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会計基準結論の背景適用指針|設例|目次

(注)本内容は、企業会計基準委員会が平成23年3月25日に公表した「リース取引に係る会計基準の適用指針」から「設例及び参考」部分を抜粋したものです。なお、オリジナルとは異なる表現をしている部分があります。実務への適用にあたっては念のためにオリジナルの基準等を確認してください。

企業会計基準適用指針第16号

リース取引に関する会計基準の適用指針

(設例)

改正平成19年3月30日

最終改正平成23年3月25日

企業会計基準委員会

平成6年1月18日

日本公認会計士協会

会計制度委員会

目次

設例

[設例1] 所有権移転外ファイナンス・リース取引

1 借手の会計処理

2 貸手の会計処理

3 中途解約の場合

4 リース料が前払い又は後払いとなる場合

5 貸手の見積残存価額のある場合

[設例2] 所有権移転ファイナンス・リース取引

1 借手の会計処理

2 貸手の会計処理

[設例3] 残価保証のある場合

1 借手の会計処理

2 貸手の会計処理

[設例4] 維持管理費用相当額を控除する場合

1 借手の会計処理

2 貸手の会計処理

[設例5] リース資産総額に重要性が乏しいと認められなくなった場合の取扱い

1 すべてのリース取引を利息法で処理する方法

2 新たなリース取引のみを利息法で処理する方法

[設例6] 転リース取引

[設例7] セール・アンド・リースバック取引

1 借手の会計処理

2 貸手の会計処理

[設例8] 貸手の製作価額又は現金購入価額と借手に対する現金販売価額に差がある場合(貸手の会計処理)

[設例9] 適用初年度開始前の所有権移転外ファイナンス・リース取引の取扱い

1 借手の会計処理

2 貸手の会計処理

付録(注記事項)

(借手)

(貸手)


設例

以下では、本適用指針によりファイナンス・リース取引の会計処理を行う場合の設例を示す。

なお、各設例に示されている会計処理は、本適用指針に従って具体的な会計処理や開示の実務を行うための手掛かりを与えるための例示であり、各企業のリース取引の実情等に応じ、以下に例示されていない会計処理も適当と判断される場合があることに留意する必要がある。 (以下、設例の仕訳の単位:千円)

 

[設例1] 所有権移転外ファイナンス・リース取引

 

前提条件

(1) 所有権移転条項 なし

(2) 割安購入選択権 なし

(3) リース物件は特別仕様ではない。

(4) 解約不能のリース期間 5年

(5) 借手の見積現金購入価額 48,000千円 (貸手のリース物件の購入価額はこれと等しいが、借手において当該価額は明らかではない。)

(6) リース料

月額 1,000千円 支払は毎月末

リース料総額 60,000千円

(7) リース物件(機械装置)の経済的耐用年数 8年

(8) 借手の減価償却方法 定額法(減価償却費は、四半期ごとに計上するものとする。)

(9) 借手の追加借入利子率 年8%(ただし、借手は貸手の計算利子率を知り得ない。)

(10) 貸手の見積残存価額はゼロである。

(11) リース取引開始日 X1年4月1日、決算日 3月31日

 

1 借手の会計処理

(1) ファイナンス・リース取引の判定

@ 現在価値基準による判定

貸手の計算利子率を知り得ないため、借手の追加借入利子率である年8%を用いてリース料総額を現在価値に割り引くと、

(1,000/(1+0.08×1/12))+(1,000/(1+0.08×1/12)2)+・・・・・+(1,000/(1+0.08×1/12)60)=49,318千円

現在価値49,318千円/見積現金購入価額48,000千円=103%>90%

A 経済的耐用年数基準による判定

リース期間5年/経済的耐用年数8年=62.5%<75%

したがって、@により、このリース取引はファイナンス・リース取引に該当する。

B 所有権移転条項又は割安購入選択権がなく、またリース物件は特別仕様ではないため、所有権移転ファイナンス・リース取引には該当しない。

 

@及びBにより、このリース取引は所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当する。

 

(2) 会計処理

@ 利息相当額を利息法で会計処理する場合(第24項参照)

リース料総額の現在価値より借手の見積現金購入価額の方が低い額であるため、48,000千円がリース資産及びリース債務の計上価額となる。この場合に、利息相当額の算定に必要な利子率の計算は次のとおりである。

1,000/(1+r×1/12)+1,000/(1+r×1/12)2+・・・・+1,000/(1+r×1/12)60=48,000千円

r=9.154%

 

リース債務の返済スケジュールは、「表1-1」に示すとおりである。

 

[表1-1]

(単位:千円)

回数

返済日

前月末元本

返済合計

元本分

利息分

月末元本

1

X1.4.30

48,000

1,000

634

366

47,366

2

X1.5.31

47,366

1,000

639

361

46,727

3

X1.6.30

46,727

1,000

643

357

46,084

9

X1.12.31

42,792

1,000

674

326

42,118

10

X2.1.31

42,118

1,000

678

322

41,440

11

X2.2.28

41,440

1,000

684

316

40,756

12

X2.3.31

40,756

1,000

689

311

40,067

36

X4.3.31

22,682

1,000

827

173

21,855

57

X5.12.31

3,925

1,000

970

30

2,955

58

X6.1.31

2,955

1,000

978

22

1,977

59

X6.2.28

1,977

1,000

985

15

992

60

X6.3.31

992

1,000

992

8

 

合計

60,000

48,000

12,000

(注) 適用利率年9.154%。利息の計算は、月数割りによっている。

例えば、X1年4月30日返済合計の内訳と月末元本の計算は次のとおりである。

利息分 48,000千円×9.154%×1月/12月=366千円

元本分 1,000千円−366千円=634千円

月末元本 48,000千円−634千円=47,366千円

 

 

X1年4月1日 (リース取引開始日)

借方

貸方

リース資産

48,000

リース債務

48,000

 

 

X1年4月30日 (第1回支払日)

借方

貸方

リース債務(*1)

634

現金預金

1,000

支払利息(*1)

366

   

(*1) リース債務の元本返済額及び支払利息は、[表1-1]より。

 

 

X1年6月30日 (第3回支払日・第1四半期決算日)

借方

貸方

リース債務(*2)

643

現金預金

1,000

支払利息(*2)

357

 

 

減価償却費(*3)

2,400

減価償却累計額

2,400

(*2)リース債務の元本返済額及び支払利息は、[表1-1]より。

(*3)減価償却費は、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして計算する (リース会計基準第12項)。

48,000千円×1年/5年×3月712月=2,400千円

 

 

X2年3月31日 (第12回支払日・決算日)

借方

貸方

リース債務(*4)

639

現金預金

1,000

支払利息(*4)

311

 

 

減価償却費(*5)

2,400

減価償却累計額

2,400

(*4)リース債務の元本返済額及び支払利息は、[表1-1]より。

(*5)減価償却費は、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして計算する。

48,000千円×1年/5年×3月/12月=2,400千円

 

以後も同様な会計処理を行う。

 

 

X6年3月31日(最終回の支払とリース物件の返却)

借方

貸方

リース債務(*6)

992

現金預金

1,000

支払利息(*6)

8

 

 

減価償却費(*7)

2,400

減価償却累計額

2,400

減価償却累計額

48,000

リース資産

48,000

(*6)リース債務の元本返済額及び支払利息は、[表1-1]より。

(*7)減価償却費は、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして計算する。

48,000千円×1年/5年×3月/12月=2,400千円

 

A リース料総額から利息相当額の合理的な見積額を控除しないで会計処理する場合 (第31項(1)参照)

 

X1年4月1日(リース取引開始日)

借方

貸方

リース資産(*1)

60,000

リース債務

60,000

(*1)リース資産及びリース債務は、リース料総額で計上する。

 

 

X1年4月30日(第1回支払日)

借方

貸方

リース債務

1,000

現金預金

1,000

 

 

X1年6月30日(第3回支払日・第1四半期決算日)

借方

貸方

リース債務

1,000

現金預金

1,000

減価償却費(*2)

3,000

減価償却累計額

3,000

(*2)減価償却費は、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして計算する。

60,000千円×1年/5年×3月/12月=3,000千円

 

 

X2年3月31日(第12回支払日・決算日)

借方

貸方

リース債務

1,000

現金預金

1,000

減価償却費(*3)

3,000

減価償却累計額

3,000

(*3)減価償却費は、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして計算する。

60,000千円×1年/5年×3月/12月=3,000千円

 

以後も同様な会計処理を行う。

 

 

X6年3月31日(最終回の支払とリース物件の返却)

借方

貸方

リース債務

1,000

現金預金

1,000

減価償却費(*4)

3,000

減価償却累計額

3,000

減価償却累計額

60,000

リース資産

60,000

(*4)減価償却費は、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして計算する。

60,000千円×1年/5年×3月/12月=3,000千円

 

B 利息相当額の総額をリース期間中の各期にわたり定額で配分する場合 (第31項(2)参照)

 

X1年4月1日(リース取引開始日)

借方

貸方

リース資産

48,000

リース債務

48,000

 

 

X1年4月30日(第1回支払日)

借方

貸方

リース債務(*2)

800

現金預金

1,000

支払利息(*1)

200

 

 

(*1)支払利息は、利息相当額の総額12,000千円を、リース期間中の各期にわたり定額で配分する。

12,000千円×1年/5年×1月/12月=200千円

(*2)1,000千円−200千円=800千円

 

 

X1年6月30日(第3回支払日・第1四半期決算日)

借方

貸方

リース債務(*4)

800

現金預金

1,000

支払利息(*3)

200

 

 

減価償却費(*5)

2,400

減価償却累計額

2,400

(*3)12,000千円×1年/5年×1月/12月=200千円

(*4)1,000千円−200千円=800千円

(*5)減価償却費は、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして計算する。

48,000千円×1年/5年×3月/12月=2,400千円

 

 

 

X2年3月31日(第12回支払日・決算日)

借方

貸方

リース債務(*7)

800

現金預金

1,000

支払利息(*6)

200

 

 

減価償却費(*8)

2,400

減価償却累計額

2,400

(*6)12,000千円×1年/5年×1月/12月=200千円

(*7)1,000千円−200千円=800千円

(*8)減価償却費は、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして計算する。

48,000千円×1年/5年×3月/12月=2,400千円

 

以後も同様な会計処理を行う。

 

 

X6年3月31日(最終回の支払とリース物件の返却)

借方

貸方

リース債務(*10)

800

現金預金

1,000

支払利息(*9)

200

 

 

減価償却費(*11)

2,400

減価償却累計額

2,400

減価償却累計額

48,000

リース資産

48,000

(*9)12,000千円×1年/5年×1月/12月×=200千円

(*10)1,000千円−200千円=800千円

(*11)減価償却費は、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして計算する。

48,000千円×1年/5年×3月/12月=2,400千円

 

2 貸手の会計処理

(1) ファイナンス・リース取引の判定

@ 現在価値基準による判定

リース料総額を現在価値に割り引く利率は、リース料総額と見積残存価額の合計額の現在価値がリース物件の購入価額と等しくなる貸手の計算利子率であるが、見積残存価額がゼロであり、購入価額が48,000千円であることから年9.154%となる ([表1-1]で元本と利息を区分する際に使用した利率と同一である。)。リース物件の見積残存価額がゼロであるため、リース料総額を年9.154%で割り引いた現在価値48,000千円は、貸手の購入価額48,000千円と等しい。

現在価値48,000千円/購入価額48,000千円=100%>90%

A 経済的耐用年数基準による判定

リース期間5年/経済的耐用年数8年=62.5%<75%

したがって、@により、このリース取引はファイナンス・リース取引に該当する。

B 所有権移転条項又は割安購入選択権がなく、またリース物件は特別仕様ではないため、所有権移転ファイナンス・リース取引には該当しない。

 

@及びBにより、このリース取引は所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当する。

 

(2) 会計処理

@ 利息相当額を利息法で会計処理する場合(第53項参照)

リース投資資産の回収スケジュールは、[表1-1]と同じである。

 

[第1法]リース取引開始日に売上高と売上原価を計上する方法(第51項(1)参照)

 

X1年4月1日(リース取引開始日)

借方

貸方

リース投資資産(*1)

60,000

売上高(*1)

60,000

売上原価(*2)

48,000

買掛金

48,000

(*1)売上高及びリース投資資産は、リース料総額で計上する。

(*2)売上原価は、リース物件の購入価額で計上する。

 

 

X1年4月30日(第1回回収日)

借方

貸方

現金預金

1,000

リース投資資産

1,000

 

 

X1年6月30日(第3回回収日・第1四半期決算日)

借方

貸方

現金預金

1,000

リース投資資産

1,000

繰延リース利益繰入(P/L)(*3)

10,916

繰延リース利益(B/S)(*3)

10,916

(*3)利息相当額の総額12,000千円のうち当四半期に対応する利息相当額1,084千円を差し引いた10,916千円を繰延リース利益(B/S)として繰り延べる(上記の仕訳の結果、第2法、第3法と利益計上額が同様となる。 )。

当四半期に対応する利息相当額=366千円+361千円+357千円=1,084千円

繰延リース利益(B/S)=利息相当額の総額12,000千円−当四半期に対応する利息相当額1,084千円=10,916千円

 

なお、繰延リース利益(B/S)はリース投資資産と相殺して表示する。

 

 

X2年3月31日(第12回回収日・決算日)

借方

貸方

現金預金

1,000

リース投資資産

1,000

繰延リース利益繰入(B/S)(*4)

949

繰延リース利益繰入(P/L)(*4)

949

(*4) 当四半期に対応する利息相当額=322千円+316千円+311千円=949千円

リース取引開始事業年度の第1四半期決算日に繰り入れた繰延リース利益に係る戻入れは、リース取引開始事業年度については、繰延リース利益繰入のマイナス、翌事業年度以降については、繰延リース利益戻入益として処理するものと考えられる。

 

以後も同様な会計処理を行う。

 

 

X6年3月31日(最終回の回収とリース物件の受領)

借方

貸方

現金預金

1,000

リース投資資産

1,000

繰延リース利益(B/S)(*5)

45

繰延リース利益戻入益(P/L)(*5)

45

(*5)当四半期に対応する利息相当額=22千円+15千円+8千円=45千円

 

[第2法]リース料受取時に売上高と売上原価を計上する方法(第51項(2)参照)

 

X1年4月1日(リース取引開始日)

借方

貸方

リース投資資産(*1)

48,000

買掛金

48,000

(*1)リース投資資産は、リース物件の購入価額で計上する。

 

 

X1年4月30日(第1回回収日)

借方

貸方

現金預金

1,000

売上高

1,000

売上原価(*2)

634

リース投資資産

634

(*2)受取リース料から利息相当額366千円を差し引いた額をリース物件の売上原価として処理する。

 

 

X1年6月30日(第3回回収日・第1四半期決算日)

借方

貸方

現金預金

1,000

売上高

1,000

売上原価

643

リース投資資産

643

 

 

X2年3月31日(第12回回収日・決算日)

借方

貸方

現金預金

1,000

売上高

1,000

売上原価

689

リース投資資産

689

 

以後も同様な会計処理を行う。

 

 

X6年3月31日(最終回の回収とリース物件の受領)

借方

貸方

現金預金

1,000

売上高

1,000

売上原価

992

リース投資資産

992

 

[第3法] 売上高を計上せずに利息相当額を各期へ配分する方法(第51項(3)参照)

 

X1年4月1日(リース取引開始日)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

リース投資資産(*1)

48,000

買掛金

48,000

(*1)リース投資資産は、リース物件の購入価額で計上する。

 

 

X1年4月30日(第1回回収日)

借方

貸方

現金預金

1,000

リース投資資産(*2)

634

   

受取利息(*2)

366

(*2)受取リース料から利息相当額を差し引いた額がリース投資資産の回収額となる。

 

 

X1年6月30日(第3回回収日・第1四半期決算日)

借方

貸方

現金預金

1,000

リース投資資産

643

   

受取利息

357

 

 

X2年3月31日(第12回回収日・決算日)

借方

貸方

現金預金

1,000

リース投資資産

689

   

受取利息

311

 

以後も同様な会計処理を行う。

 

 

X6年3月31日(最終回の回収とリース物件の受領)

借方

貸方

現金預金

1,000

リース投資資産

992

   

受取利息

8

 

A 利息相当額の総額をリース期間中にわたり定額で配分する場合(第59項参照)

[第1法] リース取引開始日に売上高と売上原価を計上する方法(第51項(1)参照)

 

X1年4月1日(リース取引開始日)

借方

貸方

リース投資資産(*1)

60,000

売上高(*1)

60,000

売上原価(*2)

48,000

買掛金

48,000

(*1)売上高及びリース投資資産は、リース料総額で計上する。

(*2)売上原価は、リース物件の購入価額で計上する。

 

 

X1年4月30日(第1回回収日)

借方

貸方

現金預金

1,000

リース投資資産

1,000

 

 

X1年6月30日(第3回回収日・第1四半期決算日)

借方

貸方

現金預金

1,000

リース投資資産

1,000

繰延リース利益繰入(P/L)(*3)

11,400

繰延リース利益(B/S)(*3)

11,400

(*3)当四半期に対応する利息相当額=12,000千円×1年/5年×3月/12月=600千円

繰延リース利益(B/S)=利息相当額の総額12,000千円−当四半期に対応する利息相当額600千円=11,400千円

利息相当額の総額12,000千円のうち当四半期に対応する利息相当額600千円を差し引いた11,400千円を繰延リース利益(B/S)として繰り延べる(上記の仕訳の結果、第2法、第3法と利益計上額が同様となる。 )。

 

なお、繰延リース利益(B/S)はリース投資資産と相殺して表示する。

 

 

X2年3月31日(第12回回収日・決算日)

借方

貸方

現金預金

1,000

リース投資資産

1,000

繰延リース利益(B/S)(*4)

600

繰延リース利益繰入(P/L)(*4)

600

(*4)当四半期に対応する利息相当額=12,000千円×1年/5年×3月/12月=600千円

リース取引開始事業年度の第1四半期決算日に繰り入れた繰延リース利益に係る戻入れは、リース取引開始事業年度については、繰延リース利益繰入のマイナス、翌事業年度以降については、繰延リース利益戻入益として処理するものと考えられる。

 

以後も同様な会計処理を行う。

 

 

X6年3月31日(最終回の回収とリース物件の受領)

借方

貸方

現金預金

1,000

リース投資資産

1,000

繰延リース利益(B/S)(*5)

600

繰延リース利益戻入益(P/L)(*5)

600

(*5)当四半期に対応する利息相当額=12,000千円×1年/5年×3月/12月=600千円

 

[第2法] リース料受取時に売上高と売上原価を計上する方法(第51項(2)参照)

 

X1年4月1日(リース取引開始日)

借方

貸方

リース投資資産(*1)

48,000

買掛金

48,000

(*1)リース投資資産は、リース物件の購入価額で計上する。

 

 

X1年4月30日(第1回回収日)

借方

貸方

現金預金

1,000

売上高

1,000

売上原価(*2)

800

リース投資資産

800

(*2)受取リース料から利息相当額を差し引いた額をリース物件の売上原価として処理する。

利息相当額=12,000千円×1年/5年×1月/12月=200千円

1,000千円−200千円=800千円

 

 

X1年6月30日(第3回回収日・第1四半期決算日)

借方

貸方

現金預金

1,000

売上高

1,000

売上原価

800

リース投資資産

800

 

 

X2年3月31日(第12回回収日・決算日)

借方

貸方

現金預金

1,000

売上高

1,000

売上原価

800

リース投資資産

800

 

以後も同様な会計処理を行う。

 

 

X6年3月31日(最終回の回収とリース物件の受領)

借方

貸方

現金預金

1,000

売上高

1,000

売上原価

800

リース投資資産

800

 

[第3法] 売上高を計上せずに利息相当額を各期へ配分する方法(第51項(3)参照)

 

X1年4月1日(リース取引開始日)

借方

貸方

リース投資資産(*1)

48,000

買掛金

48,000

(*1)リース投資資産は、リース物件の購入価額で計上する。

 

 

X1年4月30日(第1回回収日)

借方

貸方

現金預金

1,000

リース投資資産(*2)

800

 

 

受取利息(*2)

200

(*2)受取リース料から利息相当額を差し引いた額がリース投資資産の回収額となる。

 

 

X1年6月30日(第3回回収日・第1四半期決算日)

借方

貸方

現金預金

1,000

リース投資資産

800

 

 

受取利息

200

 

 

X2年3月31日(第12回回収日・決算日)

借方

貸方

現金預金

1,000

リース投資資産

800

 

 

受取利息

200

 

以後も同様な会計処理を行う。

 

 

X6年3月31日(最終回の回収とリース物件の受領)

借方

貸方

現金預金

1,000

リース投資資産

800

 

 

受取利息

200

 

3 中途解約の場合

 

前提条件

(1) X4年3月31日に、リース契約が中途解約された。これに伴い、借手は貸手に対し規定損害金23,000千円を支払うことになった。

(2) その他の条件は1及び2と同一とし、利息相当額は利息法で会計処理しているものとする。

 

(1) 借手の会計処理(第30項参照)

 

X4年3月31日

借方

貸方

リース債務(*1)

827

現金預金

1,000

支払利息(*1)

173

 

 

減価償却費(*2)

2,400

減価償却累計額

2,400

(*1)リース債務の元本返済額及び支払利息は、[表1-1]より。

(*2)減価償却費は、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして計算する(リース会計基準第12項)。

48,000千円×1年/5年×3月/12月=2,400千円

 

 

借方

貸方

減価償却累計額(*3)

28,800

リース資産

48,000

リース資産除却損(*4)

19,200

 

 

(*3)減価償却累計額 48,000千円×1年/5年×3(3年間:X1.4.1〜X4.3.31)=28,800千円

(*4)リース資産除却損 48,000千円−28,800千円=19,200千円

 

 

借方

貸方

リース債務(*5)

21,855

現金預金

23,000

リース債務解約損(*6)

1,145

 

 

(*5)[表1-1]より。

(*6)リース債務未払残高と規定損害金との差額を、支払額の確定時における損益として処理する。

23,000千円−21,855千円=1,145千円

 

なお、リース資産除却損とリース債務解約損は、「リース解約損」等の科目で損益計算書上合算して表示することができる。

 

(2) 貸手の会計処理

第2法による会計処理を示すこととする(第58項(2)参照)。

 

X4年3月31日

借方

貸方

現金預金

1,000

売上高

1,000

売上原価

827

リース投資資産

827

 

 

借方

貸方

現金預金

23,000

売上高(*1)

23,000

貯蔵品

21,855

リース投資資産(*1)

21,855

売上原価(*1)

21,855

貯蔵品

21,855

(*1)規定損害金については売上高として処理し、中途解約時のリース投資資産残高を売上原価として計上する。

 

4 リース料が前払い又は後払いとなる場合

(1) 借手の会計処理

@ ファイナンス・リース取引の判定

当月分を前月末に支払う場合(前払いの1つの例)及び当月分を翌月初に支払う場合(後払いの1つの例)について、借手の追加借入利子率年8%を用いて現在価値によるファイナンス・リース取引の判定を行うと次のようになる (ただし、月末と月初の1日の差は計算上無視する。)。

ア 前払いの場合

1,000+(1,000/(1+0.08×1/12))+・・・・+1,000/(1+0.08×1/12)59)=49,647千円

イ 後払いの場合

1,000/(1+0.08×1/12)+1,000/(1+0.08×1/12)2+・・・・+1,000/(1+0.08×1/12)60=49,318千円

これらの場合は、リース料総額の現在価値が借手の見積現金購入価額(48,000千円)の90%以上であるため、ファイナンス・リース取引に該当する。

さらに、所有権移転条項又は割安購入選択権がなく、またリース物件は特別仕様ではないため、所有権移転ファイナンス・リース取引には該当しない。

したがって、これらのリース取引は所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当する。

A 会計処理

ア 前払いの場合

リース料の支払が前払いとなる場合のリース債務の返済スケジュールは、[表1-2]のとおりである。

 

[表1-2]

(単位:千円)

回数

返済日

前回支払後元本

返済合計

元本分

利息分

支払後元本

1

X1.4.1

48,000

1,000

1,000

47,000

2

X1.4.30

47,000

1,000

628

372

46,372

3

X1.5.31

46,372

1,000

633

367

45,739

4

X1.6.30

45,739

1,000

638

362

45,100

10

X1.12.31

41,833

1,000

669

331

41,164

11

X2.1.31

41,164

1,000

675

325

40,489

12

X2.2.28

40,489

1,000

679

321

39,810

13

X2.3.31

39,810

1,000

685

315

39,125

58

X5.12.31

2,953

1,000

976

24

1,977

59

X6.1.31

1,977

1,000

985

15

992

60

X6.2.28

992

1,000

992

8

 

X6.3.31

 

合計

60,000

48,000

12,000

(注)適用利率年9.492%。利息の計算は、月数割りによっている。

 

 

X1年4月1日(リース取引開始日・第1回支払日)

借方

貸方

リース資産

48,000

リース債務

48,000

リース債務

1,000

現金預金

1,000

 

 

X1年4月30日(第2回支払日)

借方

貸方

リース債務

628

現金預金

1,000

支払利息

372

   

 

 

X1年6月30日(第4回支払日・第1四半期決算日)

借方

貸方

リース債務

638

現金預金

1,000

支払利息

362

 

 

減価償却費(*1)

2,400

減価償却累計額

2,400

(*1)48,000千円×1年/5年×3月/12月=2,400千円

 

以後も同様な会計処理を行う。

 

イ 後払いの場合

リース料の支払が後払いとなる場合のリース債務の返済スケジュールは、[表1-3]のとおりである。

 

[表1-3]

(単位:千円)

回数

返済日

前回支払後元本

返済合計

元本分

利息分

支払後元本

1

X1.5.1

48,000

1,000

634

366

47,366

2

X1.6.1

47,366

1,000

639

361

46,727

3

X1.7.1

46,727

1,000

643

357

46,084

9

X2.1.1

42,792

1,000

674

326

42,118

10

X2.2.1

42,118

1,000

678

322

41,440

11

X2.3.1

41,440

1,000

684

316

40,756

12

X2.4.1

40,756

1,000

689

311

40,067

57

X6.1.1

3,925

1,000

970

30

2,955

58

X6.2.1

2,955

1,000

978

22

1,977

59

X6.3.1

1,977

1,000

985

15

992

60

X6.4.1

992

1,000

992

8

 

合計

60,000

48,000

12,000

(注)適用利率年9.154%。利息の計算は、月数割りによっている。

 

 

X1年4月1日(リース取引開始日)

借方

貸方

リース資産

48,000

リース債務

48,000

 

 

X1年5月1日(第1回支払日)

借方

貸方

リース資産(*1)

634

現金預金

1,000

支払利息(*1)

366

   

(*1)リース債務の元本返済額及び支払利息は、[表1-3]より。

 

 

X1年6月30日(第1四半期決算日)

借方

貸方

支払利息(*2)

357

未払利息(*2)

357

減価償却費(*3)

2,400

減価償却累計額

2,400

(*2)支払日は未到来であるが、決算修正仕訳として、経過利息分([表1-3]より。)を未払利息として計上する。

(*3)48,000千円×1年/5年×3月/12月=2,400千円

 

 

X1年7月1日(第2四半期期首・第3回支払日)

借方

貸方

未払利息(*4)

357

支払利息(*4)

357

リース債務(*5)

643

現金預金

1,000

支払利息(*5)

357

 

 

(*4)決算修正仕訳を洗い替える。

(*5)リース債務の元本返済額及び支払利息は、[表1-3]より。

 

以後も同様な会計処理を行う。

 

(2) 貸手の会計処理

@ ファイナンス・リース取引の判定

貸手の計算利子率は次のように算定される。

ア 前払いの場合

1,000+1,000/(1+r×1/12)+・・・・+1,000/(1+r×1/12)59=48,000千円

r=9.492%

イ 後払いの場合

1,000/(1+r×1/12)+1,000/(1+r×1/12)2・・・・+1,000/(1+r×1/12)60=48,000千円

r=9.154%

これらの場合は、上記の貸手の計算利子率で割り引いたリース料総額の現在価値(48,000千円)が、貸手の購入価額(48,000千円)の90%以上であるため、ファイナンス・リース取引に該当する。

さらに、所有権移転条項又は割安購入選択権がなく、またリース物件は特別仕様ではないため、所有権移転ファイナンス・リース取引には該当しない。

したがって、これらのリース取引は所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当する。

この場合、貸手は、リース物件の購入価額48,000千円でリース投資資産を計上する。

A 会計処理

第2法による会計処理(第51項(2)参照)を示すこととする。

ア 前払いの場合

リース料の支払が前払いとなる場合のリース投資資産の回収スケジュールは、[表1-2]と同じである。

 

X1年4月1日 (リース取引開始日・第1回回収日)

借方

貸方

リース投資資産

48,000

買掛金

48,000

現金預金

1,000

売上高(*1)

1,000

売上原価(*1)

1,000

リース投資資産

1,000

(*1)受取リース料1,000千円を売上高とし、利息相当額は生じていないため、同額を売上原価として計上する。

 

 

X1年4月30日(第2回回収日)

借方

貸方

現金預金

1,000

売上高(*2)

1,000

売上原価(*2)

628

リース投資資産

628

(*2)受取リース料1,000千円を売上高とし、当該金額から利息相当額372千円を差し引いた金額628千円を売上原価として計上する。

 

 

X1年5月31日(第3回回収日)

借方

貸方

現金預金

1,000

売上高(*3)

1,000

売上原価(*3)

633

リース投資資産

633

(*3)受取リース料1,000千円を売上高とし、当該金額から利息相当額367千円を差し引いた金額633千円を売上原価として計上する。

 

 

X1年6月30日 (第4回回収日・第1四半期決算日)

借方

貸方

現金預金

1,000

売上高(*4)

1,000

売上原価(*4)

638

リース投資資産

638

(*4)受取リース料1,000千円を売上高とし、当該金額から利息相当額362千円を差し引いた金額638千円を売上原価として計上する。

 

以後も同様な会計処理を行う。

 

 

X6年2月28日(最終回回収日)

借方

貸方

現金預金

1,000

売上高

1,000

売上原価

992

リース投資資産

992

この回収で、元本は全て回収されるため、X6年3月は売上高は計上されないこととなる。

 

 

X6年3月31日(リース物件の返却日)

借方

貸方

仕訳なし

 

 

イ 後払いの場合

リース料の支払が後払いとなる場合のリース投資資産の回収スケジュールは、[表1-3]と同じである。

 

X1年4月1日(リース取引開始日)

借方

貸方

リース投資資産

48,000

買掛金

48,000

 

 

X1年5月1日(第1回回収日)

借方

貸方

現金預金

1,000

売上高(*1)

1,000

売上原価(*1)

634

リース投資資産

634

(*1)受取リース料1,000千円を売上高とし、当該金額から利息相当額366千円を差し引いた金額634千円を売上原価として計上する。

 

 

X1年6月1日(第2回回収日)

借方

貸方

現金預金

1,000

売上高(*2)

1,000

売上原価(*2)

639

リース投資資産

639

(*2)受取リース料1,000千円を売上高とし、当該金額から利息相当額361千円を差し引いた金額639千円を売上原価として計上する。

 

 

X1年6月30日(第1四半期決算日)

借方

貸方

リース投資資産

357

売上高(*3)

357

(*3)決算修正仕訳として、第51項(1)及び(3)の方法と利益計上額が同額になるように、X1年6月分の利息相当額を計上する。勘定科目は、ここでは、便宜的に、売上高及びリース投資資産としている。

 

 

X1年7月1日(第2四半期期首・第3回回収日)

借方

貸方

売上高(*4)

357

リース投資資産(*4)

357

現金預金

1,000

売上高(*5)

1,000

売上原価(*5)

643

リース投資資産

643

(*4)決算修正仕訳を洗い替える。

(*5)受取リース料1,000千円を売上高とし、当該金額から利息相当額643千円を差し引いた金額357千円を売上原価として計上する。

 

以後も同様な会計処理を行う。

 

 

X6年3月1日(第59回回収日)

借方

貸方

現金預金

1,000

売上高(*5)

1,000

売上原価(*5)

985

リース投資資産

985

(*5)受取リース料1,000千円を売上高とし、当該金額から利息相当額15千円を差し引いた金額985千円を売上原価として計上する。

 

 

X6年3月31日(決算日)

借方

貸方

リース投資資産

8

売上高(*6)

8

(*6)決算修正仕訳として、第51項(1)及び(3)の方法と利益計上額が同額になるように、X6年3月分の利息相当額を計上する。勘定科目は、ここでは、便宜的に、売上高及びリース投資資産としている。

 

 

X6年4月1日(最終回回収日)

借方

貸方

売上高(*7)

8

リース投資資産

8

現金預金

1,000

売上高(*7)

1,000

売上原価(*7)

992

リース投資資産

992

(*7)決算修正仕訳を洗い替える。また、受取リース料1,000千円を売上高とし、当該金額から利息相当額8千円を差し引いた金額992千円を売上原価として計上する。

 

5 貸手の見積残存価額のある場合

 

前提条件

(1) 借手の見積現金購入価額 50,000千円(貸手のリース物件の購入価額はこれと等しいが、借手において当該価額は明らかではない。)

(2) 貸手の見積残存価額 4,000千円(借手による残価保証はない。)

(3) その他の条件は1及び2と同一とし、利息相当額は利息法で会計処理しているものとする。

 

(1) 借手のファイナンス・リース取引の判定と会計処理

借手の追加借入利子率である年8%を用いてリース料総額を現在価値に割り引くと、

1,000/(1+0.08×1/12)+1,000/(1+0.08×1/12)2+・・・・+1,000/(1+0.08×1/12)60=49,318千円

現在価値49,318千円/見積現金購入価額50,000千円=99%>90%

したがって、このリースはファイナンス・リース取引に該当する。

さらに、所有権移転条項又は割安購入選択権がなく、またリース物件は特別仕様ではないため、所有権移転ファイナンス・リース取引には該当しない。

以上により、このリース取引は所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当する。

この場合、借手の見積現金購入価額よりリース料総額の現在価値の方が低い額であるため、49,318千円がリース資産及びリース債務の計上価額となる。借手は、リース料総額の現在価値がリース取引開始日におけるリース資産 (リース債務)の計上価額と等しくなる利率(この場合においては追加借入利子率である年8%と等しい。)を適用利率としてリース債務の返済スケジュールを作成し、1と同様な会計処理を行うことになる。

(2) 貸手のファイナンス・リース取引の判定と会計処理

貸手の計算利子率は次のように算定される。

1,000/(1+r×1/12)+1,000/(1+r×1/12)2・・・・+1,000/(1+r×1/12)60=50,000千円

r=9.587%

この貸手の計算利子率を用いてリース料総額を現在価値に割り引くと、

(1,000/(1+0.09587×1/12))+(1,000/(1+0.09587×1/12)2)・・・・+(1,000/(1+0.09587×1/12)60)=47,519千円

現在価値47,519 千円/購入価額50,000 千円=95.0%>90%

したがって、このリース取引はファイナンス・リース取引に該当する。

さらに、所有権移転条項又は割安購入選択権がなく、またリース物件は特別仕様ではないため、所有権移転ファイナンス・リース取引には該当しない。

以上により、このリース取引は所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当する。

この場合、貸手は計算利子率年9.587%を適用利率としてリース投資資産の回収スケジュールを作成し、2と同様な会計処理を行うことになる。

この場合のリース投資資産の回収スケジュールは、[表1-4] のとおりである。

 

[表1-4]

(単位:千円)

回数

回収日

前月末元本

回収合計

元本分

利息分

月末元本

1

X1.4.30

50,000

1,000

601

399

49,399

2

X1.5.31

49,399

1,000

605

395

48,794

3

X1.6.30

48,794

1,000

610

390

48,184

4

X1.7.31

48,184

1,000

615

385

47,569

5

X1.8.31

47,569

1,000

620

380

46,949

6

X1.9.30

46,949

1,000

625

375

46,324

7

X1.10.31

46,324

1,000

630

370

45,694

8

X1.11.30

45,694

1,000

635

365

45,069

9

X1.12.31

45,059

1,000

640

360

44,419

10

X2.1.31

44,419

1,000

645

355

43,774

11

X2.2.28

43,774

1,000

650

350

43,124

12

X2.3.31

43,124

1,000

656

344

42,468

58

X6.1.31

6,858

1,000

945

55

5,913

59

X6.2.28

5,913

1,000

953

47

4,960

60

X6.3.31

4,960

5,000

4,960

40

 

合計

64,000

50,000

14,000

(注)適用利率年9.587%。利息の計算は、月数割りによっている。

また、X6.3.31の回収額には、貸手の見積残存価額4,000千円が含まれている。

 

[第1法] リース取引開始日に売上高と売上原価を計上する方法(第51項(1)参照)

 

X1年4月1日(リース取引開始日)

借方

貸方

リース投資資産(*2)

60,000

売上高(*1)

60,000

売上原価(*3)

50,000

買掛金

50,000

リース投資資産(*2)

4,000

売上原価(*3)

4,000

(*1)売上高は、リース料総額で計上する。

(*2)リース投資資産は、リース料総額と見積残存価額の合計額で計上する。

(*3)売上原価は、リース物件の購入価額から見積残存価額を控除して算出する。

 

 

X6年3月31日(最終回の回収とリース物件の受領)

借方

貸方

現金預金

1,000

リース投資資産

5,000

繰延リース利益(B/S)

40

繰延リース利益戻入益(P/L)

40

貯蔵品(*4)

4,000

   

(*4)見積残存価額により、その後の保有目的に応じ貯蔵品又は固定資産等に計上する(第57項参照)。

 

[第2法] リース料受取時に売上高と売上原価を計上する方法(第51項(2)参照)

 

X1年4月1日(リース取引開始日)

借方

貸方

リース投資資産(*1)

50,000

買掛金

50,000

(*1)リース投資資産は、リース物件の購入価額で計上する。

 

 

X6年3月31日(最終回の回収とリース物件の受領)

借方

貸方

現金預金

1,000

売上高

1,000

売上原価(*3)

960

リース投資資産

4,960

貯蔵品(*2)

4,000

   

(*2)見積残存価額により、その後の保有目的に応じ貯蔵品又は固定資産等に計上する(第57項参照)。

(*3)リース投資資産4,960千円−見積残存価額4,000千円=960千円

 

[第3法] 売上高を計上せずに利息相当額を各期へ配分する方法(第51項(3)参照)

 

X1年4月1日(リース取引開始日)

借方

貸方

リース投資資産(*1)

50,000

買掛金

50,000

(*1)リース投資資産は、リース物件の購入価額で計上する。

 

 

X6年3月31日(最終回の回収とリース物件の受領)

借方

貸方

現金預金

1,000

リース投資資産

4,960

貯蔵品(*2)

4,000

受取利息

40

(*2)見積残存価額により、その後の保有目的に応じ貯蔵品又は固定資産等に計上する(第57項参照)。

 

《貸手の注記−リース投資資産の内訳(X2年3月31日)(リース会計基準第20項)》

(単位:千円)

リース料債権部分  48,000

見積残存価額部分   4,000

受取利息相当額   △9,532(*)

リース投資資産     42,468

(*)算出方法

[表1-4]にある利息分合計14,000千円−X1年4月1日からX2年3月31日の利息分4,468千円=9,532千円

 

[設例2] 所有権移転ファイナンス・リース取引

 

前提条件

(1) リース期間終了時に借手がリース物件(リース資産)を割安価額1,000千円で購入できる選択権が付与されている。借手はこの有利な購入選択権の行使を予定している。

(2) 解約不能のリース期間 5年

(3) 借手の見積現金購入価額 48,000千円 (貸手のリース物件の購入価額はこれと等しいが、借手において当該価額は明らかではない。)

(4) リース料 月額 1,000千円 支払は毎月末

リース料総額 60,000千円

(5) リース物件の経済的耐用年数 8年

(6) 借手の減価償却方法 定額法、残存価額 10%(減価償却費は、四半期ごとに計上するものとする。)

(7) 借手の追加借入利子率 年8%(ただし、貸手の計算利子率は借手にとって知り得ない。)

(8) リース取引開始日 X1年4月1日、決算日 3月31日

 

1 借手の会計処理

(1) ファイナンス・リース取引の判定

@ 現在価値基準による判定

リース料総額(割安購入選択権の行使価額を含む。)61,000千円を借手の追加借入利子率年8%で現在価値に割り引くと、

1,000/(1+0.08×1/12)+1,000/(1+0.08×1/12)2+・・・・+(1,000+1,000)/(1+0.08×1/12)60=49,990千円

現在価値49,990千円/見積現金購入価額48,000千円=104%>90%

A 経済的耐用年数基準による判定

リース期間5年/経済的耐用年数8年=62.5%<75%

したがって、@により、このリース取引はファイナンス・リース取引に該当する。

B 所有権移転ファイナンス・リース取引の判定

前提条件(1)により借手は割安購入選択権を有し、その行使が契約時において確実に予想されるリース取引に該当する。

 

@及びBにより、このリース取引は所有権移転ファイナンス・リース取引に該当する。

 

(2) 会計処理

リース料総額(割安購入選択権の行使価額を含む。)61,000千円の現在価値より見積現金購入価額の方が低い額であるため、リース資産及びリース債務の計上価額は48,000千円となる。この場合に、利息相当額の算定に必要な利子率の計算は次のとおりである。

1,000/(1+r×1/12)+1,000/(1+r×1/12)2+・・・・+(1,000+1,000)/(1+r×1/12)60=48,000千円

r=9.710%

 

リース債務の返済スケジュールは、[表2]のとおりである。

 

[表2]

(単位:千円)

回数

返済日

前月末元本

返済合計

元本分

利息分

月末元本

1

X1.4.30

48,000

1,000

612

388

47,388

2

X1.5.31

47,388

1,000

616

394

46,772

3

X1.6.30

46,722

1,000

622

378

46,150

9

X1.12.31

42,966

1,000

652

348

42,314

10

X2.1.31

42,314

1,000

658

342

41,656

11

X2.2.28

41,656

1,000

663

337

40,993

12

X2.3.31

40,993

1,000

668

332

40,325

57

X5.12.31

4,889

1,000

961

39

3,928

58

X6.1.31

3,928

1,000

968

32

2,960

59

X6.2.28

2,960

1,000

976

24

1,984

60

X6.3.31

1,984

2,000

1,984

16

 

合計

61,000

48,000

13,000

(注)適用利率年9.710%。利息の計算は、月数割りによっている。

 

 

X1年4月1日(リース取引開始日)

借方

貸方

リース資産

48,000

リース債務

48,000

 

 

X1年4月30日(第1回支払日)

借方

貸方

リース債務(*1)

612

現金預金

1,000

支払利息(*1)

388

 

 

(*1)リース債務の元本返済額及び支払利息は、[表2]より。

 

 

X1年6月30日(第3回支払日・第1四半期決算日)

借方

貸方

リース債務(*2)

622

現金預金

1,000

支払利息(*2)

378

 

 

減価償却費(*3)

1,350

減価償却累計額

1,350

(*2)リース債務の元本返済額及び支払利息は、[表2]より。

(*3)経済的耐用年数により減価償却費の計算を行う。

(48,000千円−4,800千円)×1年/8年×3月/12月=1,350千円

 

以後も同様な会計処理を行う。

 

 

X6年3月31日(最終回の支払と割安購入選択権の行使)

借方

貸方

リース債務(*4)

984

現金預金

1,000

支払利息(*4)

16

 

 

リース債務

1,000

現金預金

1,000

(*4)リース債務の元本返済額及び支払利息は、[表2]より。

 

2 貸手の会計処理

(1) ファイナンス・リース取引の判定

@ 現在価値基準による判定

貸手の計算利子率は次のように算定される。

1,000/(1+r×1/12)+1,000/(1+r×1/12)2+・・・・+(1,000+1,000)/(1+r×1/12)60=48,000千円

r=9.710%

この貸手の計算利子率を用いてリース料総額を現在価値に割り引くと、

1,000/(1+0.09710×1/12)+1,000/(1+0.09710×1/12)2+・・・・+(1,000+1,000)/(1+0.09710×1/12)60=48,000千円

現在価値48,000 千円/購入価額48,000 千円=100%>90%

A 経済的耐用年数基準による判定

リース期間5年/経済的耐用年数8年=62.5%<75%

したがって、@により、このリース取引はファイナンス・リース取引に該当する。

B 前提条件(1)により借手は割安購入選択権を有し、その行使が契約時において確実に予想されるリース取引に該当する。

 

@及びBにより、このリース取引は所有権移転ファイナンス・リース取引に該当する。

 

(2) 会計処理

第2法による会計処理を示すこととする。

リース債権の回収スケジュールは、[表2]と同じである。

 

X1年4月1日(リース取引開始日)

借方

貸方

リース債権

48,000

買掛金

48,000

 

 

X1年6月30日(第3回回収日・第1四半期決算日)

借方

貸方

現金預金

1,000

売上高

1,000

売上原価

622

リース債権

622

 

以後も同様な会計処理を行う。

 

 

X6年3月31日(最終回の回収と借手による割安購入選択権の行使)

借方

貸方

現金預金

1,000

売上高

1,000

売上原価

984

リース債権

984

現金預金

1,000

売上高

1,000

売上原価

1,000

リース債権

1,000

 

 

[設例3] 残価保証のある場合

 

前提条件

(1) 所有権移転条項 なし

(2) 割安購入選択権 なし

(3) リース物件は特別仕様ではない。

(4) リース契約にはリース期間終了時に借手がリース物件の処分価額を5,000千円まで保証する条項(残価保証)が付されている。

(5) 解約不能のリース期間 5年

(6) 借手の見積現金購入価額 53,000千円(貸手のリース物件の購入価額はこれと等しいが、借手において当該価額は明らかではない。)

(7) リース料 月額 1,000千円 支払は半年ごと(当半期分を期首に前払い。)

リース料総額 60,000千円

(8) リース物件の経済的耐用年数 6年

(9) リース期間終了後にリース物件は2,000千円で処分された。

(10) 借手の減価償却方法 定額法

(11) 借手の追加借入利子率 年8%(ただし、貸手の計算利子率は借手にとって知り得ない。)

(12) リース取引開始日 X1年4月1日、決算日 3月31日

(13) 中間決算及び年度決算の年2回の決算を実施している。

 

1 借手の会計処理

(1) ファイナンス・リース取引の判定

@ 現在価値基準による判定

貸手の計算利子率を知り得ないので、借手の追加借入利子率である年8%を用いてリース料総額(残価保証額を含む。第15項参照)を現在価値に割り引くと、

6,000+6,000/(1+0.08×1/2)+・・・・+6,000/(1+0.08×1/2)9+5,000/(1+0.08×1/2)10=53,990千円

現在価値53,990千円/見積現金購入価額53,000千円=102%>90%

A 経済的耐用年数基準による判定

リース期間5年/経済的耐用年数6年=83%>75%

したがって、@(又はA)により、このリース取引はファイナンス・リース取引に該当する。

B 所有権移転条項又は割安購入選択権がなく、またリース物件は特別仕様ではないため、所有権移転ファイナンス・リースに該当しない。

 

@(又はA)及びBにより、このリース取引は所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当する。

 

(2) 会計処理

リース料総額の現在価値より見積現金購入価額の方が低い額であるため、リース資産及びリース債務の計上価額は53,000千円となる。この場合に、利息相当額の算定に必要な利子率の計算は次のとおりである。

6,000+6,000/(1+r×1/2)+・・・・+6,000/(1+r×1/2)9+5,000/(1+r×1/2)10=53,000千円

r=8.853%

 

リース債務の返済スケジュールは、[表3]のとおりである。

 

[表3]

(単位:千円)

回数

返済日

前回支払後元本

返済合計

元本分

利息分

支払後元本

1

X1.4.1

53,000

6,000

6,000

47,000

2

X1.10.1

47,000

6,000

3,920

2,080

43,080

3

X2.4.1

43,080

6,000

4,093

1,907

38,987

4

X2.10.1

38,987

6,000

4,274

1,726

34,713

5

X3.4.1

34,713

6,000

4,463

1,537

30,250

6

X3.10.1

30,250

6,000

4,661

1,339

25,589

7

X4.4.1

25,589

6,000

4,867

1,133

20,722

8

X4.10.1

20,722

6,000

5,083

917

15,639

9

X5.4.1

15,639

6,000

5,308

692

10,331

10

X5.10.1

10,331

6,000

5,543

457

4,788

 

X6.3.31

4,788

5,000

4,788

212

 

合計

65,000

53,000

12,000

(注)適用利率年8.853%

 

 

X1年4月1日(リース取引開始日・第1回支払日)

借方

貸方

リース資産

53,000

リース債務

53,000

リース債務

6,000

現金預金

6,000

 

 

X1年9月30日(中間決算日)

借方

貸方

支払利息

2,080

未払利息

2,080

減価償却費(*1)

4,800

減価償却累計額

4,800

(*1)(53,000千円−5,000千円)×1年/5年×6月/12月=4,800千円(第27項参照)

 

 

X1年10月1日(下期首・第2回支払日)

借方

貸方

未払利息

2,080

支払利息

2,080

リース債務

3,920

現金預金

6,000

支払利息

2,080

 

 

 

以後も同様な会計処理を行う。

 

 

X6年3月31日(決算日)

借方

貸方

支払利息

212

未払利息

212

減価償却費

4,800

減価償却累計額

4,800

 

 

X6年3月31日(リース物件の返却)

借方

貸方

減価償却累計額

48,000

リース資産

53,000

その他の流動資産

5,000

   

(注)残価保証額は、便宜的に、いったんその他の流動資産として計上する。決算時には、当該その他の流動資産はリース債務及び関連する未払利息と相殺する。

 

 

リース期間終了後(残価保証支払額の確定時)

借方

貸方

リース資産売却損(*2)

3,000

未払金

3,000

リース債務

4,788

その他の流動資産

5,000

未払利息

212

 

 

(*2)残価保証額5,000千円−処分額2,000千円=3,000千円(第29項参照)

 

 

なお、残価保証支払額の確定時に一括して、次のような会計処理を行うこともできる。

借方

貸方

減価償却累計額

48,000

リース資産

53,000

リース債務

4,788

未払金

3,000

リース資産売却損

3,000

 

 

未払利息

212

 

 

 

2 貸手の会計処理

(1) ファイナンス・リース取引の判定

@ 現在価値基準による判定

貸手の計算利子率である年8.853%を用いてリース料総額(残価保証額を含む。第52項参照)を現在価値に割り引くと53,000千円となる。

現在価値53,000千円/購入価額53,000千円=100%>90%

A 経済的耐用年数基準による判定

リース期間5年/経済的耐用年数6年=83%>75%

したがって、@(又はA)により、このリース取引はファイナンス・リース取引に該当する。

B 所有権移転条項又は割安購入選択権がなく、またリース物件は特別仕様ではないため、所有権移転ファイナンス・リース取引には該当しない。

 

@(又はA)及びBにより、このリース取引は所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当する。

 

(2) 会計処理

第2法(第51項(2)参照)によって、「リース取引開始日・第1回回収日」、「リース期間終了時」及び「物件処分額及び残価保証受取額の確定時」の会計処理を示すと次のとおりである。

リース投資資産の回収スケジュールは、[表3]と同じである。

 

 

X1年4月1日(リース取引開始日・第1回回収日)

借方

貸方

リース投資資産

53,000

買掛金

53,000

現金預金

6,000

売上高(*1)

6,000

売上原価(*1)

6,000

リース投資資産

6,000

(*1)受取リース料6,000千円を売上高とし、利息相当額は生じていないため、同額を売上原価として計上する。

 

 

X6年3月31日(リース期間終了時)

借方

貸方

貯蔵品

5,000

売上高

5,000

売上原価

4,788

リース投資資産

4,788

 

 

物件処分額及び残価保証受取額の確定時

借方

貸方

貯蔵品売却損

3,000

貯蔵品

5,000

売掛金

2,000

 

 

売掛金

3,000

貯蔵品売却損

3,000

 

 

[設例4] 維持管理費用相当額を控除する場合

 

前提条件

(1) 所有権移転条項 なし

(2) 割安購入選択権 なし

(3) リース物件は特別仕様ではない。

(4) 解約不能のリース期間 5年

(5) 借手の見積現金購入価額 48,000 千円(貸手のリース物件の購入価額はこれと等しいが、借手において当該価額は明らかではない。)

(6) リース料 月額1,100 千円 支払は半年ごと(各半期の期末に支払う。)

リース料総額 66,000千円

(7) 上記(6)に含まれる維持管理費用相当額は月額100千円である。これはリース資産に係る固定資産税、保険料等であり、借手に明示されている。

(8) リース物件の経済的耐用年数 8年

(9) 借手の減価償却方法 定額法

(10) 借手の追加借入利子率 年8%

(11) 貸手の計算利子率 年8.555%(ただし、借手はこれを知り得ない。)

(12) リース取引開始日 X1年4月1日、決算日 3月31日

(13) 中間決算及び年度決算の年2回の決算を実施している。

 

1 借手の会計処理

(1) ファイナンス・リース取引の判定

@ 現在価値基準による判定

貸手の計算利子率を知り得ないので、借手の追加借入利子率年8%を用いてリース料総額の現在価値を求める。ただし、ここでは維持管理費用相当額が支払リース料に占める割合 (9%=100千円×60ヵ月 /66,000千円)が重要性があるものと判断して、判定にあたり支払リース料から維持管理費用相当額を控除して現在価値を計算する。

(6,600−600)/(1+0.08×1/2)+・・・・+(6,600−600)/(1+0.08×1/2)2+(6,600−600)/(1+0.08×1/2)10

=48,665千円

現在価値48,665千円/見積現金購入価額48,000千円=101%>90%

A 経済的耐用年数基準による判定

リース期間5年/経済的耐用年数8年=62.5%<75%

したがって、@により、このリース取引はファイナンス・リース取引に該当する。

B 所有権移転条項又は割安購入選択権がなく、またリース物件は特別仕様ではないため、所有権移転ファイナンス・リース取引には該当しない。

 

@及びBにより、このリース取引は所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当する。

 

(2) 会計処理

リース料総額(維持管理費用相当額を除く。)の現在価値より借手の見積現金購入価額の方が低い額であるため、48,000千円がリース資産及びリース債務の計上価額となる。借手は、リース料の支払に伴い、支払利息、維持管理費用相当額及びリース債務元本の返済を会計処理する。利息相当額の算定に必要な利子率の計算は次のとおりである。

(6,600−600)/(1+r×1/2)+・・・・+(6,600−600)/(1+r×1/2)2+(6,600−600)/(1+r×1/2)10

=48,000千円

r=8.555%

 

この場合のリース債務の返済スケジュールは、[表4]に示すとおりである。

 

[表4]

(単位:千円)

回数

返済日

期首元本

返済合計

維持

管理費

元本分

利息分

月末元本

1

X1.9.30

48,000

6,600

600

3,947

2,053

44,053

2

X2.3.31

44,053

6,600

600

4,116

1,884

39,937

3

X2.9.30

39,937

6,600

600

4,291

1,709

35,646

4

X3.3.31

35,646

6,600

600

4,475

1,525

31,171

5

X3.9.30

31,171

6,600

600

4,667

1,333

26,504

6

X4.3.31

26,504

6,600

600

4,866

1,134

21,638

7

X4.9.30

21,638

6,600

600

5,074

926

16,564

8

X5.3.31

16.564

6,600

600

5,292

708

11,272

9

X5.9.30

11,272

6,600

600

5,518

482

5,754

10

X6.3.31

5,754

6,600

600

5,754

246

 

合計

66,000

6,000

48,000

12,000

(注)適用利率年8.555%

 

 

X1年4月1日(リース取引開始日)

借方

貸方

リース資産

48,000

リース債務

48,000

 

 

X1年9月30日(第1回支払日・中間決算日)

借方

貸方

リース債務(*1)

3,947

現金預金

6,600

支払利息(*1)

2,053

 

 

維持管理費(*2)

600

 

 

減価償却費(*3)

4,800

減価償却累計額

4,800

(*1)リース債務の元本返済額及び支払利息は、[表4]より。

(*2)維持管理費用相当額は、その内容を示す科目で費用に計上する。

(*3)減価償却費はリース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして計算する。

48,000千円×1年/5年×6月/12月=4,800千円

 

 

X2年3月31日(第2回支払日・決算日)

借方

貸方

リース債務

4,116

現金預金

6,600

支払利息

1,884

 

 

維持管理費

600

 

 

減価償却費

4,800

減価償却累計額

4,800

 

以後も同様な会計処理を行う。

 

 

X6年3月31日(最終回の支払とリース物件の返却)

借方

貸方

リース債務

5,754

現金預金

6,600

支払利息

246

 

 

維持管理費

600

 

 

減価償却費

4,800

減価償却累計額

4,800

減価償却累計額

48,000

リース資産

48,000

 

2 貸手の会計処理

(1) ファイナンス・リース取引の判定

@ 現在価値基準による判定

貸手の計算利子率は、年8.555%であり、[表4]で元本と利息を区分する際に使用した利率と同一となる。

(6,600−600)/(1+r×1/2)+・・・・+(6,600−600)/(1+r×1/2)2+((6,600−600)/(1+r×1/2)10

=48,000千円

r=8.555%

現在価値48,000千円/購入価額48,000千円=100%>90%

A 経済的耐用年数基準による判定

リース期間5年/経済的耐用年数8年=62.5%<75%

したがって、@により、このリース取引はファイナンス・リース取引に該当する。

B 所有権移転条項又は割安購入選択権がなく、またリース物件は特別仕様ではないため、所有権移転ファイナンス・リース取引には該当しない。

 

@及びBにより、このリース取引は所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当する。

 

(2) 会計処理

第2法による会計処理(第51項(2)参照)を示すこととする。

リース投資資産の回収スケジュールは、[表4]と同じである。

@ 維持管理費用相当額を収益に計上する方法

 

X1年4月1日(リース取引開始日)

借方

貸方

リース投資資産(*1)

48,000

買掛金

48,000

(*1)リース投資資産は、リース物件の購入価額で計上する。

 

 

X1年9月30日(第1回回収日・中間決算日)

借方

貸方

現金預金

6,600

売上高

6,000

 

 

売上高(維持管理費用分)(*2)

600

売上原価

3,947

リース投資資産

3,947

(*2)リース料回収額に含まれる維持管理費用相当額を収益に計上する(第54項参照)。ここでは売上高としている。

 

 

X2年3月31日(第2回回収日・決算日)

借方

貸方

現金預金

6,600

売上高

6,000

 

 

売上高(維持管理費用分)

600

売上原価

4,116

リース投資資産

4,116

 

以後も同様な会計処理を行う。

 

 

X6年3月31日(最終回の回収とリース物件の受領)

借方

貸方

現金預金

6,600

売上高

6,000

 

 

売上高(維持管理費用分)

600

売上原価

5,754

リース投資資産

5,754

 

A 維持管理費用相当額をその実際支払額の控除額として処理する方法

 

X1年4月1日(リース取引開始日)

借方

貸方

リース投資資産(*1)

48,000

買掛金

48,000

(*1)リース投資資産は、リース物件の購入価額で計上する。

 

 

X1年9月30日(第1回回収日・中間決算日)

借方

貸方

現金預金

6,600

売上高

6,000

 

 

売上原価(維持管理費用分)(*2)

600

売上原価

3,947

リース投資資産

3,947

(*2)リース料回収額に含まれる維持管理費用をその実際支払額の控除額として処理する(第54項参照)。ここでは売上原価から控除している。

 

 

X2年3月31日(第2回回収日・決算日)

借方

貸方

現金預金

6,600

売上高

6,000

 

 

売上原価(維持管理費用分)

600

売上原価

4,116

リース投資資産

4,116

 

以後も同様な会計処理を行う。

 

 

X6年3月31日(最終回の回収とリース物件の受領)

借方

貸方

現金預金

6,600

売上高

6,000

 

 

売上原価(維持管理費用分)

600

売上原価

5,754

リース投資資産

5,754

 

 

[設例5] リース資産総額に重要性が乏しいと認められなくなった場合の取扱い

 

前提条件

リース物件の借手であるA社は、前事業年度末までリース資産総額に重要性が乏しいと認められる場合の取扱いである適用指針第31項を適用し、利息相当額の総額をリース期間中の各期に配分する方法として、定額法 (利息相当額の総額をリース期間中の各期にわたり定額で配分する方法)を採用していた。

A社は、前事業年度の期首(X1年4月1日)に機械装置のリース取引(返済スケジュールは[表5-1]のとおり)を開始していたが、当事業年度の期首(X2年4月1日)に同種の機械装置のリース取引 (返済スケジュールは[表5-2]のとおり)を開始した。この新たなリース取引を開始した結果、未経過リース料の期末残高が当該期末残高、有形固定資産及び無形固定資産の期末残高の合計額に占める割合が10パーセント以上となったため、当期より利息法を採用することとした。その他、取引開始日以外の条件は[設例1]と同じである。

 

 

[表5-1]

(単位:千円)

回数

返済日

前月末元本

返済合計

元本分

利息分

月末元本

1

X1.4.30

48,000

1,000

634

366

47,366

2

X1.5.31

47,366

1,000

639

361

46,727

3

X1.6.30

46,727

1,000

643

357

46,084

4

X1.7.31

46,084

1,000

648

352

45,436

5

X1.8.31

45,436

1,000

654

346

44,782

6

X1.9.30

44,782

1,000

658

342

44,124

7

X1.10.31

44,124

1,000

664

336

43,460

8

X1.11.30

43,460

1,000

668

332

42,792

9

X1.12.31

42,792

1,000

674

326

42,118

10

X2.1.31

42,118

1,000

678

322

41,440

11

X2.2.28

41,440

1,000

684

316

40,756

12

X2.3.31

40,756

1,000

689

311

40,067

13

X2.4.30

40,067

1,000

695

305

39,372

14

X2.5.31

39,372

1,000

699

301

38,673

15

X2.6.30

38,673

1,000

705

295

37,968

57

X5.12.31

3,925

1,000

970

30

2,955

58

X6.1.31

2,955

1,000

978

22

1,977

59

X6,2,28

1,977

1,000

985

15

992

60

X6.3.31

992

1,000

992

8

 

合計

60,000

48,000

12,000

(注)適用利率年9.154%。利息の計算は、月数割りによっている。

 

 

[表5-2]

(単位:千円)

回数

返済日

前月末元本

返済合計

元本分

利息分

月末元本

1

X2.4.30

48,000

1,000

634

366

47,366

2

X2.5.31

47,366

1,000

639

361

46,727

3

X2.6.30

46,727

1,000

643

357

46,084

4

X2.7.31

46,084

1,000

648

352

45,436

5

X2.8.31

45,436

1,000

654

346

44,782

6

X2.9.30

44,782

1,000

658

342

44,124

7

X2.10.31

44,124

1,000

664

336

43,460

8

X2.11.30

43,460

1,000

668

332

42,792

9

X2.12.31

42,792

1,000

674

326

42,118

10

X3.1.31

42,118

1,000

678

322

41,440

11

X3.2.28

41,440

1,000

684

316

40,756

12

X3.3.31

40,756

1,000

689

311

40,067

57

X6.12.31

3,925

1,000

970

30

2,955

58

X7.1.31

2,955

1,000

978

22

1,977

59

X7.2.28

1,977

1,000

985

15

992

60

X7.3.31

992

1,000

992

8

 

合計

60,000

48,000

12,000

(注)適用利率年9.154%。利息の計算は、月数割りによっている。

 

この場合、すべてのリース取引を利息法で処理する方法と新たなリース取引のみを利息法で処理する方法が考えられる。

 

1 すべてのリース取引を利息法で処理する方法

前事業年度

 

X1年4月1日(リース取引開始日)

借方

貸方

リース資産

48,000

リース債務

48,000

 

 

X1年6月30日(第3回支払日・第1四半期決算日)

借方

貸方

リース債務(*2)

800

現金預金

1,000

支払利息(*1)

200

 

 

減価償却費(*3)

2,400

減価償却累計額

2,400

(*1)支払利息は、利息相当額の総額12,000千円を、リース期間中の各期にわたり定額で配分する。

12,000千円×1年/5年×1月/12月=200千円

(*2)1,000千円−200千円=800千円

(*3)減価償却費は、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして計算する。

48,000千円×1年/5年×3月/12月=2,400千円

 

 

X2年3月31日(第12回支払日・決算日)

借方

貸方

リース債務

800

現金預金

1,000

支払利息

200

 

 

減価償却費

2,400

減価償却累計額

2,400

 

当事業年度

 

X2年4月1日(新リース取引開始日)

借方

貸方

リース資産(*4)

48,000

リース債務

48,000

特別損失(*5)

1,667

リース債務

1,667

(*4)新リース取引分

(*5)過年度の支払利息を利息法で計算した場合と過年度に定額法で計上した支払利息との差額を計上する。

過年度の支払利息を利息法で計算した場合:[表5-1]より366千円+・・・+311千円=4,067 千円

過年度の支払利息を定額法で計算した場合12,000千円×1年/5年=2,400千円

4,067千円−2,400千円=1,667千円

 

 

X2年6月30日(各第15回/第3回支払日・第1四半期決算日)

借方

貸方

リース債務(*7)

1,348

現金預金

2,000

支払利息(*6)

652

 

 

減価償却費(*8)

4,800

減価償却累計額

4,800

(*6)295千円[表5-1]+357千円[表5-2]=652千円

(*7)1,000千円×2−652千円=1,348千円

(*8)減価償却費は、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして計算する。

(48,000千円×1年/5年×3月/12月)×2台=4,800千円

 

以後も同様な会計処理を行う。

 

2 新たなリース取引のみを利息法で処理する方法

前事業年度

 

X1年4月1日(リース取引開始日)

借方

貸方

リース資産

48,000

リース債務

48,000

 

 

X1年6月30日(第3回支払日・第1四半期決算日)

借方

貸方

リース債務(*2)

800

現金預金

1,000

支払利息(*1)

200

 

 

減価償却費(*3)

2,400

減価償却累計額

2,400

(*1)支払利息は、利息相当額の総額12,000千円を、リース期間中の各期にわたり定額で配分する。

12,000千円×1年/5年×1月/12月=200千円

(*2)1,000千円−200千円=800千円

(*3)減価償却費は、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして計算する。

48,000千円×1年/5年×3月/12月=2,400千円

 

 

X2年3月31日(第12回支払日・決算日)

借方

貸方

リース債務

800

現金預金

1,000

支払利息

200

 

 

減価償却費

2,400

減価償却累計額

2,400

 

当事業年度

 

X2年4月1日(新リース取引開始日)

借方

貸方

リース資産(*4)

48,000

リース債務

48,000

(*4)新リース取引分

 

 

X2年6月30日(各第15回/第3回支払日・第1四半期決算日)

借方

貸方

リース債務(*6)

1,443

現金預金

2,000

支払利息(*5)

557

 

 

減価償却費(*7)

4,800

減価償却累計額

4,800

(*5)それぞれの利息相当額の総額12,000千円は、従来からのリース取引についてはリース期間中の各期にわたり定額で配分し、新たなリース取引については利息法で計上する。

従来からのリース取引分:12,000千円×1年/5年×1月/12月=200千円

新リース取引分:357千円([表5-2]より。)

200千円+357千円=557千円

(*6)1,000千円×2−557千円=1,443千円

(*7)減価償却費は、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして計算する。

(48,000千円×1年/5年×3月/12月)×2台=4,800千円

 

以後も同様な会計処理を行う。

 

[設例6] 転リース取引

 

B社はA社から賃借し、同時にC社に転貸する転リース取引を実施している。

前提条件

(1) A社からの賃借

@ 所有権移転条項 なし

A 割安購入選択権 なし

B リース物件は特別仕様ではない。

C 解約不能のリース期間 5 年

D B社の見積現金購入価額 48,000千円(A社のリース物件の購入価額はこれと等しいが、B社において当該価額は明らかではない。)

E リース料

月額 1,000千円 支払は毎月末

リース料総額 60,000千円

F リース物件(機械装置)の経済的耐用年数 8年

G 減価償却方法 定額法

H B社の追加借入利子率 年8%(ただし、B社はA社の計算利子率を知り得ない。)

(2) C社への転貸

@ 所有権移転条項 なし

A 割安購入選択権 なし

B リース物件は特別仕様ではない。

C 解約不能のリース期間 5年

D リース料

月額 1,005千円 支払は毎月末

リース料総額 60,300千円

貸手側と借手側のリース料の差額300千円が、B社の手数料となる。

E 貸手の見積残存価額はゼロである。

(3) その他

@ 本転リース取引における利息相当額の各期への配分は、利息法によっている。

A リース取引開始日 X1年4月1日、決算日 3月31日

 

(1) ファイナンス・リース取引の判定

B社の借手としてのリース取引は、[設例1]と同様の条件であるため、所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当する。

また、B社の貸手としてのリース取引も、前提条件に基づき判定を行うと、所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当する。

(2) B社の会計処理

リース投資資産の回収スケジュール及びリース債務の返済スケジュールは、[表6]に示すとおりとする。

 

[表6]

(単位:千円)

回数

回収日

(貸手)

返済日

(借手)

前月末

元本

(貸手)

(借手)

回収合計

(貸手)

手数料

収入

(貸手)

返済合計

(貸手)

元本分

(貸手)

(借手)

利息分

(貸手)

(借手)

月末元本

(貸手)

(借手)

1

X1.4.30

48,000

1,005

5

1,000

634

366

47,366

2

X1.5.31

47,366

1,005

5

1,000

639

361

46,727

3

X1.6.30

46,727

1,005

5

1,000

643

357

46,084

9

X1.12.31

42,792

1,005

5

1,000

674

326

42,118

10

X2.1.31

42,118

1,005

5

1,000

678

322

41,440

11

X2.2.28

41,440

1,005

5

1,000

684

316

40,756

12

X2.3.31

40,756

1,005

5

1,000

689

311

40,067

57

X5.12.31

3,925

1,005

5

1,000

970

30

2,955

58

X6.1.31

2,955

1,005

5

1,000

978

22

1,977

59

X6.2.28

1,977

1,005

5

1,000

985

15

992

60

X6.3.31

992

1,005

5

1,000

992

8

 

合計

60,300

300

60,000

48,000

12,000

(注)適用利率年9.154%。利息の計算は、月数割りによっている。

 

 

X1年4月1日(リース取引開始日)

借方

貸方

リース投資資産(*1)

48,000

リース債務

48,000

(*1)ここでは、利息相当額控除後の金額で計上している。(第47項参照)

 

 

X1年4月30日(第1回回収日)

借方

貸方

現金預金(*2)

1,005

リース投資資産(*3)

634

 

 

預り金(*4)

366

 

 

転リース差益(*5)

5

(*2)C社からの回収額

(*3)リース投資資産の減少額は、[表6]より。

(*4)この転リース取引において手数料収入以外の利益は生じないため、利息相当額については預り金として処理している。

(*5)貸手としてのリース料総額60,300千円と借手としてのリース料総額60,000千円との差額300千円を毎月、定額(5千円)で手数料として配分する。

 

 

X1年4月30日(第1回支払日)

借方

貸方

リース債務(*7)

634

現金預金(*6)

1,000

預り金

366

   

(*6)A社への返済額

(*7)リース債務の減少額

 

以後も同様な会計処理を行う。

 

なお、第47項なお書きに従い、リース投資資産とリース債務を利息相当額控除前の金額で計上する場合には、X1年4月30日(第1回回収日・第1回支払日)において、上記の預り金部分を、リース投資資産の回収及びリース債務の返済として処理することとなる。

 

[設例7] セール・アンド・リースバック取引

 

前提条件

(1) A社(借手)は、(2)に示す自己所有の工場機械設備を、新規の設備投資の資金を得る目的で、(3)に示す条件により、B社(貸手)に売却するとともに、その全部をリースバックした。

(2) 対象資産の内容

@ 取得年月日 X0年4月1日

A 取得価額 180,000千円

B 自己(A社)の固定資産の減価償却

償却方法 定額法、取得時の経済的耐用年数 6年、残存価額 10%

C X1年4月1日の簿価

180,000千円−180,000千円×0.9×1年/6年=153,000千円

(3) セール・アンド・リースバック取引の条件

@ 所有権移転条項なし。

A 割安購入選択権なし。

B 当該物件は特別仕様ではない。

C 契約日(=リース取引開始日) X1年4月1日

D 売却価額 170,000千円

固定資産売却益 170,000千円−153,000千円((2)のC)=17,000千円

E 解約不能のリース期間 X1年4月1日から5年間

F リース料は毎年1回4月1日に均等払い(X1年4月1日を初回とする。)

年額リース料 40,769千円(注)

リース料総額 203,845千円

G 貸手の計算利子率は10%であり、借手はこれを知り得る。

H リースバック時以後の経済的耐用年数は5年である。

I 借手の減価償却方法 定額法

(注)年額リース料は、期初払年金現価を求める公式で、現在価値P=170,000(売却価額)、期間n=5、貸手の計算利子率r=10%として年金額Xについて解けば求められる。

P=(1−(1/(1+r)n))/r×(1+r)× X

(1−(1/(1+0.1)5))/0.1×(1+0.1)× X =170,000千円

∴X=40,769千円

(4) 決算日はA社、B社ともに3月31日である。

 

1 借手の会計処理

(1) ファイナンス・リース取引の判定

@ 現在価値基準による判定

貸手の計算利子率年10%を用いてリース料総額を現在価値に割り引くと、

40,769+40,769/(1+0.1)+・・・・+40,769/(1+0.1)4

=170,000千円

現在価値170,000千円/実際売却価額170,000千円=100%>90%

A 経済的耐用年数基準による判定

リース期間5年/経済的耐用年数5年=100%>75%

したがって、@(又はA)により、このリース取引はファイナンス・リース取引に該当する。

B 所有権移転条項又は割安購入選択権がなく、またリース物件は特別仕様ではないため、所有権移転ファイナンス・リース取引には該当しない。

 

@(又はA)及びBにより、このリース取引は所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当する。

 

(2) 会計処理

A社(借手)は、資産売却の処理をした上で、実際売却価額170,000千円でリース資産及びリース債務を計上する。資産売却益17,000千円は、長期前受収益として繰延処理する。

以後は、リース資産及び長期前受収益の償却と、[表7]に示されるようにリース債務の元本の返済、支払利息の会計処理を行う。

 

[表7]

(単位:千円)

回数

返済日

前回支払後

元本

返済合計

元本分

利息分

支払後

元本

1

X1.4.1

170,000

40,769

40,769

129,231

2

X2.4.1

129,231

40,769

27,846

12,923

101,385

3

X3.4.1

101,385

40,769

30,630

10,139

70,755

4

X4.4.1

70,755

40,769

33,693

7,076

37,062

5

X5.4.1

37,062

40,769

37,062

3,707

 

合計

203,846

170,000

33,845

(注)適用利率年10%

 

 

X1年4月1日(資産売却日・リース取引開始日)

借方

貸方

減価償却累計額(*1)

27,000

有形固定資産

180,000

現金預金

170,000

長期前受収益

17,000

リース資産

170,000

リース債務

170,000

リース債務

40,769

現金預金

40,769

(*1)180,000千円×0.9×1年/6年=27,000千円

 

 

X2年3月31日(決算日)

借方

貸方

支払利息

12,923

未払利息

12,923

減価償却費(*2)

34,000

減価償却累計額

34,000

(*2)各年度の減価償却費の計算は、リース資産取得価額(実際売却価額)とリースバック時以後のリース期間を基準に、残存価額をゼロとして計算される。

リース資産の減価償却費:170,000千円×1年/5年=34,000千円

 

 

借方

貸方

長期前受収益

3,400

長期前受収益償却(*3)

3,400

(*3)長期前受収益の償却:17,000千円×1年/5年=3,400千円

長期前受収益は、毎期のリース資産の減価償却費の割合に応じて償却され、減価償却費から控除して表示される。この結果、減価償却費は30,600千円(=34,000千円−3,400千円 )となる。

 

 

X2年4月1日(期首・第2回支払日)

借方

貸方

未払利息

12,923

支払利息

12,923

リース債務

27,846

現金預金

40,769

支払利息

12,923

 

 

 

以後も同様な会計処理を行う。

 

2 貸手の会計処理

(1) ファイナンス・リース取引の判定

@ 現在価値基準による判定

貸手の計算利子率年10%を用いてリース料総額を現在価値に割り引くと、

40,769+(40,769/(1+0.1)+・・・・+40,769/(1+0.1)4

=170,000千円

現在価値170,000 千円/借手の実際売却(購入)価額170,000 千円=100%>90%

A 経済的耐用年数基準による判定

リース期間5年/経済的耐用年数5年=100%>75%

したがって、@(又はA)により、このリース取引はファイナンス・リース取引に該当する。

B 所有権移転条項又は割安購入選択権がなく、またリース物件は特別仕様ではないため、所有権移転ファイナンス・リース取引には該当しない。

 

@(又はA)及びBにより、このリース取引は所有権移転外ファイナンス・リース取引に 該当する。

 

(2) 会計処理

B社(貸手)にとっては、セール・アンド・リースバック取引の会計処理は、通常のリース取引と同様である。B社は実際売却(購入)価額170,000千円でリース投資資産に計上する。

 

[設例8] 貸手の製作価額又は現金購入価額と借手に対する現金販売価額に差がある場合(貸手の会計処理)

 

前提条件

(1) 所有権移転条項 なし

(2) 割安購入選択権 なし

(3) リース物件は特別仕様ではない。

(4) 解約不能のリース期間 5年

(5) 貸手のリース物件の現金購入価額 46,800千円

(6) 借手に対する現金販売価額 48,000千円

(7) リース料 月額1,000 千円、支払は1年ごと、リース総額 60,000千円

(8) リース物件の経済的耐用年数 8年

(9) 貸手の見積残存価額はゼロである。

(10) リース取引開始日 X1年4月1日、決算日 3月31日

(11) 製品又は商品を販売することを主たる事業としている企業が、同時に貸手として同一製品又は商品をリース取引の対象としている。

 

(1) 貸手のファイナンス・リース取引の判定

@ 現在価値基準による判定

貸手の計算利子率は次のように算定される。

12,000/(1+r)+・・・・+12,000/(1+r)5=48,000千円

r=7.931%

この計算利子率を用いてリース料総額を現在価値に割り引くと、

12,000/(1+0.07931)+・・・・+12,000/(1+0.07931)5=48,000千円

現在価値48,000 千円/現金販売価額48,000 千円(第16項参照)=100%>90%

A 経済的耐用年数基準による判定

リース期間5年/経済的耐用年数8年=62.5%<75%

したがって、@により、このリース取引はファイナンス・リース取引に該当する。

B 所有権移転条項又は割安購入選択権がなく、またリース物件は特別仕様ではないため、所有権移転ファイナンス・リース取引には該当しない。

 

@及びBにより、このリース取引は所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当する。

 

リース投資資産の回収スケジュールは、[表8-1]に示すとおりである。

 

[表8-1]

(単位:千円)

回数

返済日

期首元本

回収額

元本分

利息分

期末元本

1

X2.3.31

48,000

12,000

8,193

3,807

39,807

2

X3.3.31

39,807

12,000

8,843

3,157

30,964

3

X4.3.31

30,964

12,000

9,544

2,456

21,420

4

X5.3.31

21,420

12,000

10,301

1,699

11,119

5

X6.3.31

11,119

12,000

11,119

881

 

合計

60,000

48,000

12,000

(注)適用利率年7.931%

例えば、X2年3月31日回収額の内訳と期末元本の計算は次のとおりである。

利息分 48,000千円×7.931%=3,807千円

元本分 12,000千円−3,807千円=8,193千円

期末元本 48,000千円−8,193千円=39,807千円

 

(2) 貸手の会計処理

第2法による会計処理(第51項(2)参照)を示すこととする。

@ 販売益を販売基準で計上する場合

 

X1年4月1日(リース取引開始日)

借方

貸方

リース投資資産

48,000

買掛金

46,800

   

販売益(*1)

1,200

(*1)貸手のリース物件の現金購入価額46,800千円と借手に対する現金販売価額48,000千円の差額1,200千円を、リース取引開始日に販売益として計上する(第56項参照 )。

 

 

X2年3月31日(第1回回収日・決算日)

借方

貸方

現金預金

12,000

売上高

12,000

売上原価(*2)

8,193

リース投資資産

8,193

(*2)受取リース料12,000千円−当期に対応する利息相当額3,807千円=8,193千円

 

以後も同様な会計処理を行う。

 

A 販売益を割賦基準で計上する場合

 

X1年4月1日(リース取引開始日)

借方

貸方

リース投資資産

48,000

買掛金

46,800

   

繰延販売利益(*1)

1,200

(*1)貸手のリース物件の現金購入価額46,800 千円と借手に対する現金販売価額48,000千円の差額1,200千円を負債として繰り延べ、リース代金回収の都度、収益に振り替える(第56項参照)。

 

 

X2年3月31日(第1回回収日・決算日)

借方

貸方

現金預金

12,000

売上高

12,000

売上原価(*2)

8,193

リース投資資産

8,193

繰延販売利益

240

販売益(*3)

240

(*2)受取リース料12,000千円−当期に対応する利息相当額3,807千円=8,193千円

(*3)1,200千円×1年/5年=240千円

 

以後も同様な会計処理を行う。

 

B 販売益に重要性がない場合、又は販売益を割賦基準で処理することとしている場合の簡便的な取扱い(第56項ただし書き参照)

販売益を利息相当額に含めて処理するため、貸手の計算利子率は次のように算定される。

12,000/(1+r)+・・・・+12,000/(1+r)5=46,800千円

r=8.898%

 

リース投資資産の回収スケジュールは、[表8-2]に示すとおりである。

 

[表8-2]

(単位:千円)

回数

回収日

期首元本

回収額

元本分

利息分

期末元本

1

X2.3.31

46,800

12,000

7,836

4,164

38,964

2

X3.3.31

38,964

12,000

8,533

3,467

30,431

3

X4.3.31

30,431

12,000

9,292

2,708

21,139

4

X5.3.31

21,139

12,000

10,119

1,881

11,020

5

X6.3.31

11,020

12,000

11,020

980

 

合計

60,000

46,800

13,200

(注)適用利率年8.898%

例えば、X2年3月31日回収額の内訳と期末元本の計算は次のとおりである。

利息分 46,800千円×8.898%=4,164千円

元本分 12,000千円−4,164千円=7,836千円

期末元本 46,800千円−7,836千円=38,964千円

 

 

X1年4月1日(リース取引開始日)

借方

貸方

リース投資資産(*1)

46,800

買掛金

46,800

(*1)リース投資資産を、貸手のリース物件の現金購入価額46,800千円で計上する(販売益は認識されない。)。

 

 

X2年3月31日(第1回回収日・決算日)

借方

貸方

現金預金

12,000

売上高

12,000

売上原価(*2)

7,836

リース投資資産

7,836

(*2)受取リース料12,000千円−当期に対応する利息相当額4,164千円=7,836千円

 

以後も同様な会計処理を行う。

 

[設例9] 適用初年度開始前の所有権移転外ファイナンス・リース取引の取扱い

 

前提条件

以外の条件を除き、[設例1]と同様であるものとする。

(1) リース取引開始日 平成19年4月1日

(2) 改正リース会計基準及び本適用指針を、平成20年4月1日以後開始する事業年度から適用する。ここでは、四半期財務諸表に係る早期適用を行っている。

 

リース債務の返済スケジュール(借手)及びリース投資資産の回収スケジュール(貸手)は、[表9-1]に示すとおりである。

 

[表9-1]

(単位:千円)

回数

返済・回収日

前月末元本

返済・回収合計

元本分

利息分

月末元本

1

H19.4.30

48,000

1,000

634

366

47,366

2

H19.5.31

47,366

1,000

639

361

46,727

3

H19.6.30

46,727

1,000

643

357

46,084

4

H19.7.31

46,084

1,000

648

352

45,436

5

H19.8.31

45,436

1,000

654

346

44,782

6

H19.9.30

44,782

1,000

658

342

44,124

7

H19.10.31

44,124

1,000

664

336

43,460

8

H19.11.30

43,460

1,000

668

332

42,792

9

H19.12.31

42,792

1,000

674

326

42,118

10

H20.1.31

42,118

1,000

678

322

41,440

11

H20.2.29

41,440

1,000

684

316

40,756

12

H20.3.31

40,756

1,000

689

311

40,067

13

H20.4.30

40,067

1,000

695

305

39,372

14

H20.5.31

39,372

1,000

699

301

38,673

15

H20.6.30

38,673

1,000

705

295

37,968

24

H21.3.31

32,131

1,000

755

245

31,376

57

H23.12.31

3,925

1,000

970

30

2,955

58

H24.1.31

2,955

1,000

978

22

1,977

59

H24.2.29

1,977

1,000

985

15

992

60

H24.3.31

992

1,000

992

8

 

合計

60,000

48,000

12,000

(注)適用利率年9.154%。利息の計算は、月数割りによっている。

 

1 借手の会計処理

所有権移転外ファイナンス・リース取引について賃貸借処理を採用する場合の平成20年3月31日現在の財務諸表に係る注記は、次のとおりであった。

 

所有権移転外ファイナンス・リース取引に係る注記

a リース物件の取得価額相当額、減価償却累計額相当額、減損損失累計額相当額及び期末残高相当額

 

機械及び装置

取得価額相当額

48,000千円

減価償却累計額相当額

9,600千円

期末残高相当額

38,400千円

 

b 未経過リース料期末残高相当額等

未経過リース料期末残高相当額

1年以内

1年超

合計

8,691千円

31,376千円

40,067千円

 

c 支払リース料、リース資産減損勘定の取崩額、減価償却費相当額、支払利息相当額及び減損損失

支払リース料

12,000千円

減価償却費相当額

9,600千円

支払利息相当額

4,067千円

 

d 減価償却費相当額の算定方法

リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとする定額法によっている。

e 利息相当額の算定方法

リース料総額とリース物件の取得価額相当額の差額を利息相当額とし、各期への配分方法については、利息法によっている。

 

(1) 平成20年3月31日以前(改正リース会計基準適用開始日前)に計上された仕訳の合計金額

 

借方

貸方

支払リース料(*1)

12,000

現金預金

12,000

(*1)1,000千円×12=12,000千円

 

(2) 適用初年度の会計処理

@ 第77項を適用した場合

平成20年4月1日(改正リース会計基準適用開始日)

 

借方

貸方

リース資産(*1)

38,400

リース債務(*2)

40,067

特別損失(*3)

1,667

 

 

(*1)改正リース会計基準に定める会計処理に基づくリース取引開始日のリース資産計上額48,000千円−過年度減価償却費9,600千円(下記(*3)参照)=38,400千円

(*2)改正リース会計基準に定める会計処理に基づくリース取引開始日のリース債務計上額48,000千円−過年度元本返済額7,933千円(=634千円+…+689千円)([表9-1]より。 )=40,067千円

(*3)過年度減価償却費=48,000千円×1年/5年=9,600千円

過年度支払利息=366千円+・・・+311千円=4,067千円([表9-1]より。)

過年度支払リース料=1,000千円×12=12,000千円

特別損失=過年度減価償却費9,600千円+過年度支払利息4,067千円−過年度支払リース料12,000千円=1,667千円

 

 

平成20年6月30日(第15回支払日・第1四半期決算日)

借方

貸方

リース債務

705

現金預金

1,000

支払利息

295

 

 

減価償却費(*4)

2,400

減価償却累計額

2,400

(*4)48,000千円×1年/5年×3月/12月=2,400千円

 

 

平成21年3月31日(第24回支払日・決算日)

借方

貸方

リース債務

755

現金預金

1,000

支払利息

245

 

 

減価償却費(*5)

2,400

減価償却累計額

2,400

(*5)48,000千円×1年/5年×3月/12月=2,400千円

 

A 第78項を適用した場合

ア 前年度末における未経過リース料残高を取得価額として計上した場合(利息を控除しない方法)

 

平成20年4月1日(改正リース会計基準適用開始日)

借方

貸方

リース資産(*1)

48,000

リース債務

48,000

(*1)前年度末の未経過リース料残高=60,000千円×(1−1年/5年)=48,000千円

 

 

平成20年6月30日(第15回支払日・第1四半期決算日)

借方

貸方

リース債務

1,000

現金預金

1,000

減価償却費(*2)

3,000

減価償却累計額

3,000

(*2)48,000千円×1年/(5年−1年)×3月/12月=3,000千円

 

 

平成21年3月31日(第24回支払日・決算日)

借方

貸方

リース債務

1,000

現金預金

1,000

減価償却費(*3)

3,000

減価償却累計額

3,000

(*3)48,000千円×1年/(5年−1年)×3月/12月=3,000千円

 

イ 前年度末における未経過リース料期末残高相当額を取得価額として計上した場合(利息法による場合)

 

平成20年4月1日(改正リース会計基準適用開始日)

借方

貸方

リース資産(*1)

40,067

リース債務

40,067

(*1)リース資産の計上額は、[表9-1]より。

 

 

平成20年6月30日(第15回支払日・第1四半期決算日)

借方

貸方

リース債務(*2)

705

現金預金

1,000

支払利息(*2)

295

   

減価償却費(*3)

2,504

リース資産

2,504

(*2)リース債務の元本返済額及び支払利息は、[表9-1]より。

(*3)40,067千円×1年/(5年−1年)×3月/12月=2,504千円

 

 

平成21年3月31日(第24回支払日・決算日)

借方

貸方

リース債務(*4)

755

現金預金

1,000

支払利息(*4)

245

   

減価償却費(*5)

2,504

リース資産

2,504

(*4)リース債務の元本返済額及び支払利息は、[表9-1]より。

(*5)40,067千円×1年/(5年−1年)×3月/12月=2,504千円

 

ウ 前年度末における未経過リース料期末残高相当額を取得価額として計上した場合(利息相当額を定額で配分する場合)

 

平成20年4月1日(改正リース会計基準適用開始日)

借方

貸方

リース資産(*1)

40,067

リース債務

40,067

(*1)リース資産の計上額は、[表9-1]より。

 

 

平成20年6月30日(第15回支払日・第1四半期決算日)

借方

貸方

リース債務(*3)

835

現金預金

1,000

支払利息(*2)

165

   

減価償却費(*4)

2,504

リース資産

2,504

(*2)過年度支払利息=366千円+・・・+311千円=4,067千円([表9-1]より。)

当期以降に配分される利息相当額=12,000千円−4,067千円=7,933千円

7,933千円×1年/(5年−1年)×1月/12月=165千円

(*3)1,000千円−165千円=835千円

(*4)40,067千円×1年/(5年−1年)×3月/12月=2,504千円

 

 

平成21年3月31日(第24回支払日・決算日)

借方

貸方

リース債務(*6)

835

現金預金

1,000

支払利息(*5)

165

   

減価償却費(*7)

2,504

リース資産

2,504

(*5)過年度支払利息=366千円+・・・+311千円=4,067千円([表9-1]より。)

当期以降に配分される利息相当額=12,000千円−4,067千円=7,933千円

7,933千円×1年/(5年−1年)×1月/12月=165千円

(*6)1,000千円−165千円=835千円

(*7)40,067千円×1年/(5年−1年)×3月/12月=2,504千円

 

B 第79項を適用した場合

 

平成20年4月1日(改正リース会計基準適用開始日)

借方

貸方

仕訳なし

 

 

平成20年4月30日(第13回支払日)

借方

貸方

支払リース料

1,000

現金預金

1,000

 

以後引き続き、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行う。

なお、この場合には、第79項に定める一定の注記が必要となる。

 

2 貸手の会計処理

所有権移転外ファイナンス・リース取引について賃貸借処理を採用する場合の平成20年3月31日現在の財務諸表に係る注記は、次のとおりであった。

 

所有権移転外ファイナンス・リース取引に係る注記

a リース物件の取得価額、減価償却累計額、減損損失累計額及び期末残高

 

機械及び装置

取得価額

48,000千円

減価償却累計額

9,600千円

期末残高

38,400千円

 

b 未経過リース料期末残高相当額

1年以内

1年超

合計

8,691千円

31,376千円

40,067千円

 

c 受取リース料、減価償却費及び受取利息相当額

受取リース料

12,000千円

減価償却費

9,600千円

受取利息相当額

4,067千円

 

d 利息相当額の算定方法

利息相当額の各期への配分方法については、利息法によっている。

 

(1) 平成20年3月31日以前に計上された仕訳の合計金額(改正リース会計基準適用開始日前)

 

借方

貸方

機械装置

48,000

現金預金

48,000

減価償却費(*1)

9,600

減価償却累計額(*1)

9,600

現金預金

12,000

受取リース料(*2)

12,000

(*1)48,000千円×1年/5年=9,600千円。なお、貸手は、耐用年数5年、残存価額ゼロの定額法により、減価償却していたものとする。

(*2)1,000千円×12=12,000千円

 

(2) 適用初年度の会計処理

以下、第2法による会計処理(第51項(2)参照)を示すこととする。

@ 第80項を適用した場合

 

平成20年4月1日(改正リース会計基準適用開始日)

借方

貸方

リース投資資産(*1)

40,067

機械装置

48,000

減価償却累計額

9,600

特別利益(*2)

1,667

(*1)改正リース会計基準の定める会計処理に基づくリース取引開始日のリース投資資産計上額48,000千円−過年度元本回収額7,933千円(=634千円+…+689千円)([表9-1]より。)=40,067千円

(*2)特別利益=過年度減価償却費9,600千円+過年度売上高12,000千円−過年度受取リース料12,000千円−過年度売上原価7,933千円=1,667千円

 

 

平成20年4月30日(第13回回収日)

借方

貸方

現金預金

1,000

売上高

1,000

売上原価(*3)

695

リース投資資産

695

(*3) [表9-1]より。

 

 

平成21年3月31日(第24回回収日・決算日)

借方

貸方

現金預金

1,000

売上高

1,000

売上原価(*4)

755

リース投資資産

755

(*4) [表9-1]より。

 

A 第81項を適用した場合

ア 利息相当額を利息法で会計処理する場合(第24項参照)

会計基準適用初年度の前年度末における固定資産の適正な帳簿価額(減価償却累計額控除後)をリース投資資産の期首の価額として計上することができるため、38,400千円がリース投資資産の計上価額となる。この場合に、利息相当額の算定に必要な利子率の計算は次のとおりである。

1,000/(1+r×1/12)+1,000/(1+r×1/12)2・・・・+1,000/(1+r×1/12)48

=38,400千円

r=11.403%

この場合のリース投資資産の回収スケジュールは、[表9-2]に示すとおりである。

 

[表9-2]

(単位:千円)

回数

回収日

前月末元本

回収合計

元本分

利息分

月末元本

13

H20.4.30

38,400

1,000

635

365

37,765

14

H20.5.31

37,765

1,000

641

359

37,124

15

H20.6.30

37,124

1,000

647

353

36,477

16

H20.7.31

36,477

1,000

654

346

35,823

17

H20.8.31

35,823

1,000

659

341

35,164

18

H20.9.30

35,164

1,000

666

334

34,498

19

H20.10.31

34,498

1,000

672

328

33,826

20

H20.11.30

33,826

1,000

679

321

32,147

21

H20.12.31

32,147

1,000

685

315

32,462

22

H21.1.31

32,462

1,000

692

308

31,770

23

H21.2.28

31,770

1,000

698

302

31,072

24

H21.3.31

31,072

1,000

704

296

30,368

57

H23.12.31

3,907

1,000

963

37

2,944

58

H24.1.31

2,944

1,000

972

28

1,972

59

H24.2.29

1,972

1,000

981

19

991

60

H24.3.31

991

1,000

991

9

 

第13回から

第60回合計

48,000

38,400

9,600

(注)適用利率年11.403%。利息の計算は、月数割りによっている。

 

 

平成20年4月1日(改正リース会計基準適用開始日)

借方

貸方

リース投資資産(*2)

38,400

機械装置

48,000

減価償却累計額(*1)

9,600

   

(*1)減価償却費累計額=48,000千円×1年/5年=9,600千円

(*2)リース投資資産=48,000千円−9,600千円=38,400千円

 

 

平成20年4月30日(第13回回収日)

借方

貸方

現金預金

1,000

売上高

1,000

売上原価(*3)

635

リース投資資産

635

(*3)売上高1,000千円−利息相当額365千円[表9-2]=売上原価635千円。なお、ここでは、利息相当額の総額をリース期間中の各期に利息法で配分している。

 

 

平成21年3月31日(第24回回収日・決算日)

借方

貸方

現金預金

1,000

売上高

1,000

売上原価(*4)

704

リース投資資産

704

(*4)売上高1,000千円−利息相当額296千円[表9-2]=売上原価704千円

 

また、平成21年3月期の財務諸表には、重要性が乏しいときを除き、第80項を適用した場合の税引前当期純損益と、第81項を適用した場合の税引前当期純損益との差額の注記が必要となる (第83項参照)。

≪第80項を適用した場合の税引前当期純損益と、第81項を適用した場合の税引前当期純損益との差額の計算≫

@)適用指針第80項を適用した場合

当事業年度の売上高=1,000千円×12=12,000千円

当事業年度の売上原価=695千円+・・・+755千円=8,691千円

特別利益(適用初年度のみ)=1,667千円(@第80項を適用した場合参照)

12,000千円−8,691千円+1,667千円=4,976千円

A)適用指針第81項を適用した場合

当事業年度の売上高=1,000千円×12=12,000千円

当事業年度の売上原価=635千円+・・・+704千円=8,032千円

12,000千円−8,032千円=3,968千円

B)注記する税引前当期純損益の差額

4,976千円−3,968千円=1,008千円

 

イ 利息相当額の総額を残リース期間中にわたり定額で配分する場合

 

平成20年4月1日(改正リース会計基準適用開始日)

借方

貸方

リース投資資産(*2)

38,400

機械装置

48,000

減価償却累計額(*1)

9,600

   

(*1)減価償却費累計額=48,000千円×1年/5年=9,600千円

(*2)リース投資資産=48,000千円−9,600千円=38,400千円

 

 

平成20年4月30日(第13回回収日)

借方

貸方

現金預金

1,000

売上高

1,000

売上原価(*3)

800

リース投資資産

800

(*3)売上高1,000千円−利息相当額12,000千円×1年/5年×1月/12月=売上原価800千円。なお、ここでは、利息相当額の総額をリース期間中の各期に定額で配分している。

 

 

平成21年3月31日(第24回回収日・決算日)

借方

貸方

現金預金

1,000

売上高

1,000

売上原価(*4)

800

リース投資資産

800

(*4)売上高1,000千円−利息相当額12,000千円×1年/5年×1月/12月=売上原価800千円

 

また、平成21年3月期の財務諸表には、重要性が乏しいときを除き、第80項を適用した場合の税引前当期純損益と、第81項を適用した場合の税引前当期純損益との差額の注記が必要となる (第83項参照)。

≪第80項を適用した場合の税引前当期純損益と、第81項を適用した場合の税引前当期純損益との差額の計算≫

@)適用指針第80項を適用した場合

当事業年度の売上高=1,000千円×12=12,000千円

当事業年度の売上原価=695千円+・・・+755千円=8,691千円

特別利益(適用初年度のみ)=1,667千円(@第80項を適用した場合参照)

12,000千円−8,691千円+1,667千円=4,976千円

A)適用指針第81項を適用した場合

当事業年度の売上高=1,000千円×12=12,000千円

当事業年度の売上原価=800千円×12=9,600千円

12,000千円−9,600千円=2,400千円

B)注記する税引前当期純損益の差額

4,976千円−2,400千円=2,576千円

 

B 第82項を適用した場合

 

平成20年4月1日(改正リース会計基準適用開始日)

借方

貸方

仕訳なし

 

 

平成20年4月30日(第13回回収日)

借方

貸方

現金預金

1,000

受取リース料

1,000

 

以後引き続き、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行う。

 

なお、この場合には、第82項に定める一定の注記が必要となる。

また、このBの方法は、リース取引を主たる事業としている企業は適用できない(第83項参照)。

 

付録

(借手)

1. 適用指針第79項に定める改正前会計基準で必要とされていた注記事項とは、次の事項をいう。(注1)

(1) リース物件の取得価額相当額、減価償却累計額相当額、減損損失累計額相当額及び期末残高相当額

@ リース物件の取得価額相当額は、リース取引開始時に合意されたリース料総額から、これに含まれている利息相当額の合理的な見積額を控除した額に基づいて算定する。(注2)

A リース物件の減価償却累計額相当額は、通常の減価償却の方法に準じて算定する。(注3)

B リース物件の期末残高相当額は、当該リース物件の取得価額相当額から減価償却累計額相当額及び減損損失累計額相当額を控除することによって算定する。

C リース物件の取得価額相当額、減価償却累計額相当額、減損損失累計額相当額及び期末残高相当額は、リース物件の種類別に記載する。リース物件の種類は、貸借対照表記載の固定資産の科目に準じて分類する。

(2) 未経過リース料期末残高相当額等

@ 未経過リース料期末残高相当額は、期末現在における未経過リース料(貸借対照表日後のリース期間に係るリース料をいう。以下同じ。)から、これに含まれている利息相当額の合理的な見積額を控除することによって算定する。(注2)

A 未経過リース料期末残高相当額は、貸借対照表日後1年以内のリース期間に係るリース料の額と1年を超えるリース期間に係るリース料の額とに分けて記載する。

B リース資産減損勘定(リース資産に配分された減損損失に対応する負債をいう。以下同じ。)

(3) 当期の支払リース料、リース資産減損勘定の取崩額、減価償却費相当額、支払利息相当額及び減損損失(注2)

(4) 減価償却費相当額及び利息相当額の算定方法

利息相当額の算定方法には、利息相当額の合理的な見積額の算定方法及び当該利息相当額の各期への配分方法を記載する。

(貸手)

2. 適用指針第82項に定める改正前会計基準で必要とされていた注記事項とは、次の事項をいう。

(1) リース物件の取得価額、減価償却累計額、減損損失累計額及び期末残高

貸借対照表記載の固定資産に含まれているリース物件の取得価額、減価償却累計額、減損損失累計額及び期末残高をリース物件の種類別に記載する。リース物件の種類は、貸借対照表記載の固定資産の科目に準じて分類する。

期末残高を算定するにあたっては、減損損失累計額を控除する。

(2) 未経過リース料期末残高相当額

@ 未経過リース料期末残高相当額は、期末現在における未経過リース料及び見積残存価額の合計額から、これに含まれている利息相当額を控除することによって算定する。(注4)(注5)

A 未経過リース料期末残高相当額は、貸借対照表日後1年以内のリース期間に係るリース料の額と1年を超えるリース期間に係るリース料の額とに分けて記載する。

(3) 当期の受取リース料、減価償却費及び受取利息相当額(注5)

(4) 利息相当額の算定方法

利息相当額の算定方法には、利息相当額の各期への配分方法を記載する。

 

(注1) リース期間が1年未満のリース取引及び企業の事業内容に照らして重要性の乏しいリース取引でリース契約1件当たりの金額が少額なリース取引(リース契約1件当たりのリース料総額 (維持管理費用相当額のリース料総額に占める割合が重要な場合には、その合理的見積額を除くことができる。)が300万円以下のものとする。ただし、1つのリース契約に科目の異なる有形固定資産 (有形固定資産以外の資産をファイナンス・リース取引の対象とする場合は、当該資産を含む。)が含まれている場合は、異なる科目ごとに、その合計金額によることができる。 )については、注記を省略することができる。

(注2) 未経過リース料の期末残高(通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理されている部分を除く。)が当該期末残高及び有形固定資産の期末残高の合計額(有形固定資産以外の資産をファイナンス・リース取引の対象とする場合には、当該資産の属する科目の期末残高を含む。以下同じ。 )に占める割合に重要性が乏しい場合には、リース物件の取得価額相当額及び未経過リース料期末残高相当額の算定に当たり、リース取引開始時に合意されたリース料総額及び期末現在における未経過リース料から、これらに含まれている利息相当額の合理的な見積額を控除しない方法 (以下「支払利子込み法」という。)によることができる。上記算式により算出した割合に重要性が乏しい場合とは、当該割合が10パーセント未満の場合とする。

ただし、前段落の規定にかかわらず、ファイナンス・リース取引の対象となる資産の属する科目が当該会社の事業内容に照らして重要性が乏しい場合において、当該期末における当該科目に属するリース物件に係る未経過リース料の期末残高が当該未経過リース料の期末残高及び有形固定資産の期末残高の合計額に占める割合に重要性が乏しい場合には、当該科目に属するリース物件に係る取得価額相当額及び未経過リース料残高相当額を支払利子込み法により算定することができる。上記算式により算出した割合に重要性が乏しい場合とは、当該割合が5パーセント未満の場合とする。

上記の未経過リース料の期末残高には、次のようなリース取引に係るものは含まれないものとする。

@ 売買処理が行われているリース取引

A リース期間が1 年未満のリース取引

B (注1)により重要性が乏しいものとして注記をしないものとしたリース取引

C 利息相当額の合理的な見積額を控除する方法によっているリース取引

(注3) リース契約上の諸条件に照らしてリース物件の所有権が借手に移転すると認められるもの以外のファイナンス・リース取引に係るリース物件の減価償却費相当額は、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして算定する。

(注4) 利息相当額の総額は、リース開始時に合意されたリース料総額及び見積残存価額の合計額から、これに対応するリース物件の取得価額を控除することによって算定する。

(注5) 未経過リース料及び見積残存価額の合計額の期末残高が当該期末残高及び営業債権の期末残高の合計額に占める割合に重要性が乏しい場合には、リース物件に係る未経過リース料期末残高相当額の算定に当たり、期末現在における未経過リース料及び見積残存価額の合計額から、これに含まれている利息相当額を控除しない方法によることができる。上記の算式により算出した割合に重要性が乏しい場合とは、当該割合が10パーセント未満の場合とする。

なお、上記の未経過リース料及び見積残存価額の合計額には、次のようなリース取引に係るものは含まれないものとする。

@ 売買処理が行われているリース取引

A 利息相当額の合理的な見積額を控除する方法によっているリース取引

以上

 


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