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会計基準│結論の背景│目次

 

(注)本会計基準は、企業会計基準委員会が平成17年11月29日に公表した「役員賞与に関する会計基準」から「結論の背景」部分を抜粋したものである。

企業会計基準第4号

役員賞与に関する会計基準

(結論の背景)

平成17年11月29日

 企業会計基準委員会

目次

目的・会計基準は別に記載してあります。

結論の背景

検討の経緯

会計上の考え方


結論の背景

検討の経緯

 7. 従来、我が国においては、取締役や監査役に対するいわゆる報酬(以下「役員報酬」という。)は、発生時に費用として会計処理し、取締役や監査役に対する役員賞与は、利益処分により、未処分利益の減少とする会計処理を行うことが一般的であった。

このような実務慣行の中、平成15年4月1日施行の「商法等の一部を改正する法律」(平成14年法律第44号)に基づく機関設計や役員報酬額についての定め方の相違により、内容的に同様の性格と考えられる取締役、執行役及び監査役の職務に関連する支給についての会計処理が異なるおそれがあるという意見や、連結財務諸表において、親子会社間の会計処理の整合が図られないという意見があった。当委員会では、これらを契機に役員賞与の会計処理を検討し、平成16年3月9日に実務対応報告第13号を公表した。

 8. 実務対応報告第13号では、商法上、株主総会における支給手続と会計処理が連動すると考えられることから、役員賞与の会計処理について、以下のように定めている。

(1) 役員賞与は、発生した会計期間の費用として会計処理することが適当である。この場合には、取締役報酬額又は監査役報酬額の株主総会決議(旧商法第269条第1項又は第279条第1項参照)により支給することになる。

(2) 当面の間、これまでの慣行に従い、費用処理しないことも認められる。この場合には、利益処分案の株主総会決議(旧商法第283条第1項参照)により支給し、未処分利益の減少として会計処理する。

 9. 平成17年7月26日に公布された会社法では、役員賞与は、役員報酬とともに職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益として整理され、定款に報酬等に関する一定の事項を定めていないときは、株主総会の決議(委員会設置会社における取締役、会計参与及び執行役については、報酬委員会の決定。以下同じ。)によって定めることとされた(会社法第361条、第379条、第387条、第404条第3項及び第409条参照。

なお、会社法では、委員会設置会社における利益の処分としての役員に対する金銭の分配の禁止(旧商法特例法第21条の31第2項参照)に相当する定めはない。)。また、会社法では、利益処分案の株主総会決議(旧商法第283条第1項参照)に相当する定めは存在しない。

このように、会社法では、役員賞与と役員報酬とが同一の手続により支給されることとなったため、株主総会における支給手続は会計処理の制約とはならず、当該制約を前提とした実務対応報告第13号を見直すことが必要となった。

10. また、会社法施行後に役員賞与を支給する場合、これまでの実務慣行であった処分可能な剰余金を原資とする支給が可能であるかどうかは、会社法上、必ずしも明らかではない。

このため、役員賞与が支給された場合、会計上、費用に計上すべきか、剰余金の額の減少として処理することも認められるのかを明らかにすることが必要となった。

11. 当委員会では、以上の点に鑑み、役員賞与に関する会計処理について審議を行い、平成17年9月に企業会計基準公開草案第9号「役員賞与に関する会計基準(案)」を公表し、広く各界の意見を求めた。当委員会では、寄せられた意見も参考にしてさらに審議を行い、本会計基準を公表することとした。

会計上の考え方

12. 本会計基準では、以下の理由から、役員賞与は発生した会計期間の費用として処理することとした。

(1) 役員賞与と役員報酬の類似性

役員報酬は、確定報酬として支給される場合と業績連動型報酬として支給される場合があるが、職務執行の対価として支給されることにかわりはなく、会計上は、いずれも費用として処理される。役員賞与は、経済的実態としては費用として処理される業績連動型報酬と同様の性格であると考えられるため、費用として処理することが適当である。

この点に関して、役員賞与は、利益をあげた功労に報いるために支給されるものであって、利益の有無にかかわらず職務執行の対価として支給される役員報酬とは性格が異なるとの見解もあるが、会社の利益は職務執行の成果であり、この功労に報いるために支給される役員賞与もやはり業績連動型の役員報酬と同様に職務執行の対価と考えられる。

(2) 役員賞与と役員報酬の支給手続

役員賞与と役員報酬は職務執行の対価として支給されるが、職務執行の対価としての性格は、本来、支給手続の相違により影響を受けるものではないと考えられるため、その性格に従い、費用として処理することが適当である。

なお、第9項に記載のとおり、会社法では、役員賞与と役員報酬の支給手続は同じ条文で示されており、同一の手続により支給されることになる。

13. 当事業年度の職務に係る役員賞与を期末後に開催される株主総会の決議事項とする場合には、当該支給は株主総会の決議が前提となるので、当該決議事項とする額又はその見込額(当事業年度の職務に係る額に限るものとする。)を、原則として、引当金に計上する。

なお、子会社が支給する役員賞与のように、株主総会の決議はなされていないが、実質的に確定債務と認められる場合には、未払役員報酬等の適当な科目をもって計上することができる。

14. 中間財務諸表における役員賞与の会計処理は、財務諸表における会計処理に準じて処理する。

なお、役員賞与の金額が事業年度の業績等に基づき算定されることとなっているため中間会計期間において合理的に見積ることが困難な場合や、重要性が乏しいと想定される場合には、中間会計期間においては、費用処理しないことができる。

15. 本会計基準の適用に伴い、役員賞与を発生した会計期間の費用として会計処理することとなった場合には、会計基準の変更に伴う会計方針の変更として取り扱うことに留意する必要がある。

以上


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