1 満期保有目的の債券
満期保有目的債券とは、満期まで所有する意図をもって保有する社債その他の債券をいい、取得原価をもって貸借対照表価額とする。ただし、債券を債券金額より低い価額又は高い価額で取得した場合において、取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるときは、償却原価法に基づいて算定された価額をもって貸借対照表価額としなければならない。
参考:金融商品に関する会計基準第16項
2 仕訳例
(1) 取得
01年1月1日 既発の社債(額面金額10,000)を9,400で取得し、代金は当座預金から支払った。この債権は満期まで所有する意図をもって保有するものである。なお、取得価額と額面金額との差額(取得差額)
はすべて金利の調整部分(金利調整差額)である。
この債権の満期は03年12月31日、クーポン利子率は年利6%、利払日は毎年6月末日及び12月末日である。
|
借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
満期保有目的債券 |
9,400 |
当座預金 |
9,400 |
|
(2) 01年3月31日 決算日処理
上記(1)社債につき、簡便法による3月決算日の処理は次の通り。
なお、利息法(債権のクーポン受取額と金利調整差額の合計額を債権の帳簿額に対し一定率(実効利子率)になるように、複利をもって各期の損益に配分する方法。)による処理方法は金融商品会計に関する実務指針等を参照してください。
|
借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
未収収益 |
150 |
受取利息 |
200 |
満期保有目的債券 |
50 |
|
|
未収収益:10,000×6%×3/12=150
帳簿価額への加算額:(10,000−9,400)×3/36=50 |
(3) 01年6月30日 利払処理
上記(1)の債権につき、利払い日に利息300が当座預金に入金した。
|
借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
当座預金 |
300 |
未収収益 |
150 |
|
|
受取利息 |
150 |
未収収益:10,000×6%×3/12=150
帳簿価額への加算額:(10,000−9,400)×3/36=50 |
(4) 01年9月30日 中間決算日処理
|
借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
未収収益 |
150 |
受取利息 |
250 |
満期保有目的債券 |
100 |
|
|
未収収益:10,000×6%×3/12=150
帳簿価額への加算額:10,000−9,400×6/36=100 |
(5) 03年12月31日 償還
上記(1)社債が償還期日を迎え、最終利払300と債券金額10,000が当座預金に入金した。
|
借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
当座預金 |
10,300 |
満期保有目的債券 |
10,000 |
満期保有目的債券 |
50 |
未収収益 |
150 |
|
|
有価証券利息 |
200 |
帳簿価額への加算額:(10,000−9,400)×3/36=50 |
参考:金融商品会計に関する実務指針より
INDEX
■仕訳処理目次
■投資その他の資産
■投資有価証券
■満期保有目的債券
■その他有価証券(株式)
■その他有価証券(債券)
■有価証券の保有目的区分変更
|
|