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実務メモ目次

ファイナンス・リース取引の判定基準

目次

1 ファイナンス・リース取引に該当するリース取引

2 具体的な判定基準

(1) ファイナンス・リース取引の判定

(2) 所有権移転ファイナンスリース取引と所有権移転外ファイナンス・リース取引の分類

3 現在価値基準の判定における留意事項

(1) 維持管理費用相当額等の取扱い

(2) 残価保証の取扱い

(3) 製造業者又は卸売業者の場合の取扱い

(4) 現在価値の算定に用いる割引率

(5) 連結財務諸表における判定

4 不動産に係るリース取引の取扱い


1 ファイナンス・リース取引に該当するリース取引

ファイナンス・リース取引とは、リース会計基準で、次の(1)(2)のいずれも満たすリース取引をいうとしている。リース取引がファイナンス・リース取引に該当するかどうかは、これらの事項を十分に考慮して判定する必要がある。

(1) リース契約に基づくリース期間の中途において当該契約を解除することができないリース取引又はこれに準ずるリース取引(「解約不能のリース取引」という。(注1))

(2) 借手が、当該契約に基づき使用する物件(「リース物件」という。)からもたらされる経済的利益を実質的に享受することができ(注2)、かつ、当該リース物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担することとなるリース取引(「フルペイアウトのリース取引」という。)

注1 「解約不能のリース取引」に関して、法的形式上は解約可能であるとしても、解約に際し、相当の違約金(「規定損害金」という。)を支払わなければならない等の理由から、事実上解約不能と認められるリース取引を解約不能のリース取引に準ずるリース取引として扱う。リース契約上の条件により、このような取引に該当するものとしては、次のようなものが考えられる。

@ 解約時に、未経過のリース期間に係るリース料の概ね全額を、規定損害金として支払うこととされているリース取引

A 解約時に、未経過のリース期間に係るリース料から、借手の負担に帰属しない未経過のリース期間に係る利息等として、一定の算式により算出した額を差し引いたものの概ね全額を、規定損害金として支払うこととされているリース取引

注2 「リース物件からもたらされる経済的利益を実質的に享受する」とは、当該リース物件を自己所有するとするならば得られると期待されるほとんどすべての経済的利益を享受することであり、また、「リース物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担する」とは、当該リース物件の取得価額相当額、維持管理等の費用、陳腐化によるリスク等のほとんどすべてのコストを負担することである。

2 具体的な判定基準

(1) ファイナンス・リース取引の判定

リース取引がファイナンス・リース取引に該当するかどうかについては、上記1の要件を満たす必要があり、その経済的実質に基づいて判断すべきものであるが、次の@又はAのいずれかに該当する場合には、ファイナンス・リース取引と判定される。

@ 現在価値基準

解約不能のリース期間中のリース料総額の現在価値が、当該リース物件を借手が現金で購入するものと仮定した場合の合理的見積金額(「見積現金購入価額」という。)の概ね90パーセント以上であること(「現在価値基準」(注3)という。)

注3 現在価値基準の適用にあたっては、当該リース取引が置かれている状況からみて借手が再リースを行う意思が明らかな場合を除き、再リースに係るリース期間(「再リース期間」という。)又はリース料は、解約不能のリース期間又はリース料総額に含めない。

現在価値基準を適用する場合のリース料総額の現在価値は推定額であるが、当該現在価値がリース物件の見積現金購入価額の概ね90パーセント以上の場合は、借手は当該リース物件の取得価額相当額、維持管理等の費用等ほとんどすべてのコストを負担することになり、したがって、ほとんどすべての経済的利益を享受するものと推定できるため、当該リース取引はファイナンス・リース取引と判定する。

その他下記「3 現在価値基準の判定における留意事項」参照

A 経済的耐用年数基準

解約不能のリース期間が、当該リース物件の経済的耐用年数の概ね75パーセント以上であること(ただし、リース物件の特性、経済的耐用年数の長さ、リース物件の中古市場の存在等を勘案すると、上記 2(1)@の判定結果が90パーセントを大きく下回ることが明らかな場合を除く。)(「経済的耐用年数基準」(注4)という。)

注4 経済的耐用年数基準の適用にあたっては、当該リース取引が置かれている状況からみて借手が再リースを行う意思が明らかな場合を除き、再リース期間は解約不能のリース期間に含めないものとし、また、リース物件の経済的耐用年数は、物理的使用可能期間ではなく経済的使用可能予測期間に見合った年数による。経済的耐用年数基準に該当するリース取引は、通常、借手がリース物件からもたらされるほとんどすべての経済的利益を享受することができ、したがって、ほとんどすべてのコストを負担するものと推定できるため、当該リース取引はファイナンス・リース取引と判定する。

ただし、例外的に、リース物件の内容により、リース期間が経済的耐用年数の概ね75パーセント以上であっても借手がリース物件に係るほとんどすべてのコストを負担しないこともあるため、リース物件の特性、経済的耐用年数の長さ、リース物件の中古市場の存在等により、それが明らかな場合には現在価値基準のみにより判定を行う。

(2) 所有権移転ファイナンスリース取引と所有権移転外ファイナンス・リース取引の分類

リース会計基準では、ファイナンス・リース取引は、リース契約上の諸条件に照らしてリース物件の所有権が借手に移転すると認められるもの(「所有権移転ファイナンス・リース取引」という。)と、それ以外の取引(「所有権移転外ファイナンス・リース取引」という。)に分類するとしている。

ファイナンス・リース取引と判定されたもののうち、次の@からBのいずれかに該当する場合には、所有権移転ファイナンス・リース取引に該当するものとし、それ以外のファイナンス・リース取引は、所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当するものとする。

@ リース契約上、リース期間終了後又はリース期間の中途で、リース物件の所有権が借手に移転することとされているリース取引

A リース契約上、借手に対して、リース期間終了後又はリース期間の中途で、名目的価額又はその行使時点のリース物件の価額に比して著しく有利な価額で買い取る権利( 合わせて「割安購入選択権」という。)が与えられており、その行使が確実に予想されるリース取引

B リース物件が、借手の用途等に合わせて特別の仕様により製作又は建設されたものであって、当該リース物件の返還後、貸手が第三者に再びリース又は売却することが困難であるため、その使用可能期間を通じて借手によってのみ使用されることが明らかなリース取引

3 現在価値基準の判定における留意事項

(1) 維持管理費用相当額等の取扱い

借手が負担するリース料の中には、通常の場合、リース物件の維持管理に伴う固定資産税、保険料等の諸費用(「維持管理費用相当額」という。)が含まれる。

現在価値基準の判定にあたり、維持管理費用相当額は、これをリース料総額から控除するのが原則である。しかし、一般的に、契約書等で維持管理費用相当額が明示されない場合が多く、また、当該金額はリース物件の取得価額相当額に比較して重要性が乏しい場合が少なくない。

したがって、維持管理費用相当額は、その金額がリース料に占める割合に重要性が乏しい場合は、これをリース料総額から控除しないことができる。

なお、リース料総額に通常の保守等の役務提供相当額が含まれる場合、当該役務提供相当額については、維持管理費用相当額に準じて取り扱う。

(2) 残価保証の取扱い

リース契約において、リース期間終了時に、リース物件の処分価額が契約上取り決めた保証価額に満たない場合は、借手に対して、その不足額を貸手に支払う義務が課せられることがある(このような条件を「残価保証」という。)。

リース契約上に残価保証の取決めがある場合は、残価保証額をリース料総額に含める。

なお、貸手においては、借手以外の第三者による保証がなされた場合についても、当該保証額をリース料総額に含める。

(3) 製造業者又は卸売業者の場合の取扱い

製品又は商品を販売することを主たる事業としている企業が、同時に貸手として同一製品又は商品をリース取引の対象物件としている場合、その見積現金購入価額は貸手の製作価額や現金購入価額によらず、当該リース物件の借手に対する現金販売価額を用いる。

(4) 現在価値の算定に用いる割引率

貸手が現在価値の算定を行うにあたっては、リース料総額(残価保証がある場合は、残価保証額を含む。)とリース期間終了時に見積られる残存価額で残価保証額以外の額(「見積残存価額」という。)の合計額の現在価値が、当該リース物件の現金購入価額又は借手に対する現金販売価額(合わせて「購入価額等」という。)と等しくなるような利率(「貸手の計算利子率」という。)を用いる。

借手が現在価値の算定のために用いる割引率は、貸手の計算利子率を知り得る場合は当該利率とし、知り得ない場合は借手の追加借入に適用されると合理的に見積られる利率とする。

(5) 連結財務諸表における判定

連結財務諸表において現在価値基準を判定する場合、必要に応じて、親会社のリース料総額及び連結子会社のリース料総額を合算した金額に基づき判定を行う。ただし、重要性が乏しい場合には、親会社及び連結子会社の個別財務諸表における結果の修正を要しないこととする。

4 不動産に係るリース取引の取扱い

土地、建物等の不動産のリース取引(契約上、賃貸借となっているものも含む。)についても、上記1から3に従い、ファイナンス・リース取引に該当するか、オペレーティング・リース取引に該当するかを判定する。ただし、土地については、 上記2(2)の@又はAのいずれかに該当する場合を除き、オペレーティング・リース取引に該当するものと推定する。

土地と建物等を一括したリース取引(契約上、建物賃貸借契約とされているものも含む。)は、原則として、リース料総額を合理的な方法で土地に係る部分と建物等に係る部分に分割した上で、 上記2(1)の@に定める現在価値基準の判定を行う。

5 参考資料

リース取引に係る会計基準の適用指針

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