目次
(1) 基本となる会計処理
(2) 借手又は第三者による残価保証がある場合の処理
(3) 利息相当額の各期への配分
(4) 維持管理費用相当額の処理
(5) 通常の保守等の役務提供相当額の処理
(6) 貸手の製作価額又は現金購入価額と借手に対する現金販売価額に差がある場合の処理
(7) リース期間終了時及び再リースの処理
(8) 中途解約の処理
(9) 貸手としてのリース取引に重要性が乏しいと認められる場合の取扱い
(1) 基本となる会計処理
ファイナンス・リース取引については、リース会計基準で通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行うとされている。
貸手の行ったリース取引が所有権移転外ファイナンス・リース取引と判定された場合には、取引実態に応じ、次のいずれかの方法を選択し、継続的に適用する。
なお、@又はAの方法を採用する場合は、割賦販売取引において採用している方法との整合性を考慮し、いずれかの方法を選択する。また、各期における利息相当額は@からBの方法のいずれの方法を採用しても、同額となることに留意する必要がある。
@ リース取引開始日に売上高と売上原価を計上する方法
リース取引開始日に、リース料総額で売上高を計上し、同額でリース投資資産を計上する。また、リース物件の現金購入価額(リース物件を借手の使用に供するために支払う付随費用がある場合は、これを含める。)により売上原価を計上する。
リース取引開始日に計算された売上高と売上原価との差額は、利息相当額として取り扱う。
リース期間中の各期末において、リース取引開始日に計算された利息相当額の総額のうち、各期末日後に対応する利益は繰り延べることとし、リース投資資産と相殺して表示する。
A リース料受取時に売上高と売上原価を計上する方法
リース取引開始日に、リース物件の現金購入価額(リース物件を借手の使用に供するために支払う付随費用がある場合は、これを含める。)により、リース投資資産を計上する。
リース期間中の各期に受け取るリース料(「受取リース料」という。)を各期において売上高として計上し、当該金額からリース期間中の各期に配分された利息相当額を差し引いた額をリース物件の売上原価として処理する。
B 売上高を計上せずに利息相当額を各期へ配分する方法
リース取引開始日に、リース物件の現金購入価額(リース物件を借手の使用に供するために支払う付随費用がある場合は、これを含める。)により、リース投資資産を計上する。
各期の受取リース料を利息相当額とリース投資資産の元本回収とに区分し、前者を各期の損益として処理し、後者をリース投資資産の元本回収額として処理する。
(2) 借手又は第三者による残価保証がある場合の処理
リース契約において、借手又は第三者による残価保証の取決めがある場合は、残価保証額を上記(1)のリース料総額又は受取リース料に含める。
(3) 利息相当額の各期への配分
利息相当額の総額をリース期間中の各期に配分する方法は、原則として利息法による。この場合に用いる利率は、貸手の計算利子率とする。
(4) 維持管理費用相当額の処理
現在価値基準の判定上、維持管理費用相当額は、原則として、リース料総額から控除するが、その金額がリース料に占める割合に重要性が乏しい場合は、これをリース料総額から控除しないことができるとされている。
現在価値基準の判定上、維持管理費用相当額をリース料総額から控除する場合は、維持管理費用相当額は、上記(1)におけるリース料総額又は受取リース料と区分して会計処理する。リース料総額又は受取リース料と区分して会計処理する場合、リース料回収額に含まれる維持管理費用相当額は、収益に計上するか、又は、貸手の固定資産税、保険料等の実際支払額の控除額として処理する。
(5) 通常の保守等の役務提供相当額の処理
リース料総額又は受取リース料に通常の保守等の役務提供相当額が含まれる場合、当該役務提供相当額については、上記(4)の維持管理費用相当額に準じて会計処理を行う。リース料総額又は受取リース料と区分して会計処理する場合、通常の保守等の役務提供相当額部分は、収益として計上する。
(6) 貸手の製作価額又は現金購入価額と借手に対する現金販売価額に差がある場合の処理
製品又は商品を販売することを主たる事業としている企業が、同時に貸手として同一製品又は商品をリース取引の対象物件としている場合で、貸手における製作価額又は現金購入価額と借手に対する現金販売価額に差があるときには、当該差額はリース物件の販売益として扱う。当該販売益は、販売基準又は割賦基準により処理する。
ただし、当該差額がリース料に占める割合に重要性が乏しい場合は、上記の処理によらず、販売益を利息相当額に含めて処理することができる。
また、当該販売益を割賦基準により処理する場合には、同様に、販売益を利息相当額に含めて会計処理することができる。
(7) リース期間終了時及び再リースの処理
リース期間の終了により、借手からリース物件の返却を受けた場合は、貸手は当該リース物件を見積残存価額でリース投資資産からその後の保有目的に応じ貯蔵品又は固定資産等に振り替えるものとする。当該リース物件を処分した場合は、処分価額と帳簿価額との差額を処分損益に計上する。
再リース期間を解約不能のリース期間に含めない場合の再リース料は、発生時の収益に計上し、リース投資資産から振り替えた固定資産については、再リース開始時点の見積再リース期間にわたり減価償却を行う。この場合、固定資産の取得価額は、リース投資資産から振り替えた金額となる。
(8) 中途解約の処理
リース契約が中途解約された場合に受け取る規定損害金については、損益計算書上、次のいずれかの方法により処理する。
@ 上記(1)の@又はBの方法を採用した場合
リース契約が中途解約された場合に受け取る規定損害金と中途解約時のリース投資資産残高(中途解約時点での見積残存価額控除後)との差額を収益として計上する。
A 上記(1)のAの方法を採用した場合
リース契約が中途解約された場合に受け取る規定損害金については、売上高として処理し、中途解約時のリース投資資産残高(中途解約時点での見積残存価額控除後)を売上原価として計上する。
(9) 貸手としてのリース取引に重要性が乏しいと認められる場合の取扱い
貸手としてのリース取引に重要性が乏しいと認められる場合は、上記(3)の定めによらず、利息相当額の総額をリース期間中の各期に定額で配分することができる。
貸手としてのリース取引に重要性が乏しいと認められる場合とは、未経過リース料及び見積残存価額の合計額の期末残高(上記(1)に従い利息相当額を利息法により各期に配分しているリース資産に係るものを除く。)が当該期末残高及び営業債権の期末残高の合計額に占める割合が10パーセント未満である場合とする。
なお、連結財務諸表においては、上記の判定を、連結財務諸表の数値を基礎として見直すことができる。見直した結果、個別財務諸表の結果の修正を行う場合、連結修正仕訳で修正を行う。
ただし、リース取引を主たる事業としている企業は、前項の簡便的な取扱いは適用できない。
参考資料:リース取引に係る会計基準の適用指針
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