1 仕入とは
仕入とは、商品売買取引で三分法による処理方法を採用する場合、当期商品仕入高及び売上原価を算定する勘定科目である。
商品の
取得価額には、その購入の代価のほか、これを消費し又は販売の用に供するために直接要したすべての費用の額が含まれるが、法人税法では基本通達5-1-1で次に掲げる費用については、これらの費用の額の合計額が少額(当該棚卸資産の購入の代価のおおむね3%以内の金額)である場合には、その取得価額に算入しないことができるものとするとしており、実務ではこの基本通達に従って処理されていると思われる。
(1) 買入事務、検収、整理、選別、手入れ等に要した費用の額
(2)
販売所等から販売所等へ移管するために要した運賃、荷造費等の費用の額
(3)
特別の時期に販売するなどのため、長期にわたって保管するために要した費用の額
参考:財務諸表等規則第75条、第79条、法人税法基本通達5-1-1
2 仕訳例(本設例では三分法による処理を示している。)
(1) 商品の仕入
商品5,250,000円(内消費税250,000円)を掛けで仕入れた。
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
仕入 |
5,000,000 |
買掛金 |
5,250,000 |
仮払消費税等 |
250,000 |
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(2) 仕入れ付随費用
上記(1)の商品を運搬するため、運送費525,000円(内消費税25,000円)を小切手を振り出して支払った。
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
仕入 |
500,000 |
当座預金 |
525,000 |
仮払消費税等 |
25,000 |
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(3) 商品の返品
上記(1)で仕入れた商品のうち、不良品10,500円(内消費税500円)があり、これを返品した。
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
買掛金 |
10,500 |
仕入 |
10,000 |
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仮払消費税等 |
500 |
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(4) 仕入値引
仕入商品のうち、一部に不良品があり52,500(内消費税2,500円)の値引行った。値引代金は同社に対する買掛金と相殺した。
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
買掛金 |
52,500 |
仕入 |
50,000 |
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仮払消費税等 |
2,500 |
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(5) 仕入割戻
仕入先から、当期の仕入高に対し、105,000円(内消費税5,000円)の割引を行う旨の通知を受けた。この割引額は後日当社の銀行口座に振り込まれる予定。
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
未収入金 |
105,000 |
仕入 |
100,000 |
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仮払消費税等 |
5,000 |
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(6) 仕入割引(営業外収益)
仕入先A社に対する買掛金1,000,000円の支払いは、150日サイトの手形であるが、A社から現金払いにして貰いたい旨要請があったので、8,000円の割引をすることで合意し、992,000円の小切手を振り出して支払った。
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
買掛金 |
1,000,000 |
仕入割引 |
7,619 |
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仮払消費税等 |
381 |
仕入割引は金融費用として、営業外収益に表示する。消費税は課税仕入れの修正として処理する。 |
INDEX
■仕訳処理目次
■棚卸資産
■商品
■仕入
■積送品
■試用品
■売上原価の算定
■強制評加減
■棚卸減耗損
■製品
■半製品
■原料及び材料
■仕掛品
■貯蔵品
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