1 修繕費とは
修繕費とは固定資産、消耗工具器具備品などの修繕・改良等のために支出した金額で、当該固定資産等の通常の維持管理のため、又はき損した固定資産につき、その現状を回復するために要したと認められる部分の金額が修繕費となる。
なお、修繕費であるか資本的支出であるかの区分は難しいため、税法では次のようなものを修繕費とすることが認められている。
(1) 修繕費に含まれる費用(法人税法基本通達7-8-2)
@ 建物の移えい又は解体移築をした場合(移えい又は解体移築を予定して取得した建物についてした場合を除く。)におけるその移えい又は移築に要した費用の額。ただし、解体移築にあっては、旧資材の70%以上がその性質上再使用できる場合であって、当該旧資材をそのまま利用して従前の建物と同一の規模及び構造の建物を再建築するものに限る。
A 機械装置の移設(基本通達7-3-12《集中生産を行う等のための機械装置の移設費》の本文の適用のある移設を除く。)に要した費用(解体費を含む。)の額
B 地盤沈下した土地を沈下前の状態に回復するために行う地盛りに要した費用の額。ただし、次に掲げる場合のその地盛りに要した費用の額を除く。
イ 土地の取得後直ちに地盛りを行った場合
ロ 土地の利用目的の変更その他土地の効用を著しく増加するための地盛りを行った場合
ハ 地盤沈下により評価損を計上した土地について地盛りを行った場合
C 建物、機械装置等が地盤沈下により海水等の浸害を受けることとなったために行う床上げ、地上げ又は移設に要した費用の額。ただし、その床上工事等が従来の床面の構造、材質等を改良するものである等明らかに改良工事であると認められる場合のその改良部分に対応する金額を除く。
D 現に使用している土地の水はけを良くする等のために行う砂利、砕石等の敷設に要した費用の額及び砂利道又は砂利路面に砂利、砕石等を補充するために要した費用の額
(2) 少額又は周期の短い費用の損金算入(法人税法基本通達7-8-3)
一の計画に基づき同一の固定資産について行う修理、改良等が次のいずれかに該当する場合には、その修理、改良等のために要した費用の額については、修繕費として損金経理をすることができるものとする。
@ その一の修理、改良等のために要した費用の額(その一の修理、改良等が2以上の事業年度(それらの事業年度のうち連結事業年度に該当するものがある場合には、当該連結事業年度)にわたって行われるときは、各事業年度ごとに要した金額。以下7−8−5までにおいて同じ。)が20万円に満たない場合
その修理、改良等がおおむね3年以内の期間を周期として行われることが既往の実績その他の事情からみて明らかである場合
注 本文の「同一の固定資産」は、一の設備が2以上の資産によって構成されている場合には当該一の設備を構成する個々の資産とし、送配管、送配電線、伝導装置等のように一定規模でなければその機能を発揮できないものについては、その最小規模として合理的に区分した区分ごととする。以下7-8-5までにおいて同じ。
(3) 形式基準による修繕費の判定(法人税法基本通達7-8-4)
一の修理、改良等のために要した費用の額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額がある場合において、その金額が次のいずれかに該当するときは、修繕費として損金経理をすることができるものとする。
@ その金額が60万円に満たない場合
A その金額がその修理、改良等に係る固定資産の前期末における取得価額のおおむね10%相当額以下である場合
(4) 資本的支出と修繕費の区分の特例(法人税法基本通達7-8-5)
一の修理、改良等のために要した費用の額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額(7-8-3又は7-8-4の適用を受けるものを除く。)がある場合において、法人が、継続してその金額の30%相当額とその修理、改良等をした固定資産の前期末における取得価額の10%相当額とのいずれか少ない金額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときは、これを認める。
(5) 災害の場合の資本的支出と修繕費の区分の特例(法人税法基本通達7-8-6)
災害により被害を受けた固定資産(当該被害に基づき法第33条第2項《資産の評価損の損金算入》の規定による評価損を計上したものを除く。以下7-8-6において「被災資産」という。)について支出した次に掲げる費用に係る資本的支出と修繕費の区分については、7-8-1から7-8-5までの取扱いにかかわらず、それぞれ次による。
@ 被災資産につきその原状を回復するために支出した費用は、修繕費に該当する。
A 被災資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水又は土砂崩れの防止等のために支出した費用について、法人が、修繕費とする経理をしているときは、これを認める。
B 被災資産について支出した費用(上記(1)又は(2)に該当する費用を除く。)の額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでないものがある場合において、法人が、その金額の30%相当額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときは、これを認める。
注1 法人が、被災資産の復旧に代えて資産の取得をし、又は特別の施設(被災資産の被災前の効用を維持するためのものを除く。)を設置する場合の当該資産又は特別の施設は新たな資産の取得に該当し、その取得のために支出した金額は、これらの資産の取得価額に含めることに留意する。
注2 上記の固定資産に係る災害の場合の資本的支出と修繕費の区分の特例は、令第114条《固定資産に準ずる繰延資産》に規定する繰延資産に係る他の者の有する固定資産につき、災害により損壊等の被害があった場合について準用する。
(6) ソフトウエアに係る資本的支出と修繕費(法人税法基本通達7-8-6の2)
法人が、その有するソフトウエアにつきプログラムの修正等を行った場合において、当該修正等が、プログラムの機能上の障害の除去、現状の効用の維持等に該当するときはその修正等に要した費用は修繕費に該当し、新たな機能の追加、機能の向上等に該当するときはその修正等に要した費用は資本的支出に該当することに留意する。
注 既に有しているソフトウエア、購入したパッケージソフトウエア等の仕様を大幅に変更して、新たなソフトウエアを製作するための費用は、原則として取得価額となることに留意する。
2 仕訳例
(1) 複写機の修理費50,000円、消費税2,500円、合計52,500を現金で支払った。
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
修繕費 |
50,000 |
現金 |
52,500 |
仮払消費税等 |
2,500 |
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INDEX
■仕訳処理目次
■販売費及び一般管理費
■販売手数料
■荷造費
■運搬費
■広告宣伝費
■見本費
■保管費
■役員報酬
■役員賞与
■役員退職金
■従業員給与
■従業員賞与
■従業員退職金
■法定福利費
■福利厚生費
■交際費
■旅費交通費
■通勤費
■通信費
■水道光熱費
■事務用消耗品費
■消耗工具器具備品費
■租税公課
■図書費
■減価償却費
■修繕費
■保険料
■賃借料
■寄付金
■研究開発費
■諸雑費
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