1 その他有価証券(債券)
その他有価証券とは、売買目的有価証券、満期保有目的の債券、子会社株式及び関連会社株式以外の有価証券をいい、時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は洗替方式に基づき、次のいずれかの方法により処理する。
@ 全部資本直入法
評価差額の合計額を純資産の部に計上する。
A 部分資本直入法
時価が取得原価を上回る銘柄に係る評価差額は純資産の部に計上し、時価が取得原価を下回る銘柄に係る評価差額は当期の損失として処理する。なお、純資産の部に計上されるその他有価証券の評価差額については、税効果会計を適用しなければならない。
参考:金融商品に関する会計基準第18項
2 仕訳例
(1) 取得時
当社は、債券を9,800(額面10,000)で取得し、代金は当座預金から支払った。この債券はその他有価証券として分類した。なお、有価証券の売買認識は約定日基準で行うこととされているが、本設例では受渡しベースで処理してある。
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
その他有価証券 |
9,800 |
当座預金 |
9,800 |
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(2) 決算日
・償却原価法の適用による決算日の金利調整差額(償却額)は45
・当該債券の決算日の時価は9,900
・その他有価証券の帳簿価額と時価との差額(評価差額)は一時差異に該当し、税効果会計を適用する。実効税率は40%とし、当社は、繰延税金資産の回収可能性に問題はない。
・評価差額の処理は全部資本直入法である。
・本設例ではクーポン利息の計上に係る仕訳は省略している。
@その他有価証券のうち金利調整差額が生じている債権については、まず償却原価法を適用する。償却原価法適用後の帳簿価額(償却原価)は、9,800+45=9,845である。
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
その他有価証券 |
45 |
有価証券利息 |
45 |
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Aその他有価証券のうち債券については、評価差額は時価と償却原価との差額として算定する。時価9,900−償却原価9,800=55、税効果分55×40%=22、その他有価証券評価差額金計上額55−22=33
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
その他有価証券 |
55 |
繰延税金負債 |
22 |
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その他有価証券評価差額金 |
33 |
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(3) 翌期首における評価差額の洗替処理
その他有価証券の評価差額の計上は洗替処理によるため、前期末に行った評価差額及び繰延税金負債を振り戻す。
ただし、償却原価法による金利調整差額の償却額は振り戻さない。
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
繰延税金負債 |
22 |
その他有価証券 |
55 |
その他有価証券評価差額金 |
33 |
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参考:金融商品会計に関する実務指針より
INDEX
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