1 ストック・オプションの付与
(1) ストック・オプションを付与し、これに応じて企業が従業員等から取得するサービスは、その取得に応じて費用として計上し、対応する金額を、ストック・オプションの権利の行使又は失効が確定するまでの間、貸借対照表の純資産の部に新株予約権として計上する。
(2) 各会計期間における費用計上額は、ストック・オプションの公正な評価額のうち、対象勤務期間を基礎とする方法その他の合理的な方法に基づき当期に発生したと認められる額である。ストック・オプションの公正な評価額は、公正な評価単価にストック・オプション数を乗じて算定する。
ストック・オプションの公正な評価単価の算定、その他詳細は、ストック・オプションに関する会計基準を参照。
2 仕訳例
X3年6月の株主総会において、従業員のうちマネージャー以上の者75名に対してストック・オプション
(新株予約権)を付与することを決議し、同7月1日に付与した。
(1) X4年3月期 人件費の計上
・ストック・オプションの数は、従業員1名当たり160個(合計12,000個)
でストック・オプションの一部行使は出来ない。
・付与日におけるストック・オプションの公正な評価単価は8,000円/個である。
・X3年6月のストック・オプション付与時点において、X5年6月末日までに7名の退職による失効を見込んでいる。
・ストック・オプションの権利確定日はX5年6月末日である。
・付与されたストック・オプションは、他者に譲渡できない。
・期末時点において、将来の失効見込を修正する必要はないと想定している。
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
株式報酬費用 |
32,640,000 |
新株予約権 |
32,640,000 |
8,000円/個×160個/名×(75名−7名)×9月/24月=32,640,000円
対象勤務期間:24月(X3年7月〜X5年6月)
対象期間のうち、X4年3月末までの期間:9月(X3年7月〜X4年3月) |
(2) X5年3月期 人件費の計上
・期末時点において、将来の累計失効見込み額を6名に修正した。
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
株式報酬費用 |
44,640,000 |
新株予約権 |
44,640,000 |
8,000円/個×160個/名×(75名−6名)×21月/24月−32,640,000円=44,640,000円
対象勤務期間:24月(X3年7月〜X5年6月)
対象期間のうち、X5年3月末までの期間:21月(X3年7月〜X5年3月) |
(3) X6年3月期 人件費の計上
・X5年6月末までに実際に退職したのは5名であった。
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
株式報酬費用 |
12,320,000 |
新株予約権 |
12,320,000 |
8,000円/個×160個/名×(75名−5名)×24月/24月−32,640,000円−44,640,000円=12,320,000円 |
参考:ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針より
INDEX
■仕訳処理目次
■新株予約権
■新株予約権の募集・権利行使・失効
■ストック・オプションの付与
■ストック・オプションの権利行使
■ストック・オプションの失効
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