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意見書会計基準注解会計基準第3号一部改正会計基準第14号一部改正(その2)会計基準19号一部改正(その3)適用指針第1号適用指針第1号設例|適用指針第7号|目次

 

(注)本内容は、平成17年3月16日企業会計基準が公表したものです。なお、オリジナルとは異なる表現をしている部分があります。実務への適用にあたっては、念のため当該適用指針等を確認してください。

企業会計基準適用指針第7号

退職給付に係る会計基準の一部改正に関する適用指針

(目的・適用指針・設例)

平成17年3月16日

企業会計基準委員会

目次

目的

適用指針

適用時期等

議決

設例

[設例1] 原則適用(平成17年4月1日開始事業年度から適用する場合)

[設例2] 早期適用(平成17年3月31日終了事業年度から適用する場合)


目的

1. 企業会計基準第3号「『退職給付に係る会計基準』の一部改正」 (以下「改正会計基準」という。)が、平成17年3月16日に公表されている。本適用指針は、改正会計基準の適用前において、「退職給付に係る会計基準注解」(注1) 1 により資産及び利益として認識していなかった超過額(企業年金制度に係る退職給付債務を超える年金資産の額。以下「未認識年金資産」という。)が生じていた場合の取扱いを中心に、改正会計基準に関する実務上の指針を定めるものである。

適用指針

2. 改正会計基準を平成17年4月1日以後開始する事業年度から適用する場合(改正会計基準第4項参照)、平成17年4月1日以後開始する事業年度前に発生し当該事業年度の期首に存在する未認識年金資産は、過去勤務債務又は数理計算上の差異とに合理的に区分し、当該事業年度の期首に発生したものとみなして、企業の採用する処理年数及び処理方法に従 い、費用の減額として処理する。ただし、未認識年金資産を過去勤務債務又は数理計算上の差異とに合理的に区分することができない場合には、その全額を数理計算上の差異とすることができる(改正会計基準第5項参照)。[設例1-2]

なお、ここでいう合理的に区分することには、個別に把握することのほか、発生時の金額の比率を用いるなど適切な方法により算定することが含まれる。また、これには、過去勤務債務又は数理計算上の差異のいずれかが未認識年金資産の大部分を占めるものと想定される場合、当該未認識年金資産の全額を、大部分を占めるものと想定される項目とすることも含まれる。

また、数理計算上の差異の発生額について当期の発生額を翌期から費用処理する方法を用いている場合(「退職給付に係る会計基準注解」(注9) 2 参照)でも、改正会計基準を適用することにより平成17年4月1日以後開始する事業年度の期首に発生したとみなした数理計算上の差異に限り、企業の採用する処理年数及び処理方法に従い、当期から費用の減額として処理する(改正会計基準第6項参照)ことに留意する。[設例1-1][設例1-3]

3. 改正会計基準を平成16年10月1日以後平成17年4月1日前に開始する事業年度から適用する場合(改正会計基準第4項ただし書き参照)、以下のように取り扱う。

(1) 平成16年10月1日以後平成17年4月1日前に開始する事業年度前に発生し当該事業年度の期首に存在する未認識年金資産は、本適用指針第2項に準ずる。

すなわち、当該未認識年金資産を過去勤務債務又は数理計算上の差異とに合理的に区分し、当該事業年度の期首に発生したものとみなして、企業の採用する処理年数及び処理方法に従い、費用の減額として処理する。ただし、未認識年金資産を過去勤務債務又は数理計算上の差異とに合理的に区分することができない場合には、その全額を数理計算上の差異とすることができる。また、数理計算上の差異の発生額について、当期の発生額を翌期から費用処理する方法を用いている場合でも、当該事業年度の期首に発生したものとみなした数理計算上の差異に限り、企業の採用する処理年数及び処理方法に従 い、当期から費用の減額として処理する(改正会計基準第6項参照)ことに留意する。

(2) 改正会計基準を早期に適用した場合でも、正当な理由による会計方針の変更に該当するため、所定の注記(財務諸表等規則第8条の3及び連結財務諸表規則第14条参照)が必要となることに留意する。

(3) 平成16年10月1日以後平成17年4月1日前に開始する中間会計期間に係る中間財務諸表においても、改正会計基準を適用することとなる。この場合、正当な理由による会計方針の変更に該当するため、所定の注記(中間財務諸表等規則第5条及び中間連結財務諸表規則第11条参照)が必要となることに留意する。

4. 改正会計基準を平成17年3月31日から平成17年9月29日までに終了する事業年度に係る財務諸表及び連結財務諸表から適用する場合(改正会計基準第4項また書き参照)、以下のように取り扱う。[設例2]

(1) 平成17年3月31日から平成17年9月29日までに終了する事業年度前に発生し当該事業年度の期末に存在する未認識年金資産は、過去勤務債務又は数理計算上の差異とに合理的に区分し、当該事業年度の期首に発生したものとみなして、企業の採用する処理年数及び処理方法に従 い、費用の減額として処理する(改正会計基準第5項、本適用指針第2項ただし書き及びなお書き参照)。

この場合、数理計算上の差異の発生額について、当期の発生額を翌期から費用処理する方法を用いている場合でも、当該事業年度の期首に発生したものとみなした数理計算上の差異に限り、企業の採用する処理年数及び処理方法に従い、当期から費用の減額として処理する(改正会計基準第6項参照)ことに留意する。

(2) 平成17年3月31日から平成17年9月29日までに終了する事業年度に発生した過去勤務債務(貸方差異)又は数理計算上の差異(貸方差異)は、改正会計基準の適用により、企業の採用する処理年数及び処理方法に従い、費用の減額として処理する。なお、当該事業年度の期末に計上した数理計算上の差異(借方差異)は、実務上の配慮から、未認識年金資産の全部又は一部を解消するものとせず、企業の採用する処理年数及び処理方法に従い費用処理する。いずれの場合でも、数理計算上の差異の発生額について当期の発生額を翌期から費用処理する方法を用いている場合(「退職給付に係る会計基準注解」(注9) 2 参照)には、翌期から費用(の減額として)処理することとなる。

(3) 改正会計基準は、平成17年3月31日から平成17年9月29日までに終了する事業年度を構成する中間会計期間に係る中間財務諸表において適用されていなかったこととなるが、これは、会計基準の変更に伴うものであり、中間期において複数の会計処理が認められている中から選択適用する会計処理の原則及び手続ではないため、いわゆる中間・年度の首尾一貫性が保持されていないもの(監査委員会報告第36号「中間財務諸表と年度財務諸表との会計処理の首尾一貫性」2参照)には該当しない。

(4) 平成17年3月31日から平成17年9月29日までに終了する事業年度から適用する場合でも、正当な理由による会計方針の変更に該当するため、所定の注記(財務諸表等規則第8条の3及び連結財務諸表規則第14条参照)が必要となることに留意する。

適用時期等

5. 本適用指針は、改正会計基準の適用にあわせて適用されることとなる。

6. 連結財務諸表が作成されている場合には、個別財務諸表と連結財務諸表の両方について、改正会計基準及び本適用指針を同時に適用する。このため、例えば、親会社(財務諸表提出会社)が適用する場合には、当該連結財務諸表に含まれる連結子会社の財務諸表についても、連結上、改正会計基準及び本適用指針が適用されることとなる。

議決

7. 本適用指針は、第76回企業会計基準委員会に出席した委員12名全員の賛成により承認された。

設例

以下の設例は、本適用指針で示された内容について、理解を深めるためのものであるが、すべての会計処理等を網羅しているわけではない。また、前提条件が異なれば、それに適合する会計処理等も異なる場合があるので、この場合には本適用指針で示されている会計処理等を参照することが必要になる。なお、設例で示された金額や比率などの数値は、特別な意味を有するものではなく、説明の便宜のために用いられているにすぎないことに留意する必要がある。

[設例1] 原則適用(平成17年4月1日開始事業年度から適用する場合)

[設例1-1] 数理計算上の差異を翌期から費用処理する方針の場合(1)

<前提条件>

A社は適格退職年金制度を採用している。

会計基準変更時差異500の費用処理年数は10年(年間費用処理額50)であり、既に平成17年3月31日までの5年分(250)は費用処理されている。

未認識数理計算上の差異については、当期の発生額を翌期から費用処理期間10年の定額法により費用処理する方法を採用している。

未認識過去勤務債務の残高はないものとする。

設例は簡潔にするために、勤務費用、利息費用及び期待運用収益の計上、年金及び掛金の支払等を省略している。

なお、設例で用いている記号Aは、未認識数理計算上の差異及び会計基準変更時差異の未処理額の費用処理額である。

<平成17年度>

平成17年4月1日以後開始する事業年度前に発生し期首に存在する未認識年金資産130は、その発生原因が数理計算上の差異であったため、当該事業年度の期首に発生した数理計算上の差異とみなして、会社の採用する処理年数及び処理方法に従い、費用の減額として処理する。数理計算上の差異の発生額について当期の発生額を翌期から費用処理する方法を採用している場合でも、平成17年4月1日以後開始する事業年度の期首に発生したとみなした数理計算上の差異に限り、当期から費用の減額処理をする。

また、平成18年3月31日における年金資産の公正な評価額は1,050となり、年金資産に係る数理計算上の差異が80(借方差異)発生した。

平成17年度(未認識年金資産の振替の原則適用)

 
 

実際

17/4/41

振替

17/4/1

退職給付費用

予測

18/3/31

数理計算上の差異

実際

18/3/31

退職給付債務

(1,000)

 

 

(1,000)

 

(1,000)

年金資産

1,130

 

 

1,130

(80)

1,050

未積立退職給付債務

130

 

 

130

 

50

未認識年金資産

(130)

B130

 

0

 

0

会計基準変更時差異

@250

 

CA(50)

200

 

200

未認識過去勤務債務

0

 

 

0

 

0

未認識数理計算上の差異

A135

B(130)

DA(2)

3

E80

83

前払年金費用/(退職給付引当金)

385

0

(52)

333

0

333

 

@ 会計基準変更時差異の未処理額(借方差異)250=500−500(借方差異)÷10年×5年

A 未認識数理計算上の差異(借方差異)135(=150×9/10)は、平成15年度に発生した150を1年分償却した後の残高である。

B 未認識年金資産残高の発生原因は数理計算上の差異であったため、全額を期首に数理計算上の差異に振り替える。

C 会計基準変更時差異の費用処理額50=500(借方差異)÷10年

D 未認識数理計算上の差異の費用処理額2=150(借方差異)÷10年+(−130)(Bにより期首に振り替えられた貸方差異)÷10年

E 当期に発生した数理計算上の差異は、会計方針に従い、翌期から費用処理する。

平成17年度における処理

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

退職給付費用

52

退職給付引当金

52

 

(期末における処理)

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

退職給付引当金

52

前払年金費用

52

 

[設例1-2] 数理計算上の差異を発生年度から費用処理する方針の場合

<前提条件>

A社は適格退職年金制度を採用している。

未認識数理計算上の差異については、当期の発生額を発生年度から費用処理期間10年の定額法により費用処理 する方法を採用している。

会計基準変更時差異の未処理残高、未認識過去勤務債務の残高はないものとする。

設例は簡潔にするために、勤務費用、利息費用及び期待運用収益の計上、年金及び掛金の支払等を省略している。

なお、設例で用いている記号Aは未認識数理計算上の差異の費用処理額である。

<平成15年度>

当期における年金資産の実際運用収益が期待運用収益を上回ったため、平成16年3月31日において、年金資産に係る数理計算上の差異が200(貸方差異)発生し、年金資産の実際額1,200が退職給付債務の実際額1,OOOを200超過した。数理計算上の差異の当期発生を原因とする当該超過額200は、改正前の基準に基づき、当該金額を未認識年金資産に振り替えた。

平成15年度(年金資産が退職給付債務を超過)

 
 

実際

15/4/41

退職給付費用

予測

16/3/31

数理計算上の差異

未認識年金資産

実際

16/3/31

退職給付債務

(1,000)

 

(1,000)

 

 

(1,000)

年金資産

1,000

 

1,000

200

 

1,200

未積立退職給付債務

0

 

0

 

 

200

未認識年金資産

   

 

 

(200)

(200)

会計基準変更時差異

0

 

0

 

 

0

未認識過去勤務債務

0

 

0

 

 

0

未認識数理計算上の差異

@270

AA(30)

240

(200)

200

240

前払年金費用/(退職給付引当金)

270

(30)

240

0

0

240

@ 平成15年4月1日の未認識数理計算上の差異(借方差異)270(=300×9/10)は、平成14年度に発生した借方差異300を1年分償却した後の残高である。

A 未認識数理計算上の差異の費用処理額30=300(借方差異)÷10年

<平成16年度>

平成16年4月1日に、積立超過額のうち年金財政計算上における剰余金80が現金で返還された。年金資産の返還による積立超過の解消額(返還額)80は、会計制度委員会報告第13号「退職給付会計に関する実務指針(中間報告)」(平成16年10月4日改正]に基づき、退職給付引当金の増加として処理された。この未認識年金資産の発生原因は数理計算上の差異であるため、当該解消額は未認識数理計算上の差異に振り替えた。なお、返還額が返還前の年金資産に占める割合が重要ではないと判断されたため、返還した年金資産に対応する未認識数理計算上の差異の損益処理は行わないものとしている。

また、当期における年金資産の実際運用収益が期待運用収益を上回っため、平成17年3月31における年金資産の公正な評価額は1,150となり、年金資産に係る数理計算上の差異が30(貸方差異)発生し、当該金額を未認識年金資産に振り替えた。

平成16年度(超過分につき期首に年金資産の一部返還)

 
 

実際

16/4/41

年金資産返還

16/4/41

退職給付費用

予測

17/3/31

数理計算上の差異

未認識年金資産

実際

17/3/31

退職給付債務

(1,000)

 

 

(1,000)

 

 

(1,000)

年金資産

1,200

(80)

 

1,120

30

 

1,150

未積立退職給付債務

200

 

 

120

 

 

150

未認識年金資産

(200) 80  

(120)

 

(30)

(150)

会計基準変更時差異

0

 

 

0

 

 

0

未認識過去勤務債務

0

 

 

0

 

 

0

未認識数理計算上の差異

240

B(80)

CA(22)

138

(30)

30

138

前払年金費用/(退職給付引当金)

240

(80)

(22)

138

0

0

138

B 年金資産の返還による未認識年金資産から数理計算上の差異への振替額80は、実際の発生は過年度であり、かつ、当期首に未認識年金資産より振り替えられたものであるため、当期から費用の減額処理をする。

C 未認識数理計算上の差異の費用処理額22=300(借方差異)÷10年+(−80)(Bにより振り替えられた貸方差異)÷10年

く平成17年度>

平成17年4月1日以後開始する事業年度前に発生し期首に存在する未認識年金資産150は、その発生原因が数理計算上の差異であったため、当該事業年度の期首に発生した数理計算上の差異とみなして、会社の採用する処理年数及び処理方法に従い、費用の減額として処理する。

また、平成18年3月31日における年金資産の公正な評価額は1,070となり、年金資産に係る数理計算上の差異が80(借方差異)発生した。

平成17年度(未認識年金資産の振替の原則運用)

 
 

実際

17/4/41

振替

17/4/1

退職給付費用

予測

18/3/31

数理計算上の差異

実際

18/3/31

退職給付債務

(1,000)

 

  (1,000)

 

(1,000)

年金資産

1,150

 

 

1,150

(80)

1,070

未積立退職給付債務

150

 

  150

 

70

未認識年金資産

(150) D150

 

0  

0

会計基準変更時差異

0

 

  0

 

0

未認識過去勤務債務

0

 

  0

 

0

未認識数理計算上の差異

138

D(150)

EA(15)

(27)

80

53

前払年金費用/(退職給付引当金)

138

0

(15)

123

0

123

D 未認識年金資産の発生原因は数理計算上の差異であったため、全額を期首に数理計算上の差異に振り替える。

E 未認識数理計算上の差異の費用処理額15=300(借方差異)÷10年+(−80)(Bにより振り替えられた貸方差異)÷10年+(−150)(Dにより期首に振り替えられた貸方差異)÷10年+80(当期発生の借方差異)÷10年

平成17年度における処理

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

退職給付費用

15

退職給付引当金

15

 

(期末における処理)

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

退職給付引当金

15

前払年金費用

15

 

[設例1-3] 数理計算上の差異を翌期から費用処理する方針の場合(2)

<前提条件>

A社は適格退職年金制度を採用している。

未認識数理計算上の差異については、当期の発生額を翌期から費用処理期間10年の定額法により費用処理する方法を採用している。

会計基準変更時差異の未処理残高、未認識過去勤務債務の残高はないものとする。

設例は簡潔にするために、勤務費用、利息費用及び期待運用収益の計上、年金及び掛金の支払等を省略している。

なお、設例で用いている記号Aは未認識数理計算上の差異の費用処理額である。

<平成15年度>

設例1−2と同じものとする。

平成15年度(年金資産が退職給付債務を超過)

.
 

実際

15/4/41

退職給付費用

予測

16/6/31

数理計算上の差異

未認識年金資産

実際

16/3/31

退職給付債務

(1,000)

 

(1,000)  

 

(1,000)

年金資産

1,000

 

1,000

200

 

1,200

未積立退職給付債務

0

 

0  

 

200

未認識年金資産

   

 

  (200)

(200)

会計基準変更時差異

0

 

0

 

 

0

未認識過去勤務債務

0

 

0

 

 

0

未認識数理計算上の差異

@300

AA(30)

270

(200)

200

270

前払年金費用/(退職給付引当金)

300

(30)

270

0

0

270

@ 平成15年4月1日の未認識数理計算上の差異(借方差異)は、翌期から費用処理する方針であるので、平成14年度に発生した300が繰り越されている。

A 未認識数理計算上の差異の費用処理額30=300(借方差異)÷10年

<平成16年度>

設例1−2と同じものとする。

平成16年度(超過分につき期首に年金資産の一部返還)

 
 

実際

16/4/41

年金資産返還

16/4/41

退職給付費用

予測

17/3/31

数理計算上の差異

未認識年金資産

実際

17/3/31

退職給付債務

(1,000)

 

 

(1,000)

 

 

(1,000)

年金資産

1,200

(80)

 

1,120

30

 

1,150

未積立退職給付債務

200

 

 

120

 

 

150

未認識年金資産

(200) 80  

(120)

 

(30)

(150)

会計基準変更時差異

0

 

 

0

 

 

0

未認識過去勤務債務

0

 

 

0

 

 

0

未認識数理計算上の差異

270

B(80)

CA(22)

168

(30)

30

168

前払年金費用/(退職給付引当金)

270

(80)

(22)

168

0

0

168

B 年金資産の返還による未認識年金資産から数理計算上の差異への振替額80は、実際の発生は過年度であり、かつ、当期首に未認識年金資産より振り替えられたものであるため、当期から費用の減額処理をする。

C 未認識数理計算上の差異の費用処理額22=300(借方差異)÷10年+(−80)(Bにより振り替えられた貸方差異)÷10年

<平成17年度>

平成17年4月1日以後開始する事業年度前に発生し期首に存在する未認識年金資産150は、その発生原因が数理計算上の差異であったため、当該事業年度の期首に発生した数理計算上の差異とみなして、会社の採用する処理年数及び処理方法に従い、費用の減額として処理する。数理計算上の差異の発生額について当期の発生額を翌期から費用処理する方法を採用している場合でも、平成17年4月1日以後開始する事業年度の期首に発生したとみなした数理計算上の差異に限り、当期から費用の減額処理

また、平成18年3月31日における年金資産の公正な評価額は1,070となり、年金資産に係る数理計算上の差異が80(借方差異)発生した。

平成17年度(未認識年金資産の振替の原則適用)

 
 

実際

17/4/41

振替

17/4/1

退職給付費用

予測

18/3/31

数理計算上の差異

実際

18/3/31

退職給付債務

(1,000)

 

  (1,000)

 

(1,000)

年金資産

1,150

 

 

1,150

(80)

1,070

未積立退職給付債務

150

 

  150

 

70

未認識年金資産

(150) D150

 

0  

0

会計基準変更時差異

0

 

  0

 

0

未認識過去勤務債務

0

 

  0

 

0

未認識数理計算上の差異

168

D(150)

EA(7)

11

80

91

前払年金費用/(退職給付引当金)

168

0

(7)

161

0

161

D 未認識年金資産の発生原因は数理計算上の差異であったため、全額を期首に数理計算上の差異に振り替える。

E 未認識数理計算上の差異の費用処理額7=300(借方差異)÷10年+(−80)(Bにより振り替えられた貸方差異)÷10年+(−150)(Dにより期首に振り替えられた貸方差異)÷10年

 

平成17年度における処理

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

退職給付費用

7

退職給付引当金

7

 

(期末における処理)

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

退職給付引当金

7

前払年金費用

7

 

[設例2] 早期適用(平成17年3月31日終了事業年度から適用する場合)

<前提条件>

A社は適格退職年金制度を採用している。

未認識数理計算上の差異については、当期の発生額を翌期から費用処理期間10年の定額法により費用処理する方法を採用してい る。

会計基準変更時差異の未処理残高、未認識過去勤務債務の残高はないものとする。

設例は簡潔にするために、勤務費用、利息費用及び期待運用収益の計上、年金及び掛金の支払等を省略している。

なお、設例で用いている記号Aは未認識数理計算上の差異の費用処理額である。

<平成16年度>

平成17年3月31日における年金資産の公正な評価額は1,230となり、年金資産に係る数理計算上の差異が30(貸方差異)発生した。これは、当期に発生した数理計算上の差異であるため、会計方針に従い翌期から費用処理する。

平成17年3月31日に終了する事業年度前に発生し当該事業年度の期末に存在する未認識年金資産200は、その発生原因が数理計算上の差異であったため、当該事業年度の期首に発生した数理計算上の差異とみなして、会社の採用する処理年数及び処理方法に従い、費用の減額として処理する。数理計算上の差異の発生額について、当期の発生額を翌期から費用処理する方法を採用している場合でも、当該業年度の期首に発生したとみなした数理計算上の差異に限り、当期から費用の減額として処理する。

平成16年度(未認識年金資産の振替の早期適用)

 
 

実際

16/4/41

退職給付費用

予測

17/3/31

振替

17/3/31

振替分費用減額

数理計算上の差異

実際

17/3/31

退職給付債務

(1,000)

 

(1,000)

   

 

(1,000)

年金資産

1,200

 

1,200

    D30

1,230

未積立退職給付債務

200

 

200

   

 

230

未認識年金資産

(200)   (200)

B200

   

0

未認識過去勤務債務

0

 

0

   

 

0

未認識数理計算上の差異

@270

AA(30)

240

B(200)

CA20

D(30)

30

前払年金費用/(退職給付引当金)

270

(30)

240

0

20

0

260

 

@ 平成16年4月1日の未認識数理計算上の差異(借方差異)270(=300×9/10)は、平成14年度に発生した借方差異300を1年分償却した後の残高である。

A 未認識数理計算上の差異の費用処理額30=300(借方差異)÷10年

B 平成16年度の期首以前に発生し、期末時点において存在している未認識年金資産200は、その発生原因が数理計算上の差異であったため、全額を期首に発生した数理計算上の差異とみなして振り替える。

C Bにより振り替えられた数理計算上の差異200の費用の減額処理20(=200÷10年)は当期から行われる。

D これについては、注解(注1) 1 を適用しない取扱いを早期適用するため、本適用指針第4項(2)により、当期に発生した数理計算上の差異となる。したがって、採用する処理年数及び処理方法に従い、翌期から費用の減額として処理をする。(注)

平成16年度における処理

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

退職給付費用

※10

退職給付引当金

10

 

(期末における処理)

 

(仕訳)

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

退職給付引当金

10

前払年金費用

10

   

(注)期末に借方差異となる数理計算上の差異が計上された場合であっても、本適用指針第4項(2)により、未認識年金資産の解消としては取り扱わず、当期に発生した数理計算上の差異となる。したがって、採用する処理年数及び処理方法に従い、翌期から費用処理する。

以上


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