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四半期レビュー基準目次

 

(注)本内容は、企業会計審議会が平成19年3月27日に公表した「四半期レビュー基準の設定に関する意見書」から「 四半期ビュー基準の設定に関する意見書」の部分を抜粋したものです。

なお、実務への適用に当っては念のためオリジナルの当該会計基準等を確認してください。

四半期レビュー基準の設定に関する意見書

平成19年3月27日

企業会計審議会

一 審議の背景

近年、企業を取り巻く経営環境の変化は激しく、これに伴い、企業業績等も短期間のうちに大きく変化することがみられるようになってきている。こうした状況の下では、投資者に対し、企業業績等に係る情報をより適時かつ迅速に開示することが求められるとともに、企業内においても、より適時に企業業績等に係る情報を把握し、的確な経営管理を行っていくことが期待される。

こうしたことから、証券取引法上の制度として四半期報告制度の導入が検討され、平成18年6月に成立した金融商品取引法では、平成20年4月1日以後開始する事業年度から、上場会社等に対して四半期報告書の提出が義務づけられ、当該報告書に掲載される四半期財務諸表については公認会計士又は監査法人の監査証明を受けることとされた。

公認会計士又は監査法人が四半期財務諸表に対して行う監査証明について、企業会計審議会では、平成17年1月の総会において、四半期レビュー基準の策定を行うことを決定し、監査部会において、同年9月から審議を進めてきた。同部会では、審議の結果を踏まえ、平成18年11月に「四半期レビュー基準の設定について(公開草案)」を公表して、広く意見を求めた。

当審議会は寄せられた意見を参考にしつつ更に審議を行い、公開草案の内容を一部修正して、これを「四半期レビュー基準の設定に関する意見書」として公表することとした。

二 主な内容と考え方

本四半期レビュー基準は、金融商品取引法における四半期報告制度の下で開示される四半期財務諸表について、年度の財務諸表の監査を実施する監査人が行う四半期レビューの基準であり、「四半期レビューの目的」、「実施基準」、「報告基準」の三つの区分から構成されている。

1  四半期レビューの目的

「四半期レビューの目的」では、国際的な基準との整合性も勘案し、四半期レビューの目的は、四半期財務諸表の適正性に関する消極的形式による結論の表明にあること、すなわち、経営者の作成した四半期財務諸表について、一般に公正妥当と認められる四半期財務諸表の作成基準に準拠して、企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を適正に表示していないと信じさせる事項がすべての重要な点において認められなかったかどうかに関し、監査人が自ら入手した証拠に基づいて判断した結果を結論として表明することにあるものとした。

一方、年度の財務諸表の監査の目的は、経営者の作成した財務諸表が、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況をすべての重要な点において適正に表示しているかどうかについて、監査人が自ら入手した証拠に基づいて判断した結果を意見として表明することにある、としている。ここで、「すべての重要な点において」の位置が年度の財務諸表の監査の目的と四半期レビューの目的とでは異なっているが、年度の財務諸表も四半期財務諸表も、適正に表示しているかどうかの判断の基準に変わるところはなく、国際的に一般化している四半期レビューに特有の消極的形式による結論の表明を邦語で表現する上で、位置を変えているに過ぎない点に留意する必要がある。

四半期レビューにおける監査人の結論は、本四半期レビュー基準に従い、不適切な結論を表明するリスクを適度な水準に抑えるために必要な手続を実施して表明されるものであるが、その手続は、質問及び分析的手続等を基本とし、監査基準に準拠して実施される年度の財務諸表の監査に比べて限定的な手続からなる。また、四半期レビューは、財務諸表には全体として重要な虚偽の表示がないということについて合理的な保証を得るために実施される年度の財務諸表の監査と同様の保証を得ることを目的とするものではない。

ただし、四半期レビューは、年度の財務諸表の監査を前提として実施されるものであり、監査人は年度の財務諸表の監査と適切に組み合わせて四半期レビューを実施することにより、監査人が被監査企業の重要な虚偽表示に関わる情報を入手する機会が増すなど、全体として監査の実効性がより向上することが期待される。

監査人は、年度の財務諸表の監査を通じて得た、内部統制を含む、企業及び企業環境についての理解を四半期レビュー手続の中でも有効に活用していくことが求められるとともに、年度の財務諸表の監査における重要な着眼点等については、四半期レビューの中でも必要な検討を行い、併せて四半期レビューの結果は年度の監査計画にも適切に反映させていくことが求められる。

また、四半期レビューの目的の達成に関連して、監査人が備えるべき要件及び監査に対する姿勢について定めている監査基準の一般基準及び監査に関する品質管理基準は、四半期レビューにも適用されることに留意する必要がある。

したがって、監査人は、四半期レビューにおいても、年度の財務諸表の監査におけると同様に職業的専門家としての正当な注意を払い、特に、四半期財務諸表が一般に公正妥当と認められる四半期財務諸表の作成基準に準拠して作成されていない事項が、すべての重要な点において存在するかもしれないとの職業的懐疑心をもって四半期レビューを計画し、実施しなければならない。また、監査人は、四半期レビューにおいても、監査に関する品質管理の基準に基づいて定められた方針と手続に従い、審査その他の品質管理を実施しなければならない。

2  実施基準

「実施基準」では、四半期レビューの具体的な手続を示している。監査人は、年度の財務諸表の監査において得た、内部統制を含む、企業及び企業環境の理解及びそれに基づく重要な虚偽表示のリスクの評価を考慮して、四半期レビュー計画の策定を行い、これに基づき、質問、分析的手続その他の四半期レビュー手続を適切に実施することが求められる。四半期レビュー手続の実施に関しては、特に以下の点に留意する必要がある。

なお、四半期レビューは年度の財務諸表の監査を前提として実施されるものであるので、監査人が交代した場合には、後任の監査人は、前任の監査人から適切な引継ぎを行うとともに、年度の財務諸表の監査計画を踏まえ、四半期レビューが的確に行われるように計画しなければならない。

(1) 質問及び分析的手続の実施

四半期レビュー手続の実施に当たり、監査人は、企業が年度の財務諸表を作成する際の会計帳簿等の会計記録に基づいて四半期財務諸表を作成していることを確かめた上で、経営者等に対して、四半期財務諸表の重要な項目に関して的確な質問を実施するとともに、業種の特性等を踏まえたきめ細かな分析的手続を実施することが求められる。

(2) 適切な追加的手続の実施

四半期レビューは質問及び分析的手続等を基本とするが、それらを実施した結果、四半期財務諸表について、重要な点において適正に表示していない事項が存在する可能性が高い場合には、監査人は、四半期レビューの結論を表明するための十分な基礎を得るため、追加的な質問や関係書類の閲覧等の適切な追加的手続を実施して、当該事項の有無を確かめ、その事項の結論への影響を検討することが求められる。

(3) 継続企業の前提についての検討

継続企業の前提は四半期財務諸表の利用者の判断にも大きな影響を与えることから、監査人は、四半期レビューにおいても、経営者等に対する質問等の四半期レビュー手続を通じて、継続企業の前提について検討することが求められる。監査人は、質問等の結果、開示の必要があると判断した場合には、一般に公正妥当と認められる四半期財務諸表の作成基準に準拠して、適正に表示していないと信じさせる事項が認められないかどうかに関し、追加的な質問や関係書類の閲覧等の追加的な手続を実施して検討することになる。

まず、前事業年度の決算日において継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象又は状況が存在していた場合には、当四半期会計期間末までの事象又は状況の変化の有無を質問等の四半期レビュー手続により確かめ、特段の変化がなければ、前事業年度の開示を踏まえた同様の開示が行われているかどうかを検討する。

また、前事業年度の決算日における継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象又は状況に大きな変化がある場合、あるいは、前事業年度の決算日において継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象又は状況が存在していなかったものの、当該四半期会計期間に継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象又は状況が発生した場合については、少なくとも当該四半期会計期間末から一年間の継続企業の前提について、一般に公正妥当と認められる四半期財務諸表の作成基準に準拠して、適正に表示していないと信じさせる事項が認められないかどうかに関し、追加的な質問や関係書類の閲覧等の追加的な手続を実施して検討することに留意する。

(4) その他

四半期レビューにおいても、年度の財務諸表の監査に準じて、以下の手続を実施基準に明示した。

@ 後発事象への対応

A 経営者からの書面による確認

B 経営者等への伝達と対応

C 他の監査人を利用する場合の対応

3  報告基準

四半期レビューにおける監査人の結論は、経営者の作成した四半期財務諸表について、一般に公正妥当と認められる四半期財務諸表の作成基準に準拠して、企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を適正に表示していないと信じさせる事項がすべての重要な点において認められなかったかどうかについて消極的形式で表明される。

報告基準に関して、特に留意されなければならない事項は以下のとおりである。

(1) 審査

監査人は、年度の財務諸表の監査における意見表明に係る審査と同様、四半期レビューに係る結論の表明に先立ち、監査に関する品質管理の基準に基づいて定められた方針と手続に従い、自己の結論が四半期レビューの基準に準拠して適切に形成されているかどうかの審査を受けることが求められる。

(2) 四半期レビュー報告書

四半期レビュー報告書は、四半期レビューの対象、実施した四半期レビューの概要及び四半期財務諸表に対する結論の三つの区分に分けて記載することとしている。まず、四半期レビューの対象では、年度の財務諸表の監査における監査報告書と同様、四半期レビューの対象とした四半期財務諸表の範囲、四半期財務諸表の作成責任は経営者にあること、監査人の責任は独立の立場から四半期財務諸表に対する結論を表明することにあることを記載することとしている。

また、実施した四半期レビューの概要では、四半期レビューは質問、分析的手続その他の四半期レビュー手続からなり、これらは年度の財務諸表の監査に比べて限定的な手続からなることを述べることとしている。

(3) 四半期財務諸表に対する結論

四半期財務諸表に対する結論を記載する区分については、無限定の結論の表明、除外事項を付した限定付結論の表明、否定的結論の表明及び結論の不表明の4つの種類を設け、それぞれの要件を示しているが、これらは、年度の財務諸表の監査における監査人の意見の種類に対応させたものである。すなわち、無限定の結論は無限定適正意見、除外事項を付した限定付結論は除外事項を付した限定付適正意見、否定的結論は不適正である旨の意見、結論の不表明は意見の不表明に対応している。なお、除外事項が付される場合は、四半期財務諸表に適正に表示していないと信じさせる事項が認められる場合と、重要な四半期レビュー手続が実施できなかった場合に分けられる。

(4) その他

四半期レビュー報告書においても、年度の財務諸表の監査に準じて、以下の事項を報告基準に明示した。

@ 他の監査人の利用

A 将来の帰結が予測し得ない事象等

B 継続企業の前提

C 追記情報

三 実施時期等

1  本四半期レビュー基準は、平成20年4月1日以後開始する事業年度に係る四半期財務諸表の監査証明から適用する。なお、基準の実施に当たり、関係法令において、所要の規定の整備を行うことが適当である。

2  特定の事業を行う会社(金融商品取引法第24条の4の7に定める上場会社等のうち内閣府令で定める事業を行う会社)に係る第2四半期の四半期報告書については、金融商品取引法上も、固有の取扱いが予定されているところであり、これらの会社が作成する第2四半期の四半期財務諸表については、監査人はこの基準の規定に関わらず、基本的に中間監査基準に準拠した対応を行う必要がある。

3  「2実施基準(3)継続企業の前提について」に関連して、「中間監査基準の改訂について(平成十四年十二月六日企業会計審議会)」の前文において、「中間監査においては、少なくとも当該中間会計期間の属する事業年度末までの期間における合理的な経営計画等の提示を求め検討することとする。」とされているが、これについても、本四半期レビュー基準の実施に当たって、「中間監査においては、前事業年度の決算日における継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象又は状況に特段の変化がなければ、少なくとも当該中間会計期間の属する事業年度末までの期間における合理的な経営計画等の提示を求め検討する。また、前事業年度の決算日における継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象又は状況に大きな変化がある場合、あるいは、前事業年度の決算日において継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象又は状況が存在していなかったものの、当該中間会計期間に継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象又は状況が発生した場合については、少なくとも当事業年度の下半期から翌事業年度の上半期までの期間における合理的な経営計画等の提示を求め検討することとする。」とすることに留意する必要がある。

4  本四半期レビュー基準を実務に適用するに当たって必要となる実務の指針については、日本公認会計士協会において、関係者とも協議の上、適切な手続の下で作成されることが要請される。


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