1 割賦販売の収益計上
割賦販売とは、割賦や年賦等の方法により販売対価の支払いを受けることを定めた契約に基づき行われる販売形態である。
割賦販売については、商品等を引渡した日をもって売上収益の実現の日とする。 しかし、割賦販売は通常の販売と異なり、その代金回収の期間が長期にわたり、かつ、分割払であることから代金回収上の危険率が高いので、貸倒引当金及び代金回収費、アフター・サービス費等の引当金の計上について特別の配慮を要するが、その算定に当っては、不確実性と煩雑さとを伴う場合が多い。従って、収益の認識を慎重に行うため販売基準に代えて、割賦金の回収期限の到来の日又は入金の日をもって売上収益実現の日とすることも認められる。
参考:企業会計原則注解 注6(4)
平成10年税制改正によって法人税法、消費税法とも割賦基準による方法が廃止されたので、税法上は、商品等の引渡し時に売上収益及び売上利益、消費税額の全額を計上する必要がある
。
2 仕訳例
本設例は、商品等を引渡した日をもって全額を売上計上し、決算処理で賦払金の期日未到来に部分に対応する未実現利益を翌期繰り延べる方法によっている。
(1)
製品引渡し時
01年2月、売上高3,780,0000円
(内消費税180,000円)、製造原価3,240,000円の製品を10ヶ月賦払いの契約で販売した。
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
売掛金 |
3,780,000 |
売上高 |
3,600,000 |
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仮受消費税 |
180,000 |
売上原価 |
3,240,000 |
製品 |
3,240,000 |
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(2) 賦払金の入金
01年3月、上記(1)の賦払金378,000円が当座預金に入金した。
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
当座預金 |
378,000 |
売掛金 |
378,000 |
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(3) 01年3月 期末処理
次期以降に賦払が到来する売上高は3,240,000円である。
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
繰延延払利益控除
(P/L) |
324,000 |
繰延延払利益
(B/S) |
324,000 |
繰延延払利益控除額:(売上高3,600,000円−原価3,240,000×(賦払期が未到来の売上高3,240,000円÷売上高3,600,000円)=324,000円
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(4) 賦払金の入金
01年4月 上記(1)の賦払金378,000円が当座預金に入金した。
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
当座預金 |
378,000 |
売掛金 |
378,000 |
繰延延払利益
B/S |
36,000 |
繰延延払利益戻入
P/L |
36,000 |
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INDEX
■仕訳処理目次
■売上高
■通常の売上
■外貨建売上
■割賦販売
■委託販売
■試用販売
■予約販売
■延払条件付販売
■長期請負工事の収益計上
■売上値引
■売上割戻
■売上戻り
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