、投資消去差額の原因分析を通じて、結果的には部分時価評価法と同様の処理が行われてきたが、平成9年連結原則では国際的な動向をも考慮し、従来の部分時価評価法に加えて、全面時価評価法による処理も併せて認めることとした。

平成9年連結原則後、部分時価評価法の採用はわずかであること、また、子会社株式を現金以外の対価(例えば、自社の株式)で取得する取引を対象としていた平成15年公表の「企業結合に係る会計基準」では全面時価評価法が前提とされたこととの整合性の観点から、本会計基準では、全面時価評価法のみとすることとしている(第20項参照)。なお、持分法を適用する関連会社の資産及び負債のうち投資会社の持分に相当する部分については、部分時価評価法により、これまでと同様に、原則として投資日ごとに当該日における時価によって評価する。

(子会社に対する投資)

62. これまで、親会社の子会社に対する投資の金額は、連結財務諸表上で持分法を適用している場合を除き、個別財務諸表上の金額に基づいて算定されてきた。このため、子会社株式の取得が複数の取引により達成された場合(段階取得)、子会社となる会社に対する支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額が当該投資の金額とされてきた。

本会計基準では、企業結合会計基準第25項(2)の定めと同様に、国際的な動向に鑑みて、段階取得における子会社に対する投資の金額は、連結財務諸表上、支配獲得日における時価で算定することとしている(第23項(1)参照)。この結果、企業結合会計基準における取扱いと同様に、親会社となる企業の連結財務諸表において、支配獲得日における時価と支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額との差額は、当期の段階取得に係る損益として処理することとなる。

(投資と資本の相殺消去)

63. 子会社の資産及び負債の帳簿価額と時価評価額との差額(評価差額)は、親会社の投資と子会社の資本の相殺消去及び少数株主持分ヘの振替によってすべて消去される。全面時価評価法においては、取得日ごとの子会社の資本を用いて相殺消去を行わず、支配獲得日における子会社の資本を用いて一括して相殺消去を行う(第23項参照)。なお、この処理は、相殺消去の対象となる投資にすでに持分法を適用している場合であっても同様であり、持分法評価額を子会社に対する投資とみなして相殺消去を行うこととなる。

(のれん又は負ののれんの計上)

64. 投資と資本の相殺消去により生じた消去差額は、のれん(又は負ののれん)とされる。

当該差額は、平成9年連結原則においては連結調整勘定とされていたが、企業結合会計基準に従い、当該差額に関する用語をのれん(又は負ののれん)に改めた。また、のれん及び負ののれんに関する会計処理に関しては、企業結合会計基準第32項及び第33項の定めに従うこととした(第24項参照)。この結果、支配獲得時における投資と資本の相殺消去によって負ののれんが生じると見込まれる場合には、子会社の資産及び負債の把握並びにそれらに対する取得原価の配分が適切に行われているかどうかを見直し、見直しを行っても、なお生じた負ののれんは、当該負ののれんが生じた事業年度の利益として処理することとなる。

なお、相殺消去の対象となる投資に持分法を適用していた場合には、持分法評価額に含まれていたのれんも含めて、のれん(又は負ののれん)が新たに計算されることとなる。

支配獲得後における資本連結の手続

(子会社株式を追加取得した場合の処理)

65. 子会社株式を追加取得した場合には、子会社の資本に対する親会社の持分は増加し、少数株主持分は減少する。この場合には、追加取得した株式に対応する持分を少数株主持分から減額し、追加取得により増加した親会社の持分(追加取得持分)を追加投資額と相殺消去するとともに、追加取得持分と追加投資額との間に生じた差額は、のれん(又は負ののれん)として処理することとした(第28項参照)。

なお、子会社株式を追加取得した結果、負ののれんが生じると見込まれる場合でも、支配獲得時における時価評価の見直しは行わないため、企業結合会計基準第33項(1)に定める処理は行わず、当該差額が生じた事業年度の利益として処理する。

(子会社株式を一部売却した場合の処理)

66. 子会社株式を一部売却した場合であって、親会社と子会社の支配関係が継続しているときは、子会社の資本に対する親会社の持分は減少し、少数株主持分は増加する。

この場合には、売却した株式に対応する持分を親会社の持分から減額し、少数株主持分を増額するとともに、売却による親会社の持分の減少額(売却持分)と投資の減少額との間に生じた差額は、子会社株式の売却損益の修正として処理することとした。また、のれんについても、その未償却額のうち売却した株式に対応する額を子会社株式の売却損益の修正として処理することとした(第29項参照)。

(子会社の時価発行増資等に伴い親会社の持分が増減した場合の処理)

67. 子会社の時価発行増資等において、親会社の引受割合が従来の持分比率と異なり、かつ、発行価格が従来の1株当たりの純資産額と異なる場合には、親会社の払込額と当該増資等による親会社の持分の増減額との間に差額が生じる。この差額は、当該増資等に伴う持分比率の変化によって、親会社の持分の一部が少数株主持分に、又は少数株主持分が親会社の持分に振り替わることから生じるものである。

平成9年連結原則では、連結財務諸表上の払込資本は親会社の株主の払込資本のみであり、子会社の払込資本は連結上の払込資本を構成しないと解釈していることから、親会社の増減資によらないこのような差額は、連結上の払込資本を構成しないこととされた。

この場合、当該差額は、損益として処理することを原則とするが、子会社の時価発行増資等による持分変動は企業集団の業績とは無関係であるとの意見があることに鑑み、発生の頻度、金額の異常性等を勘案して、利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれがあると認められる場合には、利益剰余金に直接加減することができるとされていたが、本会計基準においても、これと同様に定めている(第30項参照)。

資本連結以外の連結手続の明確化

未実現損益の消去方法等

(少数株主が存在する子会社から親会社への売上取引に係る未実現損益の消去方法)

68. 平成9年連結原則以前には、実務上、全額消去・持分按分負担方式(未実現損益を全額消去し、親会社の持分と少数株主持分とにそれぞれの持分比率に応じて負担させる方法)、全額消去・親会社負担方式(未実現損益を全額消去し、かつ、その金額をすべて親会社の持分に負担させる方法)及び部分消去・親会社負担方式(親会社の持分比率に相当する未実現損益のみを消去し、親会社の持分にこれを負担させる方法)の3つの方法が見られたが、平成9年連結原則では、全額消去・持分按分負担方式に統一された(第36項及び第38項参照)。

(減価償却資産に含まれる未実現損益の消去に伴う減価償却費の修正計算方法)

69. 平成9年連結原則以前の連結原則では、減価償却資産に含まれる未実現損益の消去に伴う減価償却費の修正計算方法について、毎期修正する方法のほかに、固定資産の除却時又は連結会社以外の会社への売却時に一括して修正する方法も認めていたが、平成9年連結原則では、毎期修正する方法に統一された。

(連結会社間において棚卸資産等を時価で売買することにより生じる内部損失の消去方法)

70. 平成9年連結原則以前の連結原則では、連結会社間において棚卸資産を時価で売買することにより生じる内部損失について、消去する方法と消去しない方法の双方を認めていたが、売手側の帳簿価額のうち回収不能と認められる部分については、平成9年連結原則では、消去しないこととした(第36項ただし書き参照)。なお、棚卸資産以外の資産についても、これに準じて取り扱うこととした。

連結財務諸表における表示区分

利益準備金の取扱い

71. 平成9年連結原則以前の連結原則では、利益準備金は資本の部に区分して表示することとされていたが、連結財務諸表は、商法上の配当可能利益の算定を直接の目的としているものではないため、平成9年連結原則では、個別財務諸表上の処分不可能な利益剰余金である利益準備金を連結財務諸表上表示する必要性が乏しく、表示科目の統合の観点からも、利益の留保額を連結剰余金として一括して表示することが適当とされた。このため、平成9年連結原則では、連結財務諸表上、利益準備金の表示区分を廃止し、利益の留保額(利益準備金、任意積立金及び当期未処分利益)を連結剰余金として一括して表示することとされた。

本会計基準では、純資産会計基準の定めに従って記載することとしており、連結財務諸表上、利益の留保額は利益剰余金として一括して表示することとなる。

ノンリコース債務及び対応する資産の表示

71-2. 平成23年改正会計基準では、連結の範囲に含めた特別目的会社におけるノンリコース債務については、連結貸借対照表上、他の項目と区別して記載するか、又は注記することとしている(注11-2参照)。これは、そのような返済原資が特定の資産等に制限されている債務については、通常の借入金等の債務とは性格が異なるとの意見を踏まえたものである。

また、この場合には、当該ノンリコース債務に対応する資産について、担保資産の注記に準じた注記を行うことが資産の特徴を示す観点から有用であると考えられたことから、対応する資産が含まれている科目及びその金額を注記することとした(注16参照)。

71-3. 検討の過程では、特別目的会社を用いずにノンリコースの形態で借入が行われる場合にも、特別目的会社と同様に区別して記載するか、又は注記を求めるべきとする意見もあった。しかしながら、本改正の趣旨は特別目的会社に関する取扱いを短期的に改善することにあり、特別目的会社以外の企業に対して影響を及ぼすことを意図するものではないこと、また、通常、ノンリコースの形態で借入が行われるのは特別目的会社による場合が多いと考えられることから、平成23年改正会計基準では、特別目的会社以外の企業には特別目的会社のノンリコース債務と同様の記載は求めないこととした。なお、特別目的会社以外の企業が特別目的会社のノンリコース債務と同様の記載を行うことは妨げられないと考えられる。

連結損益及び包括利益計算書又は連結損益計算書の表示方法

72. 平成9年連結原則において連結損益計算書は、営業損益計算、経常損益計算及び純損益計算に区分しなければならないとされている。本会計基準においても、この損益計算の区分を踏襲している。

平成20年連結会計基準では、新たに少数株主損益調整前当期純利益(第39項(3)A参照)を表示することとした。審議の過程において、この取扱いは、平成20年の企業結合会計基準等の改正とは関連しないのではないかという意見や財務諸表の表示全般の検討と合わせて行うべきといった意見もあったが、このような小計を設けることによって国際的な会計基準に基づく連結損益計算書との比較を容易にするため、平成20年連結会計基準において定めることとした。この結果、売上高、営業損益又は経常損益等には少数株主持分相当額も含まれていることから、これらと整合するとともに、少数株主損益を調整する前後の税引後の利益の関係がより明らかになるものと考えられる。なお、このように少数株主損益調整前当期純利益が小計として表示されることになっても、連結損益計算書における最終行の表示科目が当期純利益であることに変わりはなく、また、その当期純利益が1株当たり当期純利益の計算の基礎として用いられることも、これまでと同様である。

平成22年改正会計基準では、連結損益及び包括利益計算書又は連結包括利益計算書の作成(第38-2項参照)を定めることとした。これは、企業会計基準第25号において、1計算書方式の場合、連結損益計算書に替えて連結損益及び包括利益計算書を作成することと、2計算書方式の場合、連結損益計算書に加えて連結包括利益計算書を作成することが定められたことに伴う改正である。

連結財務諸表の注記事項

73. 連結財務諸表に注記する会計処理の原則及び手続等(第43項(3)参照)には、重要な資産の評価基準及び減価償却方法のほか、のれんの償却方法及び償却期間が含まれる。

74. 本会計基準に定めのない事項については、企業結合会計基準や事業分離等会計基準の定めに従って会計処理することとしたことから(第19項参照)、注記事項についても企業結合会計基準や事業分離等会計基準との整合性を図ることとした(注15参照)。

適用時期等

75. 第44項(1)及び(2)における企業結合及び事業分離等に関する会計処理及び注記事項には、部分時価評価法の廃止(第20項等)や、子会社株式の段階取得における会計処理(第23項(1))、負ののれん(子会社株式の追加取得の結果生じたものを含む。)の会計処理(第24項及び注8(2)等)、その他本会計基準に定めのない企業結合及び事業分離等に関する事項(第19項)、企業結合及び事業分離等に関する注記事項(注15)が含まれる。また、その他連結財務諸表に係る事項については、連結損益計算書における少数株主損益調整前当期純利益の表示(第39項(3))が含まれる。

76. 平成20年連結会計基準は、国際的な動向に鑑み、企業結合会計基準の改正に合わせて新たな取扱いを定めたものであるため、第44項(2)の適用は、平成20年改正の企業結合会計基準等を平成21年4月1日以後開始する事業年度において最初に実施される企業結合及び事業分離等から適用した場合に行うものとした。

77. 平成20年連結会計基準の適用初年度においては、会計基準の変更に伴う会計方針の変更として取り扱うこととなるが、この場合であっても、企業結合や事業分離等は一般に毎期継続して行われるものではないこと、また、平成20年連結会計基準の適用前に実施された企業結合や事業分離等に係る従前の取扱いは平成20年連結会計基準の適用後においても継続することとされたこと、さらには、企業結合や事業分離等が行われた時にはその概要等の注記が求められていること(注15参照)から、第44項(3)ただし書きによる影響を除き、会計方針の変更による影響額の注記は要しないものとした(第44項(4)参照)。

78. 平成20年連結会計基準の適用初年度において、連結会計年度の企業結合及び事業分離等に関する会計処理が当該連結会計年度を構成する中間又は四半期連結会計期間における会計処理と異なることとなる場合であっても、いわゆる中間又は四半期・年度の首尾一貫性が保持されていない場合には該当しない。

ただし、平成20年連結会計基準の適用日の前後において、経済的に同一の事象と考えられる企業結合及び事業分離等が同一連結会計年度(又は同一中間若しくは四半期連結会計期間)内に行われており、かつ、適用される会計処理が異なる場合には、会計処理の相違が重要なものについて、その旨及びその内容を追加情報として連結財務諸表に注記することが適当である。

78-2. 平成23年改正会計基準は、「連結財務諸表制度における子会社及び関連会社の範囲の見直しに係る具体的な取扱い」三における特別目的会社の取扱いについて、国際的な会計基準へのコンバージェンスに先んじて、短期的な対応として部分的に見直すものであり、公開草案では、平成24年4月1日以後開始する連結会計年度の期首から適用することとしていた。

しかしながら、このような公開草案における適用時期の提案に対しては、実務負担を考慮し慎重に決定すべきとの意見や、新たに連結の範囲に含められる特別目的会社等に係る基礎データの入手や決算期の相違に係る調整等に時間を要することなどから、一定の準備期間を設けるべきといった意見があった。

平成23年改正会計基準は、それらの意見を踏まえ、本改正の実務における円滑な適用を図るべく、平成25年4月1日以後開始する連結会計年度の期首から適用することとした(第44-4項(1)参照)。また、本改正の趣旨から、早期の適用を妨げる必要はないと考えられたことから、平成23年4月1日以後開始する連結会計年度からの早期適用を認めることとしている(第44-4項(2)参照)。なお、これらの適用に際しては、既存の特別目的会社を含むすべての特別目的会社に対して適用することに留意する必要がある。

78-3. 平成23年改正会計基準では、連結の範囲の変更に係る過年度の連結財務諸表への遡及適用に要する実務負担を考慮し、適用初年度に新たに連結の範囲に含められる子会社について、変更による影響額を適用初年度の期首の利益剰余金に直接加減する経過的な取扱いを認めている。第44-4項(3)の取扱い(適正な帳簿価額により評価する方法)によることを原則としつつ、特別目的会社の組成時から関与していない場合など、特別目的会社等によっては、連結手続に際して必要となるデータの入手等が困難な場合も考えられることから、第44-4項(4)の取扱い(時価により評価する方法)によることも認めることとしている。

なお、この経過的な取扱いについては、会計処理の首尾一貫性の観点から、適用初年度に新たに連結の範囲に含められるすべての子会社にいずれか一方の取扱いを一律に適用することとし、当該適用が困難な子会社がある場合にのみ、他の子会社に適用した取扱いと異なる取扱いを適用することを認めることとした(第44-4項(5)参照)。

平成20年連結会計基準の公表による他の会計基準等についての修正

79. 平成20年連結会計基準の公表に伴い、当委員会が公表した会計基準等のうち、(1)から(7)の修正を行っている(下線は追加部分、取消線は削除部分を示す。)。

(1) 企業会計基準適用指針第2号「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針」

@ 第49項

現行の連結財務諸表原則(連結財務諸表に関しては、平成20年12月に企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」(以下「連結会計基準」という。)が公表されている。)では、親会社説を採用しており、連結子会社における当該連結子会社の少数株主との取引は、連結上の資本取引とは考えないことが適切と考えられる。

A 第52項

なお、連結財務諸表原則会計基準では、連結子会社による少数株主への第三者割当増資に伴う持分変動差額は、原則として当期の損益とされ、例外的に「利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれがあると認められる場合には、連結利益剰余金に直接加減することができる」こととされている。

B 第55項

第17項から第19項に定めた方法は現行の連結財務諸表原則会計基準に則した処理であるが、子会社における自己株式取引は今後増加し、子会社における資本取引の重要性が高まることが想定される。よって、子会社の資本取引により生じた親会社持分の変動額を、どの期の損益に帰属させるべきかという論点については、今後必要に応じて検討すべき課題であると考えられる。

(2) (削除)

(3) 企業会計基準適用指針第17号「払込資本を増加させる可能性のある部分を含む複合金融商品に関する会計処理」

第15項

連結財務諸表上、親会社が発行した新株予約権を親会社が保有している場合及び連結子会社が発行した新株予約権を当該連結子会社が保有している場合は、それぞれの個別財務諸表と同様、自己新株予約権として処理する。一方、親会社又は連結子会社が発行した新株予約権をその他の連結会社が保有している場合は、連結会社相互間の債権と債務の相殺消去(連結財務諸表原則第四六企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」第31項及び同注解144注10(4))に準じて処理する。

(4) (削除)

(5) (削除)

(6) (削除)

(7) 実務対応報告第23号「信託の会計処理に関する実務上の取扱い」

@ Q2のA脚注5

このため、信託は、本実務対応報告により子会社及び関連会社に該当する場合を除き、連結財務諸表上、「会社に準ずる事業体」としては取り扱われないこととなる。

なお、本実務対応報告では、「連結財務諸表原則」第一企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」(以下「連結会計基準」という。)第5項が示す企業会社に準ずる被支配事業体や、「連結財務諸表制度における子会社及び関連会社の範囲の見直しに係る具体的な取扱い」一1が示す会社、組合その他これらに準ずる事業体(外国の法令に準拠して設立されたものを含む。)のうち会社以外を、「会社に準ずる事業体」としている。

A Q2のA3(受益者が複数である金銭の信託が子会社及び関連会社と判定される場合)

上記の考え方を踏まえ、受益者が2人以上ある信託における次の受益者(当初受益者のみならず、他から受益権を譲り受けた受益者も含む。)は、「連結財務諸表原則」(以下「連結原則」という。)及び「連結財務諸表制度における子会社及び関連会社の範囲の見直しに係る具体的な取扱い」(以下「子会社等の範囲の見直しに係る具体的な取扱い」という。)連結会計基準に従い、原則として、当該信託を子会社として取り扱うことが適当である89。

B Q2のA3(受益者が複数である金銭の信託が子会社及び関連会社と判定される場合)

(1) すべての受益者の一致によって受益者の意思決定がされる信託(新信託法第105条第1項)においては、自己以外のすべての受益者が緊密な者(自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより、自己の意思と同一の内容の意思決定を行うと認められる者)又は同意している者(自己の意思と同一の内容の意思決定を行うことに同意していると認められる者)であり、かつ、子会社等の範囲の見直しに係る具体的な取扱い一3連結会計基準第7項(2)のAからDまでのいずれかの要件に該当する受益者

C Q2のA3(受益者が複数である金銭の信託が子会社及び関連会社と判定される場合)

(2) 信託行為に受益者集会における多数決による旨の定めがある信託(新信託法第105条第2項)においては、子会社等の範囲の見直しに係る具体的な取扱い一3連結会計基準第7項で示す「他の会社等企業の議決権」を、「信託における受益者の議決権」と読み替えて、子会社等の範囲の見直しに係る具体的な取扱い一3連結会計基準第7項会社企業に該当することとなる受益者10

D Q2のA3(受益者が複数である金銭の信託が子会社及び関連会社と判定される場合)

(3) 信託行為に別段の定めがあり、その定めるところによって受益者の意思決定が行われる信託(新信託法第105条第1項ただし書き)では、その定めにより受益者の意思決定を行うことができる11こととなる受益者(なお、自己だけでは受益者の意思決定を行うことができないが、緊密な者又は同意している者とを合わせれば受益者の意思決定を行うことができることとなる場合には、子会社等の範囲の見直しに係る具体的な取扱い一3連結会計基準第7項(2)のAからDまでのいずれかの要件に該当する受益者)

E Q3のA2脚注12

なお、信託を利用して信託財産となる資産を流動化する場合でも、子会社等の範囲の見直しに係る具体的な取扱い一3連結会計基準第7項(1)から(3)(本実務対応報告では、Q2のA3(1)から(3)が該当する。)のいずれにも該当せず、子会社等の範囲の見直しに係る具体的な取扱い三によらず子会社に該当しないとされたものは、当該開示の対象にはならない。

以上


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