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資産除去債務関する会計基準目次

(注)本内容は、企業会計基準委員会が平成20年3月31日に公表した「資産除去債務に関する会計基準の適用指針」から[設例]部分を抜粋したものです。

なお、オリジナルと異なる表現をしている部分があります。実務への適用にあたっては念のためにオリジナルの基準等を確認してください。

企業会計基準適用指針第21号

資産除去債務に関する会計基準の適用指針

(設例)

平成20年3月31日

企業会計基準委員会

 

目次

設例

[設例1] 資産除去債務の会計処理

[設例2] 資産除去債務の算定

[設例3] 資産除去債務が複数の有形固定資産から構成される場合の会計処理

[設例4] 資産除去債務が使用の都度発生する場合の費用配分

[設例5] 資産除去債務の見積りの変更

[設例6] 賃借建物に係る原状回復費用の処理

[設例7-1] 資産除去債務に関する注記

[設例7-2] 資産除去債務に関する注記(多数の有形固定資産について資産除去債務が生じている場合)

[設例8] 合理的な見積りができないため資産除去債務を計上していない場合の注記

 


設例

次の設例は、会計基準及び本適用指針で示された内容について理解を深めるためのものであり、仮定として示された前提条件の記載内容は、経済環境や各企業の実情等に応じて異なることに留意する必要がある。

 

[設例1] 資産除去債務の会計処理

1. 前提条件

Y社は、20X1年4月1日に設備Aを取得し、使用を開始した。当該設備の取得原価は10,000、耐用年数は5年であり、Y社には当該設備を使用後に除去する法的義務がある。

Y社が当該設備を除去するときの支出は1,000 と見積られている。

20X6年3月31日に設備Aが除去された。当該設備の除去に係る支出は1,050であった。

資産除去債務は取得時にのみ発生するものとし、Y社は当該設備について残存価額0で定額法により減価償却を行っている。割引率は3.0%とする。

Y社の決算日は3月31日であるものとする。

2. 会計処理

(1) 20X1年4月1日

設備Aの取得と関連する資産除去債務の計上

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

有形固定資産(設備A)

10,863

現金預金

10,000

 

 

資産除却債務(*1)

863

(*1) 将来キャッシュ・フロー見積額 1,000/(1.03)5 =863

(2) 20X2年3月31日

時の経過による資産除去債務の増加

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

費用(利息費用)

26

資産除去債務(*2)

26

(*2) 20X1年4月1日における資産除去債務 863×3%=26

設備Aと資産計上した除去費用の減価償却

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

費用(減価償却費*3)

2,173

減価償却累計額

2,173

(*3) 設備Aの減価償却費10,000/5年+除去費用資産計上額863/5年=2,173

(3) 20X3年3月31日

時の経過による資産除去債務の増加

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

費用(利息費用)

27

資産除去債務(*4)

27

(*4) 20X2年3月31日における資産除去債務 (863+26)×3.0%=27

設備Aと資産計上した除去費用の減価償却

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

費用(減価償却費)(*5)

2,173

減価償却累計額

2,173

(*5) 設備Aの減価償却費10,000/5年+除却費用資産計上額863/5年=2,173

(4) 20X4年3月31日

時の経過による資産除去債務の増加

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

費用(利息費用)

27

資産除去債務(*6)

27

(*6) 20X3年3月31日における資産除去債務 (863+26+27)×3.0%=27

設備Aと資産計上した除去費用の減価償却

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

費用(減価償却費)(*7)

2,173

減価償却累計額

2,173

(*7) 設備Aの減価償却費10,000/5年+除却費用資産計上額863/5年=2,173

(5) 20X5年3月31日

時の経過による資産除去債務の増加

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

費用(利息費用)

28

資産除去債務(*8)

28

(*8) 20X4年3月31日における資産除去債務 (863+26+27+27)×3.0%=28

設備Aと資産計上した除去費用の減価償却

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

費用(減価償却費)(*9)

2,173

減価償却累計額

2,173

(*9) 設備Aの減価償却費10,000/5年+除去費用資産計上額863/5年=2,173

(6) 20X6年3月31日

時の経過による資産除去債務の増加

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

費用(利息費用)

29

資産除去債務(*10)

29

(*10) 20X5年3月31日における資産除去債務 (863+26+27+27+28)×3.0%=29

設備Aと資産計上した除去費用の減価償却

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

費用(減価償却費)(*11)

2,171

減価償却累計額

2,171

(*11) 設備Aの減価償却費10,000/5年+除却費用資産計上額863−173×4=2,171

設備Aの除去及び資産除去債務の履行

設備Aを使用終了に伴い除去することとする。除去に係る支出が当初見積りを上回ったため、差額を費用計上する。

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

減価償却累計額

10,863

有形固定資産(設備A)

10,863

資産除去債務(*12)

1,000

現金預金

1,050

費用(履行差額)

50

   

*12 20X6年3月31における資産除去債務863+26+27+27+28+29=1,000

 

[設例2] 資産除去債務の算定

1. 前提条件

資源採掘業を営むY社は、20X1年4月1日に採掘を目的として土地所有者Zより土地Aを借り受け、資源採掘施設Bを建設し操業を開始した。Y社は資源の予測埋蔵量に基づく採掘計画により、土地Aについて10年にわたる事業用定期借地権契約を締結した。Y社は当該契約に基づき、契約期間満了となる10年後に施設Bを解体し除去するとともに、採掘跡地を埋め戻して土地Aを返還しなければならない。過去、Y社は資源採掘施設の解体等を専門業者に請け負わせ、跡地の埋戻しは自らが行った実績がある。

Y社は、施設Bの解体等に係る割引前の将来キャッシュ・フローの見積金額に期待値を使用し、また、埋戻しに係る割引前の将来キャッシュ・フローの見積金額には最頻値を使用する。

なお、将来キャッシュ・フローが見積値から乖離するリスクは、個々の将来キャッシュ・フローの見積りに反映させる。

Y社の決算日は3月31日である。

2. 見積りの過程

(1) 資源採掘施設Bの解体に係る予想労務費は、現在において解体業に従事する者を雇うのに要する平均的な賃金を基礎とする。Y社は、生起し得る複数の将来キャッシュ・フロー(見積値から乖離するリスクを反映済み)及びその発生確率を次のように予測し、加重平均する。

 

インフレ率補正前

予測キャッシュ・フロー

発生確率

期待値

700

30%

210

1,100

50%

550

1,200

20%

240

 

 

1,000

 

(2) Y社は、解体業者が施設Bの解体にかける間接費及び設備費用を、労務費の80%と仮定する。

(3) 解体業者は、労務費及び間接費等に利益を加える。Y社は、解体業者が資源採掘施設を解体し除去する際に稼得する利益は、過去の実績から労務費及び間接費等の合計額の20%であると仮定する。

(4) Y社は、20X1年3月に自社で行った半分程度の規模の採掘跡地の埋戻しに要した社内の人件費及び間接費等の実績440 に基づき、土地Aの埋戻しに係る人件費及び間接費等を2倍の880 と予測する。また、Y社は当該埋戻しにも使用する予定の汎用的な工機の買替えを2年後に予定しているため、これによる人件費及び間接費等の削減の仮定をおき、さらに見積値から乖離するリスクを考慮して、人件費及び間接費等の合計を870(インフレ率補正前)と見積る。

(5) 20X1年4月1日現在における利付国債(残存期間10年)の流通利回りは3%である。

(6) Y社は、10年間のインフレ率は年平均2%となると予測する。

3. 20X1年4月1日現在において当初認識される資産除去債務

 

旋盤Bの解体に係る予測労務費

1,000

旋盤Bの解体に係る予測間接費等(1,000×80%)

800

解体業者の利益加算((1,000+800)×20%)

360

埋め戻しに係る予測人件費及び予測間接費

870

インフレ率補正前の将来キャッシュ・フロー

3,030

インフレ率(10年にわたり2%と仮定)補正後の将来キャッシュ・フロー(*1)

3,694

利付国債(残存期間10年)の流通利回り3%による割引現在価値(=将来認識される資産除去債務)(*2)

2,749

(*1) 3,030×(1.02)10=3,694

(*2) 3,694/(1.03)10=2,749

 

[設例3] 資産除去債務が複数の有形固定資産から構成される場合の会計処理

1. 前提条件

Y社は、2X01年4月1日に設備Aと設備Bを取得し、一体として使用を開始した。設備Aの取得原価は15,000、耐用年数は9年であり、設備Bの取得原価は9,000、耐用年数は3年である。

設備Aはその使用後、除去する法的義務があり、設備Bは設備Aの除去に際し同時に除去される。ただし、設備Bは設備Aよりも短い周期で更新され、その際の設備Bのみの除去についての法的義務はない。Y社が設備Aを除去するときの支出は700、設備Bを除去するときの支出は300 と見積られている。

2X10年3月31日に設備Aと設備Bが除去された。当該設備の除去に係る支出は1,000であった。Y社はこれらの設備について残存価額0 で定額法により減価償却を行っている。

Y社の決算日は3月31日である。なお、ここでは簡便化のため、時間価値の考慮(割引)はしていない。

2. 会計処理

(1) 2X01年4月1日

設備A、Bの取得と関連する資産除去債務の計上

設備Aには関連する除去債務があり、また、設備Aの除去に伴い設備Bが同時に除去されるため、設備A、Bの当初取得時に資産除去債務を一括して見積り、対応する除去費用は設備Aの帳簿価額を増加させる方法で資産として計上する。

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

有形固定資産(設備A)*1

16,000

現金預金

24,000

有形固定資産(設備B)

9,000

資産除去債務

1,000

*1 設備Aの取得原価15,000+設備AとBの除却費用資産計上顎700+300=16,000

(2) 2X04年3月31日

設備Bの更新

設備Aを除去するまでの間に行われる、より短い周期での設備Bの除去及び再取得に係る支出は資産除去債務の対象にならない。

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

減価償却累計額

9,000

有形固定資産(旧B)

9,000

固定資産除却損

300

現金預金

9,300

有形固定資産(新設備B)

9,000

 

 

 

(3) 2X10年3月31日

設備Aの除却

設備Aの除去に際し設備Bも除去される。

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

減価償却累計額(設備A)

16,000

有形固定資産(設備A)

16,000

減価償却累計額(設備B)

9,000

有形固定資産(設備B)

9,000

資産除去債務

1,000

現金預金

1,000

[設例4] 資産除去債務が使用の都度発生する場合の費用配分

1. 前提条件

X社は20X1年4月1日に設備Aを取得し、使用を開始した。当該設備の取得原価は10,000、耐用年数は10年であり、X社には当該設備の使用後に除去する法的義務がある。X社が当該設備を除去するときの支出は3,000と見積られており、そのうち2,000は設備Aの取得時点で発生し、1,000については、設備Aがその通常の使用における稼働時間に応じて立地している土地を汚染するため、毎期10分の1100)ずつ発生する。

X社は、当該設備について残存価額0で定額法により減価償却を行っている。X社は、会計基準第8項なお書きに定める方法により会計処理を行うものとする。

X社の決算日は3月31日である。なお、ここでは簡便化のため、時間価値の考慮(割引)はしていない。

2. 会計処理

(1) 20X1年4月1日

設備Aの取得時点で発生する資産除去債務2,000を負債として計上する。同時にそれに対応する除去費用2,000と設備Aの取得原価10,000の合計である12,000を資産計上する。なお、資産の使用の都度発生する資産除去債務1,000は、当該設備の取得時には負債に計上しない。

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

有形固定資産

12,000

現金預金

10,000

   

資産除去債務

2,000

 

(3) 20X2年3月31日

設備Aの減価償却費

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

費用(減価償却費)*1

1,200

減価償却累計額

1,200

*1 設備Aの減価償却費12,000/10年=1,200

土地の汚染に係る支出 100は設備Aの使用の都度発生するため、資産除去債務を各期において負債の増加分として区別して認識する。

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

有形固定資産

100

資産除去債務

100

 

資産計上された除去費用の費用配分の合理的な方法として、資産計上された除去費用 100 を資産計上したのと同一の期間に、資産計上顎と同一の金額を費用処理する方法によるため、費用計上額は、次のようになる。

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

費用(減価償却費)

100

減価償却累計額

100

 

[設例5]資産除去債務の見積りの変更

1. 前提条件

Y社は、20X1年4月1日に設備を取得し、使用を開始した。当該設備の耐用年数は5年であり、Y社には当該設備を使用後に除去する法的義務がある。Y社は、20X1年4月1日に資産除去債務として負担している金額を負債に計上し、有形固定資産の帳簿価額を同額増加させる処理を行う。Y社は将来キャッシュ・フローの見積りと割引率を用いて、資産除去債務の割引価値を算定する。資産除去債務は、取得時にのみ発生し、取得後の増減は見積りの変更によるものである。Y社は、当該設備について残存価額0 で定額法により減価償却を行っている。Y社の決算日は3月31日である。

なお、本設例では理解を容易にするため、設備の取得に関連する資産除去債務の会計処理のみ示すこととする。

 

年 月 日

設備の除去に必要な将来キャッシュ・フローの見積額

割引率

@ 20X1年4月 1日

5年後の見積額は1,200 であった。

3.0%

A 20X2年3月31日

4年後の見積額に変更はない。

3.0%

B 20X3年3月31日

3年後の見積額は1,500 に増加した。

2.5%

C 20X4年3月31日

2年後の見積額は1,000 に減少した。

3.5%

D 20X5年3月31日

1年後の見積額は1,000 で変更はない。

3.2%

E 20X6年3月31日

設備の使用が終了し、除去された。実際の除去費用1,000 を現金で支払った。

 

2. 会計処理

(1) 20X1年4月1日

設備の取得と関連するる資産除去債務の計上

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

有形固定資産

1,035

資産除去債務(*1)

1,035

(*1) 将来キャッシュ・フロー見積額1,200/(1.03)5=1,035

(2) 20X2年3月31日

時の経過による資産除去債務の増加

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

費用(利息費用)

31

資産除去債務(*2)

31

(*2) 20X1年4月1日における資産除去債務1,035×3.0%=31

資産計上した除去費用の減価償却

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

費用(減価償却費)(*3)

207

減価償却累計額

207

(*3) 20X1年4月1日における除去費用資産計上額1,035/5年=207

(3) 20X3年3月31日

時の経過による資産除去債務の増加

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

費用(利息費用)

32

資産除去債務(*4)

32

(*4) 20X2年3月31日における資産除去債務(1,035+31)×3.0%=32

資産計上した除去費用の減価償却

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

費用(減価償却費)(*5)

207

減価償却累計額

207

(*5) 20X1年に資産計上した資産除去費用1,035/5年=207

特殊キャッシュ・フロー見積額の増加による資産除去債務の調整

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

有形固定資産

279

資産除去債務(*6)

279

(*6) 将来キャッシュ・フロー見積額の増加300/(1.025)3=279(会計基準第11項)

  (4) 20X4年3月31日

時の経過による資産除去債務の増加

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

費用(利息費用)

40

資産除去債務(*7)

40

(*7) 20X3年3月31日における資産除去債務(1,035+31+32+279)×加重平均割引率2.9%*=40

(*) 加重平均割引率2.9%=(当初予測将来キャッシュ・フロー1,200/1,500)×3.0%+(20X3年3月31日予測将来キャッシュ・フロー増加額300/1,500)×2.5%

資産計上した除去費用の減価償却

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

費用(減価償却費)(*8)

300

減価償却累計額

300

(*8) 20X1年に資産計上した資産除去費用1,035/5年+20X3年に資産計上した除去費用279/3年=300

将来キャッシュ・フロー見積額の減少による資産除去債務の調整

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

資産除去債務(*9)

473

有形固定資産

473

(*9) 将来キャッシュ・フロー見積額1,000/加重平均割引率(1.029)2−資産除去債務の帳簿価額(1,035+31+32+279+40)=△473

(5) 20X5年3月31日

時の経過による資産除去債務の増加

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

費用(利息費用)

28

資産除去債務(*10)

28

(*10) 20X4年3月31日における資産除去債務(1,035+31+32+279+40−473)×加重平均割引率2.9%=28

資産計上した除去費用の減価償却

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

費用(減価償却費)(*11)

64

減価償却累計額

64

(*11) 20X1年に資産計上した資産除去費用1,035/5年+20X3年に資産計上した除去費用279/3年−20X4年に資産から控除した除去費用473/2年=64

(6) 20X6年3月31日

時の経過による資産除去債務の増加

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

費用(利息費用)

28

資産除去債務(*12)

28

(*12) 20X5年3月31日における資産除去債務(944+28)×加重平均割引率2.9%=28

資産計上した除去費用の減価償却

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

費用(減価償却費)(*13)

63

減価償却累計額

63

(*13) 20X1年に資産計上した資産除去費用1,035/5年+20X3年に資産計上した除去費用279/3年−20X4年に資産から控除した除去費用473/2年=63

資産除去債務の履行

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

資産除去債務

1,000

現金預金

1,000

   

3. 各期における計上額のまとめ

@ 20X1年4月1日当初見積り分

 

年月日

将来キャッシュ・フロー見積額

割引率

残存年数

資産除去債務残高

A

時の経過による調整額

B

将来キャッシュ・フロー見積額/割引率変更影響額

C

除去費用資産計上顎

D

減価償却

E

費用合計

B+E

20X1年4月 1日

1,200

3.0%

5

1,035

 

 

1,035

 

 

20X2年3月31日

1,200

3.0%

4

1,066

31

0

828

207

238

20X3年3月31日

1,200

3.0%

3

1,098

32

0

621

207

239

20X4年3月31日

800

3.0%

2

754

33

(*15)

△377

37

207

240

20X5年3月31日

800

3.0%

1

777

23

0

18

19

42

20X6年3月31日

800

3.0%

0

800

23

0

0

18

41

合計

 

 

 

 

142

 

 

658

800

(*15) 20X4年3月31日における将来キャッシュ・フロー見積額の減少額500のうち20X1年4月1日に見積った1,200に対応する額400/(1.03)2=△377

A 20X3年3月31日見積り変更(増加)分

 

年月日

将来キャッシュ・フロー見積額

割引率

残存年数

資産除去債務残高

A

時の経過による調整額

B

将来キャッシュ・フロー見積額/割引率変更影響額

C

除去費用資産計上顎

D

減価償却

E

費用合計

B+E

20X3年4月 1日

300

2.5%

3

279

 

279

279

 

 

20X4年3月31日

200

2.5%

2

190

7

(*16)

△96

90

93

100

20X5年3月31日

200

2.5%

1

195

5

0

45

45

50

20X6年3月31日

200

2.5%

0

200

5

0

0

45

50

合計

 

 

 

 

17

 

 

183

200

(*15) 20X4年3月31日における将来キャッシュ・フロー見積額の減少額500のうち20X3年3月31日の増加額300に対応する額100/(1.025)2=△96

B 合計額

 

年月日

将来キャッシュ・フロー見積額

割引率

残存年数

資産除去債務残高

A

時の経過による調整額

B

将来キャッシュ・フロー見積額/割引率変更影響額

C

除去費用資産計上顎

D

減価償却

E

費用合計

B+E

20X1年4月 1日

1,200

3.0%

5

1,035

 

 

1,035

 

 

20X2年3月31日

1,200

3.0%

4

1,066

31

0

828

207

238

20X3年3月31日

1,500

2.9%

3

1,377

32

0

900

207

239

20X4年3月31日

1,000

2.9%

2

944

40

△473

127

300

340

20X5年3月31日

1,000

2.9%

1

972

28

0

63

64

92

20X6年3月31日

1,000

2.9%

0

1,000

28

0

0

63

91

合計

 

 

 

 

159

 

 

841

1,000

 

[設例6] 賃借建物に係る原状回復費用の処理

1. 前提条件

Z社はY社との間でC建物の賃貸借契約を締結し、20X1年4月1日から賃借している。

また、Z社は同日に1,000 を、Y社に敷金として支払っている。Z社の決算日は3月31日である。Z社の同種の賃借建物等への平均的な入居期間は5年と見積られている。

2. 会計処理

(1) 20X1年4月1日

Z社はC建物の賃貸借契約に関連してY社に敷金を支払っているため、資産計上を行う。

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

敷金

1,000

現金預金

1,000

敷金が計上されているため、ここでは、資産除去債務の負債計上及びこれに対応する除去費用の資産計上を行わない方法によることとした。

(2) 20X2年3月31日

敷金のうち 500について原状回復費用に充てられるため返還が見込めないと認められたことから、Z社の同種の賃借建物等への平均的な入居期間(5年)で費用配分することとした。

 

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

費用(敷金の償却)

100

敷金

100

 

[設例7-1] 資産除去債務に関する注記

1. 前提条件

(1) 小売業を営むX社は、Y社との間で事業用定期借地権付の不動産賃借契約(賃借期間10年)を締結し、店舗を建設して2X00年4月1日より営業を開始した。X社は、Y社との不動産賃借契約において、賃借期間経過後原状回復の上、Y社に返還することが義務付けられている。X社は稼働開始時点において、除去費用を1,000と見積り、稼働開始時点における利付国債(残存期間10年)の流通利回りである3.0%を割引率として現在価値に割り引いた金額を資産除去債務として計上している。固定資産の減価償却方法は、残存価額を0とした定額法を採用している。X社は当該店舗を建物として有形固定資産に計上している。

(2) 2X05年3月31日に、X社は当該店舗の費用を見直し、除去時の除去費用を1,300と見積った。増額分300については、その時点における利付国債(残存期間5年)の流通利回りである2.5%を割引率として現在価値に割り引いた金額を建物及び資産除去債務に増額する処理を行った。

(3) 2X10年3月31日に、当該賃貸借契約の終了により建物を除去した。除去費用は1,250を要した。X社の決算日は3月31日である。

 

 

年月日

有形固定資産(除去費用)

資産除去債務

資産

計上額

減価

償却費

残高

計上額

時の経過による調整額

履行による減少額

残高

2X00年4月 1日

(*1)

744

 

744

744

 

 

744

2X01年3月31日

 

(*2)

(74)

670

 

(*3)

22

 

766

2X02年3月31日

 

(74)

596

 

23

 

789

2X03年3月31日

 

(75)

521

 

24

 

813

2X04年3月31日

 

(74)

447

 

24

 

837

2X05年3月31日

(*4)

265

(75)

637

265

(*5)

26

 

1,128

2X06年3月31日

 

(*6)

(127)

510

 

32

 

1,160

2X07年3月31日

 

(128)

382

 

34

 

1,194

2X08年3月31日

 

(127)

255

 

35

 

1,229

2X09年3月31日

 

(128)

127

 

35

 

1,264

2X10年3月31日

 

(127)

 

(*7)

36

(*8)

(1,300)

合計

1,009

(1,009)

 

1,009

291

(1,300)

 

(*1) 将来キャッシュ・フロー見積額1,000/(1.03)10=744

(*2) 資産計上額744/賃借期間10年=74

(*3) 資産除去債務残高744×割引率3%=22

(*4) 将来キャッシュ・フロー追加見積額300/(1.025)5=265

(*5) 資産除去債務残高837×割引率3%=26

(*6) 当初資産計上額744/賃借期間10年+追加計上額265/残存使用期間5 年=127

(*7) @当初発生分 744×割引率(1.03)9=971 971×3%=29

A追加発生分 265×割引率(1.025)4=293 293×2.5%=7

B合計額 29+7=36

(*8) 資産除去債務の残高1,300 がそのまま決済に充当され、超過額50 は営業費用の控除として処理される。

2. 注記事項

(1) 2X01年3月期の財務諸表における注記

当社は、2X00年4月1日に複合型商業施設内に建設した店舗について、事業用定期借地権(10年)付の不動産賃借契約に従い、資産除去債務を計上している。資産除去債務の見積りにあたり、使用見込期間は取得から10年間、割引率は3.0%を採用している。

当事業年度において資産除去債務に計上した金額は744である。当事業年度末における資産除去債務残高は、上記金額744と時の経過による資産除去債務の調整額22の合計766である。

(2) 2X05年3月期の財務諸表における注記

当社は、2X00年4月1日に複合型商業施設内に建設した店舗について、事業用定期借地権(10年)付の不動産賃借契約に従い、資産除去債務を計上している。資産除去債務の見積りにあたり、使用見込期間は取得から10年間、割引率は3.0%を採用している。当事業年度において、資産の除去時点において必要とされる除去費用が、固定資産取得時における見積額を大幅に超過する見込みであることが明らかになったことから、見積りの変更による増加額を2.5%で割り引き、変更前の資産除去債務残高に265加算している。当事業年度における資産除去債務の残高の推移は次のとおりである。

 

期首残高

837

時の経過による調整額

26

見積りの変更による増加額

265

期末残高

1,128

 

(3) 2X10年3月期の財務諸表における注記

当社は、2X00年4月1日に複合型商業施設内に建設した店舗について、事業用定期借地権(10年)付の不動産賃借契約に従い、資産除去債務を計上していた。資産除去債務の見積りにあたり、使用見込期間は取得から10年間、割引率は3.0%(見積りの変更による増額分は2.5%)を採用していた。当事業年度において、事業用定期借地権の契約期間が満了したため、契約の終了に合わせて店舗の除去を行った。当事業年度における資産除去債務の残高の推移は次のとおりである。

 

期首残高

1,264

時の経過による調整額

36

見積りの変更による増加額

△1,300

期末残高

 

[設例7-2] 資産除去債務に関する注記(多数の有形固定資産について資産除去債務が生じている場合)

1. 前提条件

石油小売業を営むY社は、関東地方を中心に当期末現在、120箇所にガソリンスタンドを設営し、ガソリン等油類の販売を行っている。ガソリンスタンドの設置に先立ち、多くの場合、土地所有者と事業用定期借地権付の不動産賃貸借契約を締結しており、当該契約において通常、賃借期間経過後原状回復の上、貸主に返還することとなっている。これまで、賃借期間10年から30年(全物件の平均:22年)に基づき、期首時点での資産除去債務1,560,000 を計上している。割引率は2.0%から3.2%である。

当期に新たにガソリンスタンドを10 店舗開業させたが、一方で、3店舗については、事業用定期借地権の賃借期間の満了を待たずに店舗を閉鎖し、原状回復の上貸主に土地を返還した。当期新たに発生した資産除去債務の見積りにあたっては、使用期間を平均的な賃借期間である22年と見積り、除去費用は130,000と見積った。これにより、稼働開始時点における利付国債(残存期間22年)の流通利回りである3.0%を割引率として割り引いた67,846を資産除去債務として計上している。また、当期に除去を行い貸主に返還した3店舗の除去費用は31,500であったが、除去対象資産に対応する資産除去債務の残高33,562を取り崩している。

なお、当期中の時の経過による資産除去債務の調整額は42,000であった。

2. 注記事項

当社は、ガソリンスタンドの設置にあたり、土地所有者との間で賃借期間10年から30年(平均22年)の事業用定期借地権契約を締結しており、当該不動産賃借契約における賃借期間終了時の原状回復義務に関し資産除去債務を計上している。資産除去債務の見積りにあたり、使用見込期間は22年、割引率は2.0%から3.2%を採用している。

当事業年度における資産除去債務の残高の推移は次のとおりである。

 

期首残高

1,560,000

有形固定資産の取得に伴う増加額

67,846

時の経過による調整額

42,000

資産除去債務の履行による減少額

△33,562

期末残高

1,636,284

 

[設例8]合理的な見積りができないため資産除去債務を計上していない場合の注記

1. 前提条件

Y社は、2X00年4月1日に、Z社の有するオフィスビルに本社を移転した。Y社はZ社と不動産賃貸借契約を締結し、契約上、当該賃貸借契約終了時にY社が原状回復を行いZ社に返還する旨の条項が盛り込まれている。なお、当該賃貸借契約の期間は契約締結時から2年間であるが、契約期間満了から6か月前に契約当事者から契約を更新しない旨が相手方に通知されない限り、賃貸借契約は自動的に更新継続することとなっている。

Y社では、今後再度本社を移転する計画はなく、当該賃貸借契約を継続させることを意図している。そのため、当該賃貸借契約の継続期間を合理的に見積ることができない。

Y社の決算日は3月31日である。

2. 注記事項

2X01年3月期の財務諸表に関する注記

当社は、本社オフィスの不動産賃借契約に基づき、オフィスの退去時における原状回復に係る債務を有しているが、当該債務に関連する賃借資産の使用期間が明確でなく、将来本社を移転する予定もないことから、資産除去債務を合理的に見積ることができない。そのため、当該債務に見合う資産除去債務を計上していない。

以上


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