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会計基準結論の背景|適用指針|開示例目次

 

(注)本会計基準は、企業会計基準委員会が平成18年10月17日に公表した「関連当事者の開示に関する会計基準の適用指針」から「目的・適用指針・結論の背景」を抜粋したものです。「参考(開示例)」は別に記載してあります。なお、オリジナルと異なる表現をしている部分があります。実務に適用するにあたっては念のために最新の適用指針等を確認してください。

企業会計基準適用指針第13号

関連当事者の開示に関する会計基準の適用指針

(目的・適用指針・結論の背景)

平成18年10月17日

企業会計基準委員会

 

本会計基準は、平成20年12月26日「企業結合に関する会計基準」の公表に伴う修正を反映してある。(第11項)

 

目次

目的

適用指針

範囲

関連当事者の範囲

主要株主の定義

役員の定義

開示対象となる関連当事者との取引の範囲

開示対象外の取引

関連当事者との取引の開示対象期間

関連当事者との取引に関する開示

関連当事者の概要

貸倒懸念債権及び破産更生債権等

資金貸借取引、債務保証等及び担保提供又は受入れ

関連当事者の存在に関する開示

関連当事者の存在

重要性の判断基準

関連当事者との取引の開示における重要性の判断基準について

関連当事者の重要性の判断に係るグループ

関連当事者が法人の場合

関連当事者が個人の場合

資金貸借取引、債務保証等及び担保提供又は受入れ

外注先等への有償支給取引の取扱い

重要な関連会社

開示の継続性

適用時期

議決

結論の背景

関連当事者の範囲

退任した役員の取扱い

開示すべき範囲

開示対象外の取引

関連当事者との取引に関する開示

関連当事者の概要における開示項目の簡素化

関連当事者の存在に関する開示

関連当事者の存在

重要性の判断基準

重要性の判断基準の必要性

関連当事者が法人の場合

関連当事者が個人の場合

重要な関連会社

参考(開示例)は別に記載してあります。


目的

1. 企業会計基準第11号「関連当事者の開示に関する会計基準」(以下「会計基準」という。)が、平成18年10月17日に公表されている。本適用指針は、当該会計基準を適用する際の指針を定めるものである。

適用指針

範囲

2. 本適用指針を適用する範囲は、会計基準における範囲と同様とする。

関連当事者の範囲

主要株主の定義

3. 「主要株主」とは、保有態様を勘案した上で、自己又は他人の名義をもって総株主の議決権の10%以上を保有している株主をいう(会計基準第5項(6))。

信託業を営む者が信託財産として株式を保有している場合、証券業を営む者が引受け又は売出しを行う業務により株式を保有している場合及び証券金融会社がその業務として株式を保有している場合については、その保有態様から、これらの者は主要株主には該当しない。

役員の定義

4. 「役員」とは、取締役、会計参与、監査役、執行役又はこれらに準ずる者をいう(会計基準第5項(7))。「これらに準ずる者」は、例えば、相談役、顧問、執行役員その他これらに類する者であって、その会社内における地位や職務等からみて実質的に会社の経営に強い影響を及ぼしていると認められる者をいい、創業者等で役員を退任した者についても、役員の定義に該当するかどうかを実質的に判定する。

開示対象となる関連当事者との取引の範囲

開示対象外の取引

5. 役員に対する報酬、賞与及び退職慰労金の支払いは、開示対象外となる(会計基準第9項(2))。関連当事者である役員と会社が報酬、賞与及び退職慰労金の支払い以外の取引をする場合においても、当該役員が従業員としての立場で行っていることが明らかな取引(例えば、使用人兼務役員が会社の福利厚生制度による融資を受ける場合など)は、開示対象外とする。

関連当事者との取引の開示対象期間

6. 連結会計年度又は事業年度の途中において関連当事者に該当することとなった場合、又は関連当事者に該当しなくなった場合には、関連当事者であった期間中の取引が開示対象となる。期末に子会社を取得(みなし取得を含む。)し、貸借対照表のみ連結している場合で、取得前の期間において関連当事者に該当する場合には、当該会社との取引は連結財務諸表上相殺消去されていないため、関連当事者との取引の開示対象となる。

関連当事者との取引に関する開示

関連当事者の概要

7. 関連当事者の概要(会計基準第10項(1))には、名称又は氏名のほか、以下の内容を記載する。

(1) 関連当事者が法人(会社に準ずる事業体などを含む。以下同じ。)の場合には、所在地、資本金(出資金)、事業の内容及び当該関連当事者の議決権に対する会社の所有割合又は財務諸表作成会社の議決権に対する当該関連当事者の所有割合所有割合

(2) 関連当事者が個人の場合には、職業、財務諸表作成会社の議決権に対する当該関連当事者の所有割合

貸倒懸念債権及び破産更生債権等

8. 関連当事者に対する債権が貸倒懸念債権及び破産更生債権等に該当する場合、以下の項目を開示する(会計基準第10項(8))。

(1) 債権の期末残高に対する貸倒引当金残高

(2) 当期の貸倒引当金繰入額等

(3) 当期の貸倒損失額(一般債権に区分されている場合において貸倒損失が生じた場合も含む。)

開示にあたっては、関連当事者ごとに開示せず、関連当事者の種類ごとに合算して記載することができる。

また、関連当事者に対する債務保証損失引当金の期末残高や繰入額なども開示対象となり、上記の貸倒懸念債権及び破産更生債権等の取扱いに準じて開示する。

なお、連結財務諸表においては、連結子会社に対する債権で相殺消去の対象とされているものに係る貸倒引当金及び貸倒損失等は、開示対象外とする。

資金貸借取引、債務保証等及び担保提供又は受入れ

9. 資金貸借取引、債務保証等及び担保提供又は受入れについて開示する場合には、以下の内容を記載する(会計基準第10項(4)及び(6))。

(1) 資金貸借取引

資金の貸付取引又は借入取引がある場合、連結会計年度中又は事業年度中の貸付金額又は借入金額を取引金額として記載するとともに、当該取引に関する期末残高を記載する。

(2) 債務保証等

保証債務等(被保証債務等)の期末残高を取引金額として記載する。また、保証等をしているのか、保証等を受けているのかの別がわかるよう、その内容を注記において具体的に記載する。

(3) 担保提供又は受入れ

担保資産に対応する債務の期末残高を取引金額として記載する。また、担保を提供しているのか、担保を受け入れているのかの別がわかるよう、その内容を注記において具体的に記載する。

関連当事者の存在に関する開示

関連当事者の存在

10. 親会社情報(会計基準第11項(1))として、親会社の名称及び上場又は非上場の別を開示する。る。

11. 重要な関連会社の要約財務情報(会計基準第11項(2))は、持分法投資損益(共同支配企業の場合は、持分法に準ずる処理を適用した場合の投資損益。以下同じ。)の算定に用いた財務情報をもとに、主な貸借対照表項目及び損益計算書項目を開示する。

例えば、以下の内容を記載する。

(1) 貸借対照表項目:流動資産合計、固定資産合計、流動負債合計、固定負債合計、純資産合計

(2) 損益計算書項目:売上高、税引前当期純損益、当期純損益

なお、要約財務情報を合算して記載する場合には、持分法投資損益の算定対象としたすべての関連会社の財務情報を合算したものを記載することもできる。その場合には、その旨及び重要な関連会社の名称を明記する。

重要性の判断基準

関連当事者との取引の開示における重要性の判断基準について

12. 会社と関連当事者との取引は、重要な取引を開示対象とする(会計基準第6項)。

この場合の重要性の判断は第13項から第18項及び第20項に基づいて行う。

関連当事者の重要性の判断に係るグループ区分

13. 法人又は個人の別、支配又は被支配の別、影響力の度合などに基づき、関連当事者は以下に示す4つのグループに区分する。開示に際しては、各グループに適用される重要性の判断基準(第15項及び第16項参照)に従って開示の要否を判定し、開示を要する事項について当該各グループ順に並べて開示するものとする。

(1) 親会社及び法人主要株主等(財務諸表作成会社の上位に位置する法人のグループ)

@ 親会社(会計基準第5項(3)@)

A 財務諸表作成会社が他の会社の関連会社である場合における当該他の会社(以下「その他の関係会社」という。)及び当該その他の関係会社の親会社(会計基準第5項(3)C)

B 財務諸表作成会社の主要株主(法人)(会計基準第5項(3)E)

(2) 関連会社等(財務諸表作成会社の下位に位置する法人のグループ)

@ 子会社(会計基準第5項(3)A)

A 関連会社及び当該関連会社の子会社(会計基準第5項(3)D)

B 従業員のための企業年金(企業年金と会社の間で掛金の拠出以外の重要な取引を行う場合に限る。)(会計基準第5項(3)J)

(3) 兄弟会社等(財務諸表作成会社の上位に位置する法人の子会社のグループ)

@ 財務諸表作成会社と同一の親会社をもつ会社(会計基準第5項(3)B)

A その他の関係会社の子会社(会計基準第5項(3)C)

B 財務諸表作成会社の主要株主(法人)が議決権の過半数を自己の計算において所有している会社及びその子会社(会計基準第5項(3)I)

(4) 役員及び個人主要株主等(財務諸表作成会社の役員・個人主要株主等のグループ)

@ 財務諸表作成会社の主要株主(個人)及びその近親者(会計基準第5項(3)E)

A 財務諸表作成会社の役員及びその近親者(会計基準第5項(3)F)

B 親会社の役員及びその近親者(会計基準第5項(3)G)

C 重要な子会社の役員及びその近親者(会計基準第5項(3)H)

D @からCに掲げる者が議決権の過半数を自己の計算において所有している会社及びその子会社(会計基準第5項(3)I)

14. 関連当事者との取引について、第13項のグループごとにさらに法人グループ(第13項(1)から(3))又は個人グループ(第13項(4))のいずれかに区分して、第15項から第18項に基づいて重要性の判断を行う。この判断に際しては、原則として各関連当事者との取引(類似・反復取引についてはその合計)ごとに行う。例えば、1つの取引について売上高は重要であるが、売掛金残高には重要性がない場合においても、売上高及び売掛金残高の両者の開示が必要となることに留意する必要がある。

関連当事者が法人の場合

15. 関連当事者が法人グループ(第13項(1)から(3))である場合、以下の関連当事者との取引を開示対象とする。

なお、個別財務諸表で関連当事者との取引を開示する場合、連結損益計算書項目、連結貸借対照表項目、税金等調整前当期純損益は、それぞれ、損益計算書項目、貸借対照表項目、税引前当期純損益と、適宜読み替えるものとする。

(1) 連結損益計算書項目に属する科目に係る関連当事者との取引

@ 売上高、売上原価、販売費及び一般管理費

売上高又は売上原価と販売費及び一般管理費の合計額の10%を超える取引

A 営業外収益、営業外費用

営業外収益又は営業外費用の合計額の10%を超える損益に係る取引(その取引総額を開示し、取引総額と損益が相違する場合には損益を併せて開示する。)

B 特別利益、特別損失

1,000万円を超える損益に係る取引(その取引総額を開示し、取引総額と損益が相違する場合には損益を併せて開示する。)

ただし、A及びBの各項目に係る関連当事者との取引については、上記判断基準により開示対象となる場合であっても、その取引総額が、税金等調整前当期純損益又は最近5 年間の平均の税金等調整前当期純損益(当該期間中に税金等調整前当期純利益と税金等調整前当期純損失がある場合には、原則として税金等調整前当期純利益が発生した年度の平均とする。)の10%以下となる場合には、開示を要しないものとする。

(2) 連結貸借対照表項目に属する科目の残高及びその注記事項に係る関連当事者との取引並びに債務保証等及び担保提供又は受入れ

@ その金額が総資産の1%を超える取引

A 資金貸借取引、有形固定資産や有価証券の購入・売却取引等については、それぞれの残高が総資産の1%以下であっても、取引の発生総額(資金貸付額等)が総資産の1%を超える取引(ただし、取引が反復的に行われている場合や、その発生総額の把握が困難である場合には、期中の平均残高が総資産の1%を超える取引を開示することもできる。)

B 事業の譲受又は譲渡の場合には、譲受又は譲渡の対象となる資産や負債が個々に取引されるのではなく、一体として取引されると考えられることから、対象となる資産又は負債の総額のいずれか大きい額が、総資産の1%を超える取引

関連当事者が個人の場合

16. 関連当事者が個人グループ(第13項(4))である場合、関連当事者との取引が、連結損益計算書項目及び連結貸借対照表項目等のいずれに係る取引についても、1,000万円を超える取引については、すべて開示対象とする。。

ただし、会社の役員(親会社及び重要な子会社の役員を含む。)若しくはその近親者が、他の法人の代表者を兼務しており(当該役員等が当該法人又は当該法人の親会社の議決権の過半数を自己の計算において所有している場合を除く。)、当該役員等がその法人の代表者として会社と取引を行うような場合には、法人間における商取引に該当すると考えられるため、関連当事者が個人グループの場合の取引としては扱わず、法人グループの場合の取引に属するものとして扱う。

資金貸借取引、債務保証等及び担保提供又は受入れ

17. 資金貸借取引、債務保証等及び担保提供又は受入れに関する重要性の判断について は、以下のように行う。

(1) 資金貸借取引

資金貸借取引の期末残高に重要性が乏しい場合であっても、その取引に係る利息に関して第15 項(1)Aに基づく重要性の判断を行うとともに、その取引の発生総額に関しても第15項(2)Aに基づく重要性の判断を行う。

(2) 債務保証等

債務保証等の重要性の判断は、期末における保証債務等(被保証債務等)の金額で行う。

(3) 担保提供又は受入れ

担保資産の重要性の判断は、期末における対応する債務の残高をもって行う。

外注先等への有償支給取引の取扱い

18. 外注先等への有償支給取引については、所定の加工後、支給品のすべて又は一部が買戻しされる場合等、種々の取引形態が考えられるが、関連当事者との取引の開示のための重要性の判断は、当該有償支給取引に係る一連の取引が連結財務諸表上相殺消去されている場合には、消去された後のそれぞれの取引金額について行う。

重要な関連会社

19. 関連会社は、以下のいずれかに該当した場合に、要約財務情報の開示(第11項参照)を必要とする重要な関連会社となる。なお、個別財務諸表において開示を行う場合、税金等調整前当期純損益は、税引前当期純損益と読み替えるものとする。

(1) 各関連会社の総資産(持分相当額)が、総資産の10%を超える場合

(2) 各関連会社の税引前当期純損益(持分相当額)が、税金等調整前当期純損益の10%を超える場合

ただし、(2)については上記の基準を満たす場合であっても、会社の最近5年間の平均の税金等調整前当期純損益(当該期間中に税金等調整前当期純利益と税金等調整前当期純損失がある場合には、原則として税金等調整前当期純利益が発生した年度の平均とする。)の10%を超えない場合には、開示を要しない。

開示の継続性

20. 関連当事者の開示における重要性の判断基準の適用にあたり、これまで開示対象となっていた取引等について、ある連結会計年度又は事業年度に数値基準を下回っても、それが一時的であると判断されるような場合には、ただちに開示対象から除外するなどの画一的な取扱いをせず、開示の継続性が保たれるよう留意する必要がある。

適用時期

21. 本適用指針の適用時期は、会計基準と同様とする。

議決

22. 本適用指針は、第114回企業会計基準委員会に出席した委員12 名全員の賛成により承認された。

結論の背景

関連当事者の範囲

退任した役員の取扱い

23. 創業者等の中には、役員を退任した後でも、実質的に会社に強い影響力を持つ場合も考えられるため、役員を退任した者も取締役等に準ずる者として関連当事者の範囲に含まれる場合があるとしている(第4項参照)。役員を退任した者のうち、どこまでを関連当事者の範囲に含めるべきかということについては、役員退任後の一定期間は一律に関連当事者の範囲に含めるべきであるという意見と、退任した役員が会社に及ぼす影響力は退任者によって異なるため、形式的に対象期間を一律に定めるのは適切ではないという意見があった。検討の結果、関連当事者の開示の目的に照らし、一律に期間を設けるのではなく、会社に対して役員と同等の影響力を及ぼしているか否かを個々のケースごとに実質的に判定することとした。なお、退任後間もない役員については、その判定に際し、特に慎重な対応が求められるものと考えられる。

開示すべき範囲

開示対象外の取引

24. 我が国において役員報酬は、コーポレート・ガバナンスに関する非財務情報として開示が規定されている。このため、関連当事者の開示の対象外とすることとした(第5項参照)。

なお、役員報酬は、会社法第361 条等にいう報酬等(役員の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益)を指す。会社法上、以下について定款に定めがない場合、株主総会の決議(委員会設置会社における執行役、取締役及び会計参与については、報酬委員会の決議)により定めるとされている(会計参与については会社法第379条、監査役については会社法第387条、委員会設置会社における執行役、取締役及び会計参与については会社法第404条第3項及び第409条)。

(1) 報酬等のうち額が確定しているものについては、その額

(2) 報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法

(3) 報酬等のうち金銭でないものについては、その具体的な内容

したがって、金銭以外の経済的利益の供与であっても、上記に含まれるものは、関連当事者の開示ではなく、別途、役員報酬として開示されるものと考えられる。他方、上記に含まれないものは、役員報酬として開示されないため、関連当事者の開示の対象に含まれることになると考えられる。

関連当事者との取引に関する開示

関連当事者の概要における開示項目の簡素化

25. 現行の取扱い(財務諸表等規則及び連結財務諸表規則)で求められている開示項目のうち、情報価値が比較的乏しいものについては、その開示を簡素化すべきではないかとの意見があった。具体的には、関連当事者の概要における資本金や職業などの情報が挙げられた。また、関連当事者の開示の目的を踏まえつつ、作成上の負担も考慮し、開示項目は必要最低限にすべきであるという意見があった。さらに、欧米と比較して、我が国の規定は形式を過度に重視しているため、形式にとらわれず、柔軟な対応を可能にすべきであるという意見もあった。あるという意見もあった。

26. 一方、企業情報を検索する際に利便性があることなどから、簡素化せずに現行の取扱いに基づく実務を踏襲すべきであるという意見があった。また、関連当事者の概要に関する基本的な開示項目の減少は開示の後退につながるという意見もあった。

検討の結果、本適用指針においては、現行の取扱いと同様の内容を開示項目として規定することとした(第7項参照)。

関連当事者の存在に関する開示

関連当事者の存在

27. 重要な関連会社の要約財務情報については、主な貸借対照表項目及び損益計算書項目を開示することとしている(第11項参照)。具体的な項目については、国際的な会計基準の内容やその実務慣行なども参考に、例示することとした。

また、開示される要約財務情報の中に、我が国の会計基準以外の会計基準で作成された財務情報が含まれる場合、採用されている会計基準の開示が有用であり、その旨を開示すべきであるという意見もあった。しかしながら、持分法の適用に関しても投資先で採用されている会計基準の開示は求められておらず、また、複数の会社の財務情報を合算して記載する場合、個別企業で採用されている会計基準を開示する意味合いは乏しくなることから、開示を求めないこととした。

重要性の判断基準

重要性の判断基準の必要性

28. 重要性の判断基準については、これまで、日本公認会計士協会 監査委員会報告第62号「関連当事者との取引に係る情報の開示に関する監査上の取扱い」(以下「監査委員会報告第62号」という。)に定められていた。このような具体的な重要性の判断基準については、会社の規模や取引の内容などにより異なる場合もあるため、一律に形式的な基準を設けることは適当ではないとする意見があった。

また、国際的な会計基準においては数値基準を設けておらず、重要性の判断は量的、質的要素の両方の視点で行う必要があるため、会計基準及び適用指針において具体的な数値基準を設ける必要はないという意見もあった。

しかし、開示の公平性の観点から数値基準はあった方が望ましく、実務上も数値基準があった方がよいという意見があった。また、米国では、会計基準に数値基準はなく、「重要なもの」を開示するとしているが、米国証券取引委員会(SEC)の非財務情報に関する規定であるレギュレーション S-Kは、役員等との取引等について具体的な数値基準を設けている。

検討の結果、本適用指針においては、現行の取扱いを踏まえつつ、米国の最近の状況も考慮に入れて、関連当事者の開示に関する重要性の判断基準を示すこととした。

関連当事者が法人の場合

29. 現行の取扱い(監査委員会報告第62号 W 1 (1))のように、営業外損益の場合はその総額の10%、特別損益の場合は100万円と、税金等調整前当期純損益の10%のいずれか大きい額を開示対象とする取扱いは、煩雑であるという意見があった。また、国際的な会計基準においては営業外損益や特別損益の概念が我が国の会計基準とは異なると考えられるので、我が国の会計基準のみが営業外損益や特別損益の詳細な基準を設ける必要はないという意見があった。その一方、現行の取扱いを踏襲すべきとする意見もあった。

検討の結果、関連当事者が個人の場合とのバランスなどを考慮して、特別損益については、1,000万円あるいは税金等調整前当期純損益の10%のいずれか大きい金額を超える取引について開示するものとすることとした(第15項(1)参照)。

30. また、資金貸借取引等において、取引が反復的に行われている場合や、その発生総額の把握が困難である場合があるとの指摘を踏まえ、その場合には取引の発生総額での重要性の判断及び開示を行わず、期中の平均残高が総資産の1%を超える取引か否かでその取引の重要性を判断し、開示を行うことができることとした(第15 項(2)A参照)。

関連当事者が個人の場合

31. 会社と役員等との取引は、牽制の観点から役員等との100万円を超える取引を開示している現行の取扱い(監査委員会報告第62号 W 2)が妥当であるという意見があった。また、個人との取引は、当該個人が法人を代表して行う取引を除き、数値基準によらず、そのすべてを開示する必要があるとの意見もあった。

32. その一方、100万円という数値基準を緩めてもよいのではないかとの意見があった。

また、米国においては、財務諸表外の扱いではあるがレギュレーションS-Kにおいて、役員等との取引について6万ドル超の取引を開示することとしていたところを、2006年7月に改訂がなされ、12万ドル超の取引を開示することに変更されている。

検討の結果、個人との取引については、1,000万円を超える取引を開示することとした(第16項参照)。

33. また、現行の取扱いでは、財務諸表作成会社の役員が、関連当事者に該当する関係会社等(親会社及び法人主要株主等、関連会社等、兄弟会社等)の代表者を兼務しており、その代表者として会社と取引を行うような場合には、関係会社間における通常の商取引に該当すると考えられるため、役員及び個人主要株主等のグループに属する関連当事者との取引としては扱わず、法人との取引に属するものとして扱うこととしている(監査委員会報告第62号 W 2)。財務諸表作成会社の役員が関係会社等以外の会社の代表を兼務し、その代表者として会社と取引を行う場合においても、会社間の通常の取引という観点からは、関係会社等の代表者として取引する場合と同様と考えられることから、本適用指針では、この場合も関連当事者が法人の場合の取引の判断基準により、重要性を判断することとした(第16項参照)。

ただし、会社の役員(親会社及び重要な子会社の役員を含む。)及びその近親者が、議決権の過半数を自己の計算において所有している会社及びその子会社と取引を行う場合においては、従来どおり、関連当事者が個人の場合の取引の判断基準により重要性を判断することとしている(第13項(4)D及び第14 項参照)。

重要な関連会社

34. 関連会社の要約財務情報の開示に関する重要性の判断基準については、国際的な会計基準では数値基準は設けられていないが、実務上の円滑な実施を図る観点から、米国SECのレギュレーションS-Xにおける、関連会社等の要約財務情報の開示に係る重要性の判断基準のような数値基準が必要ではないかという意見があった。

また、関連会社のうち、共同支配企業に関してはその性格を踏まえ、当該企業の資産及び負債等をより幅広く開示するために、例えば持分比率が50%を大幅に超える場合の重要性の判断基準については、他の関連会社より厳しく設定すべきではないかという意見もあった。

検討の結果、米国の状況も参考の上、開示対象とする関連会社については、(1)関連会社の総資産、(2)関連会社の税引前当期純損益での数値基準を設けることとした(第19項参照)。


INDEX

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