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[設例 5] リース資産総額に重要性が乏しいと認められなくなった場合の取扱い

(注)本設例は企業会計審議会が平成23年3月25日に公表した「リース取引に関する会計基準の適用指針」から抜粋したものです。なお、一部にオリジナルの適用指針とは異なる表示をしている部分があります。

本文中( )内の参照項番号は「リース取引に関する会計基準の適用指針」の項番号です。

 

 

前提条件

リース物件の借手であるA社は、前事業年度末までリース資産総額に重要性が乏しいと認められる場合の取扱いである適用指針第31項を適用し、利息相当額の総額をリース期間中の各期に配分する方法として、定額法 (利息相当額の総額をリース期間中の各期にわたり定額で配分する方法)を採用していた。

A社は、前事業年度の期首(X1年4月1日)に機械装置のリース取引(返済スケジュールは[表5-1]のとおり)を開始していたが、当事業年度の期首(X2年4月1日)に同種の機械装置のリース取引 (返済スケジュールは[表5-2]のとおり)を開始した。この新たなリース取引を開始した結果、未経過リース料の期末残高が当該期末残高、有形固定資産及び無形固定資産の期末残高の合計額に占める割合が10パーセント以上となったため、当期より利息法を採用することとした。その他、取引開始日以外の条件は[設例1]と同じである。

 

 

[表5-1]

(単位:千円)

回数

返済日

前月末元本

返済合計

元本分

利息分

月末元本

1

X1.4.30

48,000

1,000

634

366

47,366

2

X1.5.31

47,366

1,000

639

361

46,727

3

X1.6.30

46,727

1,000

643

357

46,084

4

X1.7.31

46,084

1,000

648

352

45,436

5

X1.8.31

45,436

1,000

654

346

44,782

6

X1.9.30

44,782

1,000

658

342

44,124

7

X1.10.31

44,124

1,000

664

336

43,460

8

X1.11.30

43,460

1,000

668

332

42,792

9

X1.12.31

42,792

1,000

674

326

42,118

10

X2.1.31

42,118

1,000

678

322

41,440

11

X2.2.28

41,440

1,000

684

316

40,756

12

X2.3.31

40,756

1,000

689

311

40,067

13

X2.4.30

40,067

1,000

695

305

39,372

14

X2.5.31

39,372

1,000

699

301

38,673

15

X2.6.30

38,673

1,000

705

295

37,968

57

X5.12.31

3,925

1,000

970

30

2,955

58

X6.1.31

2,955

1,000

978

22

1,977

59

X6,2,28

1,977

1,000

985

15

992

60

X6.3.31

992

1,000

992

8

 

合計

60,000

48,000

12,000

(注)適用利率年9.154%。利息の計算は、月数割りによっている。

 

 

[表5-2]

(単位:千円)

回数

返済日

前月末元本

返済合計

元本分

利息分

月末元本

1

X2.4.30

48,000

1,000

634

366

47,366

2

X2.5.31

47,366

1,000

639

361

46,727

3

X2.6.30

46,727

1,000

643

357

46,084

4

X2.7.31

46,084

1,000

648

352

45,436

5

X2.8.31

45,436

1,000

654

346

44,782

6

X2.9.30

44,782

1,000

658

342

44,124

7

X2.10.31

44,124

1,000

664

336

43,460

8

X2.11.30

43,460

1,000

668

332

42,792

9

X2.12.31

42,792

1,000

674

326

42,118

10

X3.1.31

42,118

1,000

678

322

41,440

11

X3.2.28

41,440

1,000

684

316

40,756

12

X3.3.31

40,756

1,000

689

311

40,067

57

X6.12.31

3,925

1,000

970

30

2,955

58

X7.1.31

2,955

1,000

978

22

1,977

59

X7.2.28

1,977

1,000

985

15

992

60

X7.3.31

992

1,000

992

8

 

合計

60,000

48,000

12,000

(注)適用利率年9.154%。利息の計算は、月数割りによっている。

 

この場合、すべてのリース取引を利息法で処理する方法と新たなリース取引のみを利息法で処理する方法が考えられる。

 

1 すべてのリース取引を利息法で処理する方法

前事業年度

 

X1年4月1日(リース取引開始日)

借方

貸方

リース資産

48,000

リース債務

48,000

 

 

X1年6月30日(第3回支払日・第1四半期決算日)

借方

貸方

リース債務(*2)

800

現金預金

1,000

支払利息(*1)

200

 

 

減価償却費(*3)

2,400

減価償却累計額

2,400

(*1)支払利息は、利息相当額の総額12,000千円を、リース期間中の各期にわたり定額で配分する。

12,000千円×1年/5年×1月/12月=200千円

(*2)1,000千円−200千円=800千円

(*3)減価償却費は、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして計算する。

48,000千円×1年/5年×3月/12月=2,400千円

 

 

X2年3月31日(第12回支払日・決算日)

借方

貸方

リース債務

800

現金預金

1,000

支払利息

200

 

 

減価償却費

2,400

減価償却累計額

2,400

 

当事業年度

 

X2年4月1日(新リース取引開始日)

借方

貸方

リース資産(*4)

48,000

リース債務

48,000

特別損失(*5)

1,667

リース債務

1,667

(*4)新リース取引分

(*5)過年度の支払利息を利息法で計算した場合と過年度に定額法で計上した支払利息との差額を計上する。

過年度の支払利息を利息法で計算した場合:[表5-1]より366千円+・・・+311千円=4,067 千円

過年度の支払利息を定額法で計算した場合12,000千円×1年/5年=2,400千円

4,067千円−2,400千円=1,667千円

 

 

X2年6月30日(各第15回/第3回支払日・第1四半期決算日)

借方

貸方

リース債務(*7)

1,348

現金預金

2,000

支払利息(*6)

652

 

 

減価償却費(*8)

4,800

減価償却累計額

4,800

(*6)295千円[表5-1]+357千円[表5-2]=652千円

(*7)1,000千円×2−652千円=1,348千円

(*8)減価償却費は、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして計算する。

(48,000千円×1年/5年×3月/12月)×2台=4,800千円

 

以後も同様な会計処理を行う。

 

2 新たなリース取引のみを利息法で処理する方法

前事業年度

 

X1年4月1日(リース取引開始日)

借方

貸方

リース資産

48,000

リース債務

48,000

 

 

X1年6月30日(第3回支払日・第1四半期決算日)

借方

貸方

リース債務(*2)

800

現金預金

1,000

支払利息(*1)

200

 

 

減価償却費(*3)

2,400

減価償却累計額

2,400

(*1)支払利息は、利息相当額の総額12,000千円を、リース期間中の各期にわたり定額で配分する。

12,000千円×1年/5年×1月/12月=200千円

(*2)1,000千円−200千円=800千円

(*3)減価償却費は、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして計算する。

48,000千円×1年/5年×3月/12月=2,400千円

 

 

X2年3月31日(第12回支払日・決算日)

借方

貸方

リース債務

800

現金預金

1,000

支払利息

200

 

 

減価償却費

2,400

減価償却累計額

2,400

 

当事業年度

 

X2年4月1日(新リース取引開始日)

借方

貸方

リース資産(*4)

48,000

リース債務

48,000

(*4)新リース取引分

 

 

X2年6月30日(各第15回/第3回支払日・第1四半期決算日)

借方

貸方

リース債務(*6)

1,443

現金預金

2,000

支払利息(*5)

557

 

 

減価償却費(*7)

4,800

減価償却累計額

4,800

(*5)それぞれの利息相当額の総額12,000千円は、従来からのリース取引についてはリース期間中の各期にわたり定額で配分し、新たなリース取引については利息法で計上する。

従来からのリース取引分:12,000千円×1年/5年×1月/12月=200千円

新リース取引分:357千円([表5-2]より。)

200千円+357千円=557千円

(*6)1,000千円×2−557千円=1,443千円

(*7)減価償却費は、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして計算する。

(48,000千円×1年/5年×3月/12月)×2台=4,800千円

 

以後も同様な会計処理を行う。


INDEX

仕訳処理目次

リース取引

リース取引の仕訳例

[設例 1] 所有権移転外ファイナンス・リース取引

[設例 2] 所有権移転ファイナンス・リース取引

[設例 3] 残価保証のある場合

[設例 4] 維持管理費用相当額を控除する場合

[設例 5] リース資産総額に重要性が乏しいと認められなくなった場合の取扱い

[設例 6] 転リース取引

[設例 7] セール・アンド・リースバック取引

[設例 8] 貸手の製作価額又は現金購入価額と借手に対する現金販売価額に差がある場合(貸手の会計処理)

[設例 9] 適用初年度開始前の所有権移転外ファイナンス・リース取引の取扱い

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