1 引当金の設定要件
企業会計原則注解18で、引当金に関し次のように規定している。
将来の特定の費用又は損失であって、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には、当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失として引当金に繰入れ、当該引当金の残高を貸借対照表の負債の部又は資産の部に記載するものとする。 製品保証引当金、売上割戻引当金、返品調整引当金、賞与引当金、工事補償引当金、退職給与引当金、修繕引当金、特別修繕引当金、債務保証損失引当金、損害補償損失引当金、貸倒引当金等がこれに該当する。
発生の可能性の低い偶発事象に係る費用又は損失については、引当金を計上することはできない。
つまり
(1)
次のすべての要件に該当するものは、引当金として計上しなければならない。
@ 将来の特定の費用又は損失であること
A 発生が当期以前の事象に起因していること
B 発生の可能性が高いこと
C 金額を合理的に見積ることができること
(2)
引当金のうち、当期の負担に属する部分の金額を当期の費用又は損失として計上しなければならない。
2 引当金の区分
(1)
賞与引当金等の法的債務(条件付債務)である引当金は、負債として計上しなければならない。
(2)
修繕引当金等のように、法的債務ではないが、将来の支出に備えるための引当金については、金額に重要性の高いものがあれば、負債として計上することが必要である。
(3)
引当金についての、会計及び税法の関係は、次のとおりである。
@ 会計上の引当金
a 評価性引当金----貸倒引当金(税法上損金算入限度額あり)
b 負債性引当金
イ 債務性引当金
・返品調整引当金(税法上損金算入限度額あり)
・賞与引当金(税法上損金不算入)
・退職給付引当金(税法上損金不算入)
・製品保証引当金(税法上損金不算入)
・売上割戻引当金(税法上損金不算入)
・工事保証引当金(税法上損金不算入)
ロ 非債務性引当金
・修繕引当金(税法上損金不算入)
・特別修繕引当金(税法上損金不算入)
・債務保証損失引当金(税法上損金不算入)
・損害補償損失引当金(税法上損金不算入)
・役員賞与引当金(税法上損金不算入)
3 表 示
(1) 引当金は、その計上の目的を示す適当な名称を付して記載しなければならない。
(2)
引当金の繰入額は、その引当金の目的等に応じて、損益計算書において、売上高の控除項目、製造原価、販売費及び一般管理費又は営業外費用として、その内容を示す適当な項目に計上する。
4 賞与引当金の計上額
(1)
従業員に対する賞与
翌期に従業員に対して支給する賞与の見積額のうち、当期の負担に属する部分の金額は、賞与引当金として計上しなければならない。
(2)
役員に対する賞与
役員賞与は発生した会計期間の費用として処理する。また、当期の職務に係る役員賞与の支給を翌期に開催される株主総会において決議する場合には、その決議事項とする額又はその見込額を、原則として、引当金に計上する。
5 参考資料
会社計算規則(負債の評価、負債の部の区分、損益計算書の区分、重要な会計方針に係る事項に関する注記)
企業会計原則
役員賞与に関する会計基準 |