![]() |
|
|
|
|
|意見書│会計基準|注解|会計基準第3号一部改正|会計基準第14号一部改正(その2)|会計基準19号一部改正(その3)|適用指針第1号|適用指針第1号設例|適用指針第7号|目次| |
(注) 本内容は、平成14年1月31日企業会計基準委員会が公表した「退職給付制度間の移行等に関する会計処理」から「設例」部分を抜粋したものです。なお、オリジナルとは異なる表現をしている部分や記載を省略した部分があります。実務への適用にあたっては念のためオリジナルの当該適用指針等を確認してください。 |
企業会計基準適用指針第1号 退職給付制度間の移行等に関する会計処理 (設例) |
平成14年1月31日 企業会計基準委員会 目次 [設例A−1] 確定給付型から確定拠出型への退職給付制度間の移行(過去勤務に係る部分も移行) [設例A−2] 確定給付型から確定拠出型への退職給付制度間の移行(分割移換) [設例A−3] 確定給付型から確定拠出型への退職給付制度間の移行(将来勤務に係る部分から移行) [設例B−1] 確定給付型から退職給付制度間の移行(支払等を伴う場合) [設例B-2] 確定給付型の退職給付制度間の移行(支払等を伴わない場合) [設例D] 退職一時金から確定拠出型への退職給付制度間の移行(経過措置) [設例A−1] 確定給付型から確定拠出型への退職給付制度間の移行(過去勤務に係る部分も移行) 1 前提条件 A社は従来、適格退職年金制度を採用していたが、X1年4月1日に適格退職年金制度の一部を確定拠出年金制度へ移行した。移行前の適格退職年金制度の退職給付債務は1,000、移行後の退職給付債務は600と計算された。なお、移行前の適格退職年金制度の年金資産(積立不足はないものとする。)から320が確定拠出年金制度に移換された。 なお、設例で用いている記号は以下のとおりである。 PSL:過去勤務債務 P :年金又は退職金支払額 A :未認識過去勤務債務、未認識数理計算上の差異及び会計基準変更時差異の未処理額の費用処理額 <表A−1>
2 会計処理 退職給付債務の減少に伴う処理 制度間移行に伴う移行前の退職給付制度の終了により、退職給付債務の消滅の認識が行われる(第22項参照)。このため、終了した部分に係る退職給付債務(1,000−600=400)と年金資産の移換額(320)との差(80)を損益として認識する(第10項(1)参照)。
未認識過去勤務債務、未認識数理計算上の差異及び会計基準変更時差異の未処理額の移行時の処理 未認識過去勤務債務、未認識数理計算上の差異及び会計基準変更時差異の未処理額は、消滅した退職給付債務の比率で損益に認識する(第10項(2)参照)
[設例A−2] 確定給付型から確定拠出型への退職給付制度間の移行(分割移換) 1 前提条件 B社は従来、退職一時金制度を採用していたが、X1年4月1日に退職一時金制度の一部を確定拠出年金制度へ移行した。移行前の退職一時金制度の退職給付債務は1,000、移行後の退職給付債務は600と計算された。なお、移行に伴い、事業主から確定拠出年金制度へ380の移換額が確定し、これをX1年4月1日から毎年4月1日に95ずつ4回に分けて計380拠出することとなった。 <表A−2>
2 会計処理 退職給付債務の減少に伴う処理 制度間移行に伴う移行前の退職給付制度の終了(未移換額285を含む)により、退職給付債務の消滅の認識が行われる(第23項参照)。このため、終了した部分に係る退職給付債務(1,000−600=400)と事業主からの移換額(380)の差(20)を損益として認識する(第10項(1)参照)。
未認識過去勤務債務、未認識数理計算上の差異及び会計基準変更時差異の未処理額の移行時の処理 未認識過去勤務債務、未認識数理計算上の差異及び会計基準変更時差異の未処理額は、消滅した退職給付債務の比率で損益に認識する(第10項(2)参照)
[設例A−3] 確定給付型から確定拠出型への退職給付制度間の移行(将来勤務に係る部分から移行) 1 前提条件 C社は従来、適格退職年金制度を採用していたが、X1年4月1日以降発生分についてのみ確定拠出年金制度へ移行した。移行前の適格退職年金制度の退職給付債務は1,000、移行後の退職給付債務は700と計算された。なお、適格年金制度から確定拠出年金制度へ資産の移換はない。 <表A−3>
2 会計処理 退職給付債務の減少に伴う処理 当該制度間移行は退職給付制度の終了に該当しないため、移行前の制度の退職給付債務の減額は負の過去勤務債務として取り扱う(第12項、第34項参照)。
未認識過去勤務債務、未認識数理計算上の差異及び会計基準変更時差異の未処理額の移行時の処理 未認識過去勤務債務、未認識数理計算上の差異及び会計基準変更時差異の未処理額は、従来の費用処理方法及び費用処理年数を継続して適用する(第12項、第13項(1)参照)。
[設例B−1] 確定給付型から退職給付制度間の移行(支払等を伴う場合) 1 前提条件 D社は従来、適格退職年金制度を採用していたが、X1年4月1日 に年金資産(積立不足はないものとする。)をすべて分配し、適格退職年金制度を退職一時金制度に移行した。これは第6項ただし書以下の「移行前の制度が移行後の制度に名目的にしか引き継がれていない場合」に該当しないものとする。移行前の適格退職年金制度の退職給付債務は1,000と計算された。また、移行後の退職一時金制度に基づくX1年4月1日における数理計算による退職給付債務は400と計算された。 <表B−1>
2 会計処理 退職給付債務の減少に伴う処理 年金資産の分配により移行前の退職給付制度の一部終了となり、退職給付債務の消滅の認識が行われる。このため、終了した部分に係る退職給付債務600と年金資産からの分配額700との差を損益として認識する。(第10項(1)参照)。ただし、残額部分400は、移行前後の制度を一体のものとみなすため、移行前の退職給付制度の終了に含めない(第6項、第7項参照)。ここでは制度間移行に際して生じた退職給付債務の正味増減額を、移行後の確定給付型の退職給付制度の過去勤務債務として取り扱っている(第12項、第31項参照)。
未認識過去勤務債務、未認識数理計算上の差異及び会計基準変更時差異の未処理額の移行時の処理 未認識過去勤務債務、未認識数理計算上の差異及び会計基準変更時差異の未処理額は消滅した退職給付債務の比率で損益に認識する(第10項(2)参照)。また、残額部分の未認識過去勤務債務、未認識数理計算上の差異及び会計基準変更時差異の未処理額は、従来の費用処理方法及び費用処理年数を継続して適用する。ただし、移行した時点の退職給付債務の比率その他合理的な方法により、退職給付制度ごとに区分して把握する(第12項、第31項参照)。
[設例B-2] 確定給付型の退職給付制度間の移行(支払等を伴わない場合) 1 前提条件 E社は従来、退職一時金制度を採用していたが、X1年4月1日に退職一時金制度の一部を確定給付企業年金法に基づく確定給付企業年金制度へ移行した。これは、第6項ただし書以下の「移行前の制度が移行後の制度に名目的にしか引き継がれていない場合」に該当しないものとする。移行前の退職一時金制度の退職給付債務は1,000、移行後の退職給付債務は600と計算された。また、確定給付企業年金制度に基づくX1年4月1日現在の数理計算による退職給付債務は430と計算された。 <表B−2>
2 会計処理 退職給付債務の減少に伴う処理 退職一時金制度の一部を確定給付企業年金制度へ移行したが、当該制度間移行は移行前後の制度を一体のものとみなすため、移行前の退職給付制度の終了に含めない(第6項参照)。ここでは、制度間移行に際して生じた退職給付債務の正味増減額を、移行後の確定給付型の退職給付制度の過去勤務債務として取り扱っている(第12項、第31項参照)。
未認識過去勤務債務、未認識数理計算上の差異及び会計基準変更時差異の未処理額の移行時の処理 未認識過去勤務債務、未認識数理計算上の差異及び会計基準変更時差異の未処理額は、従来の費用処理方法及び費用処理年数を継続する。ただし、移行した時点の退職給付債務の比率その他合理的な方法により、退職給付制度ごとに区分して把握する(第12項、第31項参照)。
1 前提条件 F社は退職一時金制度を採用している。工場の閉鎖に伴い、X1年7月1日に大量退職が生じ、退職一時金320と早期割増退職金30を支払った。大量退職前の退職一時金制度の退職給付債務は1,000、大量退職後の退職給付債務は600となった。 <表C>
2 会計処理 退職給付債務の減少に伴う処理 大量退職は、制度間移行・制度の改訂ではないが、退職給付制度の終了に準じて、退職給付債務の消滅の認識が行われる(第8項、第25項参照)。このため、終了した部分に係る退職給付債務(1,000−600=400)と早期割増退職金を除く退職一時金支払額(320)との差(80)を損益として認識する(第10項(1)参照)。
未認識過去勤務債務、未認識数理計算上の差異及び会計基準変更時差異の未処理額の大量退職時の処理 未認識過去勤務債務、未認識数理計算上の差異及び会計基準変更時差異の未処理額は、消滅した退職給付債務の比率で損益に認識する(第10項(2)参照)。
[設例D] 退職一時金から確定拠出型への退職給付制度間の移行(経過措置) 1 前提条件 G社は従来、退職一時金制度を採用していたが、X1年4月1日に退職一時金制度の一部を確定拠出年金制度へ移行した。移行前の退職一時金制度の退職給付債務は1,000、移行後の退職給付債務は600と計算された。なお、移行に伴い、事業主から確定拠出年金制度へ380の移換額が確定し、これをX1年4月1日から毎年4月1日に95ずつ4回に分けて計380拠出することとなった。また、G社は会計基準変更時差異を15年で償却しており、前期までに3年経過している。 <表D>
2 会計処理 退職給付債務の減少に伴う処理
未認識過去勤務債務及び未認識数理計算上の差異の移行時の処理 未認識過去勤務債務及び未認識数理計算上の差異は、消滅した退職給付債務の比率で損益に認識する。
会計基準変更時差異の未処理額の移行時の処理 会計基準変更時差異の未処理額は、消滅した退職給付債務の比率その他合理的な方法で按分した額(60)を、終了部分に係る退職給付債務(1,000−600=400)と事業主からの移換額(380)の差額(20)と相殺し、残存の費用処理年数(12年)と分割拠出年数(4年)のいずれか短い期間(この場合4年)で費用処理する(第15項参照)。
当期末における消滅した退職給付債務の比率で按分した会計基準変更時差異の費用処理(終了部分に係る退職給付債務と事業主からの移換額の差額控除後)
INDEX |