(注)本内容は、企業会計審議会が平成2年5月29日に公表したしたもの
です。なお、オリジナルの設例とは異なる表現をしている部分があります。
実務への適用にあたっては念のため当該意見書等を確認して下さい。
先物・オプション取引等の会計基準に関する意見書等について |
平成二年五月二十九日
企業会計審議会第一部会
1 近年、我が国の金融・資本市場は、金融の自由化、国際化、証券化の進展等を背景として急速に拡大しており、特に企業の投資機会の増大、相場変動リスクへの対応等の観点から証券・金融先物取引及び同オプション取引制度が次々と導入され、着実に発展してきている。
他方、我が国の現行企業会計実務を顧みると、先物・オプション取引に係る会計処理の方法及び開示の方法は、未だ制度として確立されておらず、その取引実態が財務諸表に正しく反映されていないため、その適切な会計処理と十分な財務情報の開示に関する会計基準の設定が、強く求められている。
2 当審議会においては、このような状況に鑑み、平成元年四月以降、第一部会及び同小委員会において、先物取引に係る損益の認識方法、ヘッジ会計の導入、オフ・バランス取引の実態開示方法等について鋭意審議を重ねてきた。
その結果、本報告では、先物・オプション取引に係る企業の経営実態をより的確に開示するため、それらの取引に係る時価情報の開示基準を設定するとともに、併せて当該時価情報の有用性を高める等の観点から、市場性ある有価証券に係る時価情報の開示基準を設定することとし、これを別添のとおり「第一部 先物・オプション取引等に係る時価情報の開示に関する意見書」としてとりまとめた。
また、先物取引の会計処理基準については、現段階において、損益の認識、ヘッジ会計の方法等に関する確定的な基準を設定するには、なお検討を要する多くの問題点が残されていることから、本報告では、当審議会における検討内容を踏まえた基本的な考え方及び会計処理方法を今後の検討材料として示すこととし、これを別添のとおり「第二部 先物取引にかかる会計処理に関する中間報告」としてとりまとめた。
なお、オプション取引の会計処理基準については、今後、オプション取引の定着状況、会計実務の推移等を踏まえながら検討していく予定であるが、契約時に授受されるオプション料の処理方法については、現行の会計実務上混乱がみられるため、第一部においてその統一を図ることとした。
3 先物取引の会計処理基準について、当審議会としては、今後、産業界、金融・証券界、会計界等において積極的かつ建設的な検討が行われ、もって将来の基準設定に向けての十分な環境整備が図られるよう期待するものであり、特に先物損益の認識については、オプション取引その他の金融商品取引等に係る問題も含め、商法及び税法上からも検討が行われることが望ましいと考える。
また、企業は、近年、先物・オプション取引以外にも金利・通貨スワップ取引、特定金銭信託等多様な金融商品取引を活発に行っているが、今後、それらの取引実態に関する財務情報の開示についてもその充実を図る必要があると考える。
INDEX
■先物・オプション取引等の会計基準目次
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