1 土地再評価差額金とは
土地再評価差額金とは、土地の再評価に関する法律第7条に規定する再評価差額金をいい、再評価差額から再評価に係る繰延税金負債の金額を控除した金額又は再評価差額に再評価に係る繰延税金資産の金額を加えた金額を、再評価差額金として、貸借対照表の資本の部に計上しなければならない。
再評価差額金は当該土地の売却等による処分の場合及び減損が生じた場合の他は取り崩すことができない。
なお、土地の再評価の時期は平成14年3月31日で終了している。
参考:土地の再評価に関する法律第3条、第5条、第7条
2 仕訳例
(2-1) 再評価した土地の売却
土地再評価法によって再評価をした土地を売却した。売却価額は51,000,000円で代金は当座預金に入金した。当該土地の
再評価後の帳簿価額50,000,000円、再評価差額金29,880,000円、繰延税金負債19,920,000円である。
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
当座預金 |
51,000,000 |
土地 |
50,000,000 |
再評価差額金 |
29,880,000 |
固定資産売却益 |
50,800,000 |
繰延税金負債 |
19,920,000 |
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(2-2) 再評価した土地の減損処理
土地再評価法によって再評価をした土地180,000,000円(再評価前の取得価額100,000,000円)について減損処理を認識すべきであると判定され、回収可能額は120,000,000円であった。なお、税効果会計適用上の法定実行税率は40%とする。
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借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
減損損失 |
60,000,000 |
土地 |
60,000,000 |
繰延税金負債 |
24,000,000 |
法人税等調整額 |
24,000,000 |
土地再評価差額金 |
36,000,000 |
土地再評価差額金取崩額 |
36,000,000 |
減損損失=180000,000−120,000,000=60,000,000円
繰延税金負債=60,000,000×40%=24,000,000円
土地再評価差額金取崩額=再評価時の土地再評価差額金48,000,000円×(60百万円÷80百万円=36,000,000円 |
(2-3) 再評価を行った土地について減損処理を行った場合の土地再評価差額金の取扱い〈固定資産の減損に係る会計基準の適用指針より〉
(1) 前提条件
X社は、土地A、土地B及び土地Cいずれも取得原価100)について再評価を行っており、土地A及びBの再評価後の帳簿価額は180、土地Cの再評価後の帳簿価額は80になっている。
X2年3月31日に土地A、B及びCは減損損失を認識すべきであると判定され、回収可能価額はそれぞれ120、80、40であった。なお、税効果会計適用上の法定実効税率は40%とし、当該減損損失は、X社において、回収可能性のある将来減算一時差異として取り扱われているものとする。
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土地の帳簿価額 |
減損処理額 |
減損処理額に係る税効果額 |
取得減価 |
再評価後 |
減損処理後 |
土地A |
100 |
180 |
120 |
60 |
24 |
土地B |
100 |
180 |
80 |
100 |
40 |
土地C |
100 |
80 |
40 |
40 |
16 |
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(2) 考え方
@ 土地A
再評価後の帳簿価額(180)に基づいて減損処理額(60=180−120)を算定する。減損処理後の土地の帳簿価額が、再評価の直前の帳簿価額以上である場合、減損処理した金額(60)に対応する土地再評価差額金(税効果控除後の36=80×(1−40%)×{60÷(180−100)})を、剰余金修正を通じて未処分利益に繰り入れる。
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(仕訳)
借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
減損損失 |
60 |
土地 |
60 |
再評価に係る繰延税金負債 |
24 |
法人税等調整額 |
24 |
土地再評価差額金 |
36 |
土地再評価差額金取崩額 |
36 |
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A 土地B
再評価後の帳簿価額(180)に基づいて減損処理額(100=180−80)を算定する。減損処理後の土地の帳簿価額が、再評価の直前の帳簿価額に満たない場合、土地再評価差額金の全額(税効果控除後の48=80×(1−40%))を、剰余金修正を通じて未処分利益に繰り入れる。
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(仕訳)
借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
減損損失 |
100 |
土地 |
100 |
再評価に係る繰延税金負債 |
32 |
法人税等調整額 |
40 |
繰延税金資産 |
8 |
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土地再評価差額金 |
48 |
土地再評価差額金取崩額 |
48 |
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B 土地C
再評価後の帳簿価額(80)に基づいて減損処理額(40=80−40)を算定する。減損処理後の土地の帳簿価額が、再評価の直前の帳簿価額に満たない場合、土地再評価差額金全額(税効果控除後の12=(100−80)×(1−40%))を、剰余金修正を通じて取り崩す。
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(仕訳)
借方 |
貸方 |
勘定科目 |
金額 |
勘定科目 |
金額 |
減損損失 |
40 |
土地 |
40 |
繰延税金資産 |
24 |
法人税等調整額 |
16 |
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再評価に係る繰延税金資産 |
8 |
土地再評価差額金取崩額 |
12 |
土地再評価差額金 |
12 |
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INDEX
■仕訳処理目次
■評価・換算差額等
■その他有価証券評価差額金
■繰越ヘッジ損益
■その他有価証券の価格変動リスクヘッジ
■予定取引実行時の処理(予定取引が資産の取得である場合)
■予定取引が利付資産の発生である場合のヘッジの処理方法
■通貨オプションによる予定取引のヘッジ
■包括ヘッジにおけるヘッジ手段に係る損益の配分
■金利スワップによるヘッジ会計の適用
■ヘッジ会計終了時点における損失の見積り
■土地再評価差額金
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