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目次

 

(注)本内容は、企業会計審議会が平成2年5月29日に公表したしたもの です。なお、オリジナルの設例とは異なる表現をしている部分があります。 実務への適用にあたっては念のため当該意見書等を確認して下さい。

[設例5] 予定取引のヘッジ取引

平成二年五月二十九日

企業会計審議会第一部会

 

 

1 ヘッジ取引の状況

C社(決算日:各年9月30日)は、3ヵ月後に変動金利(ユーロ円ベース:LIBOR+0.5%)による50億円の借入れ(期間3ヶ月)を予定している。この借入に係る金利変動リスクを回避するため、199×年3月1日に日本円短期金利先物(50契約)を、約定価格93.38で売建て、借入実行日の6月1日に92.61で買戻した。C社は、先物に係る損益の認識基準として値洗基準を採用している。

3月1日

ユーロ円金利 LIBOR 6+3/4(6.75%)

日本円短期金利先物 93.38(6.62%)

6月1日

ユーロ円金利 LIBOR 7+3/8(7.375%)

日本円短期金利先物 92.61(7.39%)

この場合、金利先物取引の利益は、次のように計算される。

(93.38−92.61)×2,500円×100×50契約=9,625千円

2 ヘッジ効果の判定

事後テストとして、ヘッジ行為開始時とヘッジ行為終了時の間における金利先物の相場とヘッジ対象たるユーロ円金利の変動幅の比率をみると、次のとおりである。なお、事前テストの要件は、満たされているものとする。

ユーロ円金利の変動 7.375%−6.75%=0.625%

金利先物の相場変動 7.39%−6.62%=0.77%

0.625%/0.77%=81%

この事後テストの結果、金利先物とヘッジ対象たる予定取引の相場変動には高い相関関係があり、ヘッジ会計を適用することが適当と判断された。本設例では、ヘッジ行為終了時と予定取引実行時が同一であるが、ヘッジ行為終了後に予定取引が実行される場合には、予定取引実行時にもヘッジ効果の判定を行う必要がある。

また、本設例では、ヘッジ行為開始時からヘッジ行為終了時までの間に決算日がないことを前提としているが、ヘッジ行為終了時以前に決算日が到来する場合には、その決算時においてヘッジ会計を適用することの適否について、同様の方法で事後テストを行う必要がある。

3 ヘッジ会計の処理

この場合のヘッジ会計の処理は、次のとおりである 。なお、以下の処理は、分離方式(損益繰延方式)による。(単位:千円)

(1) 金利先物約定時から決済時まで

金利先物の約定残高は貸借対照表に計上しないので、約定時には会計処理は行わない。一方、約定時から決済時までの間に先物の相場変動について次の会計処理が行われる。

  (単位:千円)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

先物取引差金

9,625

繰延先物利益

9,625

 

(2) 借入実行時(金利先物の決済時)

先物に係る利益は、予定した借入が実行され、当該借入に係る支払利息が計上されるまでは、繰延先物利益として処理される。借入実行時(金利先物の決済時)の処理は、次のとおりである。

  (単位:千円)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

預金

9,625

先物取引差金

9,625

預金 5,000,000 借入金 5,000,000

 

(3) 借入金の支払利息計上時

繰延先物利益は、当該借入金に係る支払利息の計上にあわせて期間配分され、借入期間(3ヶ月)を通じて利益に振替えられる。本設例ではC社が月次で支払利息を計上するとした場合、6月30日の処理を示せば、次のようになる。

  (単位:千円)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

支払利息(注1)

32,813

未払利息

32,813

(注1) 32,813=5,000,000×(7.375%+0.5%)×1/12

 

  (単位:千円)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

繰延先物利益(注2)

3,208

先物利益

3,208

(注2) 3,208=9,625×1/3

 

7月末及び9月末においても同様に、繰延先物利益の期間配分処理を行う。


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