仕訳例
A社(3月決算)は、01年2月28日に、10百万ドルで製品を輸出する契約を締結した。出荷は4月末、代金受取は5月末に予定しているが、契約締結の時点で、円高による輸出代金が減少するリスクを回避するために、通貨オプション契約によるヘッジを行うこととし、契約日の直物レートと同額の1ドル110円を行使価格、5月末を行使期限とするプット・オプションを1ドル当たり3.6円のオプション料で購入した。
その後の直物レート及びオプション価格の変動は次の通りである。
(直物レート)期末日(3月31日)105円、輸出日(4月30日)106円、入金日(5月31日)104円
(オプションの価格)期末日(3月31日)7.6円(うち時間的価値2.6円)、輸出日(4月30日)4.9円(うち時間的価値0.9円)
仕訳(単位百万円)
(1) 時間的価値を区分処理する方法
@ 2月28日(オプション購入日)
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
通貨オプション |
36 |
当座預金 |
36 |
通貨オプション=10百万ドル×3.6円=36百万円 |
A 3月31日(期末日)
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
通貨オプション |
40 |
繰越ヘッジ利益 |
50 |
為替差損 |
10 |
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(7.6円−3.6円)×10百万ドル=40百万円----オプション全体の時価の増加
(3.6円−2.6円)×10百万ドル=10百万円----時間的価値の減少
(110円−105円)×10百万ドル=10百万円----本源的価値の減少 |
B 4月30日(輸出日)
売上高の計上
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
売掛金 |
1,060 |
売上高 |
1,060 |
売上高=10百万ドル×106円=1,060百万円 |
通貨オプションの時価評価
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
繰越ヘッジ利益 |
10 |
通貨オプション |
27 |
為替差損 |
17 |
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(7.6円−4.9+円)×10百万ドル=27百万円----オプション全体の時価の減少
(2.6円−0.9円)×10百万ドル=17百万円----時間的価値の減少
(106円−105円)×10百万ドル=10百万円----本源的価値の減少 |
繰越ヘッジ損益(累積額)の損益計上
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
繰越ヘッジ利益 |
40 |
売上高 |
40 |
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C 5月31日(入金日)
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
当座預金 |
1,040 |
売掛金 |
1,060 |
為替差損 |
20 |
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当座預金 |
60 |
通貨オプション |
49 |
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為替差益 |
11 |
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(2) 時間的価値の区分処理を行わず一括して処理する方法
@ 2月28日(オプション購入日)
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
通貨オプション |
36 |
当座預金 |
36 |
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A 3月31日(期末日)
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
通貨オプション |
40 |
繰越ヘッジ利益 |
40 |
(7.6円−3.6+円)×10百万ドル=40百万円 |
B 4月30日(輸出日)
売上高の計上
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
売掛金 |
1,060 |
売上高 |
1,060 |
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通貨オプションの時価評価
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
繰越ヘッジ利益 |
27 |
通貨オプション |
27 |
(7.6円−4.9+円)×10百万ドル=27百万円 |
繰越ヘッジ損益(累積額)の損益計上
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
繰越ヘッジ利益 |
13 |
売上高 |
13 |
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C 5月31日(入金日)
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
当座預金 |
1,040 |
売掛金 |
1,060 |
為替差損 |
20 |
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当座預金 |
60 |
通貨オプション |
49 |
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為替差益 |
11 |
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参考:金融商品に関する実務指針より
INDEX
■仕訳処理目次
■評価・換算差額等
■その他有価証券評価差額金
■繰越ヘッジ損益
■その他有価証券の価格変動リスクヘッジ
■予定取引実行時の処理(予定取引が資産の取得である場合)
■予定取引が利付資産の発生である場合のヘッジの処理方法
■通貨オプションによる予定取引のヘッジ
■包括ヘッジにおけるヘッジ手段に係る損益の配分
■金利スワップによるヘッジ会計の適用
■ヘッジ会計終了時点における損失の見積り
■土地再評価差額金
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