予定取引が利付負債の発生である場合のヘッジの処理方法 |
仕訳例
01年1月に、10億円を02年2月1日(3ヵ月後)から同年8月1日までの6ヶ月間借り入れることを予定している。会社は、借入れまでの金利上昇に対するリスクをヘッジするため、3ヶ月後から6ヶ月間につて、契約金利3.1%で金利先渡契約(FRA)を買うことにした。FRA利子率決定日は01年1月29日(決済日である2月1日の2営業日前)であり、この時点のLIBORは3.5%であった。
LIBORが契約の金利を上回っているため、02年2月1日に決済金額を(1)@繰越ヘッジ利益の通り1,987,000円を受け入れることになる。また、借入金の金利は3.55%に決定し、利息の支払いは満期日に行われる。
なお、借入金利息計算及び金利の期間配分は、計算の便宜上月割で計算している。また、借入金等の受払いは当座預金で行う。
仕訳(単位百万円)
(1) FRAの損益は借入れ発生時まで繰延ヘッジ損益又は繰延ヘッジ利益として繰り延べ、借入金の利息認識に合わせて償却する。
@ 02年2月1日(FRA決済日及び借入日)
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
当座預金 |
1,987,000 |
繰延ヘッジ利益 |
1,987,000 |
当座預金 |
1,000,000,000 |
借入金 |
1,000,000,000 |
繰越ヘッジ利益=10億円×(利子率決定日LIBOR3.5%−契約利子率3.1%)×契約日数182/360÷1+(利子率決定日LIBOR3.5%×契約日数182/360)=1,987,000 |
(3) 02年3月31日(決算日)
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
繰越ヘッジ利益 |
662,333 |
支払利息 |
662,333 |
支払利息 |
5,916,666 |
未払費用 |
5,916,666 |
繰越ヘッジ利益=1,987,000×2/6=662,333円
支払利息=10億円×3.55%×2/12=5,916,666円 |
(4) 02年8月1日(借入金返済日)
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
繰越ヘッジ利益 |
1,324,667 |
支払利息 |
1,324,667 |
未払費用 |
5,916,666 |
当座預金 |
1,017,750,000 |
支払利息 |
11,833,334 |
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繰越ヘッジ利益=1,987,000−662,333=5,916,666円
支払利息=10億円×3.55%×4/12=11,833,334円 |
参考:金融商品に関する実務指針より
INDEX
■仕訳処理目次
■評価・換算差額等
■その他有価証券評価差額金
■繰越ヘッジ損益
■その他有価証券の価格変動リスクヘッジ
■予定取引実行時の処理(予定取引が資産の取得である場合)
■予定取引が利付資産の発生である場合のヘッジの処理方法
■通貨オプションによる予定取引のヘッジ
■包括ヘッジにおけるヘッジ手段に係る損益の配分
■金利スワップによるヘッジ会計の適用
■ヘッジ会計終了時点における損失の見積り
■土地再評価差額金
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