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目次

 

(注)本内容は、企業会計基準委員会が平成17年12月27日に公表した「株主資本変動計算書に関する会計基準」から「結論の背景」部分を抜粋したものです。「目的・会計基準」は別に記載してあります。なお、実務への適用にあたっては念のためにオリジナルの会計基準等を確認してください。

企業会計基準第6号

株主資本等変動計算書に関する会計基準

(結論の背景)

平成17年12月27日

企業会計基準委員会

目次

目的・会計基準は別に記載してあります。

結論の背景

検討の経緯

表示区分及び表示方法

注記事項

中間株主資本等変動計算書

適用時期等


検討の経緯

16. これまで、個別財務諸表においては、当期未処分利益の計算が個別損益計算書の末尾で表示され、株主総会における利益処分(又は損失処理)の結果を受けて、利益処分計算書(又は損失処理計算書)が開示されてきた。

連結財務諸表においては、資本剰余金及び利益剰余金の変動を表すものとして連結剰余金計算書が開示されてきた。

17. テーマ協議会からの提言書(平成13年11月12日)において、近年の会計基準の新設又は改正により、資本の部に直接計上される項目(その他有価証券評価差額金、為替換算調整勘定等)が増えていること、また、商法改正により、自己株式の取得、処分及び消却等、資本の部の変動要因が増加していることなどから、ディスクロージャーの透明性確保のため、株主の持分の変動に関する開示制度の導入が望まれるとされており、このような計算書については、当委員会で取り上げるべき検討課題とされた。

さらに、国際的な会計基準では、「株主持分変動計算書」が財務諸表の1つとして位置付けられている。

18. こうした中、平成17年7月26日に公布された会社法では、すべての株式会社は、貸借対照表及び損益計算書に加え、株主資本等変動計算書を作成しなければならないこととされた。これは、会社法において、株式会社は、株主総会又は取締役会の決議により、剰余金の配当をいつでも決定でき、また、株主資本の計数をいつでも変動させることができることとされたため、貸借対照表及び損益計算書だけでは、資本金、準備金及び剰余金の数値の連続性を把握することが困難となるためである。

19. このような状況を考慮し、当委員会では、これらの問題に対する審議を行い、平成17年8月に企業会計基準公開草案第8号「連結株主資本等変動計算書等に関する会計基準(案)」を公表し、広く各界の意見を求めた。当委員会では、寄せられた意見も参考にしてさらに審議を行い、公開草案の内容を一部修正して、本会計基準を公表することとした。

表示区分及び表示方法

20. 株主資本等変動計算書に記載すべき項目の範囲については、主として、次の2つの考え方がある。

(1) 純資産の部のすべての項目とする考え方

(2) 純資産の部のうち、株主資本のみとする考え方

(1)は、資産と負債の差額である純資産について、国際的な会計基準では、株主資本以外の項目についても、一会計期間の変動を開示する考え方であるため、新たな会計基準を開発する場合には、国際的な会計基準との調和を重視すべきとの考えを主な論拠とする。また、評価・換算差額等の残高が大きい場合には、その変動が将来の株主資本の変動に大きな影響を与える可能性があり、その変動事由を示すことも財務諸表利用者にとって有用な場合があるとの意見がある。

一方、(2)は、財務報告における情報開示の中で、財務諸表利用者にとって特に重要な情報は投資の成果を表す利益の情報であり、当該情報の主要な利用者であり受益者である株主に対して、当期純利益とこれを生み出す株主資本との関係を示すことが重要であるとの考えを主な論拠とする。

この他、(2)を支持する意見としては、会社法の下で必要となる開示項目は株主資本の各項目で足りると解されること、現時点では、いわゆる包括利益は当期純利益を超える有用性が確認されていないといわれることから、評価・換算差額等については変動事由ごとに表示することが必ずしも必要とはいえないこと、親会社説に基づく報告主体の所有者への情報提供を一義的なものと考えれば、新株予約権者や少数株主との取引を変動事由ごとに開示する重要性は相対的に低いと考えられること、さらに、以上の考えの中で、現行の連結剰余金計算書等と大きく異なる財務諸表の作成を企業に要請することに対する事務負担への懸念などが挙げられる。

21. 本会計基準では、このような考え方を踏まえ、開示項目の範囲については、国際的調和等の観点から純資産の部のすべての項目とするものの、株主資本とそれ以外の項目とでは一会計期間における変動事由ごとの金額に関する情報の有用性が異なること、及び株主資本以外の各項目を変動事由ごとに表示することに対する事務負担の増大などを考慮し、表示方法に差異を設けることとした。具体的には、株主資本の各項目については、変動事由ごとにその金額を表示することとし、株主資本以外の各項目は、原則として、当期変動額を純額で表示することとした。

ただし、これは純資産の部における株主資本以外の各項目について変動事由ごとにその金額を表示することを妨げる趣旨ではないため、重要性等を勘案の上、株主資本以外の各項目についても主な変動事由及びその金額を株主資本等変動計算書に表示(注記による開示を含む。)することができることとした(第8 項ただし書き参照)。

22. 計算書の名称については、純資産の部のすべての項目を開示対象としているため「純資産変動計算書」という名称も検討したが、本計算書は、主として、株主資本の各項目の変動を示すものとしていることから「株主資本等変動計算書」とした。なお、「株主持分変動計算書」という名称も検討したが、貸借対照表の純資産の部の表示区分と異なるため採用していない。

この結果、連結財務諸表における名称は「連結株主資本等変動計算書」、個別財務諸表における名称は「株主資本等変動計算書」となる。

なお、本会計基準において個別財務諸表における株主資本等変動計算書にのみ言及する場合には、対象となる計算書を明確にするため、個別株主資本等変動計算書と表記している(第1項参照)。

23. 株主資本等変動計算書の表示区分は、貸借対照表の純資産の部の表示区分に従うこととし(第4項参照)、各項目の前期末及び当期末の残高について、貸借対照表の純資産の部における各項目の期末残高との整合を定めた(第5 項参照)。また、損益計算書の当期純利益(又は当期純損失)を利益剰余金、その他利益剰余金又はその内訳科目である繰越利益剰余金の変動事由として表示することとした(第7 項参照)。これは、株主資本等変動計算書が財務諸表の1 つであり、財務諸表間での開示項目及び金額の整合が必要であるためである。

注記事項

24. 株主資本等変動計算書の注記事項については、株主資本に関して、他の会計基準で求めている注記事項に加え、国際的な会計基準で求められている注記事項にも配慮して定めている。

他の会計基準で求めている注記事項については、平成17年12月の改正前の企業会計基準第1 号「自己株式及び法定準備金の取崩等に関する会計基準」において注記事項とされていた期末における発行済株式の種類及び総数、期末に保有する自己株式の種類及び株式数を株主資本等変動計算書の注記事項として統合することとした。さらに、企業会計基準第8号「ストック・オプション等に関する会計基準」における注記事項との整合性も考慮して、新株予約権及び自己新株予約権に関する事項を連結株主資本等変動計算書の注記事項とした。

また、国際的な会計基準では、上記以外に配当に関する事項の注記が求められていること及び配当情報の重要性を勘案し、当該事項を注記することとした。

なお、現在の情報開示の中心が連結財務諸表であることから、注記事項は、原則として、連結株主資本等変動計算書に記載することとし、連結株主資本等変動計算書と個別株主資本等変動計算書の注記内容が異なる自己株式の種類及び株式数に関する事項については、個別株主資本等変動計算書にも記載することとした。

中間株主資本等変動計算書

25. 中間会計期間においても、他の中間財務諸表と同様に、中間株主資本等変動計算書を作成することとし、その作成方法は、株主資本等変動計算書に準ずることが適当と考えた。

適用時期等

26. 本会計基準は、純資産会計基準の定めによる貸借対照表の純資産の部の表示区分を前提とするとともに、会社法施行日を考慮していることから、株主資本等変動計算書は会社法施行日以後終了する連結会計年度及び事業年度から作成するものとした。

なお、会社法施行日以後終了する連結会計年度及び事業年度から株主資本等変動計算書を作成した場合でも、いわゆる中間・年度の首尾一貫性が保持されていない場合に該当しないものと考えられる。これは、会社法施行日前に終了する中間連結会計期間及び中間会計期間においては、中間株主資本等変動計算書に関する制度自体が存在していないこと、また、連結会計年度及び事業年度から株主資本等変動計算書を作成するのは、本会計基準及び会社法の定めによるものであるからである。

27. 中間株主資本等変動計算書についても、会社法施行日以後終了する中間連結会計期間及び中間会計期間から作成することとした。これは、純資産会計基準の適用時期にあわせることが適当と考えられるためである。

28. これまで当期未処分利益(又は当期未処理損失)は、個別損益計算書の末尾において、当期純利益(又は当期純損失)に前期繰越利益(又は前期繰越損失)等を加減して計算されてきた。これらは、個別株主資本等変動計算書において表示されることになるため、本会計基準を適用し個別株主資本等変動計算書を作成するときから、個別損益計算書の末尾は当期純利益(又は当期純損失)となる。なお、中間個別損益計算書についても同様である。

また、連結剰余金計算書で示される剰余金の増減は、連結株主資本等変動計算書に包含されるため、本会計基準を適用して連結株主資本等変動計算書を作成するときから、連結剰余金計算書は廃止することになる。なお、中間連結剰余金計算書についても同様である。

以上


INDEX

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