(注)本内容は、企業会計基準委員会が平成17年12月27日に公表した「株主資本変動計算書に関する会計基準の適用指針」から「設例 ・注記例」を抜粋したものです。 なお、オリジナルとは異なる表現をしている部分があります。実務への適用にあたっては念のためにオリジナルの適用指針等を確認してください。
平成17年12月27日 企業会計基準委員会 設例 以下の設例は、本適用指針で示された内容について理解を深めるためのものであり、仮定として示された前提条件の記載内容は、経済環境や各企業の実情等に応じて異なることとなることに留意する必要がある。 目次 [設例1] 個別株主資本等変動計算書 − 株主資本の各項目のみ残高がある場合 [設例2] 個別株主資本等変動計算書 − 株主資本以外の変動を含む場合 [設例3] 連結株主資本等変動計算書 − 株主資本以外の変動を含む場合 [設例4] 連結株主資本等変動計算書 − 持分比率の変動がある場合 [設例5] 連結株主資本等変動計算書 − 在外子会社を連結子会社とする場合 注記例 1 発行済株式の種類及び総数並びに自己株式の種類及び株式数に関する事項の注記例 [設例1] 個別株主資本等変動計算書−株主資本の各項目のみ残高がある場合 1 前提条件 ア A社はX0年4月に新株の発行による増資2,000百万円を実施し、資本金として1,000百万円、資本準備金として1,000百万円をそれぞれ計上している。 イ X0年6月の株主総会において繰越利益剰余金からの配当1,000百万円の支払と利益準備金への繰入100百万円を決議し、配当を行った。 ウ X1年3月期においてA社は自己株式400百万円を取得し、そのうち300百万円を250百万円で処分している。 エ 決算にあたり、税法の規定に従い圧縮積立金200百万円を取崩し、X0年12月に行った交換取引に関する圧縮積立金を100百万円積み立てた。 オ X1年3月期のA社の当期純利益は2,000百万円である。 カ A社の抜粋個別貸借対照表は次のとおりである。 貸借対照表(抜粋)
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2 会計処理(単位:百万円) 新株の発行に伴う会計処理
剰余金の配当に伴う会計処理
自己株式の取得に伴う会計処理
自己株式の処分に伴う会計処理
圧縮積立金の取崩し及び積み立ての会計処理
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3 個別株主資本等変動計算書の作成(純資産の各項目を横になら別様式による場合) A社のX0年4月1日からX1年3月31日までの個別株主資本等変動計算書は次のように作成される。
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4 個別株主資本等変動計算書の作成(純資産の角項目を縦になら別様式による場合) A社のX0年4月1日からX1年3月31日までの個別株主資本変動計算書は次のように作成される。
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3 個別株主資本等変動計算書の作成(純資産の各項目を横に並べる様式で、かつ株主資本以外の各項目について主な変動事由及びその金額を個別株主資本等変動計算書に表示した場合) B社のX1年4月1日からX2年3月31日までの個別株主資本等変動計算書は次のように作成される。 (単位:百万円)
(*1) (1,200百万円−1,000百万円)−(△60百万円) (*2) (300百万円−180百万円)−(△90百万円) (*3) 税効果を調整した後の額を当期変動額として記載するものとする。
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4 個別株主資本等変動計算書の作成(純資産の各項目を横に並べる様式で、かつ株主資本以外の各項目を純額で個別株主資本等変動計算書に表示した場合) B社のX1年4月1日からX2年3月31日までの個別株主資本等変動計算書は次のように作成される。
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[設例3] 連結株主資本変動計算書−株主資本以外の変動を含む場合 1 前提条件 ア P社はX0年3月31日にS1社株式の70%を5,000百万円で取得し、S1社を連結子会社とした。 イ S1社の資産及び負債には、明示した条件以外に時価評価による重要な簿価修正額はないものとする。 ウ のれんの償却は、本設例では簡略化のため行わないものとする。 エ P社及びS1社の法定実効税率は40%である。 オ 資本取引以外の連結グループ会社間での取引は発生していないものとする。 カ P社はX1年3月期において保有しているその他有価証券の一部を売却し、投資有価証券売却益130百万円を計上している。このうち、X0年3月期末に時価評価の対象となっていたその他有価証券の売却益は100百万円、時価評価の対象となっていなかったその他有価証券の売却益は30百万円であった。 キ S1社はX1年3月期において保有しているその他有価証券の一部を売却し、投資有価証券売却益50百万円を計上している。売却した有価証券はすべてX0年3月期末に時価評価の対象となっていたその他有価証券である。なお、当該売却した有価証券について、P社がS1社を子会社としたとき(X0年3月31日)の時価と簿価は一致していた。 また、X1年3月期においてP社及びS1社は新たに有価証券の取得を行っていない。 ク P社及びS1社の各個別貸借対照表及び各個別損益計算書の抜粋並びに剰余金の変動は次のとおりである。
2 連結財務諸表の作成 (1) 連結修正仕訳(単位:百万円) X0年3月31日 P社の投資(S1社株式)とS1社資本との相殺消去及びのれんの計上
X1年3月31日 開始仕訳:P社の投資(S1社株式)とS1社の資本との相殺消去及びのれんの計上
受取配当の消去
少数株主損益の認識
S1社のその他有価証券評価差額金減少額のうち少数株主持分への振替
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(2) 連結財務諸表
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3 連結株主資本等変動計算書の作成 P社のX0年4月1日からX1年3月31日までの連結株主資本等変動計算書(純資産の各項目を横に並べる様式の場合で、かつ株主資本以外の各項目について主な変動事由及びその金額を連結株主資本等変動計算書に表示した場合)は次のように作成される。
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[設例4] 連結株主資本変動計算書−持分比率の変動がある場合 1 前提条件 アからオまで、「設例3」に同じ。 ア P社はX0年3月31日にS1社株式の70%を5,000百万円で取得し、S1社を連結子会社とした。 イ S1社の資産及び負債には、明示した条件以外に時価評価による重要な簿価修正額はないものとする。 ウ のれんの償却は、本設例では簡略化のため行わないものとする。 エ P社及びS1 社の法定実効税率は40%である。 オ 資本取引以外の連結グループ会社間での取引は発生していないものとする。 カ X2年3月31日においてS1 社は1,000百万円の増資を行い、P社はそのうちの100百万円を払い込んでいる。この結果、P社のS1社に対する持分比率は70%から60%に低下した。 キ P社及びS1社の個別貸借対照表及び個別損益計算書の抜粋並びに剰余金の変動は次のとおりである。
2 連結財務諸表の作成 連結修正仕訳(単位:百万円) X2年3月31日 開始仕訳:P社の投資(S1社株式)とS1社資本との相殺消去及びのれん計上
S1社の増資に係る連結消去仕訳
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3 連結株主資本等変動計算書の作成
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[設例5] 連結株主資本変動計算書−在外子会社を連結子が社とする場合 1 前提条件 ア X0年3月31日、P社は他の会社とともにS2社(資本金20,000千ドル)を設立し、出資比率60%、12,000千ドルを出資した。 イ 資本取引以外の連結グループ会社間での取引は発生していないものとする。 ウ 為替レートは以下のとおりである。 X0年3月31日:1 ドル=120円 X1年3月31日:1 ドル=105円 X1年3月期期中平均:1 ドル=110円 エ P社及びS2社の個別貸借対照表及び個別損益計算書の抜粋並びに剰余金の変動は次のとおりである。
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2 連結財務諸表の作成 (1) 連結修正仕訳(単位:百万円) X0年3月31日 P社の投資(S2社株式)とS2社資本との相殺消去
X1年3月31日 開始仕訳:P社の投資(S2社株式)とS2社の資本との相殺消去
少数株主損益の認識
為替換算調整勘定の少数株主持分への振替
(*) S2社為替換算調整勘定350百万円×少数株主持分比率40% |
(2) 連結財務諸表
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3 連結株主資本等変動計算書の作成 P社のX0年4月1日からX1年3月31日までの連結株主資本等変動計算書(純資産の各項目を縦に並べる様式の場合で、かつ株主資本以外の各項目について主な変動事由及びその金額を連結株主資本等変動計算書に表示した場合)は次のように作成される。
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注記例 1 発行済株式の種類及び総数並びに自己株式の種類及び様式数に関する事項の注記例 連結株主資本等変動計算書に関する注記
個別株主資本等変動計算書に関する注記 自己株式の種類及び株式数に関する事項
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連結株主資本等変動計算書に関する注記
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連結株主資本等変動計算書に関する注記 以下の注記例は、剰余金の配当決議を株主総会(中間配当は取締役会)で決議する会社(X08年3月期)を想定している。なお(2)の場合については、剰余金を配当する会社は、取締役会等の会社の意思決定機関で定められた配当の原資(資本剰余金又は利益剰余金)を記載する。 配当に関する事項 (1) 配当金支払額 (例1:文章による方法) @ X07年6月X日の定時株主総会において、次のとおり決議している。 ・普通株式の配当に関する事項 (イ) 配当金の総額-------------------------------33百万円 (ロ) 1 株当たり配当額-------------------------------10円 (ハ) 基準日---------------------------------X07年3月31日 (ニ) 効力発生日------------------------------X07年7月X日 ・A種株式の配当に関する事項 (イ) 配当金の総額-------------------------------67百万円 (ロ) 1 株当たり配当額-------------------------------20円 (ハ) 基準日---------------------------------X07年3月31日 (ニ) 効力発生日------------------------------X07年7月X日 A X07年12月X日の取締役会において、次のとおり決議している。 ・普通株式の配当に関する事項 (イ) 配当金の総額-------------------------------33百万円 (ロ) 1株当たり配当額-------------------------------10円 (ハ) 基準日---------------------------------X07年9月30日 (ニ) 効力発生日------------------------------X08年1月X日
(例2:表による方法)
(2) 基準日が当期に属する配当のうち、配当の効力発生日が翌期となるもの X08年6月X日開催の定時株主総会において、次のとおり決議している。 ・普通株式の配当に関する事項 (イ) 配当金の総額-----------------------------------------50百万円 (ロ) 配当の原資-----------------------------------------利益剰余金 (ハ) 1 株当たり配当額-----------------------------------------15円 (ニ) 基準日-------------------------------------------X08年3月31日 (ホ) 効力発生日----------------------------------------X08年7月X日 ・A種株式の配当に関する事項 (イ) 配当金の総額----------------------------------------100百万円 (ロ) 配当の原資-----------------------------------------利益剰余金 (ハ) 1 株当たり配当額-----------------------------------------30円 (ニ) 基準日-------------------------------------------X08年3月31日 (ホ) 効力発生日----------------------------------------X08年7月X日 以上
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