1 為替手形
約束手形は当事者が2人(振出人と受取人)であるが、為替手形は通常3人の当事者(振出人、受取人、引受人)が存在する。つまり、商品の買主が振出人となり、手形金額を売主である受取人に支払うよう名宛人に支払いの引き受けを求め、名宛人がこれを引き受け承諾した手形を受取人に渡すことによって受取人は手形債権者となり、名宛人が手形債務者となる。
なお、為替手形には自己を受取人として振り出すことも行われ、この場合は振出人が手形債権者となる。
会計上は、約束手形でも為替手形でも、手形金額を受け取る権利を有するものは受取手形勘定で処理する。
2 仕訳例
(1) 為替手形の受入
A社に対する売掛金1,500,000円の回収として、A社振出、B社引受、当社受取人とする為替手形1,500,000円を受入れた。
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
受取手形 |
1,500,000 |
売掛金 |
1,500,000 |
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(2) 自己宛為替手形の振出
A社に対する売掛金1,000,000円の回収を促進するため、自己宛為替手形を振り出し、A社の引き受けを得た。
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
受取手形 |
1,000,000 |
売掛金 |
1,000,000 |
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(3) 為替手形の決済
銀行に取立を依頼していた為替手形2,500,000円が期日に決済され、当座預金に入金した。
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
当座預金 |
2,500,000 |
受取手形 |
2,500,000 |
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(4) 仕入代金の支払として為替手形の振出
A社に対する買掛金2,000,000円の支払いのため、当社が売掛債権を有するB社宛て、A社を受取人とする為替手形を振り出し、B社の引受を受けA社に支払った。なお、遡及義務の時価評価額は20,000円
と評価された。
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
買掛金 |
2,000,000 |
売掛金 |
2,000,000 |
保証債務費用 |
20,000 |
保証債務 |
20,000 |
為替手形を振り出したとき、引受人が手形代金の支払を行わなかった場合、振出人は手形所持人からの遡及に応じて手形金額の支払いを行う義務が発生する。よって、原則として遡及義務を時価評価して認識する。 |
(5) 為替手形の決済
上記(4)で振り出した為替手形が決済された。
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
保証債務 |
20,000 |
保証債務取崩益 |
20,000 |
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INDEX
■仕訳処理目次
■受取手形
■約束手形の受入・決済
■為替手形の振出・受入・決済
■受取手形の更改
■裏書譲渡
■割引手形
■不渡手形
■通常の債権回収期間内に回収されないこととなった受取手形
■先日付小切手
■決算期末日が金融機関の休業日の場合
■営業外受取手形
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