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目次

 

(注)本内容は、企業会計基準委員会が平成17年12月27日に公表した「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」から「設例及び参考」部分を抜粋したものです。「目的・適用指針・結論の背景」は別に記載してあります。なお、オリジナルとは異なる表現をしている部分や省略した部分があります。実務への適用にあたっては念のためにオリジナルの適用指針等を確認してください。

企業会計基準適用指針第11号

ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針

(設例・参考)

平成17年12月27日

企業会計基準委員会

目次

目的・適用指針・結論の背景は別に記載してあります。

設例

[設例1] 基本設例

[設例2] ストック・オプションと業務執行や労働サービスとの対応関係の認定

2-1 権利確定条件が付されておらず、付与と同時に権利行使可能な場合

2-2 権利確定条件として業績条件のみが付されている場合

2-3 権利確定条件として株価条件のみが付されている場合

2-4 権利確定条件として勤務条件と業績条件が付されており、いずれかを達成すれば権利が確定する場合

2-5 権利確定条件として業績条件と株価条件が付されている場合

2-6 段階的に権利行使が可能となるストック・オプション

[設例3]ストック・オプションに係る条件変更

3-1 公正な評価単価に影響を及ぼす条件変更:行使価格の引下げ(条件変更日のストック・オプションの公正な評価単価が、付与日の公正な評価単価を上回る場合)

3-2 行使価格の引下げ(条件変更日のストック・オプションの公正な評価単価が、付与日の公正な評価単価を下回る場合)

3-3 ストック・オプション数を変動させる条件変更

3-4 費用の合理的な計上期間を変動させる条件変更

[設例4]未公開企業における取扱い

[設例5]親会社が自社株式オプションを子会社の従業員等に付与する場合

5-1 子会社の従業員等に対する親会社株式オプションの付与が、子会社の報酬としては位置付けられていない場合

5-2 子会社の従業員等に対する親会社株式オプションの付与が、子会社の報酬として位置付けられている場合

[設例6]財貨又はサービスの取得の対価として、自社株式オプション又は自社の株式を用いる取引

6-1 財貨等の公正な評価額の方が、自社株式オプションの公正な評価額より高い信頼性をもって測定可能な場合

6-2 自社株式オプションの公正な評価額の方が、財貨等の公正な評価額より高い信頼性をもって測定可能な場合

6-3 未公開企業において、財貨又はサービスの取得の対価として自己株式を用いる場合

参考(注記例)


設例

[設例1] 基本設例

A社は、X3年6月の株主総会において、従業員のうちマネージャー以上の者75名に対して以下の条件のストック・オプション(新株予約権)を付与することを決議し、同年7月1日に付与した。

@ ストック・オプションの数:従業員1 名当たり160個(合計12,000個)であり、ストック・オプションの一部行使はできないものとする。

A ストック・オプションの行使により与えられる株式の数:合計12,000株

B ストック・オプションの行使時の払込金額:1 株当たり75,000円

C ストック・オプションの権利確定日:X5年6月末日

D ストック・オプションの行使期間:X5年7月1日からX7年6月末日

E 付与されたストック・オプションは、他者に譲渡できない。

F 付与日におけるストック・オプションの公正な評価単価は、8,000円/個である。

G X3年6月のストック・オプション付与時点において、X5年6月末までに7名の退職による失効を見込んでいる。

H X5年6月末までに実際に退職したのは、5名であった。

I 年度ごとのストック・オプション数の実績は以下のとおりである。

 

 

未行使数

(残数)

失効数

(累計)

行使分

(累計)

摘要

付与時

12,000

 

X4/3月期

11,840

160

退職者1名

X5/3月期

11,520

480

退職者2名

X6/3月期

8,000

800

3,200

X5/4〜6月の退職者2名、行使20名

X7/3月期

4,000

800

7,200

行使25名

X8/3月期

1,120

10,880

行使23名、失効2名

 

J 新株予約権が行使された際、新株を発行する場合には、権利行使に伴う払込金額及び行使された新株予約権の金額の合計額を資本金に計上する。

(1) X4年3月期

<人件費の計上>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

32,640,000

新株予約権

32,640,000

(注)8,000円/個×160個/名×(75名−7名)×9月/24月=32,640,000円

・期末時点において、将来の失効見込みを修正する必要はないと想定している。

・ 対象勤務期間:24月(X3年7月−X5年6月)

・対象勤務期間のうちX4年3月末までの期間:9月(X3年7月−X4年3月)

(2) X5年3月期

<人件費の計上>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

44,640,000

新株予約権

44,640,000

(注)8,000円/個×160個/名×(75名-6名)×21月/24月-32,640,000円=44,640,000 円

・期末時点において、将来の累計失効見込みを6名に修正した。

・対象勤務期間:24月(X3年7月−X5年6月)

・対象勤務期間のうちX5年3月末までの期間:21月(X3年7月−X5年3月)

(3) X6年3月期

<人件費の計上>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

12,320,000

新株予約権

12,320,000

(注)8,000円/個×160個/名×(75名−5名)×24月/24月−(32,640,000円+44,640,000円)=12,320,000 円

<ストック・オプションの行使:その1−新株を発行する場合>

ストック・オプションの行使を受け、A 社は新株を発行する。

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

現金預金

240,000,000

資本金

265,600,000

新株予約権

25,600000

 

 

(注1) 払込金額

75,000円/株×160株/名×20名=240,000,000円

(注2) 行使されたストック・オプションの金額

8,000円/個×160個/名×20名=25,600,000円

<ストック・オプションの行使:その2−自己株式を処分する場合>

ストック・オプションの行使を受け、A社は自己株式を処分する。処分する自己株式の取得原価は1株当たり70,000円であったとする。

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

現金預金

240,000,000

自己株式

224,000,000

新株予約権

25,600,000

自己株式処分益

41,600,000

(注1) 払込金額

75,000円/株×160株/名×20名=240,000,000円

(注2) 処分した自己株式の取得原価

70,000円/株×160株/名×20名=224,000,000円

(注3) 行使されたストック・オプションの金額

8,000円/個×160個/名×20名=25,600,000円

(4) X7年3月期

<ストック・オプションの行使>

ストック・オプションの行使を受け、A社は新株を発行する。

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

現金預金

300,000,000

資本金

332,000,000

新株予約権

32,000,000

 

 

(注1) 払込金額

75,000円/株×160株/名×25名=300,000,000円

(注2) 行使されたストック・オプションの金額

8,000円/個×160個/名×25名=32,000,000円

(5) X8年3月期

<ストック・オプションの行使>

ストック・オプションの行使を受け、A 社は新株を発行する。

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

現金預金

276,000,000

資本金

305,440,000

新株予約権

29,440,000

 

 

(注1) 払込金額

75,000円/株×160株/名×23名=276,000,000円

(注2) 行使されたストック・オプションの金額

8,000円/個×160個/名×23名=29,440,000円

<権利行使期間満了による新株予約権の失効>

新株予約権のうち、権利行使期間中に権利行使されなかった(権利不行使による失効)分については、新株予約権戻入益として利益に計上する。

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

新株予約権

2,560,000

新株予約権戻入益

2,560,000

(注)8,000円/個×160個/名×2名=2,560,000円

 

[設例2] ストック・オプションと業務執行や労働サービスとの対応関係の認定

[設例2-1] 権利確定条件が付されておらず、付与と同時に権利行使可能な場合(第18項)

B社は、X3年6月の株主総会において、従業員のうちマネージャー以上の者75名に対して以下の条件のストック・オプション(新株予約権)を付与することを決議し、同年7月1日に付与した。

@ ストック・オプションの数:従業員1名当たり160個(合計12,000個)であり、ストック・オプションの一部行使はできないものとする。

A ストック・オプションの行使により与えられる株式の数:合計12,000株

B ストック・オプションの行使時の払込金額: 1 株当たり75,000円

C ストック・オプションの行使期間:付与時点からX7年6月末日

D 付与されたストック・オプションは、他者に譲渡できない。

E 付与日におけるストック・オプションの公正な評価単価は、8,500円/個である。

F 年度ごとのストック・オプション数の実績は以下のとおりである。

 

 

未行使数

(残数)

失効数

(累計)

行使分

(累計)

摘要

付与時

12,000

 

X4/3月期

11,840

160

退職者1名

X5/3月期

11,520

480

退職者2名

X6/3月期

8,000

800

3,200

X5/4〜6月の退職者2名、行使20名

X7/3月期

4,000

800

7,200

行使25名

X8/3月期

1,120

10,880

行使23名、失効2名

 

G 新株予約権が行使された際、新株を発行する場合には、権利行使に伴う払込金額及び行使された新株予約権の金額の合計額を資本金に計上する。

(1) X4年3月期

<付与日において一時に費用計上>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

102,000,000

新株予約権

102,000,000

(注)8,500円/個×160個/名×75名=102,000,000円

<退職者1名に係る新株予約権の失効>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

新株予約権

1,360,000

新株予約権戻入益

1,360,000

(注)8,500円/個×160個/名×1名=1,360,000円

(2) X5年3月期

<退職者2名に係る新株予約権の失効>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

新株予約権

2,720,000

新株予約権戻入益

2,720,000

(注)8,500円/個×160個/名×2名=2,720,000円

(3) X6年3月期

<退職者2名に係る新株予約権の失効>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

新株予約権

2,720,000

新株予約権戻入益

2,720,000

(注)8,500 円/個×160 個/名×2 名=2,720,000 円

<ストック・オプションの行使>

ストック・オプションの行使を受け、B社は新株を発行する。

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

現金預金

240,000,000

資本金

267,200,000

新株予約権

27,200,000

 

 

(注1) 払込金額

75,000 円/株×160 株/名×20 名=240,000,000 円

(注2) 行使されたストック・オプションの金額

8,500 円/個×160 個/名×20 名=27,200,000 円

(4) X7年3月期

<ストック・オプションの行使>

ストック・オプションの行使を受け、B 社は新株を発行する。

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

現金預金

300,000,000

資本金

334,000,000

新株予約権

34,000,000

 

 

(注1) 払込金額

75,000円/株×160株/名×25名=300,000,000円

(注2) 行使されたストック・オプションの金額

8,500円/個×160個/名×25名=34,000,000円

(5) X8年3月期

<ストック・オプションの行使>

ストック・オプションの行使を受け、B社は新株を発行する。

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

現金預金

276,000,000

資本金

307,280,000

新株予約権

31,280,000

 

 

(注1) 払込金額

75,000円/株×160株/名×23名=276,000,000円

(注2) 行使されたストック・オプションの金額

8,500円/個×160個/名×23名=31,280,000円

<権利行使期間満了による新株予約権の失効>

新株予約権のうち、権利行使期間中に権利行使されなかった(権利不行使による失効)分については、新株予約権戻入益として利益に計上する。

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

新株予約権

2,720,000

新株予約権戻入益

2,720,000

(注) 8,500円/個×160個/名×2名=2,720,000円

 

[設例2-2] 権利確定条件として業績条件のみが付されている場合(第17項(3))

C社は、X3年6月の株主総会において、取締役11名及び従業員14名に対して以下の条件のストック・オプション(新株予約権)を付与することを決議し、同年7月1日に付与した。

@ 新株予約権の数:(取締役)200個/名×11名+(従業員)160個/名×14名=4,440個

A 新株予約権の行使により与えられる株式の数:合計4,440株

B 新株予約権の行使時の払込金額:1株当たり75,000円

C 新株予約権の行使期限:X7年6月末日まで

D 行使する会計期間の直前会計期間の利益がX3年3月期の利益に比して110%以上である場合のみ新株予約権の行使が認められる(7月1日から翌年6月末日まで)。

E X5年3月期における行使見込み:直前会計期間(X4年3月期)の利益は、X3/3期比105%と予想され、新株予約権は行使されないと見込んでいる。

F X6年3月期における行使見込み:直前会計期間(X5年3月期)の利益は、X3/3期比115%と予想され、新株予約権が行使可能と見込んでいる。

G X7年3月期における行使見込み:直前会計期間(X6年3月期)の利益は、X3/3期比120%と予想され、新株予約権が行使可能と見込んでいる。

H X8年3月期における行使見込み:直前会計期間(X7年3月期)の利益は、X3/3期比120%と予想され、新株予約権が行使可能と見込んでいる。

I 付与日における新株予約権の時価は、8,000円/個である。

J 行使条件として、新株予約権を保有する者は、行使時において取締役又は従業員であることを要し、退職した時点で新株予約権は失効する。

K 本設例においては、従業員の退職による失効見込み及び業績条件が達成されないことによる失効見込みは、ゼロとする。

L 新株予約権が行使された際、新株を発行する場合には、全額資本金に計上する。

図は省略してある。

 

(1) X4年3月期

当会計期間において、従業員1名が退職した。当会計期間の利益実績は、X3年3月期比で105%であり、また、X5年3月期、X6年3月期及びX7年3月期の利益見込みは、X3年3月比で変わっていないため、X5年7月1日から権利行使が可能であると想定される。

<人件費の計上>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

12,840,000

新株予約権

12,840,000

(注) 8,000円/個×(200個/名×11名+160個/名×13名)×9月/24月=12,840,000円

・ 対象勤務期間:24月(X3年7月−X5年6月)

・ 対象勤務期間のうちX4年3月末までの期間:9月(X3年7月−X4年3月)

(行使時において取締役又は従業員であることが行使条件であるので、権利行使が可能になる直前のX5年6月末日まで勤務条件が付されているものとみなす。)

(2) X5年3月期

当会計期間において、取締役1名が退職した。当会計期間の利益実績は、X3年3月期比で114%であり、また、X6年3月期及びX7年3月期の利益見込みは変わっていないため、X5年7月1日から権利行使が可能であると想定される。

<人件費の計上>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

15,720,000

新株予約権

15,720,000

(注) 8,000円/個×(200個/名×10名+160個/名×13名)×21月/24月−12,840,000円=15,720,000円

・ 対象勤務期間:24月(X3年7月−X5年6月)

・ 対象勤務期間のうちX5年3月末までの期間:21月(X3年7月−X5年3月)

(3) X6年3月期

当会計期間の利益実績は、X3年3月期比で108%であったため、翌会計期間においては新株予約権の行使ができない。ただし、X7年3月期に関する利益見込みは変わっていないため、X8年3月期において権利行使が可能であると想定される。

<人件費の計上>

X5年6月末日までに退職した取締役、従業員はいない。3か月間の人件費を計上する。

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

4,080,000

新株予約権

4,080,000

(注) 8,000円/個×(200個/名×10名+160個/名×13名)×24月/24月−(12,840,000円+15,720,000円)=4,080,000円

<新株予約権の行使>

X5年7月1日からX6年3月末日までに新株予約権を権利行使したのは、取締役8名及び従業員10名であった。その結果期末時点で新株予約権を行使していない取締役は2名及び従業員は3名である。

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

現金預金

240,000,000

資本金

265,600,000

新株予約権

25,600,000

 

 

(注1) 払込金額

75,000円/株×(200株/名×8名+160株/名×10名)=240,000,000円

(注2) 行使された新株予約権の金額

8,000円/個×(200個/名×8名+160個/名×10名)=25,600,000円

(4) X7年3月期

当会計期間の利益実績も昨年度に引き続き、X3年3月期比107%であるため、翌会計期間において権利行使することができないことが明らかになった。新株予約権の未行使残については、権利行使期間中に権利行使されないことが明らかとなったため、新株予約権の残額を新株予約権戻入益として利益に計上する。

<新株予約権の失効>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

新株予約権

7,040,000

新株予約権戻入益

7,040,000

(注) 8,000円/個×(200個/名×2名+160個/名×3名)=7,040,000円

(5) X8年3月期

仕訳なし

 

[設例2-3] 権利確定条件として株価条件のみが付されている場合(第17項(3)及び第18項)

D社は、X3年6月の株主総会において、取締役11名及び従業員14名に対して以下の条件の新株予約権を付与することを決議し、同年7月1日に付与した。

@ 新株予約権の数:(取締役)200個/名×11名+(従業員)160個/名×14名=4,440個

A 新株予約権の行使により与えられる株式の数:合計4,440株

B 新株予約権の行使時の払込金額:1株当たり75,000円

C 新株予約権の行使可能期限:X7年6月末日まで

D 新株予約権の行使は、株価が100,000円以上の場合に可能であり、100,000円未満の場合には、行使はできない。

E 株価が100,000円以上になる時期を、合理的に予測することは困難であるため、そのような予測を行わない。

F 付与日における新株予約権の時価は、8,000円/個である。

(1) X4年3月期

本設例では、株価条件が権利確定条件として付されているが、権利確定日の予測を行わないため、対象勤務期間はないものとみなされ、付与日に一時に費用として計上する。

<人件費の計上>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

35,520,000

新株予約権

35,520,000

(注) 8,000円/個×(200個/名×11名+160個/名×14名)=35,520,000

(以下、省略)

 

[設例2-4] 権利確定条件として勤務条件と業績条件が付されており、いずれかを達成すれば権利が確定する場合(第19項(1))

E 社は、X3年6月の株主総会において、取締役11名及び従業員14名に対して以下の条件の新株予約権を付与することを決議し、同年7月1日に付与した。

@ 新株予約権の数:(取締役)200個/名×11名+(従業員)160個/名×14名=4,440個

A 新株予約権の行使により与えられる株式の数:合計4,440株

B 新株予約権の行使時の払込金額:1 株当たり75,000円

C 権利確定のためには、以下のいずれかの条件を達成した場合である。権利が確定した場合、権利行使期間末日(X8年3月末日)まで無条件に行使可能である。

D 勤務条件:X3年7月1日からX6年6月末日まで在籍すること(3年間)。

E 業績条件:行使する会計期間の直前会計期間の利益がX3年3月期の利益に比して110%以上である場合にのみ新株予約権の行使が認められる(7月1日から翌年6月末日まで)。

F 業績条件を達成できると見込まれるのは、X6年3月期である。したがって、X6年7月1 日以前は行使できないと見込まれる。

G 付与日における新株予約権の公正な評価単価は、8,000円/個である。

H 本設例においては、従業員の退職による失効見込み及び企業業績条件が達成されないことによる失効見込みはゼロとする。

図は省略してある。

 

(1) X4年3月期

当会計期間において対象者のうち、退職した者はいない。また、業績条件の達成見込みも付与時と変わっていない。この前提条件下では、業績条件の方が早期に達成されると見込まれることから業績条件の達成見込月数で費用配分する(注1)。

(注1) 本設例では、勤務条件と業績条件のいずれかを達成すれば権利が確定するが、仮に権利確定のために両条件をともに達成することが必要な場合には、勤務条件の達成時期の方が遅いと見込まれるので、勤務条件月数で費用配分する。

<人件費の計上>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

9,687,273

新株予約権

9,687,273

(注)8,000円/個×(200個/名×11名+160個/名×14名)×9月/33月=9,687,273円

・ 対象勤務期間:33月(X3年7月−X6年3月)

・ 対象勤務期間のうちX4年3月末までの期間:9月(X3年7月−X4年3月)

(いったん権利確定した場合、権利行使期間末日まで無条件に行使可能であるので、業績条件が達成する見込みであるX6年3月までの33月が対象勤務期間となる。)

(2) X5年3月期

当会計期間において対象者のうち、退職した者はいない。なお、当期末において、業績条件の達成見込みはX7年3月期(45月後)に変更された。その結果、業績条件の達成見込みよりも勤務条件の達成時期の方が早く到来すると見込まれる。

<人件費の計上>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

11,032,727

新株予約権

11,032,727

(注)8,000円/個×(200個/名×11名+160個/名×14名)×21月/36月−9,687,273円=11,032,727円

・ 対象勤務期間:36月(X3年7月−X6年6月)

・ 対象勤務期間のうちX5年3月末までの期間:21月(X3年7月−X5年3月)

(3) X6年3月期

当会計期間において、対象者のうち退職した者はいない。業績条件の達成見込みは、X7年3月期であり、前期と変わっていない。

<人件費の計上>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

11,840,000

新株予約権

11,840,000

(注)8,000円/個×(200個/名×11名+160個/名×14名)×33月/36月−(9,687,273円+11,032,727円)=11,840,000円

・ 対象勤務期間:36月(X3年7月−X6年6月)

・ 対象勤務期間のうちX6年3月末までの期間:33月(X3年7月−X6年3月)

(以下、省略)

 

[設例2-5] 権利確定条件として業績条件と株価条件が付されている場合(第19項また書き)

F社は、X3年6月の株主総会において、取締役11名及び従業員14名に対して以下の条件の新株予約権を付与することを決議し、同年7月1日に付与した。

@ 新株予約権の数:(取締役)200個/名×11名+(従業員)160個/名×14名=4,440個

A 新株予約権の行使により与えられる株式の数:合計4,440株

B 新株予約権の行使時の払込金額:1株当たり75,000円

C 権利確定のためには、以下のいずれかの条件を達成した場合である。権利が確定した場合、権利行使期間末日(X8年3月末日)まで無条件に行使可能である。

D 株価条件:X3年7月以降、株価が100,000円を超えた段階で権利確定する。株価が100,000円を超える時期を、合理的に予測することは困難であるため、そのような予測を行わない。

E 行使する会計期間の直前会計期間の利益がX3年3月期の利益に比して110%以上である場合のみ新株予約権の行使が認められる(7月1日から翌年6月末日まで)。業績条件を達成できると見込まれるのは、X5年3月期である。

F 付与日における新株予約権の公正な評価単価は、8,000円/個である。

G 本設例においては、従業員の退職による失効見込み及び業績条件が達成されないことによる失効見込みはゼロとする。

図は省略してある。

 

(1) X4年3月期

当会計期間において、対象者のうち退職した者はいない。また、業績の条件の達成見込みも付与時と変わっていない。なお、株価条件に関しては、権利確定日の予測を行わないため、対象勤務期間はないものとみなされ、業績条件のみを考慮して会計処理する。

<人件費の計上>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

15,222,857

新株予約権

15,222,857

(注)8,000円/個×(200個/名×11名+160個/名×14名)×9月/21月=15,222,857円

・ 対象勤務期間:21月(X3年7月−X5年3月)

・ 対象勤務期間のうちX4年3月末までの期間:9月(X3年7月−X4年3月)

(権利が確定した場合、権利行使期間末日まで無条件に行使可能であるので、業績条件が達成する見込みであるX5年3月末日までの21月が対象勤務期間となる。)

(以下、省略)

 

[設例2-6] 段階的に権利行使が可能となるストック・オプション(第20項)

G社は、X3年6月の株主総会において、従業員のうちマネージャー以上の者75名に対して以下の条件のストック・オプション(新株予約権)を付与することを決議し、同年7月1日に付与した。

@ ストック・オプションの数:従業員1名当たり160個×75名=12,000個

A ストック・オプションの行使により与えられる株式の数:合計12,000株

B ストック・オプションの行使時の払込金額:1株当たり75,000円

C ストック・オプションの行使期間:X5年7月1日からX7年6月末日

D 権利行使条件(その1):権利行使期間1 年目は割当数の50%について、2年目はすべてについて権利行使できる。

E 権利行使条件(その2):行使時において取締役又は従業員の地位にあることを要し、退職した時点でストック・オプションは失効する。

F 付与されたストック・オプションは、他者に譲渡できない。

G 付与日におけるストック・オプションの公正な評価単価は、X5年6月末に権利確定する部分(T)について8,000円/個、X6年6月末に権利確定する部分(U)については8,400円/個である。

H X3年6月のストック・オプション付与時点において、X5年6月末までに7名、X6年6月末までに9名の退職による失効を見込んでいる。

I X5年6月末までに実際に退職したのは5 名、X6年6月末までに実際に退職したのは6名であった。

J 年度ごとのストック・オプション数の実績は以下のとおりである。

 

グループT

未行使数

(残数)

失効数

(累計)

行使分

(累計)

摘要

付与時

6,000

 

X4/3月期

5,920

80

退職者1名

X5/3月期

5,760

240

退職者2名

X6/3月期

4,000

400

1,600

X5/4〜6月の退職者2名、行使20名

X7/3月期

1,920

480

3,600

行使25名、退職者1名

X8/3月期

560

5,440

行使23名、失効1名

 

 

グループU

未行使数

(残数)

失効数

(累計)

行使分

(累計)

摘要

付与時

6,000

 

X4/3月期

5,920

80

退職者1名

X5/3月期

5,760

240

退職者2名

X6/3月期

5,600

400

退職者2名

X7/3月期

2,720

480

2,800

X6/4〜6月の退職者1名、行使35名

X8/3月期

560

5,440

行使33名、失効1名

 

K 新株予約権が行使された際、新株を発行する場合には、権利行使に伴う払込金額及び行使された新株予約権の金額の合計額を資本金に計上する。

1. 権利行使期間開始日ごとに別個のストック・オプションとして取扱う方法

(1) X4年3月期

<人件費の計上>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

27,408,000

新株予約権

27,408,000

(注) 期末時点において、将来の失効見込みを修正する必要はないと想定している。

・T:8,000円/個×(160×50%)個/名×(75名−7名)×9月/24月=16,320,000円

・U:8,400円/個×(160×50%)個/名×(75名−9名)×9月/36月=11,088,000円

・T+U=16,320,000円+11,088,000円=27,408,000円

・Tの対象勤務期間:24月(X3年7月−X5年6月)

・Tの対象勤務期間のうちX4年3月末までの期間:9月(X3年7月−X4年3月)

・Uの対象勤務期間:36月(X3年7月−X6年6月)

・Uの対象勤務期間のうちX4年3月末までの期間:9月(X3年7月−X4年3月)

(2) X5年3月期

<人件費の計上>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

37,888,000

新株予約権

37,888,000

(注)期末時点において、将来の累計失効見込みを6 名(T部分)、7名(U部分)にそれぞれ修正した。

・T:8,000円/個×(160×50%)個/名×(75名−6名)×21月/24月−16,320,000円=22,320,000円

・U:8,400 円/個×(160×50%)個/名×(75名−7名)×21月/36月−11,088,000円=15,568,000円

・T+U=22,320,000円+15,568,000円=37,888,000円

・Tの対象勤務期間:24月(X3年7月−X5年6月)

・Tの対象勤務期間のうちX5年3月末までの期間:21月(X3年7月−X5年3月)

・Uの対象勤務期間:36月(X3年7月−X6年6月)

・Uの対象勤務期間のうちX5年3月末までの期間:21月(X3年7月−X5年3月)

(3) X6年3月期

<人件費の計上>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

21,392,000

新株予約権

21,392,000

(注)期末時点において、U部分に関する将来の失効見込みを修正する必要はないと想定している。・ T:8,000円/個×(160×50%)個/名×(75名−5名)×24月/24月−(16,320,000円+22,320,000円)=6,160,000円

・U:8,400円/個×(160×50%)個/名×(75名−7名)×33月/36月−(11,088,000円+15,568,000円)=15,232,000円

・T+U=6,160,000円+15,232,000円=21,392,000円

・Uの対象勤務期間:36月(X3年7月−X6年6月)

・Uの対象勤務期間のうちX6年3月末までの期間:21月(X3年7月−X6年3月)

<ストック・オプションの行使>

ストック・オプションの行使を受け、G社は新株を発行する。

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

現金預金

120,000,000

資本金

132,800,000

新株予約権

12,800,000

 

 

(注)・ 払込金額T:75,000円/株×80個/名×20名=120,000,000円

・行使されたストック・オプションの金額T:8,000円/個×80個/名×20名=12,800,000円

(4) X7年3月期

<人件費の計上>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

4,480,000

新株予約権

4,480,000

(注) U: 8,400円/個×(160×50%)個/名×(75名−6名)×36月/36月−(11,088,000円+15,568,000円+15,232,000円)=4,480,000円

<ストック・オプションの行使>

ストック・オプションの行使を受け、G社は新株を発行する。

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

現金預金

360,000,000

資本金

399,520,000

新株予約権

39,520,000

 

 

(注)

・75,000円/株×払込金額T:80 株/名×25名=150,000,000円

・75,000円/株×払込金額U:80 株/名×35名=210,000,000円

・行使されたストック・オプションの金額T:8,000円/個×80個/名×25名=16,000,000 円

・行使されたストック・オプションの金額U:8,400 円/個×80個/名×35名=23,520,000 円

<新株予約権の失効>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

新株予約権

640,000

新株予約権戻入益

640,000

(注)・失効分T: 8,000円/個×80 個/名×1名=640,000円

(5) X8年3月期

<ストック・オプションの行使>

ストック・オプションの行使を受け、G社は新株を発行する。

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

現金預金

336,000,000

資本金

372,896,000

新株予約権

36,896,000

 

 

(注)

・払込金額T:75,000円/株×80株/名×23名=138,000,000円

・払込金額U:75,000円/株×80株/名×33名=198,000,000円

・行使されたストック・オプションの金額T:8,000円/個×80個/名×23名=14,720,000 円

・行使されたストック・オプションの金額U:8,400円/個×80個/名×33名=22,176,000 円

<新株予約権の失効>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

新株予約権

1,312,000

新株予約権戻入益

1,312,000

(注)

・失効分T: 8,000円/個×80個/名×1名=640,000円

・失効分U: 8,400円/個×80個/名×1名=672,000円

・失効分T+失効分U=640,000円+672,000円=1,312,000円

2. 付与された単位でまとめて取扱う方法

(1) X4年3月期

<人件費の計上>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

21,968,000

新株予約権

21,968,000

(注) {8,000円/個×(160×50%)個/名×(75名−7名)+8,400円/個×(160×50%)個/名×(75名−9名) }×9月/36月=21,968,000円

・付与された単位でまとめて取扱う方法では、最後に権利確定する部分に係る対象勤務期間を用いて、会計処理を行う。

・対象勤務期間:36月(X3年7月−X6年6月)

・ 対象勤務期間のうちX4年3月末までの期間:9月(X3年7月−X4年3月)

(2) X5年3月期

<人件費の計上>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

30,448,000

新株予約権

30,448,000

(注) {8,000円/個×(160×50%)個/名×(75名−6名)+8,400円/個× (160×50%)個/名×(75名−7名)}×21月/36月−21,968,000円=30,448,000円

・対象勤務期間:36月(X3年7月−X6年6月)

・対象勤務期間のうちX5年3月末までの期間:21月(X3年7月−X5年3月)

(3) X6年3月期

<人件費の計上>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

30,538,667

新株予約権

30,538,667

(注) {8,000円/個×(160×50%)個/名×(75名−5名)+8,400円/個×(160×50%)個/名×(75名−7名)}×33月/36月−(21,968,000円+30,448,000 円)=30,538,667 円

・ 対象勤務期間:36月(X3年7月−X6年6月)

・ 対象勤務期間のうちX6年3月末までの期間:33月(X3年7月−X6年3月)

<ストック・オプションの行使>

ストック・オプションの行使を受け、G社は新株を発行する。

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

現金預金

120,000,000

資本金

132,800,000

新株予約権

12,800,000

 

 

(注)

・払込金額T: 75,000円/株×80個/名×20名=120,000,000円

・行使されたストック・オプションの金額T:8,000円/個×80個/名×20名=12,800,000 円

(4) X7年3月期

<人件費の計上>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

8,213,333

新株予約権

8,213,333

(注) {8,000円/個×(160×50%)個/名×(75名−5名)+8,400円/個× (160×50%)個/名×(75名−6名) }×36月/36月−(21,968,000円+30,448,000円+30,538,667円)=8,213,333円

<ストック・オプションの行使>

ストック・オプションの行使を受け、G 社は新株を発行する。

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

現金預金

360,000,000

資本金

399,520,000

新株予約権

39,520,000

 

 

(注)

・払込金額T:75,000円/株×80株/名×25名=150,000,000円

・払込金額U:75,000円/株×80株/名×35名=210,000,000円

・行使されたストック・オプションの金額T:8,000円/個×80個/名×25名=16,000,000 円

・行使されたストック・オプションの金額U:8,400円/個×80個/名×35名=23,520,000 円

<新株予約権の失効>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

新株予約権

640,000

新株予約権戻入益

640,000

(注)

・失効分T: 8,000円/個×80個/名×1名=640,000円

(5) X8年3月期

<ストック・オプションの行使>

ストック・オプションの行使を受け、G社は新株を発行する。

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

現金預金

336,000,000

資本金

372,896,000

新株予約権

36,896,000

 

 

(注)

・払込金額T:75,000円/株×80株/名×23名=138,000,000円

・払込金額U:75,000円/株×80株/名×33名=198,000,000円

・行使されたストック・オプションの金額T:8,000円/個×80個/名×23名=14,720,000 円

・行使されたストック・オプションの金額U:8,400円/個×80個/名×33名=22,176,000 円

<新株予約権の失効>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

新株予約権

1,312,000

新株予約権戻入益

1,312,000

(注)

・失効分T:8,000円/個×80個/名×1名=640,000円

・失効分U:8,400円/個×80個/名×1 名=672,000円

・失効分T+失効分U=640,000円+672,000円=1,312,000円

 

[設例3] ストック・オプションに係る条件変更

[設例3-1] 公正な評価単価に影響を及ぼす条件変更:行使価格の引下げ(条件変更日のストック・オプションの公正な評価単価が、付与日の公正な評価単価を上回る場合)(会計基準第10項(1))

H社は、X3年6月の株主総会において、従業員のうちマネージャー以上の者75名に対して以下の条件のストック・オプションを付与することを決議し、同年7月1日に付与した。

@ ストック・オプションの数:従業員1名当たり160個(合計12,000個)であり、ストック・オプションの一部行使はできないものとする。

A ストック・オプションの行使により与えられる株式の数:合計12,000株

B ストック・オプションの行使時の払込金額:1株当たり75,000円

C ストック・オプションの権利確定日:X5年6月末日

D ストック・オプションの行使期間:X5年7月1日からX7年6月末日

E 付与されたストック・オプションは、他者に譲渡できない。

F 付与日におけるストック・オプションの公正な評価単価は、8,000円/個である。

G H社の株式は全体的な株式相場の下落の影響を受け、ストック・オプションの付与日からX4年3月まで株価は、一度も75,000円を上回らないだけでなく、その間のH社の平均株価は30,000円であり、インセンティブ効果が大幅に失われたと考えられた。

そこで、ストック・オプションの価値を復活させ従業員のインセンティブを高めるために、X4年6月の株主総会において行使時の払込金額を1株当たり75,000円から1株当たり31,000円に行使条件の一部変更を行った。

H 条件変更日におけるストック・オプションの公正な評価単価は、9,000円/個である。

I X5年6月末までに実際に退職したのは、5名であった。

J 年度ごとのストック・オプション数の実績は以下のとおりである。(なお、本設例では、従業員の退職による失効見込みはゼロとする。)

 

 

未行使数

(残数)

失効数

(累計)

行使分

(累計)

摘要

付与時

12,000

 

X4/3月期

11,840

160

退職者1名

X5/3月期

11,520

480

退職者2名

X6/3月期

8,000

800

3,200

X5/4〜6月の退職者2名、行使20名

X7/3月期

4,000

800

7,200

行使25名

X8/3月期

1,120

10,880

行使23名、失効2名

 

K 新株予約権が行使された際、新株を発行する場合には、権利行使に伴う払込金額及び行使された新株予約権の金額の合計額を資本金に計上する。

(1) X4年3月期

<人件費の計上>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

35,520,000

新株予約権

35,520,000

(注) 8,000 円/個×160個/名×(75名−1名)×9月/24月=35,520,000円

・ 対象勤務期間:24月(X3年7月−X5年6月)

・ 対象勤務期間のうちX4年3月末までの期間:9月(X3年7月−X4年3月)

(2) X5年3月期

条件変更日のストック・オプションの公正な評価単価(9,000円/個)は、付与日のストック・オプションの公正な評価単価(8,000円/個)を上回っている。

<人件費の計上>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

53,760,000

新株予約権

53,760,000

(注) 8,000円/個×160個/名×(75名−3名) ×21月/24月−35,520,000円=45,120,000円(付与分)

・付与日からの対象勤務期間:24月(X3年7月−X5年6月)

・付与日からの対象勤務期間のうちX5年3月末までの期間:21月(X3年7月−X5年3月)(9,000円/個−8,000円/個)×160個/名×(75名−3名)×9月/12月=8,640,000円(条件変更による価値増加分)

・条件変更後の対象勤務期間:12月(X4年7月−X5年6月)

・条件変更後の対象勤務期間のうちX5年3月末までの期間:9月(X4年7月−X5年3月)45,120,000円(付与分)+8,640,000円(条件変更による価値増加分)=53,760,000円

(3) X6年3月期

<X5年6月までの人件費の計上>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

11,520,000

新株予約権

11,520,000

(注) 8,000円/個×160個/名×(75名−5名) ×24月/24月−(35,520,000円+45,120,000円) =8,960,000 円(付与分)(9,000円/個−8,000円/個)×160個/名×(75名−5名) ×12月/12月−8,640,000円=2,560,000円(条件変更による価値増加分)8,960,000円(付与分)+2,560,000円(条件変更による価値増加分)=11,520,000 円

<ストック・オプションの行使>

ストック・オプションの行使を受け、H社は新株を発行する。

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

現金預金

99,200,000

資本金

128,000,000

新株予約権

28,800,000

 

 

(注1) 払込金額

31,000 円/株×160 株/名×20 名=99,200,000 円

(注2) 行使されたストック・オプションの金額

9,000 円/個×160 個/名×20 名=28,800,000 円

(4) X7年3月期以後

(以下、省略)

 

[設例3-2] 行使価格の引下げ(条件変更日のストック・オプションの公正な評価単価が、付与日の公正な評価単価を下回る場合)(会計基準第10項(2))

J社は、X3年6月の株主総会において、従業員のうちマネージャー以上の者75名に対して以下の条件のストック・オプションを付与することを決議し、同年7月1日に付与した。

@ ストック・オプションの数:従業員1名当たり160個(合計12,000個)であり、ストック・オプションの一部行使はできないものとする。

A ストック・オプションの行使により与えられる株式の数:合計12,000株

B ストック・オプションの行使時の払込金額:1株当たり75,000円

C ストック・オプションの権利確定日:X5年6月末日

D ストック・オプションの行使期間:X5年7月1日からX7年6月末日

E 付与されたストック・オプションは、他者に譲渡できない。

F 付与日におけるストック・オプションの公正な評価単価は、8,000円/個である。

G J社の株式は全体的な株式相場の下落の影響を受け、ストック・オプションの付与日からX4年3月まで株価は、一度も75,000円を上回らないだけでなく、その間のJ社の平均株価は45,000円であり、インセンティブ効果が大幅に失われたと考えられた。

そこで、ストック・オプションの価値を復活させ従業員のインセンティブを高めるために、X4年6月の株主総会において行使時の払込金額を1株当たり75,000円から1株当たり52,000円に行使条件の一部変更を行った。

H 条件変更日(条件変更の直後)におけるストック・オプションの公正な評価単価は、5,000円/個である。

I X5年6月末までに実際に退職したのは、5名であった。

J 年度ごとのストック・オプション数の実績は以下のとおりである。(なお、本設例では、従業員の退職による失効見込みはゼロとする。)

 

 

未行使数

(残数)

失効数

(累計)

行使分

(累計)

摘要

付与時

12,000

 

X4/3月期

11,840

160

退職者1名

X5/3月期

11,520

480

退職者2名

X6/3月期

8,000

800

3,200

X5/4〜6月の退職者2名、行使20名

X7/3月期

4,000

800

7,200

行使25名

X8/3月期

1,120

10,880

行使23名、失効2名

 

K 新株予約権が行使された際、新株を発行する場合には、権利行使に伴う払込金額及び行使された新株予約権の金額の合計額を資本金に計上する。

(1) X4年3月期

<人件費の計上>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

35,520,000

新株予約権

35,520,000

(注) 8,000円/個×160個/名(75名−1名)×9月/24月×=35,520,000円

・対象勤務期間:24月(X3年7月−X5年6月)

・対象勤務期間のうちX4年3月末までの期間:9月(X3年7月−X4年3月)

(2) X5年3月期

条件変更日のストック・オプションの公正な評価単価(5,000円/個)が、付与日のストック・オプションの公正な評価単価(8,000円/個)を下回るので、付与日の公正な評価単価(下限)に基づく費用配分計算を継続する。

<人件費の計上>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

45,120,000

新株予約権

45,120,000

(注) 8,000円/個×160個/名×(75名−3名)×21月/24月−35,520,000円=45,120,000円

・対象勤務期間:24月(X3年7月−X5年6月)

・対象勤務期間のうちX5年3月末までの期間:21月(X3年7月−X5年3月)

(3) X6年3月期

<X5年6月までの人件費の計上>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

8,960,000

新株予約権

8,960,000

(注) 8,000円/個×160個/名×(75名−5名)×24月/24月−(35,520,000円+45,120,000円)=8,960,000円(付与日の公正な評価単価(下限)に基づく計算)

<ストック・オプションの行使>

ストック・オプションの行使を受け、J 社は新株を発行する。

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

現金預金

166,400,000

資本金

192,000,000

新株予約権

25,600,000

 

 

(注1) 払込金額

52,000円/株×160株/名×20名=166,400,000円

(注2) 行使されたストック・オプションの金額

8,000円/個×160個/名×20名=25,600,000円

(4) X7年3月期以後

(以下、省略)

 

[設例3-3] ストック・オプション数を変動させる条件変更(会計基準第11 項及び適用指針第19項(2))

K社は、X3年6月の株主総会において、取締役11名及び従業員14名に対して以下の条件の新株予約権を付与することを決議し、同年7月1日に付与した。

@ 新株予約権の数:(取締役)200個/名×11名+(従業員)160個/名×14名=4,440個

A 新株予約権の行使により与えられる株式の数:合計4,440株

B 新株予約権の行使時の払込金額:1株当たり75,000円

C 権利確定のためには、以下の条件をともに達成した場合である。いったん権利確定した場合、権利行使期間末日(X8年3月末日)まで、無条件に行使可能である。

・勤務条件:X3年7月1日からX6年6月末日まで在籍すること(3年間)

・業績条件:行使する会計期間の直前会計期間の利益がX3年3月期の利益に比して110%以上である場合のみ新株予約権の行使が各会計年度の7月1日以降に認められる。

D 業績条件を達成できると見込まれるのは、X6年3月期である。

E 付与日における新株予約権の公正な評価単価は、8,000円/個である。

F 本設例においては、各会計期間における人件費の計算に際して、従業員の退職による失効見込みは、ゼロとする。

図は省略してある。

 

(1) X4年3月期

当会計期間において対象者のうち、退職した者はいない。また、業績条件の達成見込みも付与時と変わっていない。この前提条件下では、勤務条件の達成時期の方が遅いと見込まれるので、勤務条件月数で費用配分する。

<人件費の計上>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

8,880,000

新株予約権

8,880,000

(注)8,000円/個×(200個×11名+160個×14名) ×9月/36月=8,880,000円

・対象勤務期間:36月(X3年7月−X6年6月)

・対象勤務期間のうちX4年3月末までの期間:9月(X3年7月−X4年3月)

(2) X5年3月期

当会計期間において対象者のうち退職した者はいない。なお、当期末において、業績条件の達成可能性がないと見込まれた。その結果、X4年3月期に計上された費用を戻し入れた。

<過年度人件費の戻入>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

新株予約権

8,880,000

株式報酬費用

8,880,000

 

(3) X6年3月期

上記のとおり、権利確定条件の達成の可能性はないと見込まれたため、当該ストック・オプションは、インセンティブ効果が失われたと考えられた。そこで、取締役及び従業員のインセンティブを高めるために、X5年6月の株主総会において、権利確定条件を直前会計期間の利益がX3/3期比 105%以上であることに変更した。X5年6月時点において条件変更後の業績条件の達成見込みはX6年3月期である。この前提条件下では、勤務条件の達成時期の方が業績条件の達成時期より遅いと見込まれるので、勤務条件月数で費用配分する。

当会計期間の利益実績は、X3年3月期比で107%であったため、業績条件は達成された。

当会計期間において対象者のうち、退職した者はいない。

当初条件による費用とともに、ストック・オプション数の変動に基づく費用を、条件変更後の費用配分期間の条件変更日以降の残存期間にわたって期間配分する。

<人件費の計上>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

26,640,000

新株予約権

26,640,000

(注) (8,000円/個×(200個×11名+160個×14名)−0円)×9月/12月=26,640,000円

・条件変更後の対象勤務期間:12月(X5年7月−X6年6月)

・条件変更後の対象勤務期間のうちX6年3月末までの期間:9月(X5年7月−X6年3月)

(4) X7年3月期

<人件費の計上>

X6年6月までに退職した取締役、従業員はいない。3か月間の人件費を計上する。

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

8,880,000

新株予約権

8,880,000

(注) 8,000円/個×(200個×11名+160個×14名)×12月/12月−26,640,000円=8,880,000円

(以下、省略)

 

[設例3-4] 費用の合理的な計上期間を変動させる条件変更(会計基準第12項及び第59項)

L社は、X3年6月の株主総会において、従業員のうちマネージャー以上の者75名に対して以下の条件のストック・オプションを付与することを決議し、同年7月1日に付与した。

@ ストック・オプションの数:従業員1名当たり160個(合計12,000個)であり、ストック・オプションの一部行使はできないものとする。

A ストック・オプションの行使により与えられる株式の数:合計12,000株

B ストック・オプションの行使時の払込金額:1株当たり75,000円

C ストック・オプションの権利確定日:X5年6月末日

D ストック・オプションの行使期間:X5年7月1日からX7年6月末日

E 付与されたストック・オプションは、他者に譲渡できない。

F 付与日におけるストック・オプションの公正な評価単価は、8,000円/個である。

G L社の株式は全体的な株式相場の下落の影響を受け、ストック・オプションの付与日からX4年3月まで株価は、一度も75,000円を上回らないだけでなく、その間のL社の平均株価は30,000円であり、インセンティブ効果が大幅に失われたと考えられた。

そこで、ストック・オプションの価値を復活させ、従業員のインセンティブを高めるために、X4年6月の株主総会において行使時の払込金額を1株当たり75,000円から1株当たり31,000円に行使条件の一部変更を行った。加えて、ストック・オプションの権利確定日をX6年6月末日に延長し、ストック・オプションの行使期間をX6年7月1日からX8年6月末日までに変更した。

H 条件変更日(条件変更の直後)におけるストック・オプションの公正な評価単価は、9,200円/個である。

I 年度ごとのストック・オプション数の実績は以下のとおりである。(なお、本設例においては、従業員の退職による失効見込みはゼロとする。)

 

 

未行使数

(残数)

失効数

(累計)

行使分

(累計)

摘要

付与時

12,000

 

X4/3期

11,840

160

退職者1名

X5/3期

11,520

480

X4/7〜X5/3月の退職者2名

X6/3期

11,520

480

退職者なし

X7/3期

8,000

800

3,200

X6/4〜6月の退職者2名、行使20名

X8/3期

4,000

800

7,200

行使25名

X9/3期

1,120

10,880

行使23名、失効2名

 

J 新株予約権が行使された際、新株を発行する場合には、権利行使に伴う払込金額及び行使された新株予約権の金額の合計額を資本金に計上する。

(1) X4年3月期

<人件費の計上>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

35,520,000

新株予約権

35,520,000

(注) 8,000円/個×160個/名×(75名−1名) ×9月/24月=35,520,000円

・対象勤務期間:24月(X3年7月−X5年6月)

・対象勤務期間のうちX4年3月末までの期間:9月(X3年7月−X4年3月)

(2) X5年3月期

条件変更日のストック・オプションの公正な評価単価(9,200円/個)は、付与日のストック・オプションの公正な評価単価(8,000円/個)を上回っている。

当初条件による費用とともに、権利不確定による失効の見込数の変動数に基づく費用を、条件変更後の費用配分期間の条件変更日以降の残存期間にわたって期間配分する。

<人件費の計上>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

33,824,000

新株予約権

33,824,000

(注) 8,000円/個×160個/名×(75名−1名)×12月/24月−35,520,000円=11,840,000円(付与分条件変更前)

・当初の対象勤務期間:24月(X3年7月−X5年6月)

・当初の対象勤務期間のうち条件変更日までの期間:12月(X3年7月−X4年6月)(8,000円/個×160個/名×(75名−3名)−35,520,000円−11,840,000円)×9月/24月=16,800,000 円(付与分条件変更後)

(9,200円/個−8,000円/個)×160個/名×(75名−3名)×9月/24月=5,184,000 円(条件変更による価値増加分)

・条件変更日からの対象勤務期間:24月(X4年7月−X6年6月)

・条件変更日からの対象勤務期間のうちX5年3月末までの期間:9月(X4年7月−X5年3月)11,840,000円(付与分条件変更前)+16,800,000円(付与分条件変更後)+ 5,184,000円 (条件変更による価値増加分)=33,824,000円

(3) X6年3月期

当初条件による費用とともに、権利不確定による失効の見込数の変動数に基づく費用を、条件変更後の費用配分期間の条件変更日以降の残存期間にわたって期間配分する。

<人件費の計上>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

29,312,000

新株予約権

29,312,000

(注) (8,000円/個×160個/名×(75名−3名)−35,520,000円−11,840,000円)×21月/24月−16,800,000円=22,400,000円(付与分)

(9,200円/個−8,000円/個)×160個/名×(75名−3名) ×21月/24月−5,184,000円=6,912,000円(条件変更による価値増加分)

・ 条件変更日からの対象勤務期間:24月(X4年7月−X6年6月)

・ 条件変更日からの対象勤務期間のうちX6年3月末までの期間:21月(X4年7月−X6年3月)22,400,000 円(付与分)+6,912,000円(条件変更による価値増加分)=29,312,000円

(4) X7年3月期

<X6年6月までの人件費計上>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

4,384,000

新株予約権

4,384,000

(注) (8,000円/個×160個/名×(75名−5名)−35,520,000円−11,840,000円)×24月/24月−16,800,000円−22,400,000円=3,040,000円(付与分)

(9,200円/個−8,000円/個)×160個/名×(75名−5名)×24月/24月−5,184,000円−6,912,000円=1,344,000円(条件変更による価値増加分)

3,040,000円(付与分)+1,344,000円(条件変更による価値増加分)=4,384,000 円

<ストック・オプションの行使>

ストック・オプションの行使を受け、L 社は新株を発行する。

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

現金預金

99,200,000

資本金

128,640,000

新株予約権

29,440,000

 

 

(注1) 払込金額

31,000円/株×160株/名×20名=99,200,000円

(注2) 行使されたストック・オプションの金額

9,200円/個×160個/名×20名=29,440,000円

(5) X8年3月期以後

(以下、省略)

 

[設例4] 未公開企業における取扱い(会計基準第13項及び第16項(5))

M社は、X3年6月の株主総会において、従業員のうちマネージャー以上の者15名に対して以下の条件のストック・オプション(新株予約権)を付与することを決議し、同年7月1日に付与した。

@ ストック・オプションの数:従業員1名当たり160個(合計2,400個)であり、ストック・オプションの一部行使はできないものとする。

A ストック・オプションの行使により与えられる株式の数:合計2,400株

B ストック・オプションの行使時の払込金額: 1 株当たり75,000円

C ストック・オプションの行使期間:X5年7月1日からX7年3月末日

D 実際に株式が公開されたのは、予定どおりX5年7月であった。

E 付与されたストック・オプションは、他者に譲渡できない。

F 付与日におけるストック・オプションの公正な評価単価を合理的に見積ることができないことから、単位当たりの本源的価値の見積りに基づいて会計処理を行う。

G 割引キャッシュ・フロー法により算定されたM社株式の評価額は、付与時において50,000円/株、X4年3月期で70,000円/株、X5年3月期で120,000円/株である。

H 株式公開後の株価は、以下のとおりである。

・ X6/3期:行使時135,000円/株、期末130,000円/株

・ X7/3期:行使時140,000円/株、期末150,000円/株

I X3年7月のストック・オプション付与時点における権利不確定による失効見込みは、ゼロであり、実際にX5年6月末までに権利不確定により失効したのは、1名であった。

J 年度ごとのストック・オプション数の実績は以下のとおりである。

 

 

未行使数

(残数)

失効数

(累計)

行使分

(累計)

摘要

付与時

2,400

 

X4/3期

2,400

 

X5/3期

2,400

 

X6/3期

640

160

1,600

権利不確定による執行者1名、

行使10名

X7/3期

320

2,080

行使3名、

権利不行使による失効1名

 

K 新株予約権が行使された際、新株を発行する場合には、権利行使に伴う払込金額及び行使された新株予約権の金額の合計額を資本金に計上する。

(1) X4年3月期

【会計処理】

<人件費の計上>

仕訳なし

(注)行使価格(75,000円)が割引キャッシュ・フロー法により算定された株式の評価額(50,000円)を上回っていることから、付与時の単位当たりの本源的価値は、0である。

【注記】

ストック・オプションの単位当たりの本源的価値による会計処理を行う場合に求められる注記

・期末におけるストック・オプションの本源的価値合計額 0

⇒(期末におけるM 社株式の評価額70,000円/個−行使価格75,000円/個)×2,400個<0

(2) X5年3月期

【会計処理】

<人件費の計上>

仕訳なし

(注)付与時の単位当たりの本源的価値が0であるため。

【注記】

・期末におけるストック・オプションの本源的価値合計額 108,000,000円

⇒(期末におけるM 社株式の評価額120,000円/個−行使価格75,000円/個)×2,400個=108,000,000 円

(3) X6年3月期

【会計処理】

<人件費の計上>

仕訳なし

(注)付与時の単位当たりの本源的価値が0であるため。

<ストック・オプションの行使:新株を発行する場合>

ストック・オプションの行使を受け、M 社は新株を発行する。

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

現金預金

120,000,000

資本金

120,000,000

(注1) 払込金額

75,000円/株×160株/名×10名=120,000,000円

(注2) 行使されたストック・オプションの金額

付与時単位当たり本源的価値が0であるため、0。

【注記】

・期末におけるストック・オプションの本源的価値合計額 35,200,000円

⇒(期末におけるM 社株式時価130,000円/個−行使価格75,000円/個)×640個=35,200,000 円

・当期中に権利行使されたストック・オプションの権利行使日における本源的価値の合計額 96,000,000円

⇒(行使時M社株式時価135,000円/個−行使価格75,000円/個)×1,600個=96,000,000円

(4) X7年3月期

【会計処理】

<ストック・オプションの行使>

ストック・オプションの行使を受け、M 社は新株を発行する。

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

現金預金

36,000,000

資本金

36,000,000

(注1) 払込金額

75,000円/株×160株/名×3名=36,000,000円

(注2) 行使されたストック・オプションの金額

付与時単位当たり本源的価値が0であるため、0。

<権利行使期間満了による失効分を利益に振替>

新株予約権のうち、権利行使期間中に権利行使されなかった(権利不行使による失効)分については、新株予約権戻入益として利益に計上する。

仕訳なし

(注) 付与時単位当たり本源的価値が0であるため。

【注記】

・当期中に権利行使されたストック・オプションの権利行使日における本源的価値の合計額 31,200,000 円

⇒(行使時M社株式時価140,000円/個−行使価格75,000円/個)×480個=31,200,000円

 

[設例5]親会社が自社株式オプションを子会社の従業員等に付与する場合

[設例5-1]子会社の従業員等に対する親会社株式オプションの付与が、子会社の報酬としては位置付けられていない場合(第22項(1)及び(3))

P1社は、X3年6月の株主総会において、子会社S1社の役員及び従業員のうちマネージャー以上の者75名に対して以下の条件のストック・オプション(新株予約権)を付与することを決議し、同年7月1日に付与した。

@ ストック・オプションの数:従業員1名当たり160個(合計12,000個)であり、ストック・オプションの一部行使はできないものとする。

A ストック・オプションの行使により与えられる株式の数:合計12,000株

B ストック・オプションの行使時の払込金額:1株当たり75,000円

C ストック・オプションの権利確定日:X5年6月末日

D ストック・オプションの行使期間:X5年7月1日からX7年6月末日

E 付与されたストック・オプションは、他者に譲渡できない。

F 付与日におけるストック・オプションの公正な評価単価は、8,000円/個である。

G X3年6月のストック・オプション付与時点において、X5年6月末までに7名の退職による失効を見込んでいる。

H X5年6月末までに実際に退職したのは、5名であった。

I 年度ごとのストック・オプション数の実績は以下のとおりである。

 

 

未行使数

(残数)

失効数

(累計)

行使分

(累計)

摘要

付与時

12,000

 

X4/3月期

11,840

160

退職者1名

X5/3月期

11,520

480

退職者2名

X6/3月期

8,000

800

3,200

X5/4〜6月の退職者2名、行使20名

X7/3月期

4,000

800

7,200

行使25名

X8/3月期

1,120

10,880

行使23名、失効2名

 

J 新株予約権が行使された際、新株を発行する場合には、権利行使に伴う払込金額及び行使された新株予約権の金額の合計額を資本金に計上する。

(1) X4年3月期

<人件費の計上>

〔P1社個別〕

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

32,640,000

新株予約権

32,640,000

 

〔S1社個別〕

仕訳なし

〔P1社連結修正仕訳〕

仕訳なし

(注)8,000円/個×160個/名×(75名−7名)×9月/24 月=32,640,000円

・期末時点において、将来の失効見込みを修正する必要はないと想定している。

・対象勤務期間:24月(X3年7月−X5年6月)

・対象勤務期間のうちX4年3月末までの期間:9月(X3年7月−X4年3月)

(2) X5年3月期

<人件費の計上>

〔P1社個別〕

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

44,640,000

新株予約権

44,640,000

 

〔S1社個別〕

仕訳なし

〔P1社連結修正仕訳〕

仕訳なし

(注)8,000円/個×160個/名×(75名−6名)×21月/24月−32,640,000円=44,640,000円

・期末時点において、将来の累計失効見込みを6名に修正した。

・対象勤務期間:24月(X3年7月−X5年6月)

・対象勤務期間のうちX5年3月末までの期間:21月(X3年7月−X5年3月)

(3) X6年3月期

<人件費の計上>

〔P1社個別〕

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

12,320,000

新株予約権

12,320,000

 

〔S1社個別〕

仕訳なし

〔P1社連結修正仕訳〕

仕訳なし

(注)8,000円/個×160個/名×(75名−5名)×24月/24月−(32,640,000円+44,640,000円)=12,320,000円

<ストック・オプションの行使>

ストック・オプションの行使を受け、1社は新株を発行する。〔P1社個別〕

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

現金預金

240,000,000

資本金

265,600,000

新株予約権

25,600,000

 

 

 

〔S1社個別〕

仕訳なし

〔P1社連結修正仕訳〕

仕訳なし

(注1) 払込金額

75,000円/株×160株/名×20名=240,000,000円

(注2) 行使されたストック・オプションの金額

8,000円/個×160個/名×20名=25,600,000円

(4) X7年3月期

ストック・オプションの行使を受け、P1社は新株を発行する。

<ストック・オプションの行使>

〔P1社個別〕

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

現金預金

300,000,000

資本金

332,000,000

新株予約権

32,000,000

 

 

 

〔S1社個別〕

仕訳なし

〔P1社連結修正仕訳〕

仕訳なし

(注1) 払込金額

75,000円/株×160株/名×25名=300,000,000円

(注2) 行使されたストック・オプションの金額

8,000円/個×160個/名×25名=32,000,000円

(5) X8年3月期

<ストック・オプションの行使>

ストック・オプションの行使を受け、P1社は新株を発行する。

〔P1 社個別〕

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

現金預金

276,000,000

資本金

305,440,000

新株予約権

29,440,000

 

 

 

〔S1社個別〕

仕訳なし

〔P1社連結修正仕訳〕

仕訳なし

(注1) 払込金額

75,000円/株×160株/名×23名=276,000,000円

(注2) 行使されたストック・オプションの金額

8,000円/個×160個/名×23名=29,440,000円

<権利行使期間満了による新株予約権の失効>

新株予約権のうち、権利行使期間中に権利行使されなかった(権利不行使による失効)分については、新株予約権戻入益として利益に計上する。

〔P1社個別〕

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

新株予約権

2,560,000

新株予約権戻入益

2,560,000

 

〔S1社個別〕

仕訳なし

〔P1社連結修正仕訳〕

仕訳なし

(注)8,000円/個×160個/名×2名=2,560,000円

 

[設例5-2]子会社の従業員等に対する親会社株式オプションの付与が、子会社の報酬として位置付けられている場合(第22項(1)及び(2))

P2社は、X3年6月の株主総会において、子会社S2社の役員及び従業員のうちマネージャー以上の者75名に対して以下の条件のストック・オプション(新株予約権)を付与することを決議し、同年7月1日に付与した。

@ ストック・オプションの数:従業員1名当たり160個(合計12,000個)であり、ストック・オプションの一部行使はできないものとする。

A ストック・オプションの行使により与えられる株式の数:合計12,000株

B ストック・オプションの行使時の払込金額:1株当たり75,000円

C ストック・オプションの権利確定日:X5年6月末日

D ストック・オプションの行使期間:X5年7月1日からX7年6月末日

E 付与されたストック・オプションは、他者に譲渡できない。

F 付与日におけるストック・オプションの公正な評価単価は、8,000円/個である。

G X3年6月のストック・オプション付与時点において、X5年6月末までに7名の退職による失効を見込んでいる。

H X5年6月末までに実際に退職したのは、5名であった。

I 年度ごとのストック・オプション数の実績は以下のとおりである。

 

 

未行使数

(残数)

失効数

(累計)

行使分

(累計)

摘要

付与時

12,000

 

X4/3月期

11,840

160

退職者1名

X5/3月期

11,520

480

退職者2名

X6/3月期

8,000

800

3,200

X5/4〜6月の退職者2名、行使20名

X7/3月期

4,000

800

7,200

行使25名

X8/3月期

1,120

10,880

行使23名、失効2名

 

J 新株予約権が行使された際、新株を発行する場合には、権利行使に伴う払込金額及び行使された新株予約権の金額の合計額を資本金に計上する。

(1) X4年3月期

〔P2社個別〕

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

32,640,000

新株予約権

32,640,000

 

〔S2社個別〕

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

給料手当

32,640,000

株式報酬受入益

32,640,000

 

〔P2社連結修正仕訳〕

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬受入益

32,640,000

給料手当

32,640,000

(注)8,000円/個×160個/名×(75名−7名)×9月/24月=32,640,000円

・期末時点において、将来の失効見込みを修正する必要はないと想定している。

・対象勤務期間:24月(X3年7月−X5年6月)

・対象勤務期間のうちX4年3月末までの期間:9月(X3年7月−X4年3月)

(2) X5年3月期

<人件費の計上>

〔P2社個別〕

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

44,640,000

新株予約権

44,640,000

 

〔S2社個別〕

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

給料手当

44,640,000

株式報酬受入益

44,640,000

 

〔P2社連結修正仕訳〕

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬受入益

44,640,000

給料手当

44,640,000

(注)8,000円/個×160個/名×(75名−6名)×21月/24月−32,640,000円=44,640,000円

・期末時点において、将来の累計失効見込みを6名に修正した。

・対象勤務期間:24月(X3年7月−X5年6月)

・対象勤務期間のうちX5年3月末までの期間:21月(X3年7月−X5年3月)

(3) X6年3月期

<人件費の計上>

〔P2社個別〕

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬費用

12,320,000

新株予約権

12,320,000

 

〔S2社個別〕

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

給料手当

12,320,000

株式報酬受入益

12,320,000

 

〔 P2社連結修正仕訳〕

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

株式報酬受入益

12,320,000

給料手当

12,320,000

(注)8,000円/個×160個/名×(75名−5名)×24月/24月−(32,640,000円+44,640,000円)=12,320,000円

<ストック・オプションの行使>

ストック・オプションの行使を受け、P2 社は新株を発行する。

〔 P2社個別〕

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

現金預金

240,000,000

資本金

265,600,000

新株予約権

25,600,000

 

 

 

〔 S2社個別〕

仕訳なし

〔 P2社連結修正仕訳〕

仕訳なし

(注1) 払込金額

75,000円/株×160株/名×20名=240,000,000円

(注2) 行使されたストック・オプションの金額

8,000円/個×160個/名×20名=25,600,000円

(4) X7年3月期

ストック・オプションの行使を受け、P2社は新株を発行する。

<ストック・オプションの行使>

〔 P2社個別〕

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

現金預金

300,000,000

資本金

332,000,000

新株予約権

32,000,000

 

 

 

〔S2 社個別〕

仕訳なし

〔P2 社連結修正仕訳〕

仕訳なし

(注1) 払込金額

75,000円/株×160株/名×25名=300,000,000円

(注2) 行使されたストック・オプションの金額

8,000円/個×160個/名×25名=32,000,000円

(5) X8年3月期

<ストック・オプションの行使>

ストック・オプションの行使を受け、P2 社は新株を発行する。

〔 P2社個別〕

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

現金預金

276,000,000

資本金

305,440,000

新株予約権

29,440,000

 

 

 

〔S2 社個別〕

仕訳なし

〔P2 社連結修正仕訳〕

仕訳なし

(注1) 払込金額

75,000円/株×160株/名×23名=276,000,000円

(注2) 行使されたストック・オプションの金額

8,000円/個×160個/名×23名=29,440,000円

<権利行使期間満了による新株予約権の失効>

新株予約権のうち、権利行使期間中に権利行使されなかった(権利不行使による失効)分については、新株予約権戻入益として利益に計上する。

〔 P2社個別〕

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

新株予約権

2,560,000

新株予約権戻入益

2,560,000

 

〔S2社個別〕

仕訳なし

〔P2社連結修正仕訳〕

仕訳なし

(注) 8,000円/個×160個/名×2名=2,560,000円

 

[設例6] 財貨又はサービスの取得の対価として、自社株式オプション又は自社の株式を用いる取引

[設例6-1] 財貨等の公正な評価額の方が、自社株式オプションの公正な評価額より高い信頼性をもって測定可能な場合(第23項(2))

N社は、X3年5月、翌月の株主総会において新株予約権の付与決議が可決されることを条件として、購入対価を新株予約権として機械装置の購入契約を締結した。同年6月の株主総会では議案のとおり可決された。同年7月1日、機械装置はN社に引き渡され、N社は新株予約権を付与した。

@ 機械装置の購入契約締結日における時価は、5,000,000円であることが調査により判明している。

A 付与された新株予約権の数:650個

B 新株予約権の行使により与えられる株式の数:650株

C 新株予約権の払込金額:1株当たり75,000円

D 新株予約権の行使期間:X3年7月1日からX5年3月末日

E 付与日における新株予約権の公正な評価単価:8,000円/個

F 新株予約権は、X4年10月にすべて行使された。

G 新株予約権が行使された際、新株を発行する場合には、全額資本金に計上する。

(1)X4年3月期

<機械装置の購入>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

機械装置

5,000,000

新株予約権

5,000,000

(注) 機械装置の取得価額は購入契約締結日の時価で測定する。

(2) X5年3月期

<自社株式オプションの行使>

自社株式オプションの行使を受け、N社は新株を発行する。

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

現金預金

48,750,000

資本金

53,750,000

新株予約権

5,000,000

 

 

(注) 払込金額

75,000円/個×650個=48,750,000円

 

[設例6-2] 自社株式オプションの公正な評価額の方が、財貨等の公正な評価額より高い信頼性をもって測定可能な場合(第23項(2))

Q社は、X3年5月、翌月の株主総会において新株予約権の付与決議が可決されることを条件として、報酬対価を新株予約権としたコンサルティング契約(契約期間:X3年6月末日まで)を締結した。同年6月の株主総会では議案のとおり可決され、同年7月1日、Q社は新株予約権を付与した。

@ 当該コンサルティング契約は特殊なものであるため、参考となる取引価額はない。

A 付与された新株予約権の数:650個

B 新株予約権の行使により与えられる株式の数:650株

C 新株予約権の払込金額:1株当たり75,000円

D 新株予約権の行使期間:X3年7月1日からX5年3月末日

E 契約締結日における新株予約権の公正な評価単価:8,000円/個

F 付与日における新株予約権の公正な評価単価:8,200円/個

G 新株予約権は、X4年10月にすべて行使された。

H 新株予約権が行使された際、新株を発行する場合には、権利行使に伴う払込金額及び行使された新株予約権の金額の合計額を資本金に計上する。

(1) X4年3月期

<業務委託費の計上>

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

支払報酬

5,200,000

新株予約権

5,200,000

(注) 契約締結日の新株予約権の公正な評価単価8,000円/個×650個=5,200,000円

(2) X5年3月期

<自社株式オプションの行使>

自社株式オプションの行使を受け、Q社は新株を発行する。

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

現金預金

48,750,000

資本金

53,950,000

新株予約権

5,200,000

 

 

(注) 払込金額

75,000円/個×650個=48,750,000円

 

[設例6-3] 未公開企業において、財貨又はサービスの取得の対価として自己株式を用いる場合(第23項(4))

R社は、X3年5月、翌月の株主総会において自己株式の処分の決議を前提として、購入対価を自己株式とした機械装置の購入契約を締結した。同年6月の株主総会は、議案のとおり可決され、同年7月1日、機械装置は、R社に引き渡され、R社は自己株式を処分した。

@ 機械装置の購入契約締結日における時価は、5,000,000円であることが調査により判明している。

A 処分する自己株式数:80株

B R社株式の公正な評価額を、信頼性をもって見積ることはできない。

C 自己株式の帳簿価額は、60,000円/株である。

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

機械装置

5,000,000

自己株式

4,800,000

 

 

自己株式処分差益

200,000

(注) 機械装置の取得価額は購入契約締結日の時価で測定する。

 

参考(注記例)

ストック・オプション等に関する開示(X5年3月期)

1.ストック・オプションの内容、規模及びその変動状況

(1)ストック・オプションの内容

 

 

X0年ストック・オプション

X2年ストック・オプション

X4年ストック・オプション

付与対象者の区分数及び数

当社の取締役18名

当社の取締役17名

当社の取締役17名

ストック・オプション数(*)

普通株式 100,000株

普通株式 90,000株

普通株式 90,000株

付与日

X0年7月1日

X2年7月1日

X4年7月1日

権利確定条件

付与日(X0年7月1日)以降、権利確定日(X2年6月30日)まで継続して勤務していること。

付与日(X2年7月1日)以降、権利確定日(X4年6月30日)まで継続して勤務していること。

付与日(X4年7月1日)以降、権利確定日(X6年6月30日)まで継続して勤務していること。

対象勤務期間

2年間(自X0年7月1日至X2年6月30日)

2年間(自X2年7月1日至X4年6月30日)

2年間(自X4年7月1日至X6年6月30日)

権利行使期間

権利確定後3年以内。ただし、権利確定後退職した場合は、退職日より6ヶ月以内まで行使可。

同左

同左

* 株式数に換算して記載している。

(2)ストック・オプションの規模及びその変動状況

当連結会計年度(X5年3月期)において存在したストック・オプションを対象とし、ストック・オプションの数については、株式数に換算して記載している。

 

契約ごとに記載する場合

@ストック・オプションの数

(単位:株)

 

X0年ストック・オプション

X2年ストック・オプション

X4年ストック・オプション

権利確定前

期首

付与

失効

権利確定

未確定残

権利確定後

期首

権利確定

権利行使

失効

未行使残

 

 

60,000

20,000

40,000

 

89,000

2,000

87,000

 

87,000

25,000

62,000

 

90,000

90,000

 

 

A単価情報

(単位:円)

権利行使価格

4,300

4,500

4,700

行使時平均株価

4,600

4,600

公正な評価単価

(付与日)

200

250

300

 

複数の契約を集約して記載する場合

@ストック・オプションの数

(単位:株)

権利確定前

期首

付与

失効

権利確定

未確定残

権利確定後

期首

権利確定

権利行使

失効

未行使残

 

89,000

90,000

2,000

87,000

90,000

 

60,000

87,000

45,000

102,000

 

 

 

 

A単価情報

(単位:円)

権利行使価格

4,411

4,552

行使時平均株価

4,600

公正な評価単価

(付与日)

228

263

 

 

2.ストック・オプションの公正な評価単価の見積方法

当連結会計年度において付与されたX4 年ストック・オプションについての公正な評価単価の見積方法は以下のとおりである。

@ 使用した評価技法   ブラック・ショールズ式

   

 

X4年ストック・オプション

株価変動性(*1)

30%

予想残存期間(*2)

3年6ヶ月

予想配当(*3)

5円/株

無リスク利子率(*4)

0.62%

 

 

A 主な基礎数値及び見積方法

*1. 3年6か月間(X1年1月からX4年6月まで)の株価実績に基づき算定した。

*2.十分なデータの蓄積がなく、合理的な見積りが困難であるため、権利行使期間の中間点において行使されるものと推定して見積っている。

*3.X4年3月期の配当実績による。

*4.予想残存期間に対応する期間に対応する国債の利回りである。

3.ストック・オプションの権利確定数の見積方法

基本的には、将来の失効数の合理的な見積りは困難であるため、実績の失効数のみ反映させる方法を採用している。

4.連結財務諸表への影響額

ストック・オプション制度による株式報酬費用 XXX 百万円

以 上


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