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|会計基準|注記結論の背景目次

 

(注)本会計基準は、企業会計基準委員会が公表した「企業結合に関する会計基準」から「目的」及び「会計基準」の部分を抜粋したものです。「結論の背景」は別に記載してあります。

なお、記載を省略した部分があります。実務への適用にあたっては、念のためオリジナルの当該会計基準等を確認してください。

企業会計基準第21号

企業結合に関する会計基準

(目的・会計基準)

平成15年10月31日

企業会計審議会

改正平成20年12月26日

企業会計基準委員会

目次

目的

会計基準

範囲

用語の定義

取得の会計処理

取得企業の決定方法

取得原価の算定

取得原価の配分方法

のれんの会計処理

負ののれんの会計処理

逆取得における個別財務諸表上の会計処理

共同支配企業の形成の会計処理

共同支配企業の形成の判定

共同支配企業の形成の会計処理

共通支配下の取引等の会計処理

共通支配下の取引

少数株主との取引

開示

のれんの表示

負ののれんの表示

注記事項

適用時期等

議決

結論の背景は別に記載してあります。


目的

1. 本会計基準は、企業結合に関する会計処理及び開示を定めることを目的とする。

2. 本会計基準の適用にあたっては、企業会計基準適用指針第10号「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」も参照する必要がある。

会計基準

範囲

3. 企業結合に該当する取引には、共同支配企業の形成及び共通支配下の取引も含め本会計基準を適用する。

用語の定義

4. 「企業」とは、会社及び会社に準ずる事業体をいい、会社、組合その他これらに準ずる事業体(外国におけるこれらに相当するものを含む。)を指す。

5. 「企業結合」とは、ある企業又はある企業を構成する事業と他の企業又は他の企業を構成する事業とが1つの報告単位に統合されることをいう。なお、複数の取引が1つの企業結合を構成している場合には、それらを一体として取り扱う。

6. 「事業」とは、企業活動を行うために組織化され、有機的一体として機能する経営資源をいう。

7. 「支配」とは、ある企業又は企業を構成する事業の活動から便益を享受するために、その企業又は事業の財務及び経営方針を左右する能力を有していることをいう。

8. 「共同支配」とは、複数の独立した企業が契約等に基づき、ある企業を共同で支配することをいう。

9. 「取得」とは、ある企業が他の企業又は企業を構成する事業に対する支配を獲得することをいう。

10. 「取得企業」とは、ある企業又は企業を構成する事業を取得する企業をいい、当該取得される企業を「被取得企業」という。

11. 「共同支配企業」とは、複数の独立した企業により共同で支配される企業をいい、「共同支配企業の形成」とは、複数の独立した企業が契約等に基づき、当該共同支配企業を形成する企業結合をいう。

12. 「共同支配投資企業」とは、共同支配企業を共同で支配する企業をいう。

13. 「結合当事企業」とは、企業結合に係る企業をいい、このうち、他の企業又は他の企業を構成する事業を受け入れて対価(現金等の財産や自社の株式)を支払う企業を「結合企業」、当該他の企業を「被結合企業」という。また、企業結合によって統合された1つの報告単位となる企業を「結合後企業」という。

14. 「時価」とは、公正な評価額をいう。通常、それは観察可能な市場価格をいい、市場価格が観察できない場合には、合理的に算定された価額をいう。

15. 「企業結合日」とは、被取得企業若しくは取得した事業に対する支配が取得企業に移転した日、又は結合当事企業の事業のすべて若しくは事実上すべてが統合された日をいい、企業結合日の属する事業年度を「企業結合年度」という。

16. 「共通支配下の取引」とは、結合当事企業(又は事業)のすべてが、企業結合の前後で同一の株主により最終的に支配され、かつ、その支配が一時的ではない場合の企業結合をいう。親会社と子会社の合併及び子会社同士の合併は、共通支配下の取引に含まれる。

取得の会計処理

17. 共同支配企業の形成(第11項参照)及び共通支配下の取引(前項参照)以外の企業結合は取得となる。また、この場合における会計処理は、次項から第36項による(以下、次項から第33項による会計処理を「パーチェス法」という。)。

取得企業の決定方法

18. 取得とされた企業結合においては、いずれかの結合当事企業を取得企業として決定する。被取得企業の支配を獲得することとなる取得企業を決定するために、企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」(以下「連結会計基準」という。)の考え方を用いる。また、連結会計基準の考え方によってどの結合当事企業が取得企業となるかが明確ではない場合には、次項から第22項の要素を考慮して取得企業を決定する。

19. 主な対価の種類として、現金若しくは他の資産を引き渡す又は負債を引き受けることとなる企業結合の場合には、通常、当該現金若しくは他の資産を引き渡す又は負債を引き受ける企業(結合企業)が取得企業となる。

20. 主な対価の種類が株式(出資を含む。以下同じ。)である企業結合の場合には、通常、当該株式を交付する企業(結合企業)が取得企業となる。ただし、必ずしも株式を交付した企業が取得企業にならないとき(逆取得)もあるため、対価の種類が株式である場合の取得企業の決定にあたっては、次のような要素を総合的に勘案しなければならない。

(1) 総体としての株主が占める相対的な議決権比率の大きさ

ある結合当事企業の総体としての株主が、結合後企業の議決権比率のうち最も大きい割合を占める場合には、通常、当該結合当事企業が取得企業となる。なお、結合後企業の議決権比率を判断するにあたっては、議決権の内容や潜在株式の存在についても考慮しなければならない。

(2) 最も大きな議決権比率を有する株主の存在

結合当事企業の株主又は株主グループのうち、ある株主又は株主グループが、結合後企業の議決権を過半には至らないものの最も大きな割合を有する場合であって、当該株主又は株主グループ以外には重要な議決権比率を有していないときには、通常、当該株主又は株主グループのいた結合当事企業が取得企業となる。

(3) 取締役等を選解任できる株主の存在

結合当事企業の株主又は株主グループのうち、ある株主又は株主グループが、結合後企業の取締役会その他これに準ずる機関(重要な経営事項の意思決定機関)の構成員の過半数を選任又は解任できる場合には、通常、当該株主又は株主グループのいた結合当事企業が取得企業となる。

(4) 取締役会等の構成

結合当事企業の役員若しくは従業員である者又はこれらであった者が、結合後企業の取締役会その他これに準ずる機関(重要な経営事項の意思決定機関)を事実上支配する場合には、通常、当該役員又は従業員のいた結合当事企業が取得企業となる。

(5) 株式の交換条件

ある結合当事企業が他の結合当事企業の企業結合前における株式の時価を超えるプレミアムを支払う場合には、通常、当該プレミアムを支払った結合当事企業が取得企業となる。

21. 結合当事企業のうち、いずれかの企業の相対的な規模(例えば、総資産額、売上高あるいは純利益)が著しく大きい場合には、通常、当該相対的な規模が著しく大きい結合当事企業が取得企業となる。

22. 結合当事企業が3社以上である場合の取得企業の決定にあたっては、前項に加えて、いずれの企業がその企業結合を最初に提案したかについても考慮する。

取得原価の算定

基本原則

23. 被取得企業又は取得した事業の取得原価は、原則として、取得の対価(支払対価)となる財の企業結合日における時価で算定する。支払対価が現金以外の資産の引渡し、負債の引受け又は株式の交付の場合には、支払対価となる財の時価と被取得企業又は取得した事業の時価のうち、より高い信頼性をもって測定可能な時価で算定する。

株式の交換の場合の算定方法

24. 市場価格のある取得企業等の株式が取得の対価として交付される場合には、取得の対価となる財の時価は、原則として、企業結合日における株価を基礎にして算定する(注1)。

取得が複数の取引により達成された場合(段階取得)の会計処理

25. 取得が複数の取引により達成された場合(以下「段階取得」という。)における被取得企業の取得原価の算定は、次のように行う。

(1) 個別財務諸表上、支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額をもって、被取得企業の取得原価とする。

(2) 連結財務諸表上、支配を獲得するに至った個々の取引すべての企業結合日における時価をもって、被取得企業の取得原価を算定する。なお、当該被取得企業の取得原価と、支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額(持分法適用関連会社と企業結合した場合には、持分法による評価額)との差額は、当期の段階取得に係る損益として処理する。

取得に要した支出額の会計処理

26. 取得とされた企業結合に直接要した支出額のうち、取得の対価性が認められる外部のアドバイザー等に支払った特定の報酬・手数料等は取得原価に含め、それ以外の支出額は発生時の事業年度の費用として処理する。

条件付取得対価の会計処理

27. 条件付取得対価の会計処理は、次のように行う。

(1) 将来の業績に依存する条件付取得対価

条件付取得対価が企業結合契約締結後の将来の業績に依存する場合には、条件付取得対価の交付又は引渡しが確実となり、その時価が合理的に決定可能となった時点で、支払対価を取得原価として追加的に認識するとともに、のれん又は負ののれんを追加的に認識する(注2)(注3)(注4)。

(2) 特定の株式又は社債の市場価格に依存する条件付取得対価

条件付取得対価が特定の株式又は社債の市場価格に依存する場合には、条件付取得対価の交付又は引渡しが確実となり、その時価が合理的に決定可能となった時点で、次の処理を行う(注5)。

@ 追加で交付可能となった条件付取得対価を、その時点の時価に基づき認識する。

A 企業結合日現在で交付している株式又は社債をその時点の時価に修正し、当該修正により生じた社債プレミアムの減少額又はディスカウントの増加額を将来にわたって規則的に償却する。

取得原価の配分方法

28. 取得原価は、被取得企業から受け入れた資産及び引き受けた負債のうち企業結合日時点において識別可能なもの(識別可能資産及び負債)の企業結合日時点の時価を基礎として、当該資産及び負債に対して企業結合日以後1年以内に配分する(注6)。

29. 受け入れた資産に法律上の権利など分離して譲渡可能な無形資産が含まれる場合には、当該無形資産は識別可能なものとして取り扱う。

30. 取得後に発生することが予測される特定の事象に対応した費用又は損失であって、その発生の可能性が取得の対価の算定に反映されている場合には、負債として認識する。当該負債は、原則として、固定負債として表示し、その主な内容及び金額を連結貸借対照表及び個別貸借対照表に注記する。

31. 取得原価が、受け入れた資産及び引き受けた負債に配分された純額を上回る場合には、その超過額はのれんとして次項に従い会計処理し、下回る場合には、その不足額は負ののれんとして第33項に従い会計処理する。

のれんの会計処理

32. のれんは、資産に計上し、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法その他の合理的な方法により規則的に償却する。ただし、のれんの金額に重要性が乏しい場合には、当該のれんが生じた事業年度の費用として処理することができる。

負ののれんの会計処理

33. 負ののれんが生じると見込まれる場合には、次の処理を行う。ただし、負ののれんが生じると見込まれたときにおける取得原価が受け入れた資産及び引き受けた負債に配分された純額を下回る額に重要性が乏しい場合には、次の処理を行わずに、当該下回る額を当期の利益として処理することができる。

(1) 取得企業は、すべての識別可能資産及び負債(第30項の負債を含む。)が把握されているか、また、それらに対する取得原価の配分が適切に行われているかどうかを見直す。

(2) (1)の見直しを行っても、なお取得原価が受け入れた資産及び引き受けた負債に配分された純額を下回り、負ののれんが生じる場合には、当該負ののれんが生じた事業年度の利益として処理する。

逆取得における個別財務諸表上の会計処理

吸収合併

34. 消滅会社が取得企業となる場合、存続会社の個別財務諸表では、当該取得企業(消滅会社)の資産及び負債を合併直前の適正な帳簿価額により計上する。

現物出資又は吸収分割

35. 現物出資会社又は吸収分割会社が取得企業となる場合(現物出資又は吸収分割による子会社化の形式をとる場合)、取得企業の個別財務諸表では、移転した事業に係る株主資本相当額に基づいて、被取得企業株式の取得原価を算定する。

株式交換

36. 完全子会社が取得企業となる場合、完全親会社の個別財務諸表では、当該完全子会社の株式交換直前における適正な帳簿価額による株主資本の額に基づいて、取得企業株式(完全子会社株式)の取得原価を算定する。

共同支配企業の形成の会計処理

共同支配企業の形成の判定

37. ある企業結合を共同支配企業の形成と判定するためには、共同支配投資企業となる企業が、複数の独立した企業から構成されていること及び共同支配となる契約等を締結していることに加え、次の要件を満たしていなければならない。

(1) 企業結合に際して支払われた対価のすべてが、原則として、議決権のある株式であること(注7)

(2) 支配関係を示す一定の事実が存在しないこと(注8)

共同支配企業の形成の会計処理

38. 共同支配企業の形成において、共同支配企業は、共同支配投資企業から移転する資産及び負債を、移転直前に共同支配投資企業において付されていた適正な帳簿価額により計上する。

39. 共同支配企業の形成において、共同支配企業に事業を移転した共同支配投資企業は次の会計処理を行う。

(1) 個別財務諸表上、当該共同支配投資企業が受け取った共同支配企業に対する投資の取得原価は、移転した事業に係る株主資本相当額に基づいて算定する。

(2) 連結財務諸表上、共同支配投資企業は、共同支配企業に対する投資について持分法を適用する。

共通支配下の取引等の会計処理

40. 企業集団内における企業結合である共通支配下の取引及び少数株主との取引(以下合わせて「共通支配下の取引等」という。)は、次項から第46項の会計処理を行う。

共通支配下の取引

個別財務諸表上の会計処理

41. 共通支配下の取引により企業集団内を移転する資産及び負債は、原則として、移転直前に付されていた適正な帳簿価額により計上する(注9)。

42. 移転された資産及び負債の差額は、純資産として処理する(注10)。

43. 移転された資産及び負債の対価として交付された株式の取得原価は、当該資産及び負債の適正な帳簿価額に基づいて算定する。

連結財務諸表上の会計処理

44. 共通支配下の取引は、内部取引としてすべて消去する。

少数株主との取引

個別財務諸表上の会計処理

45. 少数株主から追加取得する子会社株式の取得原価は、追加取得時における当該株式の時価とその対価となる財の時価のうち、より高い信頼性をもって測定可能な時価で算定する(注11)。

連結財務諸表上の会計処理

46. 少数株主との取引については、連結会計基準における子会社株式の追加取得及び一部売却等の取扱い(連結会計基準第28 項から第30 項)に準じて処理する。

開示

のれんの表示

47. のれんは無形固定資産の区分に表示し、のれんの当期償却額は販売費及び一般管理費の区分に表示する。

負ののれんの表示

48. 負ののれんは、原則として、特別利益に表示する。

注記事項

取得とされた企業結合の注記事項

49. 企業結合年度において、取得とされた企業結合に係る重要な取引がある場合には、次の事項を注記する。なお、個々の企業結合については重要性は乏しいが、企業結合年度における複数の企業結合全体について重要性がある場合には、(1)、(3)及び(4)について企業結合全体で注記する。また、連結財務諸表における注記と個別財務諸表における注記が同じとなる場合には、個別財務諸表においては、連結財務諸表に当該注記がある旨の記載をもって代えることができる。

(1) 企業結合の概要

被取得企業の名称及び事業の内容、事業を取得した場合は相手企業の名称及び取得した事業の内容、企業結合を行った主な理由、企業結合日、企業結合の法的形式、結合後企業の名称、取得した議決権比率(段階取得の場合には、企業結合直前に所有していた議決権比率、企業結合日に追加取得した議決権比率及び取得後の議決権比率)及び取得企業を決定するに至った主な根拠

(2) 財務諸表に含まれている被取得企業又は取得した事業の業績の期間

(3) 取得原価の算定に関する事項

@ 被取得企業又は取得した事業の取得原価(段階取得については、第25項参照)及びその内訳。株式を交付した場合には、株式の種類別の交換比率及びその算定方法並びに交付又は交付予定の株式数

A 企業結合契約に定められた条件付取得対価の内容及びそれらの今後の会計処理方針

B 段階取得において、連結財務諸表上、第25 項(2)により処理された損益の金額

(4) 取得原価の配分に関する事項

@ 企業結合日に受け入れた資産及び引き受けた負債の額並びにその主な内訳

A 取得原価の大部分がのれん以外の無形資産に配分された場合には、のれん以外の無形資産に配分された金額及びその主要な種類別の内訳並びに全体及び主要な種類別の加重平均償却期間

B 取得原価の配分が完了していない場合は、その旨及びその理由。なお、企業結合年度の翌年度以降において取得原価の当初配分額に重要な修正がなされた場合には、当該修正がなされた事業年度において、その修正の内容及び金額を注記する。

C 発生したのれんの金額、発生原因、償却方法及び償却期間。負ののれんの場合には、負ののれんの金額及び発生原因

(5) 比較情報

当該企業結合が当期首に完了したと仮定したときの当期の連結損益計算書への影響の概算額及び当該概算額の算定方法並びに計算過程における重要な前提条件。ただし、当該影響額に重要性が乏しい場合は、注記を省略することができる。

取得企業が連結財務諸表を作成していない場合は、個別損益計算書への影響の概算額を、連結財務諸表を作成している場合に準じて注記する。

連結財務諸表を作成しない場合の注記事項

(逆取得に係る注記)

50. 逆取得となる企業結合において、当該取得企業の資産及び負債を企業結合直前の適正な帳簿価額により計上する方法を適用した場合で、連結財務諸表を作成しないときには、前項の定めにかかわらず、前項(1)から(4)に準じた事項並びにパーチェス法を適用したとした場合に個別貸借対照表及び個別損益計算書に及ぼす影響額を注記する。

なお、当該注記は企業結合年度の翌年度以降においても、影響額の重要性が乏しくなった場合を除き、継続的に開示する。また、企業結合年度の翌年度以降に連結財務諸表を作成することとなった場合には、影響額の重要性が乏しくなった場合を除き、当該企業結合を反映した連結財務諸表を作成する。

(段階取得に係る注記)

51. 段階取得であって、連結財務諸表を作成しないときには、第49項の定めにかかわらず、次の事項を注記する。

(1) 第49項に準じた事項(ただし、同項(3)Bを除く。)

(2) 個別財務諸表において、第25項(2)なお書きに準じて算定された差額

(3) 第25項(2)に準じて被取得企業の取得原価を算定したとした場合における個別貸借対照表及び個別損益計算書に及ぼす影響額

なお、当該注記は企業結合年度の翌年度以降においても、影響額の重要性が乏しくなった場合を除き、継続的に開示する。また、企業結合年度の翌年度以降に連結財務諸表を作成することとなった場合には、影響額の重要性が乏しくなった場合を除き、当該差額を反映した連結財務諸表を作成する。

共通支配下の取引等に係る注記事項

52. 企業結合年度において、共通支配下の取引等に係る重要な取引がある場合には、次の事項を注記する。なお、個々の共通支配下の取引等については重要性が乏しいが、企業結合年度における複数の共通支配下の取引等全体では重要性がある場合には、当該企業結合全体で注記する。また、連結財務諸表における注記と個別財務諸表における注記が同じとなる場合には、個別財務諸表においては、連結財務諸表に当該注記がある旨の記載をもって代えることができる。

(1) 企業結合の概要

結合当事企業又は対象となった事業の名称及びその事業の内容、企業結合日、企業結合の法的形式、結合後企業の名称、取引の目的を含む取引の概要

(2) 実施した会計処理の概要

(3) 子会社株式を追加取得した場合には、以下の事項

@ 取得原価の算定に関する事項

追加取得した子会社株式の取得原価及びその内訳。株式を交付した場合には、株式の種類別の交換比率及びその算定方法並びに交付又は交付予定の株式数。企業結合契約に定められた条件付取得対価の内容及びそれらの今後の会計処理方針

A 発生したのれん又は負ののれんに関する事項

発生したのれんの金額、発生原因、償却方法及び償却期間。負ののれんの場合には、負ののれんの金額及び発生原因

子会社が親会社を吸収合併した場合で、子会社が連結財務諸表を作成しないときの注記事項

53. 子会社が親会社を吸収合併した場合で、子会社が連結財務諸表を作成しないときには、親会社が子会社を吸収合併したものとした場合と比較した当該子会社の個別貸借対照表及び個別損益計算書に及ぼす影響額を注記する。

なお、当該注記は企業結合年度の翌年度以降においても、影響額の重要性が乏しくなった場合を除き、継続的に開示する。また、企業結合年度の翌年度以降に連結財務諸表を作成することとなった場合には、影響額の重要性が乏しくなった場合を除き、当該企業結合時に親会社が子会社を吸収合併したものとした連結財務諸表を作成する。

共同支配投資企業における注記事項

54. 共同支配投資企業は、企業結合年度において重要な共同支配企業の形成がある場合には、第52項(1)及び(2)に準じて注記を行う。このうち、第52項(1)の記載にあたっては、共同支配企業の形成と判定した理由を併せて注記する。

なお、個々の共同支配企業の形成については重要性が乏しいが、企業結合年度における複数の共同支配企業の形成全体では重要性がある場合には、当該企業結合全体で注記する。また、連結財務諸表における注記と個別財務諸表における注記が同じとなる場合には、個別財務諸表においては、連結財務諸表に当該注記がある旨の記載をもって代えることができる。

重要な後発事象等の注記

55. 貸借対照表日後に完了した企業結合や貸借対照表日後に主要条件が合意された企業結合が、重要な後発事象に該当する場合には、第49項から前項まで(ただし、第49項(2)、(4)B及び(5)、第50項、第51項並びに第53項を除く。)に準じて注記を行う。ただし、未確定の事項については注記を要しない。

また、当事業年度中に企業結合の主要条件が合意されたが、貸借対照表日までに企業結合が完了していない場合(ただし、重要な後発事象に該当する場合を除く。)についても、これらに準じて注記を行う。

適用時期等

56. 平成15年に公表された本会計基準(以下「平成15年会計基準」という。)は、平成18年4月1日以後実施される企業結合から適用する。なお、平成15年会計基準を実務に適用する場合の具体的な指針等については、次の事項を含め、適切に措置していくことが適当である。

(1) 合併、株式交換・株式移転、会社分割、事業譲渡・譲受等、組織再編の形式ごとの連結財務諸表上及び個別財務諸表上の適用方法

(2) 受け入れた事業用土地の時価の算定方法

(3) 取得企業が存続会社と異なる企業結合について、パーチェス法を適用したときの影響額を注記する場合の注記事項

57. 平成20年に改正された本会計基準(以下「平成20年改正会計基準」という。)は、平成22年4月1日以後実施される企業結合から適用する。

ただし、平成21年4月1日以後開始する事業年度において最初に実施される企業結合から適用することができる。この場合、連結会計基準、企業会計基準第23号「『研究開発費等に係る会計基準』の一部改正」、平成20年に改正された企業会計基準第7号「事業分離等に関する会計基準」(以下「事業分離等会計基準」という。)及び平成20年に改正された企業会計基準第16号「持分法に関する会計基準」(以下「持分法会計基準」という。)についても適用する。

58. 平成20年改正会計基準の適用初年度においては、会計基準の変更に伴う会計方針の変更として取り扱う。ただし、会計方針の変更による影響額の注記は要しない。

また、平成20年改正会計基準の適用前に実施された企業結合に係る従前の取扱いは、平成20年改正会計基準の適用後においても継続し、平成20年改正会計基準の適用日における会計処理の見直し及び遡及的な処理は行わない。

議決

59. 平成20年改正会計基準は、第168回企業会計基準委員会に出席した委員12名全員の賛成により承認された。なお、出席した委員は、以下のとおりである。

(出席委員の氏名は省略)


INDEX

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